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[タカハシゴーの親子でゴー 沖釣りをめぐる父と子の冒険と成長の物語?!(第63回)]そして大原が本当のホームになった日~外房大原港出船の一つテンヤ~

隔週刊つり情報編集部

トン。

エビ付きの一つテンヤが、太東沖の海底に到着した。

この瞬間がたまらなく好きだ。

ヘンタイでしょうか?

いいんです、ヘンタイで。

着底が好きだってだれにも迷惑をかけないし、文春砲が炸裂することもないはずだ。

たぶん。きっと。

スルスルとPEラインが海中に吸い込まれていく間は、なんとはなしの不安がある。

「釣れるかな」という不安でもなければ、「着底が分かるかな」という不安でもない。

地面に足が着いていないような、妙に薄ら寒い感じがするのだ。

何を頼りにしたらいいのか分からないという心細さ。

目安も基盤もない状態は、不安としか言いようがない。

だから、PEラインに設けられた1mごとの目印を数えながら、いつも「早く着底しないかな……」と考えている。

幸い、水深は15m前後と浅かった。

5号のテンヤだが、鈍感なオレでもすぐ分かるほど明確な「トン」が訪れ、安心感とともに心のスイッチが入る。

オモリが底に着くのは、固い地面に足が着くのと同じだ。

これでやっと走り出せる。

プルルン!

すぐに竿先が揺れた。

その瞬間、オレは自分でも驚くほど素早く合わせを決めた。

上がってきたのは良型のカサゴだ。

本命のマダイではないことはアタリの段階で分かっていたが(カッコいい!)、オレは猛烈にうれしかった。

正直、叫び、踊り、歌いたかった。

新型コロナウイルスの影響で、84日、12週間釣りをしていなかった。

2013年に蒼一郎が本格的に沖釣りを始めて以来、こんなに長く船に乗らないのは初めてだ。

それこそ、仕掛けが着底するまでと似た、先行き不透明な不安感があった。

そして沖釣りは、わが人生において句読点のような重要な役割を果たしていたのだと気付く。

トン。

釣りをすることでリラックスして呼吸を整え、次の「トン」までをしのぐという生き方が定着していたらしい。

「トン」がないまま過ごしていた84日間は、自分でもよく分からないうちに心に澱おりを溜めていたようだった。

釣行の写真

午後の大原沖を進む。82日ぶりの海。

82日ぶりのアタリにオレが一発で合わせられた理由。

蒼一郎とスバル・サンバーに乗り込み、大原港に向け出発したのは6月7日10時半のことだ。

待ち合わせは港に11時。

真っすぐ行けば10分程度だが、途中で食料を買い込むし、かなり余裕を見て30分前に家を出た。

大原まで10分!

しかも午後船なら相当ゆっくりな出発!!

全国1億人の大原ファンのみなさんには大変申し訳ないが、なんていい場所に住んでいるんだろう、とつくづく思う。

国道128号が込んでいても、まるで気にならない。

袖ケ浦ナンバーのサンバーで地元ならではの裏道を使いスイスイと長福丸の待合所に到着すると、「ああ、ホームの大原だ……」とホッとする。

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日曜日の午後船は、風が強くなりそうな予報ということもあり、空いている様子だった。

我われ親子だって、埼玉に住んでいたころには大原行きにそれなりの時間がかかっていたから、日曜日の午後船乗船はかなりのヤル気と覚悟が必要だった。

でも今は、プラッと来られる。

県をまたいでの移動はまだできるだけ控えたいが、県どころか市もまたいでいない。

しかも長福丸は、蒼一郎と初めて大原で乗った船だ。

そのときはお気軽ジギング船で、ワラサを釣った。

仲乗りの野口智宏さんが、初外房に緊張気味だった蒼一郎を応援し、初ワラサゲットに導き、一緒に大喜びしてくれた。

蒼一郎が沖釣り好きを加速させた出来事のひとつだ。

今回は一つテンヤマダイ船で、船長はその野口さんだ。

いまや一国一城……じゃないか、一国一船の主である。

だが、元気な明るさは仲乗りさん時代とまったく変わっていない。

幸い風は予報ほど強まらず、いい釣りができそうな予感がしていた。

そんな矢先に、釣り開始早々いきなり船中1尾目のカサゴを釣ってしまったのである。

そりゃあ叫び踊り歌いたくなるってもんである。

何がうれしかったって、84日間のブランクがあったにもかかわらず、合わせられたことだ。

「いやいや」と、釣りが上手なみなさんはお思いでしょう。

「釣りなんだから合わせるのはトーゼンでしょ?」と。

トーゼンじゃないのだ。

ブルブルッと竿先が震えていることに気付いても「むっ!?」と身構え、せっかくのアタリを逃
してしまうのが、永遠の初心者たるオレなのである。

だが今日は、何かが違っていた。

いきなりバシッと合わせを決めてしまったのだ。

さて、いったいなぜでしょうか?

オレが合わせられた理由なんて、地球上のだれも知らないだろう。でもオレは知っている。

理由は明確にふたつあった。

ひとつは、ここ2年にわたってヨッシーこと吉岡進プロと釣りをしていることだ。

基本的には取材なので、竿の代わりにノートとペンを持つようにしていて、ヨッシーの釣りをゆったりたっぷりのんびりとホテル三日月的に眺めるのが常だ。

その結果分かったのは、ヨッシーの合わせの凄さだった。

シロウト目には波か風で揺れているようにしか見えない竿先の動きからアタリを見極め、次の瞬間にはもう合わせを決め竿を曲げている。

迷いも葛藤も躊ちゅうちょ躇もないアスリートの瞬間芸である。

その見事さにいつもホレボレしていたオレは、決して彼のレベルには達していないものの、竿先の違和感→即合わせが少しだけ身に付いていたようだ。

見ていただけのクセに我ながら生意気な、と思うが、見ることはとても大事だとも思う。

続けざまに船中2尾目となるショウサイフグを釣るに至って、オレはそのことを確信していた。

だって、釣りしてないのに合わせが決まるなんておかしいじゃん。

ヨッシーの釣りを見てたからだよ、ただひたすら。

タカハシゴーの船釣りあるある~外房大原のマダイ編~

「深場──、行きますか・・・」 アル藤編集長が、怪しげな笑顔を浮かべた。

もうひとつ、合わせがうまく決まった理由は、オレがリラックスしていたからだ。

初めての船宿に行くと、オレはかなり緊張する。

息子たる蒼一郎や、オレの弱みや失敗をどうにか写真に収めて「沖釣りあるある」を構成しようと企むアルアル鬼のアル藤編集長兼社長(本名は沖藤)と一緒にいる手前、大丈夫そうな素振りを見せているが、まったくの単独行だったら緊張して乗船前から船酔いしてしまうかもしれない。

これは人見知りなオレ特有の問題かもしれないが、令和も2年になった今でも、船宿にはハードルの高さを感じる。

なんでしょうね?

さっき冗談で「一国一船の主」と書いたが、船長には確かにアルジにふさわしい威厳と風格を備えている人物が多いような気がする。

そのせいだろうか?

実際、乗客の安全は船長次第だし、釣果だって船長に負うところが大きい。

色んな意味で責任のある立場だからこその、船「長」なのである。

なんつって、とくに若い船長ほどフランクで優しく、緊張する必要なんか全然ない。

バリバリ昭和世代のオレが勝手に壁を作っているケースがほとんどだ。

だからおおむね自分の問題だと自覚しているが、初めての船宿はやっぱり緊張する。

だからいい釣果が出せることもあるが、今回のように久びさの釣りはリラックスして臨みたい。

そこへきて、地元大原で馴染みのある長福丸に乗り、顔見知りの野口船長と軽口をたたき合いながら、経験のある一つテンヤマダイに挑んでいるのだ。

心が解きほぐされるとは、まさにこのこと。

太平洋上で肩の力も抜け、合わせも鋭く決まるというものだ。

勢いに乗ったオレは、「どうもフワフワ落ちるエサに食ってくるみたいですよ~」という野口船長のアドバイスを受けて、テンヤを5号から3号に替えた。

浅場だし、潮も緩い。

3号でも、気持ちいいほどに「トン」が感じられる。

いっちょまえに「ここは岩場かな。ん?カジメが生えてる?」などと海底の様子を感じながら、オレはサクッと本命のマダイを釣り上げた。

釣行の写真

なんだか落ち着いた様子でサクサクマダイを掛ける父。

うれしいなんてものじゃなかった。

地元の馴染みの船でリラックスしていたとはいえ、外房の海がそう甘くないことも知っている。

今回も、なぜか釣れないような気がしていた。

つり情報社の根岸会長がタイラバで同船していたから、1発ドでかいのを掛けてくれることに期待していた。

ズバリ、他力本願だったのである。

それなのに、小ぶりながら食べごろサイズのマダイを釣ってしまったオレは、完全に調子に乗った。

蒼一郎もほぼ同サイズのマダイをバンバン釣っている。

釣行の写真

(上)蒼一郎は色いろと試しながらあっという間に9枚。(下)軽いテンヤで5m上から落とし込みで釣っていた蒼一郎。

負けじと合わせに集中するオレ。

バシッ、カッ!

糸が張る手応え。

何度味わっても飽きることがない。

カメラを構えるアル藤編集長も、舵を握る野口船長も、最初は左舷で釣りしていたのにいつの間にか我われ親子と同じ右舷に席を移していた根岸会長も、みんな笑っている。

釣行の写真

野口船長も2人の上達ぶりに驚くのだった。

蒼一郎が9枚、オレでさえ6枚のマダイを釣ったのを見た野口船長の目がギラリと光ったのは、釣り開始から3時間ほどが過ぎたころだった。

「深場──、行きますか・・・」

アル藤編集長が、ニヤリと怪しげな笑顔を浮かべた。

「行くアルか……」

外房らしいダイナミックなウネリを蹴立てて長福丸は南下し、岩船沖に船を止めた。

水深は50メートル前後。

上潮がおそろしく速く、下潮が遅いようだ。

なんとなくワチャワチャしていて、さっきまでの穏便な浅場とはまったく趣が違う。

15号のテンヤでも思うように底が取れない。

「トン」がないなんて、怖すぎる・・・。

釣行の写真

速潮の50mダチは甘くなかったのだ。

その難しい戦況に鼻をピクつかせ、「大ダイが釣れそうな気配アルね・・・」と竿を持ったのが、アル中・・・じゃない、アル藤編集長兼社長である。

コロナ禍まっただ中に社長に就任してしまい、ソロバン勘定に追われて血色も悪かったはずの彼が、嬉々として竿を振っている。

「潮方は確かに悪いアル」とアル藤編集長兼社長は言った。

「この潮では、底取りは非常に難しい。

潮上の方向に投げて、とりあえず船長の言う水深分だけ糸を出すんだ。

するとリーダー分は余分に出ていることになるから、カーブフォールして必ずいったんは着底するはず。

アタリが出るとしたらその前後。

そこにアル中・・・じゃない、集中して・・・」

バシッ!

「き、きたアルよ!」と緊張気味のアル藤編集長兼社長。

見事に1キロちょうどのマダイを釣り上げたのだった。

か、カッコいい……。

オレも、そして恐らく蒼一郎も、最後のポイントには非常に苦戦し、1枚もマダイを釣ることができなかった。

オレにとっては「トン」が分からないことが致命的だったのだ。

浅場で数釣りはできたものの、海はやっぱり甘くない。

句読点を使わずに文章を成り立たせるのが難しいように、「トン」のない釣りでオレが釣果を出せる
のは、まだまだ先らしい。

だからまた、船に乗る。

原稿書きと同じで、うまくいかないことほど続けられる。

釣れ盛った序盤の後に、難しい終盤があって本当によかった。

ためになる!蒼一郎の手記

大原での浅場の一つテンヤマダイです。

水深は10m前後、テンヤは3号からスタートしました。

底から探ってみましたが、カサゴやフグが多くてマダイが釣れなかったので、1m上げてフワフワさせてみます。

小さく、鋭い動きに反応がいいようだったので繰り返していると、アタリがきました!

サイズが小さいのか、なかなか乗ってくれないので、少し送って優しく合わせると、何とかハリ掛かり。

浅場のマダイはよく引きます!

同じことをしているとアタリがなくなったので、次は軽く投げてのカーブフォール。

イメージは30~50センチぐらい上げてフォール、その間に出るアタリで掛けるのが楽しい!

でもまたしばらくするとパタリ。

今度はフォール中心の釣りに。底から5mまで巻き上げたら糸を止めて10秒ぐらいフワフワ・・・それを1m落とすごとに繰り返していくと、これまたハマった!

タナは底から3mだったり底付近だったりとバラバラでしたが、それを探すのも楽しかったです。

船が横流しになると糸が払い出していくので、水深10メートルでもテンヤは重めの8号に。

底に置いて10秒たつと30cmぐらい浮くので、また底に置いて10秒待つと、狙いどおりのアタリ!

最後のポイントは一気に深くなって水深50m前後。

難しい二枚潮になってしまい、底を取れたとしてもエサは取られずに終了しました・・・。

そうそう、今回から新しく20ツインパワーを使い始めました。

魚を掛けてからの巻き取りがスムーズで、力強さを感じました。

負荷がかかったときほど巻き取りがラクなんです。

ハンドルはリブレに替えています。

これは手放せなさそうです。

料理の写真

(上)蒼一郎がサクサクッと作ったお造り。奥にそびえているのは、庄之助丸の庄之助船長にいただいたアワビ。ごっつぁんです!(中)アル藤編集長兼社長が終盤、難しい潮の中から引っ張り出したマハタは、ネコ見守るなか蒼一郎にさばかれていくのだった。(下)サイコーにうまかったマダイ寿司。釣った魚のお寿司、ホントに食べたかった!イナダは根岸発行人が釣ったもの。

今日の一言の写真

実際のサイズ以上に緊張感のあるヤリトリが たまりません。これから秋にかけて、浅場の一つテンヤマダイが楽しめそう!

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隔週刊つり情報(2020年7月15日号)※無断複製・転載禁止

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