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[吉岡進の新世代沖釣り方程式(第2回)]外房の青物ジギング

隔週刊つり情報編集部

魚と人が繰り広げる、チカラとチカラの勝負だ・・・!

外房の青物ジギングには、スポーティーな魅力がある。

細かなテクニックはもちろんあるが、とにかくジグを海中に投じておくこと。

それが青物との戦いに勝つための最高の近道。

たくましい心と体を兼ね備えたヨッシーが外房大原で青物とのバトルに挑んだ!

Profile

先生◆よしおか すすむ

「ヨッシー」の愛称で人気のジャッカル・ソルトプロスタッフ。

沖釣りをメインに日本狭しと走り回り、ルアー、テンヤと幅広い釣りを楽しんでいる。

新型コロナウイルスの影響で自粛モードだったため、久しぶりの釣りにまだ体が慣れていない様子。

クレハインストラクター。

生徒◆たかはし ごう

幼稚園のころから沖釣りをしているはずなのに、いつまでたっても上達しない「永遠の初心者」。

釣りそのものより海に浮かんでいることに喜びを感じている様子で、うまくなる気配なし・・・。

青物ってどうやって釣るの?

金属製のジグを海底まで落とし、海面へ向けてシャクっては巻く、を繰り返すシンプルな釣り。

青物の反応が出ている水深を船長が指示してくれることもあるが、基本的には海底から海面までシャクリ続ける。

海面直下でヒラマサが、ジグの回収でワラサが食ってくることも少なくないから、最後まで気を抜くことはできない!

魚の写真

(上)ヒラマサ(下)ワラサ。外房青物ジギングのメインターゲットはヒラマサ。20m以浅の根周りがポイントだが、20kgものモンスターも姿を見せる海域だけに緊張感がある。ワラサは群れで回遊しているケースが多く、1尾釣れると捕食スイッチが入り大爆釣になることも。

ハイスピードで海中を駆け、ベイトフィッシュを追い回す。

青物は、まさにアスリートだ。
 
ジグに食らいついてからのファイトも迫力満点。

魚のチカラと人のチカラがダイレクトにぶつかり合うヤリトリは、ファイトと呼ぶにふさわしい。
 
力強いタックルがギシギシと音を立てる。

3号の太いPEがピンと張り、その先で暴れ回っている青物。

リールを巻こうにも、魚がそれを跳ね返す。

「魚ってこんなに強いのか・・・」とおそれに近い感情を抱きながら、徹底抗戦する魚のパワーに翻弄される。

ネットインするその瞬間まで気が抜けない、スリリングでタフな勝負だ。
 
糸の先にジグが付いているだけ、というシンプルを極めた仕掛けで青物と1対1のバトルを繰り広げるジギングは、実にスポーティーな釣り物である。
 
そして、青物は気まぐれだ。

神出鬼没の回遊魚。

大まかな傾向はあっても、それが必ず適用されるとは限らない。

昨日ドカンと釣れ盛ったからと言って、今日釣れる保証はどこにもないのだ。

「出鼻をくじくようだけど、そう簡単に釣れる魚じゃないんだ、青物は」とヨッシーはいつになく真剣だ。

外房大原港の松鶴丸は青物ルアーの専門船。

6月26日、南風が強く吹く予報のこの日、ヨッシーは青物ジギングという名の戦いに挑もうとしていた。

釣行の写真

釣り場は大原沖の水深20m前後

タックルのシンプルさと同様に、青物ジギングは釣り方もシンプルだ。

ジグを落とし、着底したらシャクリ上げ(ジギングではジャークという)、竿先を下ろす動作に合わせて同時にリールを巻く。

基本はこれだけ。

外房でのメインターゲットはヒラマサで、ワラサやイナダも交じる。
 
ジグは、ジャークしたときには逃げ惑う小魚のように、リーリングのときにはフォールして弱った小魚のように海中できらめく。
 
よく見るとジグは左右非対称の複雑な形状で、水の抵抗を受け生命感あふれる動きをするのだ。
 
そして、結論を言おう。

この日の外房の海は、非常に厳しかった。

水温は約20度とまずまずながら、潮が動かない。

さらにヨッシーは白濁りを気にしていた。
 
右トモで石井さんが2kg級のヒラマサを上げたほかは、ヨッシーが釣ったイナダ2本のみ。

そのイナダは元気いっぱいのナイスファイトで楽しませてくれたが、ヒラマサがヨッシーの竿を曲げることはなかった。
 
だが、ヨッシーも筆者タカハシゴーも、約5時間にわたってジグをシャクリ続けた。

中村真也船長もこまめに船を流し変え続けた。

プラグを投げ続けたお客さんもいた。

みんなが全力で臨んだのだから、釣果はもう、仕方がない。

敗戦もまた爽やか。

再び戦いを挑むのみ。

青物ジギングはまさにスポーツなのである。

釣り人の写真

アピール系のジグに反応した

釣行の写真

食べてうまいのも青物の魅力。釣れすぎたときや小型ならリリースもまたよし。ここは考え方次第だ

釣行の写真

船下に突っ込みラインがドンドン引き出される

タックルの方程式

スタート=レンタルタックルがオススメ。マイ・タックル選びのポイントは「軽さ」

100~150gのジグに、PE3号でリーダーはフロロカーボンの50lb(14号前後)。

スピニングリールは8000番が主流だが、これらを一気にそろえるとかなりのお値段に。

最近のルアー青物船はしっかりしたレンタルタックルを用意しているので、まずは気軽にレンタルで挑戦を(ジグは自分で用意する)。

ハマってマイ・タックルを用意する際は、重いジグをシャクリ続けるハードな釣りだから軽さにこだわるといい。

やり込むうちに、ジグの重さと竿の調子のバランスでジグの動きが変わることに気付くはず。

そうなったら・・・部屋はジギングロッドだらけ(笑)。

釣り人の写真

ジグの動きに大きく影響する竿の調子。エキスパートほど持ち込みタックルが増える

釣り人の写真

タカハシゴーが使ったのはバンブルズBBーS510ーSF。先調子でアクションしやすい

釣り人の写真

初めてのジギングロッドにオススメしたいのがジャッカルのバンブルズBBーS60ー3R。やや胴調子にセッティングされており、ショートピッチからロングピッチまで幅広いジャークに対応するレスポンスのよさが特徴だ。持ち重りしない軽さにもこだわっている。コスパも良好!

ヨッシーのジギングタックル

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ルアーの方程式

目標は「シルエット×重さ=ベイトフィッシュ」

青物はフィッシュイーター(魚食魚)だから、選ぶジグはベイトフィッシュ(被食魚)を模すのが基本。

ベイトフィッシュが何かは地域によってかなり違いがあるので、まずは船長に問い合わせよう。

今回釣行した外房の青物は、イワシを中心にサンマやトビウオなどを食べているのでシルエットの似たセミロングの100~150gがメイン。

このタイプは潮切れがよく、潮が速いときにも扱いやすいのが特徴。

ただし、潮が効いていないときは波動の強いショートジグを使う。

そのため、初めてでもセミロングとショートそれぞれの100gと150g、計4本は用意したい。

フックの写真

「フック選びのポイントは、フックがジグを抱かないこと。抱いてしまうとジグの動きが悪くなる。 バンブルズはジグに合ったサイズのフックを標準装備!」(ヨッシー)

釣り人の写真

使うタックルによりジグの動きはかなり変わる。釣行を重ねると「このタックル、この潮なら、このジグがピッタリ」という法則が見えてくる。海況はそのときどき。つまりジグは増える

ルアーの写真

形状はベイトフィッシュの大きさに合わせたい。釣れている人のジグサイズが大いに参考になる

ルアーの写真

地域によってかなり異なるが、外房は100~150gが基本。潮が速いときは200gも

ルアーの写真

曇天や雨、潮が濁っているときはアピール系、晴天時や潮が澄んでいるときはナチュラル系

先生が教える基本釣法

色いろなジャークを身に付けよう!

鉛(やタングステン)のカタマリを落として巻くだけ、というシンプルな釣りだけど、それだけに奥が深いのがジギング。

竿をシャクり上げ、竿先を下げながらリールを1回転させるワンピッチジャークを基本に、リール半回転のハーフピッチジャーク、ゆっくりしたアクションのスローピッチジャーク、ただハイスピードでリーリングするジャカジャカ巻き、さらに激しいロッドアクションをつける丹後ジャークなど、バリエーションは豊富だ。

回遊魚である青物がターゲットなので、正直、活性が高い魚がいる場所にうまく当たれば何をやっても食ってくる。

かと思えば、魚探に反応があってもジグを完全無視なんてこともしばしばの気まぐれさなので、色いろなアクションを繰り出せるようになっておくといいね。

ジャークは部屋でも練習できる。

ドラグをユルユルにしてラインを椅子など重いものに結びつければOK。

竿を振れる天井の高さは必要だけどね!

生徒なりのお気付きポイント

青物ジギングは健康にイイ!

モンスター級のヒラマサが飛び出してくる可能性もある外房の青物ジギング。

釣っている間じゅう緊張感があって、気疲れしてしまうほどだ(笑)。

基本的には竿をシャクってリールを巻くだけの簡単な釣法だから、永遠の初心者のオレでもとっつきやすい。

リズムを取れるようになるには慣れが必要だけど、1時間ほどでどうにかカタチになる。

当日はショートタイプの100gと120gのジグを使ったが、同じ形状、同じタックルでもジグの重さが20g変わるとだいぶ印象も異なる。

100gは動きが強く感じられ、120gは弱めだった。

ヨッシーいわく、軽いジグほど波動が強めの傾向があるそうだが、「その日どっちがイイかは、釣れてみなきゃ分からないんだよね」とのことだった。

それにしても青物ジギングは体にキク! 

いい汗流して魚を釣って健康増進、運動不足のオジサンにこそピッタリだ。

釣行の写真

(左上)20m前後の浅場が中心。キャストして斜め引きし、ジグをなるべく見せる(左下)サミングしながらの落とし込み。着底したら素早く3巻きほどして根掛かりを防ぐ(右上)竿をシャクり上げ、竿先を下げながらリールを1巻きするワンピッチジャークが基本(右下)ヒラマサを釣り上げたお客さんの釣り方を見てスローなジャークを試してみる

ヨッシーの実釣レポート

濁りに合わせたジグチョイス

ひと流し目が始まってわずか15分ほどで右トモの石井さんがヒラマサを釣ったので、「今日はイケるか!?」と密かに期待してたんだけど、続かなかったね・・・。

途中、青物の雰囲気が遠のいたときにはボトム中心のジギングで根魚を狙ってみたけど、それも不発。

全体的に活性は低かった。

気になっていたのは潮が白濁りしていたこと。

「この濁りではジグに気付いてもらえないのかも」とアピール系カラーのグリキンスリムボーダーホロの100gを使い続けてどうにかイナダを引きずり出すことに成功したけど、いやぁ、かなり際どい戦いだったよ。

釣り人の写真

(左上)「なんとか食わせることができたよ」(左下)貴重な1本、船長も慎重に取り込み(右上)ヒットルアーはバンブルズジグショート100g(右下)スローなジャークでヒラマサがヒット!

外房の青物ジギングの解

ジグ海中滞在時間の長さ=青物ゲットのチャンス

気まぐれな回遊魚を相手にしたとき、何がもっとも大事か。

それはジグが海中にあることだ。

当たり前のように聞こえるかもしれないが、これは青物ジギングの真理。

魚が回ってこない間は心が折れそうになるけど、諦めることなくジャークし続けること。

勝利はそこにしかない。

魚とジグが海中で巡り会うことさえできれば、食ってくる可能性は結構高い。

夏~秋、外房は浅場が中心。

キャストしての斜め引きでジグの存在をなるべくじっくりと魚にアピールしよう!

釣行の写真

(右上)いつもは軽口をたたき合うヨッシー&タカハシゴーだが、この日は黙々とジグをシャクり続けた。実釣時間は約5時間。水深20m前後と浅いので、何回ジグの上げ下ろしを繰り返しただろう。でも憧れのビッグワン、夢の大マサはその先にしかいない(右下)タカハシゴーは5.1ft(1.78m)のショートロッドを使用。海面が近い胴の間でもアンダーキャストしやすくストレスフリーだった。

ジグのシャクリ方(ワンピッチジャーク)

船宿インフォメーション

外房大原港 松鶴丸

電話:070・6523・1569

外房大原の青物ルアー専門船ということで、一度乗ってみたかった! 

中村真也船長は穏やかな人柄で、とても優しい。

初めての青物ジギングに緊張しがちなビギナーでも、この船なら安心して楽しめるんじゃないかな。

ポイントも頻繁に流し変えてくれるので、「どうにか釣ってほしい」という物静かな船長の秘めたる熱い思いが伝わってきて、竿を出しているこちらのテンションも途切れずに済む。

レンタルタックルも充実。

初チャレンジにオススメの船だ。

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