犬吠埼沖でアマダイが釣れているのをご存じだろうか?
それも「釣れている」というレベルじゃないということを。
7月中旬ごろにスタートするや、40cmオーバーも多数交じりトップ10尾以上も珍しくないという状況だ。
「今までアマダイは見たことなかったですよ」と九十九里飯岡港・幸丸の向後恵一船長。
ポイントは「何もない砂地」とのことで、犬吠埼沖の水深90m前後で開始するとポツポツ食っていたが、中盤になると一気に火が付いたように40cmオーバーが連続ヒット。
9人で2~8尾と上々の釣果。
同じようなポイントが広大に広がるため、今後の展開には要注目。
アマダイの一大フィールドになる可能性を秘めている。
![釣行の写真]()
いい場所に入ると良型連発!
出典:
エサは各自持参を
幸丸ではエサは各自が持参する。
この日はほとんどの人がオキアミとホタルイカを持参していた。
オキアミは1匹掛け、または抱き合わせ、ホタルイカはツボ抜きにして付ける。
この日は圧倒的にホタルイカに食いが偏ったのでホタルイカは必携だ。
7月中旬から茨城県波崎港の船で犬吠埼沖のアマダイ好調の報が伝えられるようになった。
それに続いて下旬には同鹿島港や九十九里飯岡港からも出船するようになり、ちょっとしたお祭り状態になっている。
40cm級の良型が多く、連日トップ10尾に迫るかという景気のいい釣果が続いていた。
「犬吠埼沖でアマダイ?」
元もといたのかそれとも急に増えたのか、一時的なものなのかそれとも今後も続くのか。
まずはその状況をこの目で確かめるため、7月28日に九十九里飯岡港の幸丸に出かけてみた。
前日の早い段階では14人満船で募集を締め切ったとのことだったので今回は撮影に専念することにした。
当日、船宿に着くと2隻に増やして出船するとのこと。
どうやら前日に問い合わせが増えて急きょ増船で対応した模様。
アマダイはこの地に元もといた!
向後恵一船長の操船する第一幸丸には9人が乗船。
お客さんにあいさつがてら聞いて回ると、多くの人がアマダイは初挑戦だという。
元もと幸丸にはテンヤマダイやヒラメ釣りで訪れていて、アマダイを始めたならやってみるか、という感じで乗船した人がほとんどだった。
まずは船長にポイントをうかがうと、犬吠埼沖の水深85~95m前後のフラットな砂地だという。
航程はゆっくり走って40分程度とのことで意外に近いことに驚く。
「今日は霧で見えないけど陸が見えるような場所ですよ」と向後船長。
では、今までほかの釣りでアマダイが交じったりすることはあったのだろうか?
「アマダイは見たことなかったですね。いたのかどうかも分かりません」とのこと。
そこで後日、茨城県波崎港・丸天丸の久保天詳船長に聞いてみたところ、この海域には昔からアマダイはいたそうで、漁師さんは漁で獲ることもあるという。
ただ釣りでは狙わなかったということらしい。
波崎港の看板釣り物といえばアカムツだが、ここ最近は状況が芳しくないため代わりにアマダイを狙い始めたというのが、ことの成りゆきだ。
波崎では釣り過ぎによる場荒れを防ぐため10尾までと規定数が決められたという。
さて、濃霧の中を40分ほど走って船はスローダウン。
視界が悪いのでどこにいるのか全く分からない。
時刻は5時ちょっと過ぎ。
「やってみましょう。オモリは100号、潮が速くてオマツリするので余計なものは外してやってください」とのアナウンスでスタート。
水深は85m。
船長の話だと海底は何もない砂地だそうで、この周辺は同じような場所が広大に広がっているという。
エサは各自で持参することになっていて、多くの人はオキアミとホタルイカを持参。
ホタルイカは最近は相模湾などでも大型に効くエサとして認知されており、必携といえそうだ。
2本バリにオキアミのみ、オキアミとホタルイカ、ホタルイカのみとそれぞれ思い思いのエサでスタート。
ホタルイカはツボ抜きする。
開始早々に左舷ミヨシで30cm弱のアマダイが上がる。
周りにもアタリがあるが、サバが多かった。
続いて上がったのは良型のサバに加えてタチウオ。
こちらも珍しいかと思いきや、たまに掛かることはあるそう。
ただし、専門で狙うほどの魚影はないという。
その直後には右舷でやはり30cmに満たないサイズのアマダイが上がる。
「あれ? 大きいのいないの?ひょっとしてもう終わっちゃったの?」という不安がよぎる。
大型はどこへいった?
開始30分ごろに左舷大ドモの常連、平山さんの竿が曲がる。
「初めてなのでアマダイかどうかも分からない」というが、中間と海面近くでもたたきを見せてどうやらアマダイのよう。
上がったのは25cmほどとやはりサイズは物足りない。
しかし次投、その次と一人で連続ヒットさせる。
「昨日はここでテンヤマダイだったんですが、船長から誘われて乗りました」。
道具は全部借りたそうで「釣り方も全然分からなくて、底から50cm上げてたまに誘ってたら食いました」と平山さん。
エサは2尾ともホタルイカのツボ抜き。
タナ、誘い、エサがうまく合致してアタリを引き出したようで開始から1時間で3尾ゲットする。
途中からアマダイの引きだと認識できるようになったという。
開始1時間ほどでアマダイは船中6~7尾、アジ、サバのほか、小型のアラの姿も目立つようになった。
6時ごろになると濃霧は消えて太陽が眩しくなる。
周りには10隻ほどの船が確認できた。
平山さんは一人でコンスタントに上げていく。
ほかの人は平山さんの連チャン姿を見て、どうやって釣っているのか気になるようなので、みなさんにコッソリ(でもないか)お伝えして回る。
すると、周りでも急にアタリが出るようになる。
6時半ごろには左舷で「本物」らしきアタリがきて竿をたたく。
海面に姿を現したのは41cmの良型。
ようやく納得サイズが出て船長も一安心する。
ちなみに幸丸はこの日で4回目の出船で、最大は47cmだったとか。
![釣行の写真]()
前半はこのサイズが多かった
出典:
40cm級が連チャン
良型が出たのとほぼ同時に右舷大ドモでこの日最大の42cmが上がった。
さらに左舷胴の間、右舷ミヨシと5分で4尾の良型が出現。
どうやらいい場所に入ったようで、その後もだれかに良型が上がるとバタバタと続くシーンが多かった。
つまり、だれかが釣れたら自分もチャンスだということ。
平山さんは2時間で6尾。
「私にはなぜか大きいのがこないですね」と苦笑い。
そこから1時間あまりはアタリが遠のく。
再び濃霧に包まれて視界不良になり僚船が見えなくなる。
流し変えしながら探っていくと9時半ごろにまたまたラッシュタイムがやってくる。
再び霧が晴れ、ギラギラの太陽が容赦なく照りつける。
左舷ミヨシ、その隣で立て続けに40cmオーバーが上がった。
この二人は普段はルアーが専門だそうで、アマダイは初挑戦。
スロジギのようなフワッとした誘いを入れて食わせていた。
「勝手が違ってよく分かりません」と言うが、手巻きタックルでその後にも40cm級を連続でゲット。
どうやら朝も濃霧が晴れたときに食いが上昇、その後にまた濃霧で食いが止まり、再び晴れて食いが上昇しているようだ。
この日だけかもだが、明るいほうが食いがいいのかもしれない。
相模湾などではアマダイは澄んだ潮のほうが食うので、それと同じことか。
船長によれば仕掛けは特別なものではなく、普通の市販品で大丈夫とのこと。
ただし、潮が速くこの日もオマツリは結構あったので、オモリは100号を使用する。
今後も継続するなら、細めの道糸でオモリ60号程度のライト仕様でも狙えるようになるかもしれない。
9時半にはもう十分というほど撮影ができた。
船中を動き回っていたせいで、少し身体がフラつく。
水分補給をして呼吸を整える。
霧は晴れたが風がほとんどない。
キャビンはエアコンが入っているので休んでください、と船長に声をかけていただいた。
この日から5日間で4回取材に出なければならないことも考えて体力温存することに。
船長には今まで釣れた以上の大型が出たら声をかけてくださいと伝え、キンキンに冷えたキャビンの中へ。
今後もまだまだ暑い日が続くので、フルで釣りをするのもいいが、自分の体調と相談して早くしまうとか、休み休みやるのも一つの選択肢となるだろう。
そんなときにエアコン付きのキャビンはまるで天国のようだった。
さて、外からは時折バタンバタンと良型のアマダイが床をたたく音も聞こえ、沖揚がりまで順調に食いが続いたようだった。
一大フィールドになる可能性も秘めている
釣果は20~42cmを2~8尾。
20cmクラスはほとんどおらず、小型といっても25cmほどはあった。
別船も2~8尾だった模様。
トップは平山さん。
うまく誘いが決まって数が出たが、大型には恵まれず。
ひょっとしたら中小型に好かれる誘いだったのかもしれない。
エサはホタルイカのツボ抜きが強かったが、この日よく掛かってきたサバを切り身にしても面白いかもしれない。
サバのほか色んなエサを試してみても楽しさの幅が広がるかも。
気になる今後のことだが、一時的なものかもしれないし、これからも釣れ続くかは船長にもよく分からないという。
ただし、同じような水深、同じような海底の場所はとにかく広大にあるそうで、これからポイント開拓をしていけば、色いろな可能性も秘めているといえよう。
北部の日立沖も開始から2年ほどで大型ポイントも開拓して50cm級を狙って釣れるようになったのは記憶に新しい。
もしかしたら、この海域が日本でも有数の一大アマダイフィールドになっていたとしても、決して不思議ではない。
今後も注目していきたい。
![釣行の写真]()
40cm前後が多数交じり、一人2~8尾だった
出典:
![釣行の写真]()
初挑戦で8尾釣りトップ
出典:
船宿information
九十九里飯岡港幸丸
0479・57・2258
▼備考=予約乗合、4時15分集合。ほかマダイ、ヒラメへも
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隔週刊つり情報(2024年9月1号)※無断複製・転載禁止