本格的な冬の訪れに一段と寒さが厳しくなり身が引き締まる思いだが、それは海の中の魚も同様。
今回のターゲットであるフグも冬はやっぱり身がプリプリッとしまっておいしさに一層磨きがかかる。
さらにハリ掛かりさせるまでの面白さに加え、ゴンゴンと引き込む強引がプラスされて魅力たっぷりだ。
そういえばここ数年フグの顔を拝んでいないことにふと気づき、最近のフグ事情を探るため11月29日、東京湾奥浦安の吉野屋へ出かけた。
同宿は山本周五郎の『青ベか物語』のモデルとして知られた老舗船宿。
江戸前の主だった釣り物に乗合船を出していて、休日などは大勢のお客さんで桟橋は賑わいを見せている。
フグ釣りも昔から定評がありマニアックなファンを魅了してやまないようだ。
一番おいしいフグ
当日は平日にもかかわらず8名のお客さんが集まり定刻7時に河岸払い。
フグ釣りと言えば、ひと昔前はショウサイフグがメインだったが、最近はちょっと事情が違うようで、シーズンごとに種類の違うフグがメインとなりバラエティーに富んだ釣りが楽しめている。
「今はヒガンフグ狙いが基本だけど」とフグ船担当の田島大策船長。
しかしヒガンフグに元気がなく、ショウサイフグも今一つ頼りない感じなので、今日はコモンフグをメインにしてほかのフグも交じればよしとする作戦でいくとのこと。
周年のショウサイフグを中心に、冬はヒガンフグ、春はトラフグを専門に狙う時期もある。
コモンフグは昔からいたけれど、最近ショウサイに代わって台頭しているらしい。
あまり大きくはならないようだが味は「コモンが一番おいしいよ」とベテランの常連さんのお墨付きである。
しかも数が稼げるから船長的にもありがたい存在のようだ。
状況がよければトップが30~40尾くらい釣る日もあるという。
いずれのフグもタックルは同じものが使え、それでいて各種のフグが味わえるのだからファンにとってもありがたい状況。
まさにコモンフグ、カモン!である。
釣り場は湾内各所にあり、水深10~25m前後と浅場が中心。
フグは種類によってすみ分けているようだが、今回は三種混合狙いが可能な大貫沖一帯のポイントへ直行。
ここは湾フグ船の定番釣り場でもある。
航程1時間ちょいで到着。
慎重にポイントを確認してから水深25mで釣り開始の合図が出た。
そして釣り方のアドバイスがアナウンスされる。
これは初心者にとって大変心強いアドバイスとなるので聞き逃さないように。
開始してすぐコモンフグが上がったが後が続かない。
当日は今冬一番の冷え込みだったようだが、日が上ってから意外と暖かく上着がいらないほど。
遠かったアタリも次第に多くなり、皆さんのバケツにフグがたまり始めた。
船長が言っていたとおり20cm未満の小型が多いものの、時折上がる25cmクラスにベテランたちの顔もほころぶ。
カサゴやトラギスとゲストも多彩で賑やかだ。
とくにカサゴは煮つけサイズが多くこれはいいお土産になる。
しばらく同じ場所で粘って全員が顔を見たところで、今度は水深10m前後の浅場へ移動となった。
当日の釣果は半数以上がコモンフグ。
出典:
当日の釣果は半数以上がコモンフグ。
出典:
船長の狙いが大当たり
こちらは再開してすぐバタバタと連発していきなり好調だ。
ヒガンフグも顔を出して船内が活気づく。
その後もヒガンフグがいくつか上がり、ほとんどが30cm前後と型ぞろい。
竿がガンガンたたかれ、引きの強さが見ていても分かる。
ここはどうやら船長のフェバリットポイントらしく、釣れなくなっても小移動するとまたすぐアタリがくる。
ちなみに同宿のフグ釣りはカットウ仕掛けが基本だが、胴つき式の食わせ仕掛けもOK。
さらに食わせ仕掛けの下にカットウ仕掛けを付けるミックス仕掛けで狙うファンも多い。
カットウ仕掛けのオモリは、ベテランは水深や潮の流れの速さで8号ぐらいから15号までを使い分けている。
軽いオモリのほうがアタリは取りやすいが、軽すぎて底ダチが取れないと釣りにならない。
初心者はしっかり着底が分かる仕掛け(オモリ)が無難。
船宿のカットウ仕掛けは10号と15号が用意されていて、食わせ仕掛けも販売。
根掛かりしやすいポイントを攻めるときは、比較的根掛かりしにくい食わせ仕掛けが安心である。
午後になってやや深場に移動したがこれが正解だった。
午前中は小型のコモンフグが多かった右ミヨシの常連さんは、ここにきてショウサイフグとヒガンフグを交えてサイズアップ。
入れ食いではないが連発シーンもあり私の撮影も万全である。
そこで貸し竿を借りて数年ぶりのフグ釣りにチャレンジ。
朝の船長のレクチャーを聞いていたので久しぶりでもノープロブレム!
カットウ仕掛けをリフト&フォールさせ誘いをかけるとコツ、コツとアタリ。
しかし合わせてもなかなかハリに掛からず、次第に体が熱くなってきたのは日差しのせいだけじゃないような・・・。
結局そのままノーヒットで午後2時の沖揚がりを迎えた。
当日はトップの22尾が何人かいて、ほとんどの人が20尾前後、スソでも10尾とまずまず。
コモンフグをメインに、ヒガンもショウサイも釣れる船長の三種狙いは見事的中だったようだ。
フグは福につながる縁起のよい魚。
年末年始の釣り納めや初釣りにはもってこいのターゲットになるだろう。
カットウ仕掛けの竿は繊細な穂先を持つ専用ロッドが最適。食わせ仕掛けはシロギス用など小物竿でもOK。
出典:
(左)エサはアルゼンチンアカエビ、受付&船で販売。(右)船宿のカットウ仕掛けはオモリ10号と15号の2種、食わせ仕掛けはオモリ15号。
出典:
カットウ仕掛けに誘導テンヤのオモリを使うのもあり。
出典:
チラシ仕様のカットウ仕掛けはエサバリに掛かることも多い。
出典:
アオヤギエサで数をのばす人も。
出典:
知っ得!フグ釣りのアドバイス
リフト&フォールで誘うのが基本。
着底したら3~5秒ほど間を取りフグを寄せることも大事。
アタリはフォール中か、間を取ったときに出ることが多い。
合わせは20cmくらい軽くシャクればOK。
大きく、強い合わせはフグに警戒心を与えるので注意しよう。
竿先から目を離さず微細なアタリに合わせる。
出典:
東京湾のフグ仕掛け例
竿はアタリが取りやすい極先調子の専用竿が最適だが、カワハギ竿やキス竿も流用できる。
リールは小型両軸が扱いやすい。
カットウ仕掛けが基本ながら食わせ仕掛けも用意しておくと安心。
釣り船予約サイト「釣割」のスタッフがオススメする釣り船はこちら!
【関東ショウサイフグ船】人気ランキング
【関東ショウサイフグ船】価格ランキング
【隔週刊つり情報(2022年1月1日号)※無断複製・転載禁止】