9月下旬、一つテンヤ乗合の老舗、外房大原港の新幸丸での取材日はとにかくアタリが多い一日だった。
大原沖の水深15m前後、テンヤ5号で釣る若船長の山口大地さんがひっきりなしに竿を曲げてマダイを上げる。
釣果は400~800g級が18枚、20cm未満はリリースのルールにより再放流多数。
3名のお客さんも船酔いでダウンした方を除いて13~17枚とマダイの引きを満喫した。
「今年は6月ごろから浅場で釣れ始めて、ずーっとこんな感じで続いてます。これだけ魚影が濃いのは長年続けてるマダイの稚魚放流のおかげもありますね」と山口新一船長。
千葉県がマダイの稚魚放流を始めたのが昭和57年。
以降年間100万尾を目標に内房、南房、九十九里・銚子などで放流が続けられ、外房では毎年7~8月ごろ27万尾が放流されている。
広大な根が連なる大原沖一帯は元もとマダイの資源量が豊富な海域。
そこに稚魚放流の成果も相まって魚影が保たれ釣りを楽しめているのだ。
マダイ天国とも呼べる当地で、父親の新一船長が舵を取る船で一つテンヤの腕を磨き、スタッフとして初心者をサポートしてきた大地船長は、「アタリが分からないと言ってエサだけ取られる人には共通点があります」と指摘する。
ここからは本記事のテーマである〝アタリが出ない人のチェックポイント〟を、大地船長のコメントを踏まえて紹介していこう。
秋におすすめの一つテンヤタックル
アタリが出ない人のチェックポイント【その1】 エサの付け方を再点検
どんな釣りでもそうだが「エサも取られない」となげく人の多くはエサの付け方や保管方法がおざなりだ。
エサは7~8cmほどの冷凍エビ。
冷凍エビはカチカチに凍った状態で渡されることがほとんどで、乗船したらまずバケツに海水をくみ、パッケージの袋を破って海水に浸けてとかしておく。
エビが半解凍になったらバケツから取り出し、直射日光が当たらない船ベリの下などに置いておく。
エビが日に当たると黒ずみやすく、いかにも食いが悪そうな色になるので要注意。
秋とはいえ10月は気温が高い日もあるから、氷が効いたクーラーにしまって小出しにしよう。
エビを1匹付けするのが基本で、付け方の手順は下図のとおり。
注意点としては、手順③でエビに親バリを刺すとき、ハリを動かすと深く刺しすぎてエビが丸まりやすい。
エビを押すようにして刺すのがコツだ。
エビエサの付け方
アタリが出ない人のチェックポイント【その2】待つときの竿の構えが重要
「釣り方は、着底後に糸フケを取って、竿一杯に誘い上げ、再び下ろし、誘った後はしっかり仕掛けを止めてしばし待つのが基本です。道糸が立っているときは、竿を水平に構えて待ちますが、パラシュートアンカーやドテラ流しは、風や潮具合で流し変えるたびに道糸が出る方向が変わることもあるので、常に道糸と竿の角度が90度前後になるように構えると竿先にアタリが出やすくなります」と大地船長。
常に道糸と竿の角度を90度前後に保つと竿先にアタリが出やすく、合わせやすい
出典:
基本の釣り方イメージ
道糸が払い出すとき
道糸が払い出すとき、道糸と同じ方向へ直線的に竿を構えると、魚がエサ(テンヤ)にアタックしても竿先はほとんど動かずアタリに気づかない。
払い出すときは竿を斜め上に構え、道糸に対して90度を保つことが重要だ。
道糸が立つとき
道糸が立つときは竿を水平に構えるのが基本。
初心者は竿を下げがちだが、竿を下げると目との距離が遠くなり竿先が見えにくいうえ、竿と道糸が直線に近い状態になり竿先にアタリが出にくい。
テンヤをキャストして広範囲を探るときは、テンヤが着底して斜めになった道糸に対して竿の角度が90度前後になるように構える。
リフト&カーブフォールで手前に探ってくると、テンヤが船に寄るにつれて徐々に道糸が立ってくるので、道糸と竿の角度が90度を保つように竿を下げていく。
道糸が船下に入るとき
道糸が船下に入るとき、着底後、竿一杯に誘い上げると道糸が船底にこすれる危険がある。
この場合は竿先を下げて構え、誘い上げる幅を狭くし、道糸が船底にこすれないように注意しながらリフト&フォールを繰り返す。
竿先を下げても船底にこすれそうなくらい道糸が斜めになったら入れ替えよう。
アタリが出やすい&見やすい竿の構え
アタリが出ない人のチェックポイント【その3】竿先の変化はすべてアタリ
一つテンヤのアタリは実に多彩だ。
一番多いのはエサ(テンヤ)に食い付いたマダイが下方へ走り、竿先をクイッと引き込む明確なアタリ。
一方、マダイは食い上げることもあり、テンヤの重みで曲がっていた竿先がフワッと持ち上がればそれもアタリだ。
また、竿先がほとんど動かずモタ~モゾモゾッといった違和感を感じる程度のアタリもあり、そんなときは底近くで居食いしていることが多い。
いずれにせよ、竿先から視線をそらさず、何かしらの変化を感じたらすかさず合わせる心構えが肝心だ。
「アタリはテンヤを軽くすればするほど鮮明になり、重くすれば鈍くなります。水深や潮具合にもよりますが、秋は主に水深30m以内の浅場を狙うので、例えば水深20m前後ならテンヤ5号を目安にして、慣れてきたら3~4号と軽くしてください」と大地船長。
一つテンヤはしっかり底ダチを取ることが大事だが、初心者は必要以上に重いテンヤを使っている場合が多いとのこと。
今は浅場で数釣りができる好シーズン、積極的に軽いテンヤを試して重いテンヤとのアタリの違いを感じてほしい。
竿先の塗装は白ベースにスレッドがオレンジなど視認性に優れたものがおすすめ
出典:
一つテンヤの主なアタリ(イメージ)
サミングのコツ
ハンドルを回すほうの手でリールのスプールを下から包み込むように添え、スプールの縁を軽く指で触れたり放したりを繰り返して糸フケを出さないようにする
フォールのアタリ
一つテンヤのアタリは竿先だけでなく、道糸の動きとしても出る。
仕掛けを投入してから着底するまでの間に魚が食い付く〝フォールのアタリ〟だ。
投入後、軽くサミングして糸フケを抑えつつテンヤを落としていき、スルスルと出ていた道糸が水深分まで出る前にフワッとフケたらそれがアタリ。
もしくは、道糸の出が急に速くなったり、方向が変わった場合もアタリの可能性大。
いずれにせよ、道糸の動きに少しでも変化があれば、リールのベイルを倒して合わせよう。
フォールのアタリ(イメージ)
【覚えておきたい合わせの技術】「即合わせ」と「聞き上げ+巻き合わせ」
アタリを察知したらビシッと即合わせが基本だが、アタリの数ほどハリ掛かりしないのが一つテンヤの難しくも面白いところ。
「慣れた人が即合わせしてもスッポ抜けることはよくあります。ですから、即合わせで何度かやって掛からないときは、〝聞き上げ+巻き合わせ〟を試してください」と大地船長。
聞き上げ+巻き合わせの手順は下図のとおり。
アタリがきたらスーッと聞き上げて、魚の重みが乗ったら竿を立てつつ素早く巻き上げる。
この合わせ方は魚が小さいときや、活性が低いときに効果的で、フグやウマヅラなどハリ掛かりさせるのが難しいエサ取りも掛けやすいとのこと。
合わせが決まったら竿のためを十分に生かせる斜め上に竿を構えてヤリトリする。
魚が走ったときは巻き上げず、ドラグを信じて止まるのを待つ(ドラグ調節1kg前後)。
マダイの口周りはとても硬く、ヒットしてもハリが刺さっているとは限らない。
ちょっとした弾みで簡単にハリが外れることがあるのでポンピングは厳禁。
魚が止まったら一定のペースで巻き上げよう。
基本の「即合わせ」と「聞き上げ+巻き合わせ」
【大地船長のお手本】聞き上げ+巻き合わせの動作
(上)アタリを察知したらすかさず聞き上げ(中)魚の重みが乗ったら・・・(下)竿を立てつつ素早く巻き上げる
出典:
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隔週刊つり情報(2021年11月1日号)※無断複製・転載禁止