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カットウ仕掛けと食わせ仕掛けで3種のアタリを楽しむ秋の湾フグ

隔週刊つり情報編集部

東京湾奥羽田・えさ政釣船店のフグ船が大盛況だ。

取材日の前日は2隻出しでいずれも満席。

9月中旬の当日は、天気予報がよくなかったせいか1隻ではあったが、それでも第八えさ政丸は満員御礼だった。

昨年、えさ政釣船店のフグ船を取材したのは11月。

そのころ、メインターゲットはヒガンフグに切り替わっていた。

今年もそろそろだろうか。

「最近、ヒガンフグはまだか?って聞いてくる常連さんが本当に多いんですよ。好きな人はやっぱりカットウ仕掛けで釣りたがるんです。カットウに掛かったときの、ズシッとくる重量感はたまらないですからね」

出船の準備を終えた岩越裕司船長は、額に汗を輝かせてそう話してくれた。

7時を少し過ぎたころ、もやいが解かれ第八えさ政丸は出船した。

航程約1時間で大貫沖に到着。

周囲には有名どころのフグ船が数隻浮かんでいる。

船長は、魚探を凝視してフグの反応を探す。

しかし、その表情が徐々に曇り始めた。

「なんか、反応が固まってないんですよ。魚探に映ってもすぐにいなくなっちゃうし。おっかしいなぁ・・・」

周囲の船も、まだ仕掛けを下ろしてはいないようだ。

おそらく魚探に映る反応は、同じ状況なのだろう。

「昨日は反応が浮いていて、食わせ仕掛けにも普通に釣れたくらいでしたが、ちょうど潮止まりだからかなぁ・・・」

船長は首をかしげながらそう言うと、また魚探に視線を戻した。

招かざるフグの猛攻

約30分後、船長からようやくアナウンス。

「はい、いいですよ。水深は9mです。やってみてください」

私を除く22名が一斉に仕掛けを投入する。

すると、立て続けに4名がリールを巻き始めた。

どの竿もフグらしき引きで竿先がたたかれている。

しかし、これらはサバフグ。

船長もがっくりと肩を落とした。

大貫沖に点在するツブ根をたんねんに回りながら反応を探す船長。

しかし、やはり釣れてくるのはサバフグ。

魚探に映る反応でフグの種類を見分けることなどできず、こればかりは釣り上げてみないと分からない。

しばらくすると、左トモに陣取る堀さんがコモンフグを抜き上げた。

この堀さんの1尾を皮切りに、状況がやや好転する。

左胴の間の山本さんのカワハギを挟んで、隣の辻さんがショウサイフグ。

右3番の酒井さんがショウサイフグを釣り上げると、同ミヨシの荻原さんにコモンフグ、再び堀さんがヒガンフグを抜き上げた。

前日も乗船して22尾で竿頭だった堀さんは、カットウ仕掛けオンリーだという。

このところはフグが浮いているらしく、不慣れな人は胴つきの食わせ仕掛けを使うことが多いらしい。

ツブ根の周りを狙うので、カットウは根掛かりしやすいからだ。

この日に船上で使われていた仕掛けも、おそらく半分近くは食わせ仕掛けだった。

しかし、堀さんやフグ釣りフリークの荻原さんは、やはりカットウ仕掛けで釣ることにこだわりを持っていた。

カットウ仕掛けの上に、食わせ仕掛けを付けることもしていない。

「食わせ仕掛けを付けたほうが数は釣れるかもしれないけど、やっぱりカットウで釣れたときのほうが楽しいよ」

カメラのフレームの中でヒガンフグを掲げる荻原さんが、満面の笑みで話してくれた。

釣行の写真

カットウ仕掛け、食わせ仕掛けと好みの仕掛けでフグが狙える秋は湾フグ入門にもおすすめ。

釣行の写真

この日は5尾前後釣る人が多かった。

船長直伝のフグ釣法

その後、堀さんがこの日の船中最大となる25cmのショウサイフグを釣る。

その撮影を終えた私も竿を手にすることにした。

これでも釣り人の端くれ。

使うのはカットウ仕掛けだ。

水深は10m前後。

オモリ10号のカットウ仕掛けを下ろすと、いきなりプルプルとアタリ。

仕掛けの周りにフグはいる。

そう思ったとき、昨年岩越船長が教えてくれた釣り方を思い出した。

誘い上げは、フグが逃げてしまうから急激にやってはダメ。

静かに竿先を上げていく。

その幅は、付けエサからカットウバリまでの距離である約10cmだ。

そして、そこからストンと仕掛けを落とすのではなく、ゆっくりと竿先を下げていく。

船長によると、このときに一番アタリが出るということだった。
 
10cmくらい竿先を静かに上げ、ゆっくりと仕掛けを下ろしていく。

すると、その過程でやはりプルプルとアタリがあり、カットウバリにフグを引っ掛けるイメージでスッと合わせると、竿を持つ手にグンと重みを感じた。

リールを巻くと、小ぶりではあったがショウサイフグ。

1投目での本命ゲットに、うれしさがこみ上げる。

同じ釣り方を繰り返していると、カワハギを挟んでヒガンフグも手にすることができた。

この日の釣果は18~25cmのショウサイフグとコモンフグ、20~30cmのヒガンフグを合わせて0~9尾。

ショウサイフグが、おおむね5割といったところだった。

「いやあ、今日は苦戦しました。朝のうちはなかなか反応が見つからなくて、見つけてもサバフグでしたし。下げ潮に入って少しよくなるかと思ったんですけど、なんだか今日は反応が船下にとどまってくれなくて・・・」

残念そうに話す船長に、今後の展望を聞いてみる。

「そうですね。秋は初心者でも釣りやすい食わせ仕掛けでショウサイフグ、コモンフグ、ヒガンフグとにぎやかに釣れて楽しい時期です。今日もヒガンフグがけっこう交じってきたので、例年どおり秋が深まるころには常連さんたちが待ち望んでいるヒガンフグが主役になるんじゃないですかね」

こう、ご期待。

釣行の写真

写真の掘さんを始め、えさ政釣船店の常連さんはチラシバリのカットウ仕掛けを使う人が多い。

知っ得!ハリス止めが効果的

えさ政釣船店のカットウフグ仕掛けは、オモリの下にのびた元スの先にハリス止めが付いていて、ハリス付きのカットウバリをそこに掛ける仕組みになっている。

これは根掛かりが外れないときにうれしい。

強く引っ張ると、ハリス付きのカットウバリが切れてくれるからだ。

オモリやエサバリをロストすることがほとんどないので、環境にも優しいシステムだ。

釣り具の写真

円で囲んだ部分がハリス止め。

当日のフグ仕掛け

竿は、湾フグ専用竿が最良だ。

しかし、この釣りでほかに流用できる竿を説明するときは、「穂先が軟らかめのカワハギ竿」という表現が一番的を射ているように思う。

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