春を迎えシーズン本番に突入するイサキ釣り。
小気味よい引き込みや多点掛けの楽しさで人気の釣りだが、仕掛けのバリエーションが多いのもイサキ釣りの特徴。
エサを付けるか?
擬餌バリを選ぶか?
ハリの形は?
ハリ数は?
ハリスの太さは?
と、悩んでいる人も多いのではないだろうか。
そこで今回は「釣り方に応じたイサキ仕掛けのチョイス」をテーマに解説してみたい。
最初に意識してほしいのは、コマセに何を使うかだ。
九十九里、外房~南房、東京湾口ではアミコマセを使うことが多い、伊豆半島ではオキアミコマセが使われる。
コマセの種類によって、食いがよい擬餌バリも変わってくるからだ。
次に、皆さんが乗っている船の釣り方を思い出してほしい。
次の2通りのどちらかのはずだ。
一つは「海面から18mから13mを探って」と、タナを探る誘いの釣り。
もう一つは「タナは25mに合わせて」と、皆でタナを合わせる待ちの釣り。
使うコマセの種類とタナの取り方、この2つを頭に留めながら、どんな仕掛けを使うのがよいのかを考えてみよう。
春~夏は関東周辺の各地でイサキ乗合が増えるトップシーズン
出典:
イサキ釣りで多用されるムツバリとチヌバリ擬餌バリも豊富
図1はイサキに使うハリの特徴だ。
数釣りを狙うときは、飲み込まれにくく手返しのよいムツバリが使いやすい。
対して、ゲストのマダイやイシダイなど口の硬い魚が交じるときは刺さりのよいチヌバリを選びたい。
また、昭和のころはコンニャクバリというハリ先が鉤型の形状のハリもイサキ釣りにはよく使われた。
ハリが貫通しにくいので、口の硬いところに掛けて、海面では一気に引き抜く。
手釣りのイサキ釣りでは抜群の手返しだったが、現在は見かけることがなくなったハリである。
図2にエサ(擬似餌)の特徴を示してみる。
食いのよさとエサ持ちのよさ(エサ取りへの耐性)は相反するのが分かるだろうか。
また、使うコマセの種類によっても適したハリは変わってくる。
オキアミエサはどんなときでも食いがよく、マダイやイシダイも好んで食うエサだが、エサ持ちが悪くエサ取りにも弱い欠点を持つ。
イカタンはよく使われるエサだが、オキアミコマセよりもアミコマセのときに効果が高いようだ。
擬似バリのウイリーバリはエサ取りには強いが、オキアミコマセとの相性はあまりよくない。
カラーバリはウイリーが持つメリットのほかに、食いが渋くなったときにはオキアミやイカタンなどエサを付けられるという柔軟性がある。
どのエサ(擬似餌)にも一長一短があるということが分かると思う。
今回、取材に向かったのは東伊豆の伊東沖を主に狙う伊東港の村正丸だ。
同船ではオキアミコマセが用意されている。
付けエサにはコマセからしっかりしたオキアミを拾うが、イカタンなどの持ち込みも自由だ。
タナは海面から皆で同じタナに合わせる。
指示ダナが35mであれば、38mくらいまでビシを落としてコマセを振りながら35mに合わせて待つ、という釣り方だ。
伊東沖ではどういう仕掛けがよいだろうか?
この場所の特徴は、マダイやイシダイ、メジナなどのゲストがしばしば交じること。
イサキだけに狙いを絞れば、ハリスは細いほうが食いがよいが、不意の大物を考えるとハリスはある程度太くしておきたい。
以上の特徴から筆者が用意したのは、左ページの仕掛け図にある2通りの仕掛けだった。
一つは食いのよさを重視し、オキアミエサ用の2本バリ仕掛け。
ハリスは2.5号に、ハリはオキアミが付けやすいチヌ2号にした。
もう一つは食いが立ったとき用に、枝バリ2本を夜光パイプバリにし、先バリをチヌ2号としたものだ。
この夜光パイプバリ(カラー11ページ参照)は30年ほど前からイサキ釣りで愛用しているもので、夜光のせいか、ボリューム感があるためかオキアミコマセのときにも実績が高いハリだ。
エサ取りにも強いので、日が高くなってエサ取りが活発になったときには重宝する。
図1・イサキ釣りに使われるハリの特徴
これが自作の夜光パイプバリ
出典:
空バリ仕掛けはオキアミを付けた
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中盤は夜光パイプバリの仕掛けでイサキが入れ食い
出典:
図2・生エサと擬餌の特徴
エサを使う空バリ仕掛けと擬餌バリ仕掛けを使い分け釣果アップ!
取材日は小雨がぱらつく曇り空、イサキ日和ともいえる陽気の中、船はゆっくりと伊東沖へと向かった。
村上大輔船長の朝イチの指示ダナは「海面から40m」とやや深めだ。
タナを合わせるとすぐに皆にアタリが出始めた。
やがて船長の指示ダナは「38m」から「36m」と高くなる。
イサキの活性が上がったのか、2点掛け、3点掛けもしばしば見られ始めた。
まずは2本バリ仕掛けをセットし、両方のハリにオキアミエサを付けて投入すると、タナに合わせた途端にググッと竿先が引き込まれて28cm級のイサキがダブルで上がってきた。
この日は潮はそれほど速くなく釣りやすかった。
コマセへの反応も良好で、最初のアタリから待っていると追い食いしてくる。
バケツにはどんどんイサキが溜まっていった。
しかし、2時間ほどたつとエサ取りが出てきてハリが空っぽで上がってくることが増えてきた。
たまにウマヅラがハリに掛かって上がってくるのでエサ取りはこの魚だろう。
ここで仕掛けをチェンジ。
1.5号の細ハリスと、夜光パイプバリの仕掛けを使う。
コツンのアタリに追い食いを待つと、本日初めてのイサキ3点掛け。
夜光パイプの効果もまずまずだった。
日が高くなってくると、メジナ、マダイが顔を出す。
マダイは乗っ込みで黒みを帯びた2kg級の良型だった。
仕掛けを朝の2本バリ仕掛けに戻し、あわよくばマダイもと期待するが、筆者にはマダイからのアタリはないまま沖揚がりの時間を迎えた。
魚を数えると39尾、クーラーは一杯で存分にイサキ釣りが楽しめた。
47尾を釣り上げたトップの釣り人は、終始3本バリのオキアミエサで釣っていて、ハリスの太さは2号とのことだった。
また、マダイを釣った人はハリス3号の仕掛けを使っていたと教えてくれた。
村正丸では、基本はハリス3号の3本バリ(全長は6m)を推奨しているが、扱いやすい2本バリ仕掛けでもよいし、初心者なら手前マツリの少ない1本バリ仕掛けでもよいという。
マダイが交じるのは珍しくなく、時には5kg級も食ってくることもあるので、3号ハリスの仕掛けを使う人も多いそうだ。
エサはコマセの中から拾ったオキアミを付ける人が多いが、イカタンやバイオベイトなどの持ち込みはOKだし、仕掛けも釣り人各自で工夫してみたい。
イサキ仕掛けはこれが絶対正解と押し付けるつもりはない。
オキアミコマセにウイリーバリを使っても食うときは食うし、チヌバリやムツバリにこだわらず、丸セイゴや丸カイズなど好きなハリを使ってもよいだろう。
ハリスの太さにしろ、12号ハリスのカモシヒラマサの仕掛けにイサキが食ってくることもあるので、細ハリスでさえ必須ではないと言える。
しかしながら、ハリやエサの特徴を理解し、状況にマッチした仕掛けを使って好釣果を得たときは、より満足感がアップするはずだ。
今号発売時は伊東沖のイサキは脂も乗って型よし数よしの絶好期だ。
この記事をきっかけに、ちょっとハリやエサにもこだわってみようかな、と思っていただければ幸いである。
東伊豆伊東沖のイサキ仕掛け例
東伊豆のイサキ船は大物ゲストに備えて軟調長竿を使う人が多い
出典:
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隔週刊つり情報(2022年5月1日号)※無断複製・転載禁止