夏はメタル、冬直結とは、これいかに。
昨年、沼津の秀丸では10月までマルイカ(ケンサキイカ)が釣れ続きイカメタルを中心に賑わった。
そしてその翌月には小型のマルイカが釣れ始め、冬と春をへて今にいたっている。
ほぼ周年マルイカが釣れているわけだが、冬~春は直結仕掛けのゼロテンションが圧倒的に強く、イカメタルはアタリを出させることすら難しかったという。
その反面、6月を過ぎるとイカメタルが優勢となり最高釣果100杯を記録しながら8月へ向けて順調に釣れ続いている。
自身も釣り好きな小池秀幸船長は夏にメタル、冬直結(のゼロテン)強しの理由として、夏はマルイカの適水温期で活性が高いためではないか、と推測。
加えてマルイカが増えていることも実感している。
釣り場は江梨沖。
沖とは言っても湾内の、本当に陸が目の前の波静かな場所で、水深30m台。
釣り方はイカメタル、オモリグ、直結、いずれもOK。
イカメタルはナマリスッテ15号を軸に、速潮に備えて20~30号まで用意したい。
第3特集ではオモリグを含めたイカメタル入門と、釣れる、釣れないを分けるコツを紹介しよう。
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▲初挑戦でも楽しめます
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Chapter1 イカメタルは夜釣り中心。昼間のマルイカ乗合に向いていない理由
主にナマリスッテ10~30号を使うイカメタルはライトで簡単なイカ釣りとして全国に普及、ここ数年のケンサキイカの生息域拡大、釣果の上昇も手伝って急速に人気が上昇している。
イカメタルは九州など一部で昼間の乗合もあるが、ほとんど夜釣り。
船はアンカリングで停めるか、パラシュートアンカーでゆっくり流す。
ここが日中のマルイカ釣りと大きく違うところ。
日中のマルイカ釣りはイカの群れを探して投入、移動を繰り返すのに対し、イカメタルはアンカリングやパラアンカーで寄ってくるのを待つ、あるいはイカがいる場所を通ることで釣れる。
つまり、迅速な投入が必要とされず、船の姿勢変化も緩やかなアンカリングやパラアンカーだから、オモリが軽いイカメタルが成立する。
このことは同時に、仕掛けの扱いに不慣れな船釣り初心者でも簡単にイカ釣りが楽しめることにつながっている。
Chapter2 イカメタルで "釣れる船"の条件は?
ここで言う「釣れる、釣れない」はトップ釣果ではなく船上の平均釣果。
うまい人がたくさん釣っているだけでなく、初めての人、慣れない人でも平均的に釣らせてくれる船、いわば「幸福度」という意味だ。
イカメタルで釣れる船の条件は、ズバリ「船長のアナウンス」にある。
たとえば魚探にベイトの反応が出てきたらその水深を告げ、狙いどころを提案する。
そして乗船者が釣れたらタナを聞いて全員で共有。
加えて状況が変化したら、このあたりを狙ってみては?とアドバイスを送る。
日中のマルイカ釣りはほぼベタ底で浮いても数mだが、イカメタルを行う夜釣りは海底から海面直下まで、どこで釣れるか分からないうえ、群れや潮の流れでタナが頻繁に変化する。
そのタナを探るのがイカメタルの面白みでもあるのだが、慣れている人でも一人で探り切れるものではない。
そのため、船上で結果を出した釣り人の情報を逐一シェアすることで釣果を押し上げる。
仕掛けが短いイカメタルでは、なおさら情報の共有が釣るためのカギになるのだ。
日本海~西日本の人気船宿の船長はとにかく船上と魚探をよく見ていて、アナウンスしてくれる。
関東周辺のイカメタル先進地・沼津の例でいえば、秀丸、伊勝丸はいずれも船長のアナウンスが細やかで、船長の個性も見られて実に楽しい。
釣果の多寡にかかわらず釣り人が絶えない理由も、そこにあるのだろう。
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▲イカメタルのトップは14杯の近藤さん
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沼津のイカメタルはいつまでできる?
今回釣行した沼津港・秀丸では昨年10月後半までマルイカが釣れ続き、終了と思われた11月には小型のマルイカが出現、冬、春も続き、現在まで続いている。
ほぼ周年釣ることができる夜マルイカだが、イカメタルが好調になるのは6~10月の水温が高い時期で、今期も最高で100杯をマークしている。
小池船長によると、冬もイカメタルで挑戦してみるもアタリを出すことが難しく、直結仕掛けのゼロテンションが圧倒的に強いとのこと。
これは水温による活性の変化に起因しているのではないかと船長。
たとえば四季を通して楽しめるヘラブナ釣りは夏は豪快にアタリまくるが、冬は一転してミリ単位の微細なアタリしか出さなくなる。
同じくマルイカも暖期は積極的にスッテを追うが寒期は微妙になるのでは……というわけだ。
であれば、冬はより繊細なイカメタルで何か打開できるのでは?と釣り人としては考えてしまうのだが。
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▲昨年のマルイカ直結仕掛けでのレコードはなんと270杯
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Chapter3 意外とぼんやりしているイカメタルとオモリグの違い
ややこしくなるのでここではイカメタルを「ナマリスッテを使った胴つき仕掛け」、オモリグを「餌木を使った中オモリ仕掛け」と定義したい。
釣り物の名前として、イカメタル乗合、あるいは夜マルイカ乗合・イカメタルも可、とある場合はオモリグも可能だ。
では、イカメタルとオモリグ、どのように使い分けるのか。
まず、長所と短所を整理すると…。
【イカメタル】
●長所=上下両方に誘うことができる、細かい誘いが可能。
●短所=ナマリスッテ30号で対応できない速潮になると釣りにならない。
【オモリグ】
●長所=オモリを40、50号と重くできるので速潮・深場に対応可能。
キャストしやすく広範囲を探れる。
大型が釣れる確率が上がる。
●短所=誘い方が少ない。誘いは上方向。
フォール(下)の誘いが苦手。
日没後に佳境を迎えると、夜マルイカ(ケンサキ)釣りはいかにタナを探るか、アタリに対してシェイクなど誘いで乗せるか、スッテのカラーやサイズで対処するか、が釣りの主な展開となる。
そのため、仕掛けは必然的にイカメタルがメインとなる。
ただ、深場(水深50m以上)にアンカリングして潮が速まった場合など、ナマリスッテは一般的に30号までなので、イカメタル仕掛けは流されて手も足も出なくなる。
そんなとき、または、そのような地域(日本海鳥取など)ではオモリグが主役になる。
また、日没前や日没後も船下でアタリがないときにオモリグでキャストして探るのも常套手段だ。
全体的な印象として〇メインはイカメタル〇サブにオモリグとしている釣り人が多い。
ちなみに、水深30m、ナマリスッテ10~15号がメインとなる沼津では、オモリグを持参する人は少数派だ。
Chapter4 イカメタルにベイトタックル オモリグにスピニングの理由
前記のとおりイカメタルの長所は、「上下の誘いが可能」なこと。
ジャーク(シャクリ=上へ)やテンションフォール(下へ)など、タナをバーチカル(縦方向)に探り、アタリが出たらシェイク(タタキ)などのアクションで誘い、乗せていく。
これらの動作の中でも、下方向にタナを探るテンションフォールは重要な誘い。
イカメタルでよく釣る人は、テンションフォールを欠かさない。
テンションフォールの動作は、スピニングよりベイトリールのほうが圧倒的に操作しやすい。
さらにイカが乗った瞬間にタナを確認しておくことも大切になるから「イカメタルにはカウンター付き両軸リールが最適」となる。
もちろん道糸の色とマーカーでタナを覚えておいてもいいが、PE0.6~0.8号の色とマーカーを夜に正確に視認、数えながら釣りをするのは至難の業。
一方、オモリグの長所はキャストができることで、短所は下方向の誘いが苦手なこと。
必然的にスピニングでこそ、その威力を発揮する。
定番は3000番サイズとなるが、速潮時にオモリ40号、または50号まで使うことを想定すると、少々大きめの4000番でもいい。
Chapter5 イカメタルのベイトロッドとオモリグ用のスピニングロッド
イカメタルはカウンター付きベイトリールが理にかなっているとして、竿はどうか。
最も簡単な答えは専用竿を準備すること。
全国区の人気釣り物だけに番手や長さは多岐にわたるが、目安としては自分の釣行するエリアでメインとなるナマリスッテの重さに合わせたチョイスでいい。
仮に関東周辺なら沼津は軽め(軟らかい番手)、鹿島は重め(やや硬めの番手)でよく、全長に関しては内湾の沼津は短め、外洋に面した鹿島は長めが目安になる。
専用竿でない場合は73タイプMHのライトゲームロッドや、マルイカ竿でもいい。
竿を選ぶ際に気をつけたいのは穂先がしなやかであること。
穂先の微妙な変化が分かるほどイカメタルは面白い。
ナマリスッテ15号で穂先がしなやかに曲がり込み、元にかけてはしっかりしている調子がおすすめだ。
一方、オモリグ用の竿も専用竿が最適だが、ややマニアックかもしれない。
とりあえず流用するとしたら、おすすめはシロギス用、SLJ用など、オモリ30号を投げられるスピニングロッド。
一つテンヤ用はやや長く、軟らかく感じる。
もし流用するならHなど硬めで2mほどの短めがいい。
Chapter6 イカメタルの仕掛けとスッテはどう選ぶ?
ナマリスッテのサイズは10、15、20、25、30号となるのだが、エリア、船によってメインとなる号数は異なるので、予約時に必ず確認しよう。
根掛かりやハモノに仕掛けを切られるトラブルを考慮すると、メインの号数は2本以上ほしいところだ。
枝スに装着するスッテなどはドロッパーと呼ばれるのだが、このドロッパーは90mm、または70mmサイズのウキスッテや1.8~2号の小型餌木などが使われる。
ナマリスッテやドロッパー(ウキスッテ)、餌木の形状に迷ったら、奇をてらわず、スタンダードな形を選んだほうがいいだろう。
オモリグの餌木は2.5号サイズが定番、状況により2号、1.8号も。
イカメタルに比べ餌木の動きや色に頼るところが大きいので、数本は用意しておきたいところ。
仕掛けはラウンドスナップや回転ビーズなどを使えば簡単に自作できるが、市販品でもいい。
ここで気を付けたいのがイカメタルの枝スの数。基本は枝ス1本だが、枝ス2本仕様もある。
船によって枝ス(ドロッパー)は1本までと制限している場合があるので、ご確認を。
また、仕掛けを3号以下に細くするとトラブルに弱くなる。
とくにオモリグのハリスは4号以上のほうが潮を受けて餌木が泳ぐので、むしろ太いほうがいいぐらいだ。
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▲結構見かけたのが黄色いドロッパー
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Chapter7 スッテのカラーとカラーローテーションが本当に意味するところは?
では、カラーはどうか。
定番とされるのは赤/白、赤/緑、白などだが、昨今は黄色、青、オレンジなど様ざまなカラーがある。
どの色でも乗るときは乗る、というのが真理だが、乗合船を取材していてイカが乗っているのをよく目にする色というのはある。
あくまで私の主観だが、それは赤/緑、黄色、青系。
ほか、ナマリスッテで圧倒的多数が使っている赤/白。
もし、カラーに悩んだら、私なら以上の4色を軸に選ぶ。
理屈をいえば、赤/緑はシルエットが目立つ濃い色、黄色と赤/白は発色でアピールする色、青は潮やLEDに馴染むナチュラル系といったところだが、以下の説明を読むとそれはマユツバ話に思えてくるだろう。
イカメタルの場合は、ナマリスッテとドロッパー2本をそれぞれ異なるカラーにして様子を見る。
ただし、釣れたからといってそのカラーを信じ続けるのは得策ではない。
イカメタルは日中のマルイカ釣りのように特定のカラーに乗りが偏ることは少ない。
これは夜釣りで潮回り・再投入がほとんどないことと関係しているようで、イカがスッテの色に飽きてくるように思われるシーンが多い。
そのためイカメタルでは釣れていてもあえてスッテのカラーを交換して、目先を変えていくことで好釣果を出す人もいる。
反面、釣れない人がスッテを交換せずにずっと誘い続けていると、ますます釣れない。
負のスパイラルに陥る。
つまり釣れても釣れなくても、2~3回タナを往復させたらスッテ交換、つまりカラーローテーションをルーチン化させることでイカに新しいスッテを見せて反応させる。
イカメタルの(オモリグはそれ以上に)カラーローテーションは、釣れる色とその理由を探すことよりも、再投入=状況リセットを促すテクニックといえる、かもしれないのだ。
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▲オレンジ色のナマリスッテにヒット
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Chapter8 釣れる人の誘いと釣れない人の誘い
〇イカメタルの場合
Chapter 4で説明しているように、イカメタルの誘いはシャクリ(上げ)とテンションフォール(下げ)となる。
動作としては、小さくワンピッチジャークを2~3回という人もいれば、ゆっくり大きくシャクる人もいる。
どちらがいいとは断言できないが、いずれにしても重要なのは「止める」こと。
この「止め」がイカメタルで最も大切な誘いと言ってもいいほどで、釣れない人のほとんどは、止める時間が短かったり、止めたつもりでも動かしてしまっている人だ。
止めの長さはタナを幅広く探る際には3~5秒と短めを目安に、イカのタナが分かったら5秒以上、または10秒以上長めに止めてアタリを待つ。
枝スのウキスッテは竿を止めているほうが海中で自然に漂ってイカを誘うため、スッテのポテンシャルを信じて待つ。
テンションフォールでの誘い下げも同様に、竿を下げ切ったところで2~3秒止めては再び落とす。
誘い下げでイカが乗ると、スッテが沈まなくなったり、不自然に沈降が遅くなるので、すかさず合わせる。
□合わせとタタキ
イカメタルでアタったら即合わせでいいが、空振りも多い。
しかし、空振っても絶対にすぐ巻き上げてはいけない。
イカがいることが分かったのだから、アタってきたところに竿を戻し、再びアタリを待つ。
このとき、イカメタルではシェイク(タタキ)でアピール&じらすのが常套手段。
日中のマルイカ釣り同様に、数回たたいてピタリと止める。
再びアタってまた空振りしても諦めず再トライ。
これを2~3回、またはアタらなくなるまで繰り返す。
〇オモリグの場合
オモリグはショートピッチジャーク2~3回ごとに10秒ほど止めて餌木を自然に泳がせる。
オモリグはイカメタルのように誘い下げたりタタキを入れても餌木はほとんど動かない。
むしろ絡みやすくトラブルの元になるから動かしすぎに注意したい。
もし、アタリがなかったら、スッテのカラーローテーション。
それは仕掛けの入れ替えと同時に、流し変えのほとんどない夜釣りで休憩のきっかけになるし、そんな時間に得たヒントが打開策になる。
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▲胴長20cm前後が中心
出典:
INFORMATION
駿河湾・沼津内港
秀丸
080・1595・1651
▼備考=23時沖揚がり。
予約乗合。
駐車場、集合時間は予約時に確認
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