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出張+おまけ釣行!宮島沖で速潮洗う瀬戸の鯛!

隔週刊つり情報編集部

今回は私の故郷の海・瀬戸内海のタイラバを紹介。

相棒はお仕事で呉市に赴任中のぽっぽオヤジ「キタザワ」さん。

出張がてら有給をとって釣りを楽しむ・・・と想定していざ出発!

互いに中間地点の前空駅で待ち合わせ

パックロッドとスピニングリール、タイラバ数個をスーツケースの隙間へ押し込んで釣り支度は完了。

羽田空港で荷物を預けて、岩国錦帯橋空港までおよそ1時間40分のフライト。

そこから広島や山口のビジネスホテルへ立ち寄って、まずはお仕事・・・というケースを想定しているわけだが、20歳の娘を連れて向かった先は私の故郷、山口県柳井市だ。

孫の顔を母に見せ、亡き父や亡き友の墓前や仏前で手を合わせ、実家の煩雑な所用を片付け、足腰弱った母の買い物、合間にちょこっと地元の釣具店、さらに幼なじみとの飲み会。

考えてみると出張より多忙じゃないかと首をかしげるお盆帰省の隙間に、瀬戸内タイラバ取材を強行したのだった。

8月11日、目指すはフィッシング宮島。

最寄り駅の山陽本線・前空駅からタクシー(田舎なので事前予約)で5分の、国道2号沿いに店舗を構えている。

朝6時45分、前空駅で連載「われらぽっぽ組」の執筆者、北澤憩さんと落ち合い、お店へ。

広島呉から来た北澤さんは呉線、山陽本線と乗り継いで1時間20分、私は柳井から山陽本線で約1時間の距離。

さすがはスーパー庶務おやじのミスターキタザワ、互いの中間点にある釣り船を予約する気配り。

ただ、仕事もできてとても優しい人なんだけど魚を散らす得意ワザ?が気がかり。

そんな北澤さんの人徳か、フィッシング宮島の店主兼務の弘本信弘船長は、通常3人から受ける乗合をわれら二人だけで出船してくれた(え~と業務連絡。数年前まで広島に赴任していたヤマリアの小池さーん、弘本船長が「また遊びにきんさーい!」と言ってました)。

フィッシング宮島

国道2号沿いにある「フィッシング宮島」が弘本船長のお店

釣り場は宮島沖の水深40~50m。エンジン流しで、根際のカケ上がりを攻めた

7時ちょい過ぎに出船。

原爆ドームと並んで外国人観光客だらけの世界遺産「厳島神社」の真沖を心地よく滑走し、ナギの海面に設置された牡かき 蠣棚の間をすり抜けて、厳島(通称・宮島)の裏へ回り込む。

航程15~20分で着いたポイントは、厳島とその東にある江田島の海峡。

そこにはマップに描き切れない無数の小島や沖磯が浮かんでいて、弘本船長はその周りのカケ上がり、水深30~50mラインをエンジン流しで探ってくれた。

船名は第五幸信丸。タイ乗合の料金は3名以上そろえば1人1万1000円から

モバイルタックルで基本どおりに釣ればよし!

北澤さん愛用の赤いタイラバ、マウスリン(商品名/遊動ビッグマウス)。竿は懐かしき半田丸に特注した小継竿

編集O川はパックロッドにスピニングリールを持参。タイラバは60、80、100号を用意

現地のタイラバ事情は、今や私よりも瀬戸内海を知りつくす北澤さんから聞いている。

「道具を持参するなら、振出パックロッドや近年ブームの並継ぎモバイルロッド。

リールはPE1号前後が200m程度巻いてある小型両軸かスピニングで十分です。

もちろんフルレンタルもOK。

中国、四国、九州方面は船長自身(100パーセント釣りキチ)が愛用している、よく整備されたタックルを有料で貸してくれることが多いです」

タイラバの色、そして底から10~15mの範囲をゆっくり巻き巻きする釣り方はまったく同じ・・・というか、こっち方面から関東に伝わったのだから当たり前の話か。

「タイラバは、万能色のオレ金(オレンジ・ゴールド)や、レッドカラーの60、80、100gの3個あればよし。

フック&ネクタイのセットは、ストレート系3~5組に、カーリー系3~5組。

色はオレンジ、赤、もしもの緑の3色が基本ですな」

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北澤さんがそう言う一方で、「おすすめのタイラバ?うーん、とくになし」と笑う弘本船長。

けれどもそこは記者根性、ちらりと船長のタックルに付いたタイラバを見る。

船長が使っているのはなつかしき朱色の鯛玉

弘本船長自ら1枚。昔ながらのヨーヅリ「鯛玉」15匁(号)に、現行のスカート&ネクタイの組み合わせ

「あーっ、そのヘッド!オレが子供のころから柳井の釣具店にも並んでたヤツじゃろ船長!」

日焼けしてブラック・サンタっぽい船長がニヤリ。

鯛たいだま玉とかゴング(語源はボクシングやプロレスで使う鐘の形だろう)と呼ばれている、タイラバの元祖といえる朱色の鉛玉。

それに今風のオレンジネクタイ&フックのセット品が付けてあった。

40年前、子供だった私は未経験ながら、当時はビシマ糸(こちらではビシヨマ、ビショマ)の手釣りで、たぐっては落とすを繰り返して釣ったとか。

オレンジや赤色のゴム片を足したり、ときにエビエサも付けて、マダイ・チダイはもちろん、底物のアコウ(キジハタ)やカサゴほか色いろと釣ったらしい。

いや、手釣り糸こそ使わないが今も現役なのだ。

若潮回り、昼まで下げの海上。

北澤さんはマウスリン赤80g、私はカラーページに載せたお・・・・好み焼タイラバ80gで釣り始めて、3時間が経過した。

かめや釣具で購入した広島限定「ベイラバフリーお好み焼H」。ソー ス、青のり、マヨネーズカラー!?

「アタリは2~3回ありましたが・・・釣れませんなぁ」

二人してボヤキはじめたころ、ふがいない釣り手に業を煮やした船長が、鯛玉で掛けた!

「スピードは速め(目測では0.5~0.7秒で1mくらいか)、底から7~8mあたりでアタったよ」

自らタモ取りしたそのマダイは、瀬戸の速潮にもまれた、筋肉質でうまそうな1.2kg。

「お土産にしぃ」とイケスに放り込むのを見て、熱を入れて巻き巻きするわれらぽっぽ組。

背中合わせの右舷ミヨシが妙に静かだ・・・と思ったら、息をひそめてヤリトリ中の北澤さんが立っていた。

「うわわ、なんでキターッて言わんのですかーっ!」

あわててカメラを構えた先には、すでにタモを差し出す船長の姿。

そのタイをよーく見ると、尾ビレに黒縁がない。

「チダイじゃね」

こちらは標準和名そのままで呼ぶ、関東でいうところのハナダイだった。

それでも700gはありそうな良型、これにてギリギリ取材成立だ。

あれれ、そのタイラバなんスか?と北澤さんに問うと、

「ある船宿で買った、オレ金、謎のタングステン60gでございや~す、へへっ」

マウスリンを裏切った男キタザワ。

ばつが悪そうだ。

その後は個人的所用(単なる飲み会)で12時30分で打ち止めとし、早揚がりする。

「2枚の鯛は、宴会の肴に」と昨日買ったキィキィ箱に詰めて安あき芸の宮島を後にしたけれど、はたして瀬戸内海まで来てこんな記事はありなのか?

「最悪の潮回りじゃったけ釣れただけエエぃね。

来るなら大潮後の中潮が一番、ここのタイは周年釣れると書いちょいて」

そう慰めてくれた弘本船長に、ぜひ相談してみてほしい。

タイラバの釣り方は共通。底~中層間をゆっくりと巻いては落とす

いつのまにかオレ金カラーのタングステン60号&カーリーネクタイに交換して いた北澤さんに良型のチダイ(ハナダイ)

絞める様子

魚はイケスに泳がせておき、最後に船長が手カギで絞めてくれる

出船から沖揚がりまでの流れ

①朝7時前、フィッシング宮島のお店へ。

山陽本線・前空駅からタクシーで5分

②徒歩4分の船着き場へ移動し、手前から6隻目の「第五幸信丸」に乗船。

対岸は厳島だ

③7時に出船。

船は日よけの屋根付きで、猛暑の当日もかなり快適!

④あちこちに設置されたカキ養殖のイカダ。

宮島周辺は、広島産牡蠣の中心部だ

⑤航程15~20分程度の、厳島と江田島の間で釣り開始。

沖揚がりは午後2時が目安

さすらいのぽっぽ釣りオヤジが伝授!?

出張先で遊漁船に乗ってちょっと釣りしたい。そのとき必要な 「こと」と「もの」

いんやぁ~冴えん出来じゃったねぇ広島、そして連載の小倉も・・・。

でもめげずに出先でお休みが取れて船に乗る機会があったら、それだけで気分よし。

ちゅうことで、あっしが大好きなタイラバ釣行に的を絞って「出張ついでに釣り」をしたい本誌読者さまへ、釣具以外のアドバイスを一つ。

【事前準備】

出張前に、ホテル・旅館から近い地元の釣具店やチェーン店をネット検索で探します。

そこへ電話をして、「今度近所へ行くのだけれど乗合船に乗って釣りしたい。

時間、釣り物、料金について教えてほしい。できれば釣り船を紹介してもらえないか?」

と頼んでみましょう。

たいがい親切に教えてくれます。

釣り船は1軒ではなく「数軒」を教えてもらっておくと、どこかしら乗れます。

ホテルや旅館からのアクセスも聞いて、そつなく選びましょう。

【船の予約】

以下は、船長さんに電話して予約するときの段取りです。

1・○○釣具店の○○さんから紹介を受けたと伝える。

2・釣り物、出船時間、料金。

3・ライフジャケット、貸し道具(フルレンタルの場合)、船のトイレの有無。

4・氷込みか、別か。

5・釣れた魚はイケスに泳がせておくのか、即絞めでクーラーか。

瀬戸内や九州はこのパターンがよくありまして、今回のように船長がイケスに入れた魚を絞めて渡してくれることも。

6・ほか最低限の持参品を確認。

手ぬぐいとかハサミとか。

【魚の発送】

釣れた魚の持ち帰り方を、あらかじめ決めておきましょう。

・パターン1=発泡スチロールのクーラーや容器を購入しておき、自宅へクール便で宅配。

このパターンが最も気楽です。

ただし、釣り船の近所あるいは利用する交通機関の最寄駅や空港に「冷凍・冷蔵品の宅配可能」な宅配便店舗の有無を事前確認。

釣具店の検索をするとき一緒に調べておきます。

ま、発送の有無は釣果次第ですが。

ちなみにヤマト運輸の場合は同社HPから検索できます。

また、意外にクール宅急便を扱っているのは、地元の大手スーパー食品売場のサービスカウンター。

立地によっては駅チカですし、ダイヤ氷の一袋も購入して発送してもらいましょう。

・パターン2=右記の発泡箱を自宅まで持ち帰る。

まぁ大荷物になりますな。

・パターン3=釣行後、宿泊先で料理してもらう。

もちろん事前確認を。

衛生上断られることもあるし「1尾いくら」で調理代をとる旅館やホテルもあります。

【服装】

ウエアは皆様のお持ちのやつで、季節に合わせて適切に。

ハットやカッパは100均のやつでもいいですな。

タオルはホテル・旅館のものを首に巻いてきゃいいです。

履き物は秋の間なら滑りにくいかかと付きのサンダルとか、現地でデッキシューズの安いヤツでも買ったらいいでしょう。

それと日焼け止めは必須。

西の船、とくに瀬戸内の船にはだいたいオーニング(日よけ屋根)があり大変ありがたいのですが、空気がきれいな分、直射日光はハンパないです。

ライフジャケットは船で借用。

荷物が嵩張りませんからね。

【発泡クーラー】

通称キィ箱(キィキィ箱)。

釣果を送る、運ぶ、船上で飲料、食料を入れておくのに必要。
 
100均の保冷バッグもいけますが、保冷力はやはりキィ箱。

購入するなら現地の釣具店、あるいはホームセンターや魚介類の土産店も大穴です。

また予約するとき船長さんに、船でキィ箱を購入できるかどうかを聞いてみても損はなし。

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【タクシー】

必ず1つか2つ調べておくか、宿泊しているホテル・旅館で聞いておいてください。

船長さんの送迎の有無は様ざまで、確定要素ではありません。

一人でやってる船が多いし、終了後、船の回航なんかもあって多忙です。

そんな「もしも」に備えてタクシーの連絡先は要チェックですよ。

【広告チラシ】

西の小型船は、東の大型船のような広い個室トイレはないと考えたほうが無難です。

船のトモに立って小用を足すことも多々ありまして、これがあっしは怖い。

船ベリにかかってしまうと船長にも悪いしということで「広告チラシやパンフ」なんかを2~3枚持参して、用を足すとき筒型に巻いて、そのトンネルを通しております。

安全で、船も汚さず爽やか、実はこれ北海道赴任中に習ったんです。

へへへっ。



まぁ~皆さん、釣れるとええのぉ。

じゃけど仕事もきっちりやらにゃあいけんよー!

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