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【秋の餌木あそび】餌木スミイカ

隔週刊つり情報編集部

釣り物として乗合船の看板に掲げられる「スミイカ」は、ほかのイカよりも墨を大量に吐くために付けられた通称。

標準和名はコウイカで、その名のとおり胴内に大きな硬い甲を持つ。

東京湾の釣期は秋~春、シーズン初期は100g級の小型も交じるが、これからの時期は300g以上が主体となり600g級の良型も交じる。

スミイカは美味なイカで、和食ではお寿司や天ぷらのネタの定番。

イタリアのイカ墨料理は主にこのコウイカ類の墨が用いられる。

ちなみにスミイカ釣りで交じる通称モンゴウイカ(カミナリイカ)もコウイカ類で、大型は2㎏以上になる。

見た目は似ているが、胴に一文字のハンコを押したような模様があり、エンペラの基部が緑色(スミイカは金)だ。

さて、東京湾のスミイカの釣り方はシャコエサの「テンヤ釣り」と餌木を使う「餌木スミイカ」の2つの方法があるが、仕掛けと釣り方はまったくと言っていいほど違う。

オモリ20~25号のスミイカテンヤにシャコエサを付け、専用竿を使ってシャクリを繰り返すテンヤ釣りに対して、今回スポットを当てる餌木スミイカの仕掛けは10号前後の中オモリにハリスを介して餌木を結んだもので、シャクらずに止めて待ち、小さなアタリを取って合わせる。

ただ、餌木の仕掛けは軽いため、餌木スミイカ船が出るのはポイントの水深が浅い10~11月が中心で、スミイカが深場に落ちる年内一杯が目安となる。

今回釣行したのは10月17日、船宿は浦安の吉久。

餌木スミイカに熱心な峰岸英人船長が出船前に行う仕掛けや釣り方のレクチャーは、とてもていねいで分かりやすいため、ビギナーも安心してトライできる。

ここからは、峰岸船長のアドバイスを踏まえて餌木スミイカの仕掛けや基本釣法を紹介していこう。

釣り人の写真

東京湾の餌木スミイカは11月がベストシーズン

イカの写真

大貫沖でモンゴウイカ(カミナリイカ)が交じった

釣り人の写真

峰岸船長は出船前に、スミイカのぬいぐるみを使って釣り方や墨を浴びない取り込み方などをていねいにレクチャーしてくれる

釣行の写真

餌木スミイカの主な釣り場は、中ノ瀬~木更津沖、海堡周り、大貫~竹岡沖などの水深10~20m前後

竿は竿先が鋭敏な餌木スミイカ専用竿のほかシロギスや湾フグ用も

餌木スミイカ専用竿は、オモリ負荷10~15号前後の先調子で、スミイカが餌木に触れる小さなアタリを表現する鋭敏かつ柔軟な竿先と、しっかりと合わせが効く張りのあるバットを持つ。

このスペックに該当する竿は意外と多く、硬めのシロギス竿や湾フグ竿、ライトゲームロッドなどが使えるので、手持ちの竿ですぐに始められる人も多いだろう。

リールは小型両軸で道糸はPE0.6~1.5号。

軽いオモリで糸を立てて釣るため、1.5号よりも道糸が太いと速潮時に釣りづらくなる。

PE1号以下の場合は糸の強度を保ち手前マツリを防止するため、リーダーとしてフロロカーボ
ン4号を1.5mほど結ぶ。

仕掛けは中オモリ10号前後(速潮時は15号を使うことも)で、ハリスはフロロカーボン3号1.5mが標準。

餌木スミイカの釣り方は底スレスレに餌木をキープするのが基本となるため、ハリスは正確に計って結んでおこう。

餌木のサイズは2~2.5号。

釣れるイカの平均サイズが100~200g程度の小型が多いシーズン初期は2号、300g以上が主体になる11月以降は2.5号が標準となる。

カラーは定番とされるピンクとオレンジ系を中心に、そのほかパープルやオリーブなど暗めの色があれば万全。

スミイカはアオリイカほど餌木による乗りの差はないと思われるので、予備も含めてピンクとオレンジ系各2本、暗めの色を2本ほど携行すればいいだろう。

当日の乗船者は2名で午前7時に出船し、1時間ほど走って木更津沖に到着、水深12mで流し始める。

開始間もなく、左胴の間の永見さんが250g級のスミイカを釣り上げる。

餌木は2.5号のオレンジ系。

しかし後が続かず筋を変えて流し直すと、再び永見さんが200g級を上げたがこの流しも単発だった。

峰岸船長によると、スミイカは船を流し始めて最初の1杯目が上がるとバタバタッと続けて乗ることが多いそうだが、今年はまだ群れが固まっていないのか乗っても単発が多いらしい。

その後も流し変えを繰り返し、永見さんは200g級のモンゴウイカと同級のスミイカを追加して順調だ。

餌木スミイカ基本仕掛け

竿の写真

(左上)餌木スミイカは専用竿のほか様ざまな竿が使える。当日はマゴチ竿、シロギス竿、浅場用のマルイカ竿、ゲームロッドを持参して船長に使いやすい竿を選んでもらった(右上)「この4本ならどの竿でも対応できるけど、やっぱりオモリ負荷が10号前後で竿先が軟らかい竿のほうがアタリが取りやすいよね」。そう言いながら船長が選んだ竿はシロギス竿とマゴチ竿だった(左下)リールは道糸PE0.6~1.5号を巻いた小型両軸を使う(右下)ハリスと餌木の接続はエギスナップなどの金具類を使用せず、餌木のサルカンに直接ハリスを結ぶ方法を推奨

エギの写真

(上)中オモリは10号、餌木のサイズは2.5号が主力でカラーはオレンジとピンク系が定番(下)ハリスはフロロカーボン3号が一般的だが、船長の推奨ハリスはナイロン4号。ナイロンハリスは潮になじんで餌木の姿勢が安定すると言う

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こまめにタナを取り直し・疑わしきは合わせるべし!

図1・餌木スミイカのタナ取り

餌木スミイカの釣り方は、タナを取ったら動かさずにジッと待ち、竿先の小さな変化=アタリに即合わせする。

タナは中オモリを底からハリス分上げた位置が基準で、中オモリを着底させ、糸フケを取り、1mごとの道糸のマークを目安に中オモリを1~1.5m上げてタナを取る。

タナの取り方は図1の「リールで巻き上げる方法」と「竿先を上げる方法」の2通りがあるが、峰岸船長は竿を上げてタナを取る方法を推奨。

このほうが、どれだけ底から中オモリを上げているか分かりやすいことと、ゆっくり中オモリを着底させられるため、タナを取り直す際も餌木の姿勢が安定し、臆病なスミイカに違和感を与えない、というのが理由。

リールで巻き上げる場合は、竿を水平にした状態でタナを取った後、竿先を下げるとタナが変わってしまうので注意しよう。

なお、主となるポイントは平たんな砂地だが、少なからず起伏はあるので15~30秒に一度のペースで底ダチとタナを取り直すことが重要。

タナを取ったらジッと餌木を動かさずにアタリを待つ。

アタリは微妙で、たいていは竿先がモタッと重くなる、いわゆる「モタレ」程度の場合が多い。

竿を水平に向けたまま、両手で竿を支えて竿先に神経を集中させ、風や波による動きとは違うなんらかの変化をとらえたら、シュッと鋭く竿を立てて合わせる。

変化を感じたときに乗りを確かめるための「聞き上げ」は厳禁。

聞き上げてイカが乗っていた場合、竿先を上げきった状態では合わせしろがなく、巻き上げ中にバレることが多いためで、「餌木スミイカのアタリは微妙だから、合わせたとき空振りするのは当たり前。

空振りが恥ずかしいなんて言ってると釣れませんよ!」と峰岸船長は言う。

釣行の写真

スミイカのアタリは微細。タナを取ったら竿先に集中し、小さなアタリに即合わせ。疑わしいときは空振り覚悟で合わせてみる

図2・餌木スミイカのアタリから合わせまで

その後は北風が吹き出して波が高くなり移動となる。

20分ほど走って風裏の大貫沖に到着すると海は穏やかで釣りやすそうだった。

曇天のすき間から日が差し始めた12時半過ぎ、永見さんが小型のモンゴウイカを釣り上げた。

朝からアタリがなく、流し変えのたびに船長にアドバイスを求めていた左トモの立見さんの竿が曲がった。

上がってきたのはモンゴウイカ、600g級の良型だ。

立見さんは、教わったとおり、まめにタナを取り直してもアタリがなかったそうだが、船長のアドバイスで新品の餌木に交換した途端に乗ったとのこと。

餌木は船で購入したアオリーQ2.5号のバレンシア(オレンジ)だった。

その後はアタリが遠のき再び移動。

海堡周りに到着し、水深18mで再開。

ここで立見さんが待望の本命、100g級のスミイカを釣り上げ、14時半に沖揚がりとなった。

峰岸船長によれば11月は餌木スミイカのベストシーズンで、サイズアップとともに新たな群れの回遊も期待できるとのこと。

この秋、シンプルだが味わい深い餌木スミイカを楽しんでいただきたい。

釣行の写真

(左上)スミイカのタナは底スレスレだが、餌木が海底を引きずるようでは低すぎる。仕掛けを上げて餌木にゴミが付いていたら少しタナを上げよう(右)取り込みは、中オモリを取ってから餌木をつかみ、スミイカの水管のある腹を海に向ける(左下)イカ釣りの相棒「歯ブラシ」は餌木スミイカでも必需品

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隔週刊つり情報(2019年11月15日号)※無断複製・転載禁止

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