絶好期に釣行を自粛してGWを悶々と過ごしたマダイ釣りファンは、かなりの数にのぼるだろう。
そんな釣り人同士の合言葉は「きっとマダイはたまりにたまってる」である。
3密を避け、感染しない、させない気遣いはまだまだ続くけれど、そろそろ仕切り直しの再スタートだ。
関東、東海、日本海。
コマセダイ、一つテンヤ、タイラバ。
溜まりにたまったマダイを手にして釣りの喜びを噛み締めたい。
【コマセダイ】サルカンとテーパーハリスの迷宮
マダイ狙いの一角をなすコマセダイ釣法において、昔から謎に包まれているのが「海中を漂うエサバリの位置」だろう。
真下に垂れているのか?それとも潮に押されて吹き上がっているのであろうか?
海の流れは刻こくと変わり、上層と下層の潮流の向きや強さが異なることも当たり前のようにあるから、ロングハリスの先にあるエサバリがどこを浮遊しているのか、正確には分からない。
コマセを振ってタナを取る。その先にコマセダイ釣法ならではの頭脳プレイが待っているのだ。
出典:
その曖昧な部分を少しでも減らし、エサバリを自分のイメージに近い位置に持っていく戦術として一部で静かなブームになっている方法がある。
2段テーパー式の元スとハリスをつなぐサルカンのサイズを大きめにする・・・つまり重量を増し、潮流に対抗して元スを立てる一手だ。
そうすると付けエサの位置をイメージしやすくなり、食いダナも見つけやすいという理屈。
これは日本海側で一時流行したウエイトスイベルと同様の考え方で、使用するのが普通のサルカ
ンに変わっただけと言いかえたほうが的確かもしれない。
サルカンはサイズ4号を基準に、さらに重いサイズ2~3号を好む人もいる。ガン玉に換算すると2B~3Bの重量と同レベルだ。
元スとハリスの比率
しかしさすがはコマセダイ、ことは単純ではない。
次は元スとハリスの長さの比率に悩まされる。
仕掛け全体をピシッと立て、付けエサを狙いどおりの位置に置くなら、元スとハリスは9:1くらいの比率にすればいい。
ところがそうすると、潮に乗って自然に漂うハリスの遊び幅が小さくなり、フカセ効果も失われて食いが落ちる・・・と予想される。
そんな理由から、元スとハリスは5:5~6:4の比率にする人が多い。
これでアタリが遠ければ「ハリスが吹き上がってエサバリがマダイの食いダナより高い位置を漂っているのかも」と想定し、比率を7:3~8:2に変更して様子を見る。
こうした手法は一本通しのハリスに2B~3Bのガン玉を打ち、状況に応じてその位置を移動させることでも同じ効果が望める。
けれどもサルカンを使用すればロングハリスの糸ヨレが軽減し、ハリスをガン玉で傷めず、元スがあるおかげでハリス交換も最小限で済む・・・というメリットが生まれることから愛好者が増えているのだろう。
サルカンの重みを利用して仕掛けを立て、マダイの食いダナにエサバリを近付けていくこの工夫が活躍する場面は「マダイの反応はあるけど、底から浮いてこないよ」と船長がボヤく食い渋りの時間帯かもしれない。
エサバリをマダイの鼻先に近付けていけば、ヒット率も幾分高くなるはずだ。
【一つテンヤ】軽いテンヤの落とし込みで食わせる快感
周年狙えるマダイだが、釣り場が比較的浅くなるこれからの時期は、一つテンヤで色いろな釣り方を試すのにも絶好のシーズン。
本誌では、一つテンヤ初挑戦でもほぼ確実に底ダチが取れ、それでいて重すぎないテンヤ選びの一例として「水深10メートルあたりオモリ2~3号」
という目安を度たび紹介してきた。
とはいえ、一つテンヤ釣法は水深10メートルにつき1号を理想に、できるだけ軽いテンヤを落とし込んで食わせるのが究極の楽しみとも言われる。
その釣趣を味わえばもう病みつき、ある程度経験を重ねた方にぜひトライしていただきたい。
軽いテンヤを使った落とし込みをマスターすると一つテンヤがもっと面白くなる!
出典:
フォールでアタリを取るコツ
一つテンヤの基本釣法「リフト&フォール」は、竿を上下に動かしてテンヤ(エサ)を踊らせ、底付近を中心に一定の層を探る釣り方。
底付近でアタリが遠いときは、3メートルほど巻き上げリフト&フォールを繰り返して上の層を探るのだが、それでもアタリが出ないときにトライしていただきたい釣り方が、軽いテンヤを落とし込んで
宙層を探る方法だ。
軽いテンヤ、ゆっくり沈んでいくテンヤはマダイの食いがいいといわれており、水深20メートル前後であれば、テンヤ2~3号を使い、投入後のフォール(落ち込み)で宙層を探る。
フォールでアタリを取るコツは、投入後、竿先を水平よりやや下向きに構え、リールのスプールの縁に軽く指を添えて(サミング)、できるだけ糸フケを出さないようにしながらテンヤを下ろす。
フォール中でも道糸が張っている状態をキープできれば、糸電話と同じように何かしらのアタリが伝わる。
ただし、道糸を張りすぎるとテンヤの動きが不自然になるのか食いが落ちると言われている。
できるだけ自然にテンヤをフォールさせるために、テンヤが沈む速さに合わせて道糸を出す力加減が大切。
サミングの方法は様ざまだが、ハンドルを回す手でリールのスプールを下から包み込むように軽く握り、スプールの縁に親指と人さし指の2本の指を添えると微妙な力加減がしやすい。
サミングは親指と人さし指をスプールのへりに軽く当てる方法がおすすめ
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フォールのアタリは、竿先や道糸の動きで取るのが分かりやすい。
道糸が出ているとき細かく振動する竿先がグッと押さえ込まれたり、道糸が水深分まで出る前にフワッと糸がフケればそれがアタリ。
落とし込んでいく途中でアタリがきたら、リールのベイルを戻して合わせる。
道糸の色変わりとマーカーでアタリがきたタナを把握し、次の投入ではアタリがあった水深の3~4メートルほど上でスプールの縁を指で押さえて道糸を張らせ、そこからサミングして落とし込めば効率よく探れる。
アタリがないまま着底、もしくは水深より5メートル以上道糸が出たら、仕掛けを回収して入れ替える。
軽いテンヤの落とし込みで探るときは、着底にこだわらず積極的に入れ替えよう。
【タイラバ】自分だけ釣れないときの意外な理由
タイラバは巻いて落としてまた巻いて、を延々と繰り返す釣りで、しかもアタリがきても合わせることなく巻き続けるため、技術的な差が出にくい。
もちろんタックルの良しあし、巻きの巧拙、タナを探ったり、速度を変えたりとテクニックはあるが、どれも釣れた後で付け足した話がほとんどだ。
では、どこで大きく差が付くのか?ここではタイラバならではの、ちょっと意外なコツを考察してみよう。
釣れているタイラバをまねるべし
これは私がタイラバの師と仰ぐ佐々木洋三さんのアドバイス。
釣れる色、ネクタイなどは実績や経験から予想もするが、現地で当日、釣れたものに勝る情報はない。
そのため、初めて行く釣り場や久しぶりの場合は、どんなタイラバ(ネクタイやワームなど)が釣れているのか情報収集を欠かさず、現場で対応できるよう様ざまなネクタイを持っていく。
つまり、事前に船長に具体的に聞いておくことが欠かせない(なお、本誌では必ずタイラバを付けた状態で撮影、掲載している)。
ちなみに、現在のトレンドは細いネクタイ1~2本のシンプル仕様で、場合によってワームを併用。色は全般的に見ればやはりオレンジが強く(これは明治末より変わらないらしい)、ワームはリアルなベイト系の色が実績が高いようだ。
軽いタイラバの罠
要はこういうことである。
糸の太さに対して軽いタイラバを使っている人ほど釣れない。
実話として、以前、東京湾でPE3号、タイラバ80gの組み合わせで釣っている人だけが、アタリがなく釣れていないことがあった。
見ていると、着底したら即巻き上げに移っているし、リールも最新型、巻く速度も一定。
タイラバも定番。
不思議に思いタックルを借りてみると、着底から巻き上げに移ったとき、糸フケが多く出ていることに気づいた。
どれだけ着底に気をつけても、糸フケが出て、最初の数巻きは手応えが軽い。
これが何を意味するかといえば、海底にタイラバが転がって、見切られてしまう、また、沈下も不安定になっている可能性があるということ。
対処法は簡単。タイラバを80gから100、120 gと重くする。
重くするほど巻きで疲れるが、タングステン製なら潮切れがよく巻きが軽く、沈降速度も速いため動きにメリハリが出る。
結局、これも準備なのだが、タイラバの色や巻き速度も釣れている人と同じなのにアタリがない場合は、タイラバの重さを見直してみよう。
様子が分からない1投目は実績カラー&重めのタイラバから始めるといいことがあるぞ!
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道糸が細すぎてもデメリットが多い。1号前後で、タイラバ を重くするほうがおすすめ。竿は軟らかすぎ?と思うぐらいのものがよかったりする場合もある。
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隔週刊つり情報(2020年6月1日号)※無断複製・転載禁止