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イカ先生のティップエギング・クリニック

隔週刊つり情報編集部

イカ先生・富所潤さんは釣り界きっての教え上手。

分かりやすい解説と、釣り手ごとの悩みを聞いて対応する様子はまさに医師。

今回のカレッジは、イカ先生が教えてくれたティップエギング5つのカギと、11の処方箋です。

釣り人の写真

この冬試してみてください!

イカ先生・富所 潤さんのティップエギングタックル

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Part1・ティップエギング5つのカギ

イカ先生・富所潤さんが強調するのが「ティップエギングはシンプルな釣り」ということ。

実際、道具も釣り方もシンプルだから簡単にチャレンジできて、面白い。 

しかし、それは裏を返せば「一つ一つの動作の要素が釣りに直接影響する」ということ。
 
今回の沖釣りカレッジでは、まず、イカ先生が「冬、風が強かったり、深い場所を狙うときに、ティップエギングでアオリイカと出会うために必要なこと」を解説してくれた。
 
そのカギともいえる5つの事柄を、まずは理解しておきましょう!

釣行の写真

出船前にイカ先生がレクチャーしたのが、この項目の5つの「カギ」

ティップエギングの基本と大前提となる5つのカギ

①必ず餌木で底を取る!

これは大前提ですが、とくに冬場は重要。

重めの餌木からスタートし、道糸が止まることで着底を見ます。
 
もし、あまりに風が強く、船が早く流れて着底が分からないときには「道糸の色を見て、水深プラス5~10m出てしまったら着底と判断してシャクリ始める」ことで、根掛かりを防止しつつ、状況を把握しましょう。

②シャクって止めるべし

シャクって巻いて、誘い上げたらピタリと「止める」。

揺れる船上でいかにロッド先をブレずに止めていられるか。

これが、アオリイカの乗りを左右します。

③どこまでシャクってくるか

餌木が着底したら5~8回、ロッドをしっかりシャクリながらリールを巻いて、海底から3~5mを誘います。

浅いときより深いときのほうがシャクリの回数を増やしていくことになりますが、その理由は着底までの間に糸フケが出るため。
 
ちなみに、シャクリ始めに手応えが軽ければ、それは糸フケを取っている段階。

しっかりと餌木の重さを感じてからシャクリの回数をカウントします。

④餌木の色に悩むなら重さに迷え!

そもそも、アオリイカは色を識別する視細胞を持っていませんから、餌木をエサと判断する要素は、色よりも動きのほうが大きいのです。

それゆえ、餌木の色を替えるのなら「重さ」をどんどん替えて、探っていってください。
 
実際に、色はそのまま、何十回も餌木の重さを替えて釣ります。

もし餌木の色に迷うのであれば、周りで釣れている色と合わせておけばいいと思います。

また、釣れているときにこそ色を交換して、釣れない色がないことを認識しておくことをおすすめします。

⑤周りが釣れたら?&カンナチェック

周りがアオリイカを掛けたら、その近くに必ず数杯のイカがいて、捕食スイッチが入っているとイメージして、餌木を回収せず、狙い続けてください。
 
そして、これがすごく大切なのですが、カンナに海藻など、何か異物が付いたら必ず取ってください。

わずかな異物でも餌木はバランスを崩し、イカが乗らなくなります。
 
では、実釣スタート!

Part2・あなたのエギングライフが変わる

葉山沖の水深20~30mを狙った当日、朝方は風が強く、昼前には弱まるといった天候。
 
底ダチが分かりにくく50gの餌木がほしくなるときもあれば、風、潮ともに緩んだ終盤には、25gで底が取れる場面も。
 
ティップエギング「クリニック」を開催するのに最適な状況ともいえた当日、イカ先生が参加者全員を診断してアドアイスした処方箋は以下の11項目。

では、カレッジの時系列どおりに紹介していきましょう。

釣り人の写真

ここでは11人に送ったアドバイスを丸まる収録

釣行の写真

(上)いかにロングステイできるか、など、様ざまな状況で楽しめる釣り方を追求(中)1人ずつ、座席にも配慮してアドバイスしていく(下)ラインを海面に置くことができないミヨシでは、ラインに適度なたわみを作って、その動きで着底を見る

処方箋1・アタリを待つロッドの角度に迷う人へ

シャクリ終えたときに竿先が高い位置にある人に多く見られる症状で、餌木を止めている間に、ティップが下がってしまいます。

こうなると海中の餌木が下を向きがち。

アオリイカが餌木に抱きつきやすいのは、背を見せている状態ですので、アオリイカが餌木を抱きにくくなります。
 
対処法としては、シャクリ終えたときティップ上げた状態で止めず、リールを巻きながら、ロッドを下げて、水平やや下に構えることで改善します。
 
これはロングステイでなくては乗らないときなどを経験すれば、なお、実感できることだと思います。

処方箋2・ステイさせるときにブレてしまう人へ

シャクリで力が入るうえ、いつ、アタリがきても合わせられるように、ロッドを持つ手に力が入ってしまいがちですが、ステイさせているときにロッドを強く握ってしまうと、船の揺れでティップも揺れやすくなり、餌木が不安定になってしまいます。
 
指の間にリールのフットを挟んで、手のひらにロッドを「乗せた」状態(ワイングラス持ち)で、船の揺れをかわすようにするといいでしょう。

釣行の写真

(上)アタリを待つステイの間は、いかに船の揺れをかわし餌木を安定させるかがテーマ(下)手のひらに乗せるように持つ

処方箋3・大ドモとミヨシに入った人へ

片舷並びのティップエギングで、船の両端に乗る人が真下に落とすのは船全体でオマツリを防止する観点からもったいないと言えるでしょう。
 
トモとミヨシの方は、船の後方、前方の、やや離れる位置に餌木を軽く投じるようにします。
 
そしてその隣のトモ2番、ミヨシ2番の人は、それぞれトモ寄り、ミヨシ寄りに投じます。
 
そうすると、4人分のラインが少なからず扇型に広がるため、胴の間の釣り人に絡むリスクが軽減します。

処方箋4・ステイの時間に迷ったら?

シャクリ終えた瞬間にアタることも少なくないため、アタリがないと数秒で再着底させてしまいがち。

秋にテンポの早い釣りでいい思いをしている人ほど、冬や渋いとき、ステイの時間を見誤ってしまいます。
 
アタリがなければ10秒は当たり前、20秒、またはそれ以上、ステイさせて、ようやく乗ってくることが、ままあります。

それだけに、いかに餌木を安定させ続けられるか、だからこそ構えるロッドの角度や握り方(処方箋1と2)が大切になるわけです。

処方箋5・ラインが隣と絡むときは

餌木を沈める際、ラインがフケ過ぎているとこのような症状がでます。
 
風が強いときなどは、餌木が沈む間、道糸を放っておくと、大きくカーブを描くように出てしまいます。

この、余分なラインがオマツリの元になるので、ラインが大きくカーブして出てしまったら、スプールに軽く指をあててラインを止め、真っすぐになってから落とし直します。
 
たとえば水深30mなら、30mまではスプールを押さえて、離して、を繰り返してラインが真っすぐになるように出していき、30mを過ぎたら、海面にラインを置くように出して、その動きで着底を見るようにします。

釣行の写真

ラインが風で大きく流されるときは時折指で止めてラインを立たせてから再び落とす

イカ先生が贈るティップエギングの処方箋

処方箋6・ロッドの長さに迷う人へ

簡単にいえば、短いロッドは軽く取り回しがいいものの、海が悪いときに波や船の揺れを吸収するのが難しくなります。

逆に、あまり長いと重くなりがちです。
 
そのバランスから現在では全長2mほどが、様ざまな状況に対応できる専用ロッドの長さとなっています。

処方箋7・シャクリで疲れてしまう人うまくシャクれない人へ

シャクリで疲れてしまう人や、うまくシャクれないという方の多くが、ロッドが左右にブレる症状が出ています。 

ロッドがブレてしまうと余計な力が必要になるうえ、ロッドの性能を発揮し切れないため餌木が思うようにアクションせず、結果として、アオリイカの乗りが悪くなります。
 
ロッドブレを改善するには、まず、ラインとロッドが一直線になるよう確認してください。
 
そして次に、体が、ラインとロッドの方向を向くように、つまり、ラインの伸びていく方向に対して直角になるよう構えてください。
 
一見、舷側から直角にラインが出ているように思いますが、わずかでも角度が付いていることがあります。
 
そして、正しい姿勢が取れたらシャクリのチェック。
 
シャクったときに、ラインが海面に入っている場所がどうなっているか、見てください。
 
もし、ほとんど飛沫が上がっていなければ大丈夫。

あなたのシャクリは疲れず、効果的に餌木を動かせています。
 
もし、飛沫が派手に上がっていたらそれはロッドをシャクリ上げるときに左右にブレていたり、ティップを下げ過ぎて、ラインで海面をすくい上げてしまっています。
 
しっかり、力強くシャクったとき、ラインの入水点に飛沫が上がらないように、ロッドと体の角度を確認し、ロッドを真っすぐ上にシャクリ、下げ過ぎないよう、練習してみてください。

処方箋8・女性でもできる握り方と構え方は?

性別にかかわらず、力が弱い方は無理に手首でロッドを動かそうとせず、腕と肘を使って、大きく動かすように意識してみるといいでしょう。
 
その際、ハンマーを持つときのように、しっかりと上からグリップを握ってみてください。

最初はぎこちない動きになるかもしれませんが、慣れてくると不必要な力が抜けてくるはずです。

釣行の図

手首だけでなく肘を使ってしっかりシャクってみよう

処方箋9・緩めて張る!がシャクリの近道

シャクリがぎこちなくても、餌木がアクションしていればアオリイカにアピールできます。

ただ、慣れていない方に多く見られる症状が、餌木の動きにメリハリがないケースです。
 
ゆっくりと餌木が動くだけでも釣れることがありますが、やはり一瞬でも、餌木が跳ねるように動かせることが理想です。
 
そのために最も簡単な方法が、ロッドを下げるときに少しだけラインを弛ませて、パン!と弾くように、鋭くシャクる方法。 

イメージとしてはベルトを折り重ねて、緩めて、勢いよく引っ張って、パン!と鳴らすときの、あの感じです。
 
たるんだラインにパン!とシャクリを入れると、海中の餌木はトリッキーにダートします。

この動きが、アオリイカの捕食スイッチを入れます。

釣行の写真

(上・中)振り幅が小さい人はなおさら「一瞬ラインをたるませてシャクる」ように意識してみよう(下)ライン、ロッド、体の向き。シャクリは姿勢が大切

処方箋10・合わせに迷う人へ

さわりがアタリ。

すべてアタリ。

即合わせがティップエギングの基本です。
 
合わせは鋭く、でも、大きくロッドを振り上げるような合わせは必要ありません。

シャクリと同じぐらいの上げ幅で、鋭く、まさにシャクるように合わせてみてください。
 
そして掛からなければ、巻き上げずに即、再着底させてください。

釣行の写真

ロッドの向きと姿勢を意識するだけでもシャクリがスムーズになる

処方箋11・シャクるときにラインが絡む人へ

シャクリでロッドにラインが絡むと、ティップの破損にもつながるので注意したいところです。
 
ティップにラインが絡みがちの方を診断してみると、原因はロッドを「下ろすとき」にあります。
 
シャクったロッドを下ろすとき、ラインにかぶると、ティップがすくい上げるようにして絡みます。

先ほど(処方箋7)は「ラインとロッドを一直線に」と言いましたが、ロッドを下げるときは、わずかに右か左に逃してやるとライン絡みを防止できます。
 
つまり、シャクリ「上げ」はラインとロッドを一直線に、ロッドを下げるときは左右にわずかに振る。

ということです。

シャクリの極意はラインの入水点で見極める

今回のクリニックに参加してくださった皆さんは、ほとんどが経験者。

その中で最も多かったのが「シャクリ」に関連する悩みでした。
 
最後に、それ以外で特記すべきことを補足しておきます。
 
当日は昼前に風が緩まり、船長が30m台のピンポイントを狙うようになると、それまで40g以上の餌木でなくては底ダチを取りにくかったのが、軽い餌木でも取れるようになり、その途端、30、25gと、軽い餌木に連続してアオリイカが乗り、帰港までその傾向が続きました。
 
同じ条件であれば、軽い餌木のほうが上下動や竿先のブレが出にくく、アオリイカが抱きやすい。

「餌木は色より重さを頻繁に替えるべし」という、イカ先生の言葉が実践された一幕でした。

釣り人の写真

強くシャクってからのロングステイ、で5杯目を釣り上げた宇塚さん

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隔週刊つり情報(2021年1月1日号)※無断複製・転載禁止

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