3月30日、相模湾腰越港の蒼信丸へ、アオリイカを釣りに出かけた。
釣り方は流行のティップランではなく、中オモリを使った昔ながらの餌木シャクリ。
この釣りを四季のレパートリーに入れている船宿はけっこうあるが、多くは秋のシーズンのみに限られている。
主に初夏のころ孵化したイカは、秋には釣りの対象サイズに成長する。
人間にたとえれば中高生くらいか。
この時期のアオリイカは食欲旺盛だから、比較的手軽に数釣りも可能。
しかし、冬になると深みに落ち、低水温の影響で活性も下がるので、釣るのはやや難しくなる。
そして、春になると産卵のため浅場に移動してくるわけだが、このころには大半が1kgオーバー、中には2kgを超える個体まで出てくる。
つまり、秋は数、春は大型狙いの時期となる。
当然、春は釣果のムラが大きくなり、型見ずに終わることも珍しくないため、出船を控えるところも多くなる。
よって、この時期にアオリ乗合を出しているのは、かなりの覚悟とこだわりを持った船ということになる。
時代は長竿!?
5時半の集合時間には7人のお客さんが顔をそろえた。
平日のわりにはけっこうなにぎわいだろう。
ここ数日の釣果は平均すると船中3~4杯。
おそらく半数近くの人がオデコに終わっている計算になる。
それでもこれだけの人が足を運んでいるのだから、この釣りの根強い人気がうかがえる。
定刻6時のちょっと前、関塚一浩船長の操船で岸壁を離れる。
曇天で北寄りの風がそよそよと吹いている。
まずは航程数分、江ノ島の南側で釣り開始となる。
「やってください、タナは32mです」
この釣りでは海底からタナを取らせる船長と、海面からのタナを指示する船長がいるが、関塚船長は後者のようだ。
合図が出たら、餌木、中オモリの順で投入する。
仕掛けを絡ませないコツは、餌木と中オモリを離しハリスを張った状態を作ること。
具体的には餌木を正面に投げ、中オモリを手前に落とせばいい。
シャクリを始めてあることに気付く。
この日、大昔に購入した全長1.5mのシャクリ竿を使っていたのだが、私以外の全員が3.5m級の長竿だったのだ。
時代の流れに取り残されたようで、ちょっと恥ずかしい。
長竿と短竿では当然シャクリ方は異なるが、いずれにしてもビシッとシャープに餌木を動かすことが基本となる。
さらに驚いたことがもうひとつ。
タナを取り、シャクリを3回くらい入れたタイミングで「上げてください」と船長からアナウンスがあること。
およそ1~2分のインターバルで流し変えるのだから、
これほどテンポのいい釣りも珍しい。
というと、潮がガンガンに流れているかのようだが、実際はほとんど効いていない。
潮色はほどよく濁ってアオリには好条件だが、流れが鈍いのはこの釣りでは致命的となる。
最近の釣果がのび悩んでいるのも、これが原因だという。
この日は3.5m級の長竿を使う人が多かった
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てこの原理でキュイッとシャクれるので体力的な負担も少ない
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餌木の標準サイズは4号
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前半は江ノ島周り~エボシ岩周りを転々と流した
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1時間の短期決戦
細かく移動しながら江ノ島沖を攻めるも、シャクリはむなしく空を切るばかり。
7時半、10分ほど走って茅ケ崎沖へ移動。
エボシを望みながらシャクリを再開するが、ここも条件的には同じ。
それでも1時間後、ようやく右ミヨシ2番のお隣さんに乗りがきた。
しかし、船長のタモに収まったのは大型のスミイカ。
このころには風も変わり、南風がやや強めに吹いてきた。
その後も西へ西へ進みながら探索を続けていく。
10時過ぎ、平塚沖で左舷のミヨシにきたのはカミナリイカ。
船はさらに進んで大磯沖へ到達。
11時、左ミヨシとトモが同時に乗りをとらえた。
ミヨシで取り込まれたのはスミイカで、トモではようやく本命のアオリが顔を出す。
それもこの時期らしいサイズで、すぐさま検量するとデジタルスケールは1.8kgを表示した。
5分後、またも左ミヨシの竿が曲がり、今度は1.1kgのアオリがタモに入る。
11時40分には右トモで特大カミナリイカ、その10分後には左ミヨシでスミイカが上がる。
船長によれば、急に潮が動き始めたタイミングらしい。
しかし、せっかく流れ始めた潮も1時間ほどで止まってしまい、結局、沖揚がりの13時までに釣果を追加することはできなかった。
船中では1.1kgと1.8kgのアオリイカが2杯に中大型のスミイカ、カミナリイカが6杯。
そのほとんどが潮が効いていた1時間に集中したことになり、この釣りでいかに潮の流れが重要なのかを実証する結果となった。
今後、相模湾のアオリイカは乗っ込みを迎える。
早い年で4月中旬~下旬、例年だとGWごろに始まり、7月ごろまで続く。
2kg超えはもちろん、3kg級も望める夢のようなチャンスだ。
水深13~15mの浅場で繰り広げられる、特大サイズとのスリリングな攻防に期待したい。
後半は平塚沖まで移動し、最後は大磯沖に到達
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中大型のスミイカやカミナリイカも交じる
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1.1kg。この時期は数は少なめだが乗ればデカい!
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知っ得!餌木選び考
指示されたタナでひたすらシャクリを繰り返す、比較的単調な釣りだけに、やはり気になるのは餌木の選択。
一昔前の定番カラー、ピンクとオレンジは今も健在ではあるが、潮が澄んだ条件下ではパープルやブラウンなどの地味系に分があるケースが目立つという。
また、大型狙いの時期だけに、餌木は4号が標準となるが、さらなるアピール力を発揮する4.5号が有効なこともあるし、反対にイカの警戒心が高いときは3.5号に落とすとよく乗ることもある
予約するとき船長におすすめの餌木を聞くのが一番
出典:
Tackle Guide
多くの釣りで道糸は細いほど潮の抵抗を軽減し、有利に働くものだが、この釣りではハリスが4~5号と太いため、細いPEだと根掛かりした際に中オモリの上で切れてしまう可能性が高い。
おすすめは1.5~2号。
このサイズならカンナが伸びたり、根のほうがちぎれて、被害も最小限で抑えられる可能性が増す。
アオリイカ仕掛け例
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隔週刊つり情報(2022年5月1日号)※無断複製・転載禁止