中深海の黒い宝石とも言われるクロムツ(ムツ)は日中に狙う専門船もあるが、夜釣りは100m前後と比較的浅い水深で釣れるため、イカ釣り感覚で楽しめるのが魅力。
その夜ムツ船を出しているのが内房勝山港の萬栄丸。
シーズンは5月~翌年1月ごろまでと長いが、これから秋~冬にかけては安定して数が釣れるベストシーズンとか。
取材日も勝山~富浦沖の水深100~180m前後を狙い30~35cm級の良型主体にトップ20尾オーバー、ほとんどの人がツ抜けするなどまずまずだった。
週末は満船必至なので早めの予約をおすすめする。
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30~35cm前後が中心
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黒くてうまい!クロムツの炙りと煮付け
クロムツ料理の定番といえば炙りと煮付け。
ご存じの方は多いだろうが、炙りは三枚におろして食べやすい大きさに切ってから皮目をバーナーで炙る。
煮付けはほどよい脂乗りで言わずもがなのおいしさ。
アカムツよりクロムツのほうが好みという人も多い。
房総の夜釣りといえば例年10月から始まる南房の夜キンメが知られるが、内房の夜クロムツも古くから人気の釣り。
といっても出船しているのは勝山港の萬栄丸だけ。
そんなこともあってか週末は満船必至、釣行したいならなるべく早めに予約を入れておきたい。
シーズンは5月からスタートし、翌年1月ごろまでのロングラン。
そんな中でもこれから迎える夏~秋は安定して数が釣れるベストシーズンとか。
7月下旬現在の状況はトップで15~20尾、いい日は30~40尾釣れている。
釣れるクロムツの平均サイズもよく、30~35cm級を中心に小さくて25cm前後、大型は40cmを超えるものも交じってくる。
釣り場は航程20~30分の勝山~富浦~洲ノ崎沖のほか、数は出ないものの40cm前後がよく釣れる洲ノ崎南沖、場合によっては洲ノ崎を回り込んだ布良沖など、そのときの釣れ具合や潮の流れ、海況により各ポイントを攻め分けている。
なお出船は今のところ17時(秋になって日没が早まれば出船も早くなる)で、沖揚がりは23時ごろとなっている。
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一度食べたら病みつきになるおいしさ
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仕掛けはシンプルイズベスト
夜クロムツの使用オモリは150号。
竿はそれが背負える全長2m前後の7:3~8:2調子。
最近では各メーカーから中深海の専用竿も多く発売されているし、アカムツ用などでもいい。
取材日はカツオやワラサを釣るような青物対応竿を使っている人も多かったし、ヤリイカ竿も使える。
いずれにしろ潮が速いと軟らかい竿では扱いづらくなるので硬めのほうがおすすめ。
リールは中小型の電動で道糸はPE3~4号を最低300mは巻いておく。
オマツリやムツの歯で高切れすることもあるから予備のリールも用意しておくとなお安心。
仕掛けは胴つき3本バリが基準。
船宿仕掛けは枝ス10号75~80cm、幹糸12号150cm、ハリはムツ17号。
オモリ上の捨て糸部も枝間と同じ150cmほどでいい。
ここを短くすると根掛かりのリスクが高まる。
ちなみにハリのカラーは赤や金などはサバを寄せやすくなるので、自作するならノーマルの銀バリがおすすめだ。
水中ランプや夜光玉などのアピールアイテム、中オモリは必要ない。むしろ付けるとオマツリしたりサバなどの被害にあいやすいので付けてはダメ。
使っていいのはせいぜいイカ用の小型ヨリ取りリングくらい。
仕掛けはシンプルなほうがいいと覚えておこう。
なおハリ数はとくに制限はないが、慣れた人でもせいぜい5本にとどめておいたほうがいい。
サバが掛かったりオマツリしたりで手返しが悪くなるだけ。
サバが多ければ2本バリにしてもいいくらいだ。
付けエサはサバの切り身が船に用意されている。
先端中央にチョン掛けすればいい。
当たりダナを探ることが肝心
投入はエサを付けたハリを船ベリへ並べ、オモリを放り投げるスタイルでいい。
潮が速ければ船長の合図で一斉投入、一流し1投ということもあるが、潮が緩ければ繰り返しの投入も可能。
船長のアナウンスをよく聞いておこう。
クロムツの反応は底中心のこともあれば、底から10~15mと浮いているときもある。
船長のアナウンスを元にそのとき一番よくアタるタナを探っていくことがこの釣りのキモになる。
いずれにしろ最初の投入では一度オモリを着底させる。ポイントによっては根掛かりもあるのでオモリが底に着いたらすぐに2~3m底を切る。
アタリのあるタナが分かれば次からは上からのタナ取りでもいいが、アタリがなくなればまた下から探り直す。
これが釣り方の基本的な流れになる。
探り方は下から上へというのが基本で、おおよそ2パターン。
一つはヤリイカ釣りのように竿で大きくシャクリ上げては止めて、1mずつ上へ探っていく。
もう一つはズル巻き。
電動リールの低速でゆっくり巻き上げながらアタリの出るタナを探る。
潮の流れがないときは誘ってエサを動かしたほうが効果的。
反対に潮が速かったりスミヤキが多いようなときはアピール控えめに電動ズル巻きがいいそうだ。
クロムツのアタリは竿先をガツガツと揺さぶるようにけっこう明確に出るから見逃すことはないはず。
アタリがあったら合わせを入れる。
合わせたほうがしっかりハリ掛かりするし、仮に掛からなくても合わせの動作が誘いにもなる。
追い食い狙いについては、早めにアタるようなら次のアタリを待ってもいいが、誘い続けてようやくアタるようなときはそのまま単発で巻き上げたほうがいい。
巻き上げに関しては、基本は高速巻き。
ゆっくり巻いていると途中でサメに取られてしまう。
また、サバが掛かったとしてもゆっくり巻いていてはオマツリの被害を拡大させるだけ。
速く巻くと魚がバレてしまうとかは考えず、魚が掛かったらとにかくすみやかに仕掛けを回収しよう。
なお、この釣りにオマツリは付き物。
どうしても避けることはできないが、再投入するときなどは道糸をフリーにして落下させず、サミングしつつなるべく道糸を立てたまま仕掛けを落とすように心がけたい。
今期も順調!夜のクロムツ 数、型ともに今後も有望だ
年間を通して釣り物多彩な内房勝山港の萬栄丸。
その中でも一番ロングランで出船する看板釣り物が夜釣りのクロムツ、通称夜ムツだ。
担当は中台涼船長。先代親方の後を引き継いで今年で3シーズン目になる。
余談になるが、涼船長は実は学生時代に本誌でアルバイトをしていたことがあり、一献かわしながら将来の展望を聞いたところ、お前は釣り雑誌なんかより船長になったほうがいいとアドバイスしたことを覚えている。
あれから数年、夢がかなったのかどうかは分からないが、立派に船長として独り立ちしているのはうれしい限り。
そして涼船長の初取材となったのは7月28日のこと。
午後4時前に港へ着くと、ちょうどフカセ釣りのお客さんと入れ替わる時間帯。
しばらくして船着き場へ行くと、夜ムツ船のお客さんはほぼそろっていた。
取材を決めたのは数日前だったので、この日は当然のごとく満船。
カメラだけを持って乗り込む。
ちなみに一番混雑するのは金土で、日曜日はまずまず。
平日の火~木辺りも毎週のように通う常連さんがいるとか。
ということは、海がナギならほぼ毎日出船するので、予定が決まったら早めに予約するようにしていただきたい。
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昼間のフカセ釣りからリレーした人も
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暗くなってからが本番
17時ごろに出船。
ポイントは色いろあるようだが、この日はゆっくり走って航程30分ほどの勝山沖へ。
潮の流れが速いようで、一斉に投入するようアナウンスがあって水深175mでスタート。
水深が徐々に浅くなるカケ上がりのようで、下から7~8mを探るよう指示が出る。
涼船長に聞くと、浅いうちからでも食ってくることはあるという。
最初のうちはサバが多かったりオマツリも頻発してどうなることかと思ったが、やがてポツポツとクロムツが上がり始める。
いずれも35cm前後の良型で、中にはダブルで釣り上げる人もいた。
陽が沈んでくるとポイントの水深も150m前後と浅くなり、辺りが暗くなるころには水深100~110m前後になっていた。
いよいよ本番だ。
反応は下から5~15mに出ている様子。
潮の流れはあまりないようだが、船内ではボツボツ上がっている。
釣っている人に聞くと今日は誘わないとアタリが出ないという。
相変わらずサバも多くオマツリも多発するが、萬栄丸では仲乗りさんが乗船して面倒を見てくれるので助かる。
21時ごろにはツ抜けする人もチラホラいて、ラストスパートで富浦沖の浅場へ。
こちらは水深100mほどで、ここ2週間ほどは狙っていなかったとか。
潮は緩く再投入も自由にできるようになったが、相変わらずサバは多い。
それに加えて大アジも交じってくる。
そんな中で右舷ミヨシの常連さんは置き竿ズル引きでクロムツを連釣。
浅場だからサイズも小さくなるのかと思ったが、相変わらず35cm前後の良型主体と申し分ない。
やがて23時に沖揚がり。
終わってみればトップ21尾、
14人中9名がツ抜けとまずまずの夜だった。
例年これから秋~冬にかけては釣果も安定してくるという。
今シーズンも期待は十分だろう。
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40cmオーバーも時どき交じる
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トップで15~20尾、いい日は30~40尾釣れている
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船宿information
内房勝山港 萬栄丸
090・3210・6258
▼備考=予約乗合、17時出船。日中はフカセ釣りのキハダ、コマセ釣りのキハダ、スルメなどへ
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隔週刊つり情報(2024年9月1号)※無断複製・転載禁止