東京湾では、大型のタチウオが獲れているそうだ。
釣り愛好家たちにとっては天国のような状況かもしれないが、日々続く厳しい残暑で体が反抗を起こしている人も多いのではないでしょうか。
そして、驚くべきことに私自身がその一人なのだ。
しかし、ご心配いりません。
熱中症気味で頭がフラフラする私たちの救世主、それが沼津の夜タチなのだ。
実際に、暑さの頂点を迎えた8月9日の報道でも、日が落ちると冷たい風が吹き始め、マスク越しの呼吸がずっと楽になったのを感じることができた。
スーッと涼風が吹き、マスク越しの呼吸がずいぶん楽になった。
お世話になったのは静浦港の真成丸。
船は金洲や石花海遠征もこなす大型船で、気さくで研究熱心な高橋判船長を慕ってリピートするファンも多い。
仲乗りのスタッフも常駐してあれこれサポートしてくれるからビギナーも安心して楽しめる。
港集合は15~16時で、集まり次第出船というスタイル。
沖揚がりは22時だ。
目指すポイントによって若干早めに出ることもあるので、集合時刻の詳細は必ず電話確認してほしい。
16時ごろ出船し、好ポイントにアンカーを打つ。
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夕闇が迫ると集魚灯がともる。あとは22時までのんびり夜釣りを楽しむ。
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さらに当地の夜タチのいいところは、潮の速さに対応しながらオマツリをかわせば、好みのタックル&仕掛けで自由に楽しんでOKという点。
アンカーで船を固定するカカリ釣りだから、陸っぱり釣りに近い感覚で色んな釣り方を試せる。
オモリはノーマルタックルのエサ釣りで80号とのことだが、ライトタックルなら40号以下でもOK。
ご当地釣法のサーベルテンヤや特集で取り上げた関西発のタチウオテンヤを試すもよし、なんでもござれのワンダーランドだ。
お盆休みということもあってか、当日の顔ぶれは色んな仕掛けを持ち込んで夏休みを楽しもうとしている3人家族の藤岡さんグループを始め、カップルや友人同士が多い。
夕涼みがてらのユル~イ雰囲気で、心地いい夜タチで猛暑やコロナ疲れを癒やしたいという思いが、それとなく伝わってくる。
気になるタチウオの食いも日に日に上向いているようで、「サイズは大小色いろだけど、群れはかなりいる。
ドラゴンサイズが増える秋から初冬が楽しみですよ」と船長。
あれこれ話しながら16時に出船してアンカーを下ろしたポイントは、内浦湾最奥部の淡島周り。
水深は53mだ。
日が沈むまでは底から宙層までをシャクリ上げてタナを探っていき、まずは左舷ミヨシに並ぶ藤岡ファミリーの息子さんが、ジギングで小ぶりなタチウオをゲット。
同じくジギングのお父さんも同サイズを掛けて、楽しそうに追いかける。
よくアタるのは海面下30~40mあたりらしい。
ジギングでスタートした釣り人は12人中5名いて、100グラム前後の赤金カラーを中心にポツポツとヒット。
けれども実のところ、圧倒的に優勢なのはエサ釣りだった。
とくに、海面下10~20mまでタナが上ずった日没前後はエサ釣りにアタリが集中し、指幅4~5本サイズも浮上。
気づけばジギング釣り師は藤岡ファミリーの父子だけになっていて、エサ釣りで奮闘する藤岡夫人のほうが数もサイズも上回っている。
その釣り方のお手本になっていたのが、一緒に乗船していた藤岡さんの友人、牧野さんだ。
最も食いが立ったのは、爽やかな風が 吹き始めた夕マヅメ。
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日没前後から水深10~20m付近がタナの主軸になり、指幅5本の良型も浮上。
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水中ランプのカラーとセットする場所
夜タチウオでよく用いられるのが集魚用の水中ライト。
取材日も、エサ釣りの皆さんの多くが、潮の抵抗が少ない小型のライトを付けていた。
カラーは白、青、赤と様ざまあってコレが一番といった正解はないのだが、地元にある某老舗釣具店の店主は赤を推奨。
青や白は暗闇でよく目立つもののスレたタチウオに警戒されるきらいがあり、光としては弱めでボンヤリ点灯する赤のほうが安定して誘因効果があるのでは?・・・と推測する。
セットする場所はテンビンのアーム先端、もしくはオモリのそば。
水中ライトに大きめのスナップサルカンを付け、テンビンの先端やオモリのスナップに引っ掛けておけばOKだ。
Tackle Guide
沼津の夜釣りはアタリを弾かず食い込みがよい、しなやかなロッドがおすすめ。
左図は牧野さんのライトタチウオタックルで「水中ライト以外は東京湾で使っているものと同じ」とのことだったが、シャクっても仕掛けが跳ねないロッド(ライブラML195)もいい感じだった。
ソフト&小刻みなシャクリ
牧野さんは19時ごろに早ばやと20本に到達。
当然こちらとしては「何か秘策が?」と問いかけてみたわけだが、「うーん、実は沼津の夜タチウオは初めてなもんで、コレが決め手というのは語れません。
ただ、小さくソフトにシャクリ上げてくるとアタリが出ますね」
意外なコメントに驚いてしまった。
ただし東京湾のタチウオは長年楽しんでいるそうだから、アタリを出すパターンを探し当てるのが上手なのだろう。
拝見するとハンドル半回転で小さく1シャクリの操作を、1秒間隔で繰り返している。
日没後は海面下10~20mの間を誘って食わせているという。
アタリがきた直後はどうしてますか?と聞くと、
「手を止めず、そのままシャクリ続けます。
そうすると追いかけてきてハリ掛かりしますね。
これもまた東京湾と同じ釣り方なので、とくに新鮮味はないでしょ?すみません・・・」
謙遜しまくる牧野さんにこちらが恐縮してしまったが、ソフトかつ小刻みなシャクリは沼津の夜タチでよく聞くセオリーに通ずるものがある。
長年の記者生活で沼津に来るたびに耳にしてきたのは、「激しく速いシャクリは、夜釣りのタチウオには不向き」という話。
暗闇の海中で素早く仕掛けを上昇させると、タチウオがエサを見失って追いかけるのを諦めるという。
沼津の夜タチはゆっくりジワジワと仕掛けを上昇させるのがセオリーであり、食い渋ったときは超低速のただ巻きや、タナを決め打ちしてのんびり置き竿で待つ人にアタることもある。
一筋縄ではいかないタチウオ釣りの難しさは昼夜を問わないものの、沼津の夜タチは「焦らず、ゆっくり、じっくりと、エサを見せつける」のがキーワードになるようだ。
そのアタリパターンを素早く見つけた牧野さんにならって、少し私も竿を出してみる。
海面下20mからチョン、チョン、チョンとごく小さく誘い上げるうちにガジガジとアタリ。
しかし試しに持参したマルイカ竿の穂持が硬すぎるようで、食い込む前にアタリが失せてしまう。
うーん・・・と考えた末、アタリがきたらシャクリ上げを停止し、その場で上下に揺すり続けてみるとグーンと強い引き込み。
この方法でなんとか2本を掛けたものの、タチウオのエサ釣りは、アタリを弾かない、しなやかなロッド選びも重要と今さらながら痛感させられた。
当日の結果はエサ釣りが9~37本(トップは牧野さん)、ジギングが5~6本。
サーベルテンヤやタチウオテンヤを試した方もいたけれどパッとせず、テンビン仕掛けのエサ釣りが安定した夜だった。
サイズは指幅3~4本が多かったけれど、当地のタチウオはこれから初冬にかけてが最盛期。
表層でアタックし、大暴れするドラゴンサイズのすさまじい引きが待ち遠しい。
トップは牧野さん。ライトタックルスタイルのエサ釣りで37本をキャッチ。
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夜になると海面下5~10mでもヒット。刻こくと変わるタナを探し当てよう。
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釣り方はフリースタイル!
片テンビン仕掛けのエサ釣り
(左)道糸がPE3号前後のノーマルタックルはオモリ80号。1号以下のライトタックルなら、潮の速さに応じてオモリ15~40号で楽しめる。(右)仕掛けはハリス6~8号2mの1本バリ。小型の水中ライトも用意。
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タチウオの活性でシャクリの強弱と食わせの「間」は変わる。当日はごくソフトで小刻みなシャクリが効果的で、竿も6:4調子の軟らかなタイプのほうが食い込みがよかった。
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サーベルテンヤ
(左)沼津発祥の超ライトなテンヤ釣法。細身のスピニングタックルで誘って食わせる。(右)50~70gの専用テンヤにサンマの切り身をセット。
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タチウオテンヤ・ジギング
(上)0号のテンヤにイワシをセット。食いがいい日はこれでドラゴン狙い!(下)80~120gのメタルジグを用意。活性が高い日は勝負が早い。
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