遠征釣りの人気魚、あこがれの高嶺の花でありながら実は近場でも結構釣れていたりする。
ここ数年で一気に釣り場と認知度と釣果が急上昇しているシマアジは次に大ブレイクする予感漂うターゲット。
今回は関東の有望シマアジエリアを近場から遠征までまるっと大特集!
【イサキタックルで気軽にトライ】南房・布良瀬
以前から南房の布良瀬を狙うマダイ船のゲストでシマアジが交じることはあった。
しかし近年はその魚影が増えており、昨秋から当地でスタートしたシマアジ五目船が好釣果を上げている。
「今年はこのままシマアジ五目船で通そうと思ってます」
そう語るのは南房相浜港・松丸の西藤裕船長。
以前、同宿では釣り物は1~2月は中深場五目やヤリイカ、3~7月はイサキ、7~12月はマダイがレギュラーメニュー。
元もとこの海域にはシマアジが生息していたが、あくまでマダイ釣りやイサキ釣りのゲスト扱いだった。
しかし、「3年前に、7~12月の期間のみだったオキアミコマセの使用制限が廃止になったんですよ。オキアミのコマセ釣りが一年を通してできるようになってからシマアジが年々増えています。シマアジとマダイのポイントは場所が少し変わるので、シマアジ&マダイのリレー釣りスタイルでやってましたが、ここ数年でお客さんのニーズは圧倒的にシマアジのほうが高くなりました。それで去年の秋からシマアジ五目船をスタートしたんです」
主な釣り場は布良瀬や相浜沖の水深20~30m前後。
同船がシマアジを専門で狙い始めた昨秋以降、500~700g級主体に1~3kg級を交えていい日はトップで20尾前後の釣果が上がっている。
詳しくは38ページのレポートで触れるが、3月中旬の取材日も3kgを筆頭にトップ12尾で船中オデコなし。
今後も潮具合などの条件がそろえば好釣果が期待できるだろう。
年を追うごとに増えているという布良瀬のシマアジ。取材日はハリス5号のウイリー仕掛けで3kgが上がった
出典:
南房布良瀬のシマアジ仕掛け例
松丸の船宿仕掛けはハリス6号2.2m、先バリが空バリタイプのウイリー仕掛け3本バリ
出典:
タックルはイサキ用でOK・仕掛けはウイリーバリ
南房布良瀬のシマアジの道具立ては図のとおり。
竿はシマアジの引きに耐えられるパワーがあればなんでもよく、松丸ではイサキタックルを推奨。
「ひと口にイサキ用と言っても色いろありますが、竿はシャクリやすい2m前後のゲームロッドや汎用竿で、シマアジが走ったときに曲がり込んで引きを受けとめてくれる6:4調子がおすすめです。リールはPE3号前後を100m以上巻いた小型両軸か小型電動が扱いやすいです」と西藤船長。
仕掛けはテンビン式3本バリが基準。当地はエサ取りとの闘いになるため擬餌バリのウイリー仕掛けなどが主流で、図のように上2本がウイリー巻き、先バリは空バリでオキアミを付ける。
ハリは太軸で強度に優れたヒラマサ10~12号など。
ハリスは6号を基準に大型に的を絞るなら8号を使う。
全長は活性が高いときは2mほどと短めで始め、アタリが少ないときは3mにする。
食い気があるシマアジは、仕掛けをタナに入れてシャクり上げるとすぐに食ってくる
出典:
南房布良瀬のシマアジ釣りイメージ
指示ダナをシャクリ上げて誘う。1本バリで置き竿もあり?
シマアジは動くエサに好反応を示す傾向があり、指示ダナをシャクリ上げて誘うのが基本。
松丸の指示ダナはおおむね底から5mまでの範囲で、着底後、ハリス分巻き上げてからシャクリ始める。
50cm幅でシャクリ上げ、食わせの間を1~2秒取り、竿先を下げながら道糸を巻き取る誘いを指示ダナの上限まで繰り返す。
活性が高いときは1~2秒のハイペースで積極的に誘って食わせ、アタリが遠いときは3~4秒と長めにする。
しかし一日誘い続けるのは体力的にきついかもしれない。
そんなとき西藤船長は、「うちの常連さんはシャクリ疲れると6mの1本バリ仕掛けに替えて、底からハリス分上にタナを取って、置き竿で数分待ちます。これで不思議と2~3kgの良型が釣れることが多いんですよ」とアドバイスする。
なお、リールのドラグ調節については布良瀬や相浜沖は海底の起伏が激しいため、根に潜られないよう、あらかじめ強めにしておく。
ハリス6号の仕掛けで2~3kgほど、リール手前の道糸をつかんで強く引いたときズルッとドラグが滑るくらいが目安だ。
ヒットした直後のシマアジの引きは強烈だが、思いのほかバテるのも早い。
魚が走ったときは竿を斜め上に構えて引きに耐え、抵抗が弱まってから巻き上げる。
シマアジは口周りが弱く、ポンピングで強引に巻き上げると口切れしやすい。
一度決めたドラグは変えずに、魚の引きなりにゆっくり巻き上げるのがバラシを防ぐコツだ。
置き竿で待つ場合も、エサ取りが多いときは1~2分、エサ取りが少ないときは4~5分間隔で手返しする
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アイゴに注意!
布良瀬で食ってくるエサ取りの中にアイゴが交じる。ヒレに毒トゲを持ち、刺されるとひどく痛むのでペンチなどを使ってハリを外そう
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【周年シマアジ専門乗合が出船】南房・白間津
関東沿岸で周年シマアジ狙いの乗合が出船している釣り場が南房白間津沖。
一年を通して2~5kg級の良型が上がり、型にこだわる熱烈なファンの期待に応えている。
海正丸で3月中旬に釣れた2kg。このクラスになるとヒットした直後の引きは強烈
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南房白間津沖は昔からのシマアジの一級ポイントだ。
10kgオーバーのオオカミと呼ばれる大型の実績もある、ロマンに満ちた釣り場である。
周年シマアジ専門乗合を出船している白間津港の海正丸には、各地のシマアジファンが訪れる。
船宿の壁には所狭しと良型シマアジの写真が貼られている。
3~5kg級の写真が多くみられ、2006年には14・5kgが上がっている。
春のシマアジは比較的大型が上がりやすいと言われている。
ポイントまでは航程10分ほど、一年を通して水深20m前後の浅場を攻めて、居着きのシマアジを狙っている。
低水温の春は魚の疾走が夏場よりもおとなしく、そのためハリス切れのリスクが低い時期となる。
とはいえ、5kgを超える大物となればそう簡単に食ってくれるわけではなく、ハリ掛かりの位置や走られた方向の根の有無など、運も大きな要素の釣りだ。
それだけに良型を手にしたときの感激は大きいと、釣り上げた人は口をそろえる。
だれもが焦がれるシマアジだが、釣れるのは大型ばかりではない。
1kg未満の小型が数釣れることもある。
さらに外道にはアジ、イサキ、メジナ、イシダイと色いろな魚が交じるので、五目狙いの感覚で楽しめる。
南房白間津沖のシマアジ仕掛け例
タックル&仕掛けは十人十色のフリースタイル
オキアミをコマセに使った片テンビン仕掛けで、コマセカゴはFLサイズ60号オモリを使用する。
竿はそれに合わせて2m前後、7:3~6:4調子の竿がちょうどいいだろう。
リールは軽量の小型両軸が使いやすい。
しかし、海正丸に通うベテランたちは型にはまらず自分の使いやすい個性的なタックルを選んでいる。
スピニングタックルで狙う人もいるし、小型電動リールを使って器用に電動シャクリを駆使する人もいれば、2.7mの長めのムーチングロッドも見られる。
いわば、フリースタイルのシマアジ釣りといえる。
何度か通えば、自分に合った釣り方が見つかると思うが、これから南房シマアジを始めたいという人は、まずはイサキ用やタチウオ用のタックルを持参すればいいだろう。
コマセカゴはプラカゴでもステン缶でもよい。
高活性時にコマセをドカンとまいて勝負する急戦にはプラビシ、食い渋りのときに一定のペースで誘い続ける持久戦にはステン缶をおすすめしたい。
仕掛けも釣り人の個性が出る。
ハリスは4~10号を使い分けるが、太くするほど食いは落ちるし、細くすれば大物に走られたときに切られるリスクが増す。
船宿仕掛けの6号が基準だが、太くするか細くするかは、釣り人の気持ち次第といえる。
ハリ数は3本で、枝バリ2本がスキンバリ(またはウイリー)で、先バリは空バリ(オキアミを付ける)が一般的だが、長さ2mの空バリ1本バリ仕掛けも有力だ。
1本バリ仕掛けは、カジメ場を攻めるときにハリが引っ掛かる確率を減らすとともに、先バリに食ってくることがほとんどである良型に的を絞った仕掛けだ。
このように、竿、リール、コマセカゴ、仕掛け、いずれも釣り人の個性が出ていて、決まった型にはまっていないのが白間津沖シマアジの面白さの一つでもあると思う。
海正丸の船宿仕掛け。船長のおすすめはハリス6号3mのスキン巻き3本バリ
出典:
合わせとハリ掛かりのイメージ
釣り方は指示ダナをシャクり上げて誘うのが基本
出典:
最初のアタリに合わせてキャッチ率アップ!
ドラグは、ハリスの強度に合わせてきつめに調節しておく。
なるべく魚を遊ばせないことがバラシ防止になる。
根の多い場所とはいえ、大型が掛かって魚が止まらずにドラグから糸が引き出されるのはやむをえない。
糸を出す量は最小限で済ませたい。
ちなみにスピニングリール派の人は、このギリギリのドラグ調節が行いやすいことをメリットにあげる。
船長は「14~6mまで誘ってください」といったタナを指示する。
この範囲を、コマセをまきながら、さらにエサ取りに食われないように仕掛けを通過させる。
シャクっては止め、シャクっては止めの繰り返しだが、そのスピードは「エサ取りは追いつけないが、シマアジは追いつける」ようにする。
言葉で書けば簡単だが、水温や魚の活性によって、そのときにベストなスピードは変わってくる。
エサの取られ具合をみて、試行錯誤しながらその日の正解パターンを見つけるようにしよう。
シマアジといえば、その強烈な引き込みのイメージが強い魚だが、最初のアタリは明確に小さく出る。
コツンとかグッといった感じのアタリだ。
これはコマセを食いながら、ハリも口にしたときのアタリで、この後にハリ掛かりすると竿先を引き込む大きなアタリとなる。
最初の小さなアタリで合わせを入れることが大事だ。
向こう合わせだと魚が反転したときにハリに掛かるので、ハリが口の脇に刺さることが多い。
口の脇は弱い場所なので、シマアジが暴れるとハリ穴が広がってバレやすくなる。
最初のアタリで合わせることにより、上アゴの硬いところにハリが刺さることが増えるのだ。
魚が掛かったときは、竿を立てたままリールを巻いて浮かすのがよいが、大型魚相手にポンピングで寄せる場合も、糸フケは決して出さないようにする。
そしてコマセカゴを手にしたときが最後の難関、ここで糸を緩めると、掛かり所によってはポロリと外れてしまうことが多い。
ハリスをつかんだら常に糸を張ることを心がけ、タモまで魚を寄せよう。
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隔週刊つり情報(2022年4月15日号)※無断複製・転載禁止