フグは「餌取りの達人」としてカワハギと並ぶ存在で、掛けられるか、それとも餌を取られてしまうかの対決がこの釣りの興奮点である。
釣り竿の先にすべての感覚をむけ、微かな揺れにためらいなく反応した瞬間、重みとともにくる「カッツゥーン」の衝撃は、まさに「快感」であると表現できる。
この感動を体験するために、7月12日、釣り仲間の山崎さんと一緒に、茨城県の大洗港に停泊中の大栄丸へと車を飛ばした。
今シーズンの大洗沖でのショウサイフグの傾向は、多くて15~20尾程度だということだが、その代わりに大きなサイズが各種類目の特徴となっている。
通常サイズが30cmあり、たまには40cm超の大物も高頻度で釣れ、更にはカレイやマダコなどが加わるという流れが続いている。
午前4時半に受付を終わらせ、船に乗り込んだ。
乗船者は私たちも含めて7名で、左舷に4名、右舷に3名が割り当てられ、我々は右のミヨシの席を取った。
フグは楽ちん
釣りは楽しいが帰ってから魚の下処理はおっくうなもの。
しかしフグは船長が身欠きにしてくれるので、家では三枚におろすだけ。
とても楽ちんだ。
ちなみ中骨でだしを取るときは、ヒレは弱毒があるので必ず切り取ること。
大型はぜひ刺身でいただきたいが、3~4日寝かせるとうま味が増すので一度お試しを。
希少なマコガレイも!
全員が準備を済ませた4時50分に出船となり、25分ほどでポイントの大洗沖に到着。
ここは水深25m前後で海底はこぶし大の石が点在するゴロタ場となっており、キツイ根はないので遠投して広く探ることもできるフィールドだ。
さっそく大川船長から開始の合図が出て、エサのアオヤギをたっぷり付けた仕掛けが次つぎに投入される。
ほどなくして釣友の山崎さんが巻き上げ始めたが、重みはあるが「引き」というものがまったくない。
もしやと思って海面をのぞき込んでいると、思ったとおり大きく足を広げた300gほどのマダコが上がってきた。
その後は船内のあちらこちらで竿が曲がったが、上がってくるのは25~30cmほどのムシガレイばかり。
もっともこのムシガレイはムニエルにしたり干物にするとおいしいのでわが家では評判のいい魚だ。
キャストしてムシガレイを連発していた右トモの小見さんが、ついに激しく抵抗する魚を掛けた。
ようやく大型のショウサイフグの登場かとカメラを構えていると・・・またしてもカレイ。
しかし、よくよく見るとこれが40cm級のマコガレイ、大洗沖でも今や希少な存在となっており実にうらやましい。
タコも掛かっていいお土産に。
出典:
ムシガレイもおいしいゲスト。
出典:
Tackle Guide
竿は外房用のカットウフグ専用竿のほかに、カワハギ竿や先調子のゲームロッドなども使える。
根のキツイ場所ではカットウバリを1本にして根掛かりを軽減しよう。
評判どおりの良型ぞろい
それにしてもフグはどこへ行ってしまったのだろうか?
ここのところ大雨が続いていたので、濁りや塩分濃度の低下がフグの活性を鈍らせているのではないだろうか。
ようやくショウサイフグが姿を現したのは開始から40分ほど経過してから。左トモ2番の染谷さんが
30cm級を抜き上げてうれしい船内1尾目を手にした。
続いて2番手となったのは釣友の山崎さんで同級を釣り上げてニンマリ。
続いて小見さんも同級を抜き上げ、「やっと本命がきましたよ」とホッとしたようだ。
「デッカイのが上がったよー」船長の指さす左トモに行ってみると、染谷さんのお兄さんが当日最大42cmを取り込んでいた。
さすがにショウサイフグもこのサイズになると存在感が半端ではない。
私がミヨシ側で撮影していると、船長が慌ててタモを持って右トモに駆け付ける。
なにごとかと思ったら染谷さんのお兄さんが1.8kgのヒラメを釣り上げていた。
驚いたことに、弟さんもその後に1.7kgのヒラメを釣り上げてしまったのだから、なんとも運の強い兄弟である。
水深25~30mのゴロタ場にはこんなヒラメも潜む。1.7kgと 1.8kgを掛けラッキーなこの二人は、なんとご兄弟だった。
出典:
7時過ぎ、ようやくフグの活性が上がってきたのか、流し変えた直後にバタバタッと釣れ上がる。
山崎さんと小見さんは続けざまに竿を曲げ、30cm前後の良型を連発。
「これはまずまずでしょー」
そう言って山崎さんが掲げた40cm級を見て、ゴロンとした姿に不謹慎にもわが女房の姿を連想してしまった。
とにかく大きいので最高のズッシリ感。
出典:
これまた40cm。膨らむとラグビーボール大だ!
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8時を過ぎたところで私も竿を出す。
釣り方は5秒に1度くらい軽いシャクリを入れるタイム釣りを基本とし、時にはジワジワーと竿を上下に動かしてフグを寄せるとともに穂先の変化を凝視する。
ショウサイフグは大きくなるほどエサ取りがうまくなるのか、はたまた警戒心の強い個体が生き残って大きくなるのか定かではないが、明確なアタリを出さなくなる。
モタレやコツンとかすかなアタリを見逃すと、エサをスッテンテンにされて悔しい思いをする反面、違和感を察知して掛けたときの満足感も味わわせてくれるのだ。
ムシガレイを2枚釣った後、本命とおぼしきコツンという微妙なアタリに間髪入れず合わせたが手応えがない。
しかしフグの気配はあるのでシャクリの間隔を2秒と短くするとカッツーン。
グイグイ絞り込む引きを楽しみ30cmのショウサイフグを抜き上げた。
その後は潮が速くなり釣りづらくなってきたが、根気よくタイム釣りと誘いを繰り返してポツポツ上げた。
やがて12時に沖揚がり。
私の釣果は28~32センチのショウサイフグが5尾、ムシガレイが3枚とマダコが1杯。
潮具合が悪かったためフグはトップ6尾と振るわなかったものの、大型ぞろいで釣り応えは十分だった。
これから天気も海も安定してくれば釣果が復調することは必至。
大洗沖のでっかいフグを釣りに出かけてみてはいかがだろうか。
この日釣れたショウサイフグは小さくても 30cm級。
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良日はトップで15~20尾くらい釣れている。
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隔週刊つり情報(2020年8月15日号)※無断複製・転載禁止