ただ巻くだけでマダイが釣れる!
ルーツは漁具ながら、今や全国的な人気を誇るマダイ釣法、タイラバ。
関東での人気もここ数年ですっかり定着し、ファンもまだまだ増えそうな勢いだ。
関東で第一次タイラバブームが巻き起こったのが今から15年ほど前。
当時はタイラバなんてしゃれた名前ではなく、マダイ用ラバージグとかゴムカブラと呼ばれていた。
今イチ舌をかみそうなネーミングがよくなかったのか、エサを使わない擬似餌(ルアー)だったからか、はたまた釣り場が限定されていたからか、関東の沖釣りでは現在のような大きなムーブメントにはならなかった。
平成18年11月1日号の第3特集で当時ゴムカブラと呼んでいたタイラバを取り上げた
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時代の流れとともにタイラバが受け入れられる
ところが・・・時は過ぎて2016年、関東の沖釣りに再びタイラバブームがやってきた。
前回のブームのときにはまだ一つテンヤは普及しておらず、タイラバを楽しむには一部エリアで仕立船を利用するなどしかなかった。
しかし現在は、茨城~外房のマダイ釣りは一つテンヤ一色で、もちろんタイラバも同船可。
伝統色の濃いイメージがある内房~南房のエビタイ船でもタイラバOKだし、南房洲ノ崎は今やタイラバ一色なんて話も聞く。
加えて東京湾で一つテンヤとタイラバ船が始まった影響も大きい。
それに触発されてか、現在では三浦半島西部~相模湾の一部船宿でもスポットながらタイラバ船を出している。
もちろんこうした流れは突如として巻き起こったわけではなく、第一次ブームのときから、もしくはそれ以降にも細々とタイラバを支持し続けていた釣り人がいたからこそ。
そんな熱心なタイラバファンが試し、結果を出し、それに船長たちが呼応した結果が関東での第二次タイラバブーム到来につながっている。
それにしても時代の流れとはげに恐ろしや。
いくら人気のタイラバとはいえルアー要素が高いから若い人向きなのかと思いきや、ここ数年で東京湾を始め各地へ釣行してみると、意外に年配のタイラバファンも多いのだ。
話を聞いてみると「道具もシンプルだし、巻くだけだから楽だよね」なんていう人もいた。
15年前なら「え? ルアー、ふん」と鼻にもかけなかった沖釣り師が多かったはず。
当社の根岸発行人なぞはまさにそのタイプだと思うのだが、今や一端?
いや立派なタイラバマニア。
以下は個人的な想像だが、おそらく発行人はタイラバをルアーだとは思っていない。
なんか巻いているうちにガタガタきてギューンとなる面白い釣り、エサだルアーだと区別はしていないのだろう。
だから、もしタイラバがジギングのようにシャカシャカアクションを入れなければ釣れない釣りだったら、きっと今のように夢中になってはいないはずだ。
まあそれはともかく、沖釣り人口の高齢化とともにタイラバの釣り方がエサ釣り師にもマッチ、広く受け入れられるようになったのも人気拡大の一因と考えるがいかがだろう。
タイラバは今や老若男女、ビギナーからベテランまで気軽に楽しめる釣り
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ビギナーにおすすめのフィールド東京湾
関東でタイラバを楽しもうと思ったら、今のところ現実的なのは前述のように茨城~外房の一つテンヤ船に乗るか、東京湾で専門船またはエビタイ船に乗るかのどちらかになるのだが、今回は初心者にも釣りやすい東京湾をおすすめしたい。
タイラバの釣り方、というか船の流し方はエリアなどによって3パターンある。
一つはパラシュートアンカーを入れる(入れない場合もある)茨城~外房方面。
この場合船は潮なり、風なりに流れていく。
船の姿勢は安定するが、風や潮の向きや強さによって速く流れるほか、ポイントの水深も季節により浅場から深場まで幅があるため、タイラバの号数をある程度幅広く用意しておく必要があるし、浅場の場合はキャストして横方向に探ったりする工夫も必要になる。
本場西日本と同じドテラ流しで狙うタイラバ専門船の場合は、いわゆるヒラメの横流し釣りと同じ状況になり、斜めにタイラバを引いて探ることになる。
船が速く流れたときには道糸がどんどん出ていってしまうし、深場を狙う場合は200g以上の重いタイラバも必要になってくる。
その点、エンジン流しで常に道糸が立つように流す東京湾は、ポイントの水深も周年30~80m前後と定まっているため、タイラバの号数は80gと100g、念のための120gの3サイズだけあれば事足りる。
釣り方も上下に巻いては落とす「縦の釣り」いわゆる「バーチカル」に攻めるだけでいい。
要するに難しいことを考えずにただひたすら巻いて、落とすを繰り返すだけでも釣れてしまう東京湾は迷うことが少なく、タイラバ初心者はもちろん、初めて沖釣りをする人にもおすすめできるのである。
タイラバ釣り場は関東でも各地にあるが、東京湾はビギナーにも釣りやすい
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手持ちのライトゲームタックルでも対応できる
ここからは東京湾でタイラバをやることを前提に話を進めよう。
まずタックルだが、向こう合わせで食い込ませる釣りだから、竿は穂先が柔軟で、かつ大ダイが食ってものされないバットパワーが必要。
専用竿の多くは全長2m前後で7:3~6:4調子といったスペック。
最近は乗せ調子、掛け調子といったように細分化されているが、初めてならそこまでこだわる必要はなく、ライトアジやタチウオに使っているゲームロッドでも十分対応できる。
あえて言えばM、MLなど軟らかめの番手がおすすめだ。
ただ巻くだけの釣りだからリールは重要視され、ドラグ性能やギア比の高低などこだわる要素はたくさんあるが、とりあえずは手持ちの小型両軸で大丈夫。
液晶カウンターに巻き速度が表示されるタイラバ専用リールもあり、余裕があればそれらを購入してみるのもいい。
リールにはPE0.8~1号前後の道糸を200mくらい巻いておき、フロロカーボン4~5号のリーダーを3~5mほど直結でつなぎ、その先にタイラバを結べば準備完了だ。
タイラバ2回目ながら、最初からバッチリ専用タックルをそろえている人もいた
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巻きスピードが表示される専用リールも使いやすい
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組み合わせは多様だが、初めてならコンプリートモデル
現在のタイラバは遊動タイプが主流で、オモリとなるヘッド、マダイを掛けるハリ、アピール用のネクタイで構成される。
ヘッドには色んな形状があって、製品ごとに沈み具合などに違いがあるが、バーチカルに攻める東京湾ではほぼ真っすぐに沈んでいく丸いタイプ(太鼓型)でOK。
重さは前述のように80g、100g、念のための120gの3サイズあればいい。
カラフルなヘッドカラーにも目がいってしまうが、ヘッドの色自体はあまり釣果に関係ないとも言われている。
とりあえず東京湾のド定番とされるオレンジだけは外さないようにしよう。
ハリはチヌ、グレ、マダイ、イセアマなどの9号前後をシーハンターなどで結んだ2本バリで、2㎝前後、3㎝前後と長さを変えてあるのが一般的。
替えバリ、もしくはネクタイとセットになった製品があるので、それらを購入すればいい。
この辺りはカワハギ用品と同じ感覚だ。
ネクタイとはシリコン製のピラピラしたやつのこと。
形状は真っすぐなストレートタイプと、クルッと丸まったカーリータイプがある。
タイラバを巻き上げることでこのネクタイが海中でヒラヒラ動き、マダイにアピール、いわゆる「波動」を起こすらしい。
ネクタイと一緒にセットする細い線状のピラピラがラバースカート。
しかし最近はゴテゴテした派手なタイプより、すっきりシンプルなほうがいいとされているので、スカートはなくてもいい。
タイラバは魚の活性、捕食しているベイト、天候、潮色などにより効果的なヘッドの形状、色、ネクタイの太さ、色などがあるとされているが、初めてと何がなんだか分からない人もいるはず。
迷ったら、最初はヘッド、ハリ、ネクタイがセットになったコンプリートモデルをいくつか購入すればいい。
通い続けるうち、今度はアレがほしい、コレを試してみたいと少しずつ買いそろえ、いつしかタックルボックスはヘッドやネクタイでギッシリ。
気がついたらタイラバ地獄にハマっているというわけである。
東京湾のタイラバタックル例
(上)ヘッド、ハリ、ネクタイ・・・シンプルな構成のタイラバが主流(中)東京湾で使うならとりあえず直進性に優れる丸っこいタイプからそろえよう(左下)パッケージから取り出せばそのまますぐに使えるコンプリートモデルは便利(右下)ネクタイとフックがセットになった製品も多数。カワハギの替えバリ感覚で使える
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合わせないでひたすら巻く、それがタイラバ
タイラバビギナーが釣り方で注意する点は3つ。
一つ目は「一定速度で巻く」こと。
これは簡単にいうとタイラバの動き=波動が一定しているほうがマダイが食いやすいとされているから。
アタリがないからと竿でシャクリを入れたり不規則な巻き方になると、絶対ではないが、アタリが減る確率が高い。
初めてならまずは安定した「巻き」ができるようになることを心がけよう。
目安は1秒間に1mとされている。
潮が速いときはゆっくり、遅いときは速めに巻くというやり方もあるようだが、以前に取材した久里浜港・網屋丸の三富船長は巻きスピードにはあまりこだわらない。
それよりも自分のリズムで巻けるようにしたほうがいいと話していた。
今回取材した走水港・政信丸の廣川船長は速い巻きがいいのか遅い巻きがいいのかは魚の活性により変わってくるとも言っていた。
タイラバはとにかく一日巻き倒す釣り。
テクニックを考えるより、最初は一日無理なく巻き続けられるスピードを身に付けたほうがいい。
ちなみに今回、カウンター付きのシマノ・炎月CT100PGを使ったが、個人的にしっくりきたのは巻きスピード3(一巻き約60~80㎝)だった。
2つ目の注意点は「着底したらすぐに巻く」こと。
タイラバはあくまで擬似餌、ルアーだから常に動かし続けていないと偽のエサだと見切られてマダイは食ってこない。
これがタッチアップとかタッチ&ゴーと言われる動作。
もし潮が速くなったり二枚潮で着底した感触が分かりづらくなったら100g、120gと重くしていけばいい。
3つ目は「アタリがあっても合わせい」こと。
最初のアタリはマダイがネクタイやハリ先をガジガジやっているだけで、マダイの口にハリは刺さっていない。
アタリが出ている間も一定に巻き続けることでマダイにタイラバを追わせ、マダイの口にハリが刺さって反転するのを待つ。
ハリがマダイの口に掛かる前に合わせてしまうと、せっかくハリ掛かりしそうになったところを自ら引っ張り上げてスッポ抜けさせてしまっているようなもの。
分かりやすく言えば、テンヤタチウオの合わせと一緒で、テンヤが水平状態で合わせてもハリ掛かりしないのと同じような感じだ。
竿先が十分に絞り込まれたり、ドラグがズルズルッと滑り出したら、ここでようやくハリ掛かりを確認するように竿を起こす感じで合わせを入れる。
これまでエサ釣り一辺倒だった人には合わせない釣りは違和感があるかもしれないが、これはこれで独特の面白さがある。
先入観にとらわれず、一度タイラバにチャレンジしてみていただきたい。
とにかく一定のスピードで巻き続けることがタイラバ最大のコツかもしれない
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東京湾のタイラバの釣り方イメージ
竿がギュインと絞り込まれるまではひたすら巻き続ける
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隔週刊つり情報(2020年11月15日号)※無断複製・転載禁止