タイノエの正体に迫る!奇妙な生態から危険性、食べ方まで徹底解剖!その他の寄生虫もご紹介します
釣り上げたマダイの口から覗く白い顔・・・。
その奇妙な外見を初めて見たときは、誰しもギョッとしてしまうでしょう。
マダイの口に潜むこの生き物の正体は、タイノエと呼ばれる寄生虫です。
今回はそんなタイノエにフォーカスし、謎に包まれた生態を解明していきましょう!
タイノエの特徴
タイノエとはワラジムシ目ウオノエ科に属する節足動物で、タイの口の中に潜む寄生虫です。
体長は2~4cmほどで、その外見はダンゴムシやフナムシといった等脚目の昆虫によく似ています。
違いとしては、タイノエは体色が白く、尻尾のようなものが付いている点が挙げられます。
漢字では「鯛之餌」と表記され、タイがエサを食べている途中に見えたことからそう名付けられたようです。
しかし実際は真逆で、寄生されたタイの方がタイノエの養分になっています。
タイノエの生態
タイノエは幼生期になると、タイのエラから口内に侵入します。
タイ1匹にタイノエ2匹が寄生するのが特徴で、先に入り込んだタイノエがメスに性転換する面白い生態があります。
そして後から来たオスのタイノエとつがいになり、繁殖行動が行われます。
寄生中のタイノエはタイの舌に取り付いて吸血し、栄養分を吸い取って舌を壊死させてしまいます。
舌が使い物にならなくなった後もタイノエは同じ場所に寄生し続け、やがて宿主であるタイの命が尽きると同時にタイノエはその生涯を閉じます。
ちなみにタイノエがタイに寄生する理由は明らかにされていませんが、天敵の多い海底に生息していたタイノエの先祖が、身を守る術として安全な魚の体内に寄生するようになったという説があります。
釣ったタイからタイノエが見つかった恐怖映像はこちら!
釣り情報や魚の生態、釣り方の動画を配信するYouTubeチャンネル『南紀和歌山釣太郎』では、釣り上げたタイからタイノエを取り出す様子を撮影しています。
動画で観ても分かる通り、タイノエはしっかりタイの口内にへばり付いています。
タイノエを家に持ち帰りたくない方は釣ったその場でタイの口を確認し、ピンセットやナイフで引き剥がしておきましょう。
タイノエの危険性
タイの舌を壊死させてしまうタイノエですが、人体に悪影響を及ぼすことはないので安心してください。
タイノエは人間の体内には寄生せず、危険な毒性もありません。
そのため、タイノエが潜んでいたタイでも問題なく食べることができます。
ただし、タイノエはタイの舌から栄養分を吸い取ってしまうため、身の味には影響する可能性があります。
身が細く脂のりが良くないケースもあるようなので、その点は注意が必要です。
ちなみにタイノエは今でこそその外見から気味悪がられる存在ですが、江戸時代には「鯛之福玉」と呼ばれ縁起物として扱われていました。
つがいで寄生しタイが死ぬまで離れないことから、主に結婚式でタイノエが入ったタイを振る舞っていたようです。
タイノエの活用法
タイノエが寄生したタイを釣り上げたとき、口から取り出したタイノエを捨ててしまう前に、ぜひ試していただきたいことがあります。
それは、タイノエをエサにしてタイを釣ることです。
タイにとってタイノエは、当たり前に口に潜む違和感のない存在です。
その特色を活かし、タイノエを使ってタイを狙ってみると、もしかしたら大ダイがヒットするかもしれません。
そんな貴重なシーンを撮影した動画をご紹介します。
様々な釣り場の釣行動画を配信するYouTubeチャンネル『釣りみにまにも』では、タイノエでタイを釣るシーンを撮影しています。
釣り上げたタイの口から見つかったタイノエをハリに刺し、新たなタイを狙うと見事大物がヒットしました。
必ずしも釣れるという保証はありませんが、一度挑戦してみるのも面白いでしょう。
タイノエの活用法は、釣りエサとして使う以外にもまだあります。
先ほど述べた通りタイノエは人体にとって無害なので、寄生していたタイだけでなくタイノエ自体も食べることができます。
それどころかその食味には一定数ファンも存在しており、エビに似た旨味があると言われています。
生食はできませんが加熱すると良い出汁が出て、産卵前のメスのタイノエは特に味わいが深くなります。
最もおすすめの食べ方は素揚げです。
揚げることでエビのような香ばしさが引き立ち、本来の味わいを堪能できます。
しかしタイノエの見た目に抵抗がある方は、天ぷらや唐揚げなど衣を付けて揚げると良いでしょう。
下の動画ではタイノエを実際に調理して食べる様子を紹介しているので、気になる方はぜひチェックしてください。
変わった魚の調理動画を配信するYouTubeチャンネル『へんな魚おじさんの寝言【Weird Fish Dude & Beard Brother】』では、タイノエを調理して実食しています。
動画内では素揚げの他、寿司ネタとしてもタイノエを使っています。
素揚げはエビのような香ばしさが美味しいと評価されています。
調理する様子も視聴できるので、タイノエ料理に挑戦してみたい方はぜひ参考にしてください。
その他の代表的な寄生虫
タイノエの他にも、魚の体に棲みつく寄生生物はたくさんいます。
例えばニベリニアと呼ばれる寄生虫は、イカやタラに多く見られます。
5mm程度の大きさで、ナメクジのような白い外見をしているのが特徴です。
イカの場合は内臓部分や表皮に寄生していることが多く、さばいたときに見つけることができます。
ニベリニアは人体に悪い影響を及ぼすことはなく、万が一食べてしまっても胃で消化されることが分かっています。
また、冷凍や加熱をすれば死滅するのでさほど心配する必要はありません。
一方、サバ・アジ・サンマなどの青物やイカによく見られるアニサキスは、食中毒を引き起こす危険な寄生虫です。
アニサキスは白く細長い紐のような外見をしており、生の状態で口にすると、胃の内壁などに刺さり激痛を引き起こします。
体長2~3cmと視認できる大きさなので、魚をさばくときは注意深く確認してアニサキスがいれば完全に取り除くようにしましょう。
ちなみにアニサキスは-20℃で24時間以上冷凍するか、70℃以上で加熱すると死滅すると言われています。
アニサキスについては下の記事で詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてください。
寄生虫の処理に使いたいおすすめのアイテムはこちら!
ピンセット
ホーザン(HOZAN) 先曲がりピンセット カーブタイプ 材質ステンレス 全長115mm 重量18g 開き幅7mm P-882
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ニベリニアやアニサキスは小さくつかみにくいため、取り除く際はピンセットを使用しましょう。
先の曲がったタイプであれば、細かい作業もスムーズに行えます。
こちらのピンセットは錆びにくいステンレス製で、耐久性に優れた商品です。
ジップロック
ジップロックは魚を冷凍するのに役立つ保存袋です。
密封ジッパー付きの厚手素材なので、安心して魚を入れておくことができます。
冷凍して死滅させられる寄生虫は、ジップロックに入れて冷凍庫に保管するようにしましょう。
タイノエを見つけたらじっくり観察してみよう!
今回はタイに潜む寄生虫・タイノエについて詳しくご紹介しました。
グロテスクな外見に初めは驚いてしまうかもしれませんが、人間にとって害はないのでさほど怖がる必要はありません。
かつては縁起物として重宝されていたり釣りエサに使えたりと、意外と好感を持てる生き物です。
釣り上げたタイの口の中にタイノエを見つけたら、じっくり観察してその面白い生態に触れてみましょう!
タイノエについて詳しくはこちらの記事をチェック!
この記事に関するよくある質問
タイノエとは何ですか?
タイノエとはワラジムシ目ウオノエ科に属する節足動物で、タイの口の中に潜む寄生虫です。体長は2~4cmほどで、その外見はダンゴムシやフナムシといった等脚目の昆虫によく似ています。違いとしては、タイノエは体色が白く、尻尾のようなものが付いている点が挙げられます。
タイノエが寄生したタイは食べられますか?
タイノエは人間の体内には寄生せず、危険な毒性もないため、タイノエが潜んでいたタイでも問題なく食べることができます。ただし、タイノエはタイの舌から栄養分を吸い取ってしまうため、身の味には影響する可能性があります。身が細く脂のりが良くないケースもあるようなので、その点は注意が必要です。
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