今年の秋は東京湾奥でサワラの魚影が濃く、ルアー五目船が大いに賑わっている。
普段はエサ釣り派の人もサワラが食べたいからとルアー船に乗る人も多いようだ。
だけど、サワラは釣りたいけどルアーじゃなぁという人が多いのもまた事実。
そんな人に朗報。
なんと、エサ釣りで狙うサワラ乗合が始まったのだ。
海況が悪すぎた
10月29日に出かけたのは東京湾奥金沢八景の一之瀬丸。
スポットサワラ船担当の瀧本晃史船長に聞くと、今年はタチウオ船で釣果になるくらいサワラが交じったり、サワラ船を出し始めた僚船があったりしたので始めたとのこと。
タックルもホームページをご覧になった方ならご存じのようにキハダやワラサ用にハリス20号以上のヘビータックルを推奨。
サワラはハリ掛かりすると強烈に横走りしたりするので、オマツリを防ぐために有無を言わせずガンガン巻き上げるパワーが必要という。
釣り場は猿島沖や走水沖、旧第三海堡跡などで、最初のうちは7~8mの浅ダナでも食ったそうだが、このところは20~30mくらいのことが多く、サワラらしき反応が出ることもあれば、出ないこともあるという。
誘いも電動デッドスローや落とし込みなど、なんでもアタリは出るようだが、釣れたのはタナを決め打ちした置き竿が多かったという。
何せこれまでまだ3回しか出船していないのだから、釣り方や仕掛けなど分からないことが多い様子。
それでも注目度は抜群で、強風予報にもかかわらず14名と盛況で7時過ぎに出船となった。
8時、猿島沖の水深42m、海面からの指示ダナ20~30mでスタート。
北東からの強風が吹き付け、海の状態はかなり悪い。
ほとんどの宿が休船したようで、周りにはタチウオ狙いの船が2~3隻いる程度だ。
続いて走水沖の水深53m、指示ダナ30~40m、観音崎沖の水深62m、タナ40~50mと探っていったがアタリはない。
前回までの出船ではアタリ自体は30~40回とけっこうあったようだが、この日はそれっぽい反応もなく、ロングクルージングが続く。
船内ではたま~にエサをかじられる人もいたが、フグやタチウオがいたずらした可能性が高い。
ようやくそれっぽいアタリが出たのが11時半。
タナ30~40mで、少し深めの42mくらいで待っていた右舷トモ2番の人にアタリ・・・も、ハリス切れの瞬殺。
軽く竿を持ち上げたらドンときてそれっきりだったという。
その後もアタリがない流しが続き、これでダメだったら揚がりますというアナウンスが流れた午後2時半、船内で2発のアタリ・・・も1発はスッポ抜け、1発はハリス切れに終わる。
ハリス切れした人はちょうど隣の席だったのでその瞬間を目撃したのだが、置き竿にしていた竿先が大きくバタバタッと2回たたかれたと思ったらシーン。
おそらくイワシを丸飲みしたのだろう。
いずれにしろこの日は海況が悪すぎた。
ポイントも思うように回れず、周りに釣り船もいなかったためサワラの寄りも悪かったと思われる。
(左)タックルはPE6~8号を巻いたキハダ・ワラサ用などヘビータックルを推奨。(右)片テンビンにオモリ100号(状況で80~120号)。 船宿仕掛けは1本バリとアシストを付けた親孫式の2種類あり。
出典:
エサは冷凍イワシ。親孫式の場合はヒラメ仕掛けのように付ければいい。親バリはエラ上の硬い部分に刺すのもあり。
出典:
(左上)この日、ヤリトリ中にバレたのが3~4回。(左下)ルアーも4名まで便乗OK。(右)ハリスを1~2mと短くして、テンビンを竿先まで巻き上げて取り込むのがベストかも。
出典:
一之瀬丸では取材日以前に3回出船してトップ3尾、船中7尾が最高釣果。とはいえアタリは30~40回あり、キャッチ率の向上が今後の課題とも言える。
出典:
最後の詰めでバレた!
このままでは終われないと、次の出船日となった10月31日に再トライ!
この日は海況もよく、タチウオやアジの船団もできていたから周辺にサワラが回遊している可能性も高まるはず。
ところがこの日も期待に反してアタリが遠い。
ようやくのヒットは10時40分、走水沖のタナ47mで貸し道具で初挑戦の方にきた・・・が、掛かりが甘かったのかスッポ抜け。
強化チューブの上のハリスがザラザラになっていたからサワラで間違いないはず。
船長に聞くと、ちょうどベイトの反応が入ってきた直後のヒットだったらしい。
次なるチャンスは1時間後、猿島沖のアジ船団の周辺、タナ35m前後を流していたときにアタリ連発。
しかしハリス切れやスッポ抜け、海面バラシと魚が上がらない。
その後は再び沈黙の時間が続き、いよいよ後がなくなってきた。
だけどサワラにはけっこう時合があるというし、一昨日の例から見れば沖揚がり直前にもうワンチャンあるはず。
一縷の望みに期待した午後2時半、左舷ミヨシで食った!
キハダロッドがガッツリ曲がり、完全にハリ掛かりしている様子。
そして船長がタモを入れた瞬間、なんとボキッとタモの柄が折れてしまって取り逃すという不運。
このとき同時に隣の方にもヒットしていたのだが、オマツリで巻き上げ中にバレてしまった。
(左)アタリと同時にハリス切れの瞬殺。(右上)ハリスがザラザラになっていればサワラ確定。(右下)イワシの頭だけ残ってくることもたまにあるが、これはサワラかフグか! ?
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キハダロッドがひん曲がる。ハリ掛かりしたサワラは強烈に疾走する。
出典:
タモに入った!と思った瞬間にひと暴れして去っていったサワラは推定5kg級。口にハリ掛かりしていなかったのが原因か。残念・・・。
出典:
二日間の取材の結果は残念ながらノーキャッチに終わってしまったが、最後に今回の経験で見えてきた要点をまとめておこう。
①アタリが出るかどうか
狙い始めに比べて一日に出るアタリの数は減ってきている。
諦めずに粘り強く釣り続けることが大切。
サワラは同じ層を回遊していることが多いから、アタったタナを覚えておき、船中で共有することも大切。
②掛けられるかどうか
アタリが出ても瞬殺のハリス切れが多く見られた。
アタったらとにかく合わせを入れたほうがいいかもしれない。
③取り込めるかどうか
この日を例にするまでもなく取り込みでのバラシが多い。
ハリスをたぐっているときにバレることも多いらしいので、ハリス長はテンビンを竿先まで巻き上げ、竿を立てて魚を海面に浮かせられるくらいまで短くしたほうがいい。
そのほか仕掛けやタナの探り方などまだまだ研究の余地は残されている。
テンヤタチウオの例を見るまでもなく、研究熱心な東京湾の釣り人たち。
来シーズンには出船軒数も増え、東京湾の新たなターゲットとして定着することを期待したい。
知っ得!エサ釣りで狙うサワラ
14年前、相模湾でサワラが豊漁だった年にルアー船に便乗してエサ釣りで狙ったことがある。
当時はタチウオのテンビン仕掛けにサバなどの切り身で狙ってそこそこ釣れたが、サイズがやや小さめだったこともあるだろう。
現在、東京湾のエサ釣りで狙っているサワラは3~5kg以上の大型。
やはり一回り頑強なタックルや仕掛けが必要だと思われる。
東京湾のサワラ仕掛け例
一之瀬丸ではレンタルタックルも用意している。
ただし5セットまでなので、利用したい人は予約時に確認しておこう。
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