ムギ&スルメイカは、夏のイカ釣りの代表。
ここ数年は盛期のヤリイカなどに比べるとあまり数釣れる印象はないが、力強い引きと多点掛けした際の重量感はたまらない魅力がある。
そのムギ&スルメの釣り方、というか釣るための仕掛けにはブランコと直結の2通りがある。
イカ釣り初めてという人はブランコ仕掛けの釣りから始めるのが無難ではあるが、ある程度の経験があるなら、直結仕掛けの釣りに手を染めてみてもいいだろう。
直結仕掛けの利点をいくつかあげると、仕掛けが絡みにくい、ツノ数を増やしやすい、サバにつかまりにくい、多点掛けを期待できる、などがある。
仕掛けの扱いが難しいというデメリットはあるが、慣れないうちはツノ数を減らすなどして対処していけばいい。
なお、イカのことならこの人に訊け!ということで、本稿はスーパーピンクのyaccoさんこと小川泰子さんに過去に教えてもらった内容や、最新の傾向を聞き取り取材したことを中心にまとめたものだから、yaccoさん直伝の最新直結マニュアルだと思っていただいていい。
イカ釣りならyaccoさん。自粛が明けたら最新の模様を教えてください!
出典:
感度優先のタックル&仕掛け
直結仕掛けを効果的に動かすため、ガチガチの棍棒のような竿が推奨されたのはもう昔の話。
現在は各メーカーから直結用、スルメイカ用といった専用竿も発売されているし、一般的なヤリイカ竿でも十分代用できる。
そんな中である程度直結仕掛けの釣りに使いやすい目安をあげれば、取り回しやすい全長1.5メートル前後の短め、微妙なアタリを取って掛けていく必要もあるから、なるべく穂先の感度がいい竿を選びたい。
リールは、ダイワなら300~500番、シマノなら2000~3000番。
ムギ&ニセイカサイズが中心の初期はダイワ300番やシマノ2000番といった小型でもパワーのあるタイプなら大丈夫だが、大型のスルメが増えてくる盛夏まで、フルシーズンを視野に入れるのならダイワ500 番、シマノ3000番のほうが安心。
道糸はPE3~4号を300メートル以上巻いておく。
仕掛けの全容は図に示したとおり。
道糸の先には取り込みの目安となるイカ用の先糸やフロロカーボン14号前後を道糸と直結する人も少なくない。
結び目を竿先まで巻き上げれば、毎回安定した取り込み位置を確保できるというわけである。
仕掛け上部には中オモリやイカ用ヨリ取りリングを付ける。
中オモリは仕掛けを効果的に動かす役目もあるが、重過ぎると小さなアタリを見逃してしまうので、付けるなら8~10号程度と軽め。
アタリを取ることを優先するならイカリングだけでもいい。
プラヅノは14センチを中心に小型が多いようなら11センチ、大型が多くなれば18センチと釣れるイカのサイズに合わせて替えていく。まあ、シーズン初期の今は14センチをメインに念のため11センチの予備仕掛けがあればいいだろう。
プラヅノは現在、各メーカーがこぞって出している3面タイプが一番人気。
直結仕掛けが多用される14センチには、仕掛けを作りやすい直結環(ハリスを結びやすいようカンナ側にもハリスの結び穴が出ているタイプ)付きの製品も多く出ているのが最近の特徴。
プラヅノのカラーはケイムラ、ピンク、薄いブルー、濃いブルー、濃いピンクが基本5色とされており、最近はこれにアクセントで黄色や緑など濃いめの色が使われることもある。
色の傾向や配色に関しては下の一覧を参照していただきたい。
仕掛けを自作するのは取り込みのため
さて、道具や仕掛けの素材が用意できたら、実際に仕掛けを作っていく。
慣れない人は市販品を使ってもいいが、市販仕掛けは多くても8本ヅノくらいまで。
10本以上にツノ数を増やしたり、自分好みにツノを配色したいなら仕掛けは自作するに限る。
ツノの結び方の一例をイラストに示した。
直結環付きのツノを使うなら移動結び、地獄結びなどと呼ばれる方法だけを覚えておけば大丈夫。
カンナへハリスを掛ける方法は、今回は普段yaccoさんがやっている2カ所のカンナへ掛ける方法を紹介した。
慣れるまでは作製に多少手間取るが、2カ所のカンナへ掛けるため力が分散されカンナがスッポ抜けるなどのトラブルが減ることが利点になる。
ちなみに直結環付きのツノもハリスを結びやすいほか、カンナのスッポ抜けがないことが利点だ。
なお、仕掛け作りの注意点は、自分が取り込みやすいツノ間にそろえること。
具体的には右手にツノを持って両手を広げたとき、次のツノが左手下10~20センチにくるように結ぶ。
こうすることで、次の一手(左手につかんだハリスを顔の前に引き上げる動作)に移ったとき、自然
と右手でツノをつかみやすくなる。
市販仕掛けはツノ間隔がおおよそ150~160センチに決まっているが、人によっては扱いやすい間隔が165センチだったり175センチだったりする。
直結仕掛けの釣りはスムーズに取り込むことが最重要で、そのために自分が扱いやすい仕掛けを作る。
これが仕掛けを自作する最大の利点だろう。
(上)仕掛けを自作するメリットは色いろある。(下)うまくできるとこんな感じになる。
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まずは基本動作を習得したい
①仕掛けが上がったらまずは一番上のツノをペンシル持ちでつかむ
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②ツノをつかんだ右手を後方へ広げ、ツノをマットに置きつつ左手の中でハリスを滑らせる
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③ハリスをつかんだ左手を持ち上げ次のツノを右手でつかむ
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以降も同じ動作で①~③の繰り返し
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イカが乗っていてもツノから外さず①同様に船内へ
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ただしイカが乗っていたツノはマットではなく別の場所へ
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仕掛けの取り込み方の基本動作は上写真を参考にしていただきたいが、いくつかポイントをあげておこう。
仕掛けが巻き上がって竿を立て、イカリングを船内に取り込んで安定させたらまずは一番上のツノをつかむ。
ツノはペンシル持ちと言われるエンピツを持つようにつかむのが基本。
手のひらでギュッとつかむと滑ったり、大きなイカが乗っていたときなどツノが曲がってしまうことがある。
ちなみにマルイカ釣りから入ってきた人はツノをつかまずハリスをたぐり込んでしまう人も多いようだが、マルイカとムギ&スルメでは仕掛けの重量がまるで違う。
ハリスをたぐるとズルッと滑って仕掛けが下がりバラシの元。
ムギ&スルメではツノをつかんでの取り込みが基本と覚えておきたい。
取り込みは船体に対し体を横へ向け、なるべく船外へ身を乗り出さないようにする。
その体勢でツノをつかんだ右手を後方へ大きく広げれば、仕掛け作りの項でも説明したように、自然と次のツノが左手下に上がってくる。
慣れないうちはつい海面を覗き込んでしまうが、そうすると手を広げる間隔が狭まり次のツノを一手でつかみにいけない。
練習するなら座席の渡し板を用意して、座って取り込むようにするといいかもしれない。
取り込んだツノは座席に敷いたマットなどへ並べていく。
イカが乗っていた場合は、座席の後ろへ放り投げておく。
イカが付いたままのツノを重ねて置くと仕掛け絡みの原因になる。
慣れた人はイカを外しながら取り込んだり、立ったまま投入器にツノをしまいながら取り込んだ
りもするが、まずは基本動作を覚えてから、自分流の取り込み方にしていったほうがいいだろう。
現在はシャクらない釣り方が主流
直結仕掛けの釣り方は、昔はとにかく早く仕掛けをタナに入れ、ツノを動かすためにガンガンシャクるのが効果的な一面もあった。
が、現在はそんな釣り方ではほとんど釣れない。
イカの群れが薄くなった現在は、小さなアタリを取ってコツコツと掛けていき、たまに多点掛けできる群れが回ってきたらラッキー!くらいに思っておいたほうがいい。
そのコツコツ釣る方法の一つが落とし込み。
落下中に仕掛けが止められ大きく糸がフケるような濃厚な群れならいいが、現在はなかなかそんな場面はない。
「○~○メートル」と宙層の指示ダナが出た場合、仕掛けがタナに入るであろう5メートルほど上からリールのスプールを親指で強めに押さえて(サミング)、ズズーッと仕掛けを下ろしていく。
このとき道糸の動きを注視、親指に伝わる感触にも神経を向けておく。
何か少しでも違和感を察知したらすかさず合わせを入れる。(イラスト①)
これが落とし込みでアタリを取っていく基本になるが、極めて感覚的な部分があるので慣れないと難しい。
だいたいは何事もなくタナをスルー、気がついたら着底していた、なんてこともある。
「○メートルから下」、「底からやって」など低層反応を狙う指示が出た場合には、底でアタリを取って掛けていく釣り方が有効になる場合もある。
オモリを1メートルほど浮かせたら、何もしないでジーッと待つ、もしくは底上4~5メートルくらいまで静かに探ってもいい。
いずれにしろ、竿先や指先に違和感があったら合わせを入れる。(イラスト②)
宙層反応での落とし込みがスルーしてしまった場合は、上へタナを探っていくことになるが、これも最近はガンガンシャクらない。
電動低速で巻き上げつつ、アタリに合わせていくほうが有効なケースが多いようだ。(イラス
ト③)
もちろん竿や電動巻きでシャクリを入れながら探り上げていく方法も全く通用しないわけではないから、誘いパターンの一つとして常に頭の中に入れておく必要はある。(イラスト④)
もちろんイカ釣り最大の攻略法である「巻き落とし」を頻繁に行うことも忘れてはならない。
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隔週刊つり情報(2020年6月15日号)※無断複製・転載禁止