地味がメチャ楽し餌木スミイカ
餌木で釣る東京湾のスミイカ、通称「餌木スミイカ」は、中オモリと小型の餌木だけのシンプルな仕掛けを使い、釣り方も簡単なのでファンも多い。
スミイカの釣期は秋~春までのロングランだが、餌木の仕掛けは中オモリ10号前後と軽いため、ポイントの水深が浅いシーズン初期に限定され、おおむね年内いっぱいが目安となる。
11月上旬現在、餌木スミイカの乗合を出しているのは、千葉県側の船橋から湾奥各地、神奈川県側では横須賀エリアまで数多い。
今回釣行したのは10月30日、船宿は東京湾奥羽田のかみや。総勢18名と盛況で、7時半に出船して中ノ瀬へ向かった。
水深は15m前後。
ポツリポツリとスミイカが乗って、300g前後が上がり始める。
潮があまり動かないせいかその後もペースは変わらず、スッテ仕掛けを遠投して広く探っている方の釣果が目立つ。
乗りが上向いてきたのは午後1時を回り、潮が動き出したタイミングに合わせて木更津沖の20m前後へ移動してから。
餌木仕掛けでまめにタナを取り直している方に連続ヒットし、400~500gの良型も交えて盛り上がった。
15時に沖揚がりとなり、釣果は200~500gをトップ7杯。
潮が流れず全員に行き渡らなかったものの、翌日は潮も動いてトップ21杯と復調、目下はトップ10杯前後で安定している。
なお、かみやでは、スミイカとイイダコを一週間ごとに入れ替えて出船中。
直近では11月13~19日がスミイカウイークとなる。
さて、ここからは都築謙治船長に教わった餌木スミイカの仕掛けや基本釣法を紹介していこう。
東京湾の餌木スミイカは11月がベストシーズン
出典:
竿は穂先が軟らかく鋭敏な餌木スミイカ専用竿のほか湾フグやシロギス竿も
餌木スミイカ釣りに使用する竿は、穂先が柔らかなオモリ負荷10~15号の先調子で、根元に向かって張りを感じるものが好ましい。
アタリを素早く感知し、合わせもきちんと利かせるための専用竿、あるいはシロギス竿や湾フグ竿の硬いタイプでも問題ない。
使用するリールは小型の両軸がベストで、道糸はPE1.5~2号を推奨。
かみやでは、合わせ切れを避けるためやや太いタイプをおすすめしている。
仕掛けは通常オモリ10号が基本となるが、潮流が早い場面では15号の使用もある。
ハリスの太さはあくまで3~4号で、その長さは1.5m。
餌木スミイカ釣りのコツは、底ギリギリで餌木を保持することで、そのためにはハリスの長さを正確に算出して結ぶことが重要。
餌木は、スミイカの大きさが小さい10月頭までは2号も使用されるが、大型化する11月以降は2.5号が一般的。
カラーバリエーションでは、オレンジ系とピンク系の下地がマーブル色のものが定番。
どの状況でも安定して釣果が見込めるようだ。
餌木スミイカ基本仕掛け
おすすめ餌木
東京湾の餌木スミイカの定番および船長のおすすめはプレミアムアオリーQ2.5号
出典:
餌木スミイカ仕掛け
中オモリは10号前後。餌木は2.5号、オレンジとピンクを中心に各種用意しておきたい
出典:
餌木の接続
餌木の動きがよくなるように餌木との接続はスナップなどは使わず、フリーノットで結ぶ。ループの幅は5mmほど
出典:
こまめにタナを取り直し穂先が止まったり違和感があれば合わせる
投入の合図が出たら、船下に仕掛けを投入。
着底したら糸フケを取ってタナを取る。
餌木を底スレスレに泳がせるため、ハリスが1.5mなら中オモリを底から1m上げた位置がタナ取りの基準となる。
その方法は海面に向けた竿先を水平に持ち上げるか、リールで巻き上げるかの2通りあり、やりやすいほうで構わないとのこと。
「潮が速いときは餌木が浮き上がりやすくなるので80cmと低めに、潮が流れていないときは底から1.2mと高めに中オモリを上げて、底上20cmを餌木が泳ぐように微調整することが大切です」と船長。
釣り場は平たんな砂地だが起伏はあるので、20秒に1回のペースでタナを取り直すことも肝心。
餌木はシャクって動かすことによりイカにアピールするというイメージが強いけれども、スミイカにおいては餌木をシャクらない(動かさない)で釣る。
シャクって大きく餌木を動かしてしまうと、スミイカが警戒して乗りが悪くなるという。
タナを取ったら動かさずにジッと待ち、餌木の自然な浮遊感でアピールする。
アタリはビミョーで竿先がわずかに重くなる場合が多い。
「船の揺れや風などでわずかに揺れていた穂先が一瞬ピタリと止まります。これもアタリです」と船長。
竿先に違和感や何か変化を感じたら、両手で竿を支え、大きく立てて即合わせする。
「タイミングよく合わせが決まると、イカの眼の下のあたり、足の付け根のやや上にカンナが刺さります。これが少しでも遅れると、足の先、触腕の順にズレていき、さらに遅れるとスッポ抜けてしまいます」と船長。
一見地味にも見えるが、竿先の小さな変化などのアタリを取って合わせるところが餌木スミイカのだいご味。
11月はスミイカのサイズもアップし、新しい群れの回遊も期待できるので入門にもうってつけ。
この冬、チャレンジしてみてはいかが?
餌木スミイカの釣り方イメージ
取り込みは竿を置き、中オモリをつかみハリスをたぐる
出典:
餌木が墨で汚れたら歯ブラシやタオルできれいにしておく
出典:
墨を浴びない取り込み方
①餌木をつかみ、甲を手前に向けておく②親指と人差し指頭部の付け根をつかみ餌木を外す③甲の後ろ端に出ている棘(きょく)はハサミでカットする(持ち帰るときビニール袋が破けないようにするため)④海水の張ってないオケの底へ静かに置く
出典:
投げて広く探れるスッテ釣りも盛況
かみやの餌木スミイカ乗合は、餌木仕掛けのほかスッテ仕掛けもOKとしていて、当日は乗船者の半数近くの方がスッテ、もしくは餌木スミイカとの併用で楽しんでいた。
仕掛けは胴つき式でオモリは20~25号。
スッテは浮力のある8cm前後の魚型スッテなどでカラーはオレンジかピンクが定番。
枝ス、捨て糸とも30cmにするが、仕掛けが絡まるときは枝スをオモリ1個分の5~6cmのばすといい。
釣り方はアンダーハンドで前方へ仕掛けをキャストし、着底したら糸フケを取る。
オモリを底に着けたまま10秒シェイクしてスッテを踊らせたら、30cmほどシャクって空合わせを入れる。
イカが掛からなければゆっくり仕掛けを下ろして誘いを繰り返し、船下まで探ってくる。
「アタリはほとんど分からないけど、シャクったときにズシッとくる衝撃がたまらない」と当日スッテ仕掛けを使っていた方がたは口をそろえていた。
遠投して広範囲を狙えるのがスッテ仕掛けの利点
出典:
スッテ仕掛け例
胴つき仕掛けのスッテ釣りイメージ
船長のおすすめはヨーヅリのウルトラスッテ布巻き。受付で購入できる
出典:
釣り船予約サイト「釣割」のスタッフがオススメする釣り船はこちら!
【東京都スミイカ船】人気ランキング
【東京都スミイカ船】価格ランキング
隔週刊つり情報(2021年12月1日号)※無断複製・転載禁止