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[吉岡進の新世代沖釣り方程式(第7回)]東京湾コノシロパターンのシーバス(SEAWOLF/神奈川県本牧港)

隔週刊つり情報編集部

東京湾ではなじみ深い釣り物であるシーバスが、一年のある時期、別の顔を見せる。

ランカーサイズがボコボコと顔を出すコノシロパターンだ。

ビッグベイトを追い回すシーバスをキャッチすべく、ヨッシーが巨大なルアーを投げる。

海面が炸裂するその瞬間のために。

先生◆よしおか すすむ

新型コロナウイルスの感染予防に最大限配慮しながらも、忙しく全国の船に乗り、多くの沖釣りファンたちとの交流を楽しむヨッシー。

船を下りてからもそのまま竿を担いで陸っぱり。

タックルさえあれば永遠に釣りし続けているのではないかという、夏休みの少年状態。

今日もどこかで竿を振っている。

生徒◆たかはし ごう

幼稚園のころから沖釣りをしているはずなのに、いつまでたっても上達しない「永遠の初心者」。

釣りそのものより海に浮かんでいることに喜びを感じている様子で、うまくなる気配なし・・・。

コノシロパターンのシーバスってどうやって釣るの?

20cm前後のコノシロを捕食し、丸まると太ったシーバスをルアーで狙う。

ベイトに合ったサイズのルアーを・・・ということで、コノシロに近いサイズのビッグベイトを使うのが定番。

食ってくるのは70~80cm級の大型シーバスが中心だ。

魚の写真

デカいコノシロをたらふく食っているシーバスは、丸まる太ってズッシリ重い。これがトップで食ってくるのだ!

魚の写真

(左)コノシロの群れ(右)コノシロ

ランカーサイズのシーバスを狙っていざ出船!

どデカいルアーをブン投げて、巻く。

また投げて、巻く。

その繰り返しだ。
 
ガボッ!
 
静まっていた海面が突如として割れ、姿を見せるのは大口を開けたシーバスだ。
 
デカい!
 
強烈な引きとエラ洗いをかわしながら、ジッジジッとドラグ音を立ててリールを巻く。

硬いロッドが大きくしなる。

パワフルだ。
 
多摩川河口、羽田空港滑走路が間近に見える。

飛び交う旅客機の真下で、そんなスリリングな釣りが展開するのだからたまらない。
 
東京湾の釣り物としては身近な存在だったはずのシーバスが、まるで外海の青物キャスティングゲームのような緊張感に包まれる。
 
例年、東京湾では主に10~12月にかけてシーバスがコノシロパターンに突入する。

全長20cmを超えるコノシロが大群で浅場に押し寄せる。

それを捕食しようと、デカいシーバスが集結するのだ。
 
80cmオーバーのいわゆるランカーサイズがザラ。

だから、使うルアーもデカい。

竿もゴツい。

都心の街並みが至近に望める東京湾の釣りにしては異質のパワー感なのである。
 
ヨッシーが横浜本牧のチャーターボート、シーウルフに乗り込んだのは11月19日のことだ。

コノシロパターンは中盤から終盤に差しかかっていたが、内田信吾船長が多摩川の河口付近のポイントにボートを着けると海面直下はコノシロで埋め尽くされていた。

「いつ見てもスゴい・・・。コレに遭遇できるだけでもワクワクするよね」とヨッシーも武者震いだ。

釣行の写真

釣り場は多摩川河口の水深10m前後

さっそく全長22cmのダウズスイマーを投げる。

シーバサーの間では人気のビッグベイトで、コノシロパターンに対応する専用ソルトカラーが用意されている。
 
このルアーの重さは3.6oz、約100g。

竿をしならせてキャストするというより、アンダーハンドでふんわりと放り投げる。
 
バッシャーン!
 
大きな音を立てて、30mほど先の海面にダウズスイマーが着水する。

迫力満点だ。
 
ルアーの背中にはピンクなどの派手なカラーが使われている。

海面から直下を泳ぐ様子を、釣り人にしっかり見せるための配慮だ。
 
ヨッシーはダウズスイマーを目で追う。

早巻きでS字を描かせてシーバスにアピールし、スッと止めて食わせの間を作っている。

「ダウズスイマーはただ巻きでもアクションしてくれるルアー。でも晴れているときは、シーバスにルアーを見切られやすいんだ。だから止めることで反射的に食わせる狙いだ」
 
投げる。

巻いて、止める。

巻いて、止める。

静かな時間が続く。
 
ガボン!
 
ヨッシーの読みどおり、ダウズスイマーを止めた瞬間にシーバスが食いついた。

薄濁りの海が波立ち、緑色の光を放つ。

「いいね!」

内田船長の顔がほころぶ。
 
上がってきたシーバスは、84cmの見事なランカーサイズだった。

丸まると太っている。

撮影の間、ヨッシーは「重ッ!」と顔をゆがめながらもうれしそうだ。
 
静から、いきなりの動へ。

「この釣りは、0か100。出ないときはなかなか出ないけど、出たときはデカいんですよ」と内田船長。

その言葉どおりのギャンブル性が高い釣りだ。
 
コノシロが無数に泳いでいるからといって、シーバスが絶え間なく食ってくるわけではない。

この日は割と渋め。

決して多くはないバイトやチェイスを分析して次のアクションに生かすという、冷静な繊細さも必要だ。

「豪快に見えて戦略的。それがこの釣りのだいご味なんだ」

この日、3本のビッグシーバスをキャッチしたヨッシーが笑った。

釣り人の写真

重っ!

タックルの方程式

100gのルアー=ゴツいタックル

投げるルアーは「ビッグベイト」と呼ばれるほどで、デカくて重い。

今回使ったジャッカル・ダウズスイマーは22cm、約100g。

コレを投げられる竿はそう多くない・・・。

最近は専用竿も増えてきたが、ブラックバス用のビッグベイトロッドに使えるものが多い。

ベイトリールが主流だが、スピニングもOK。

シマノなら4000番クラスが最適だ。
 
PEは少なくとも2号、リーダーはナイロンの50lbを使用。

実際に投げてみると糸にもかなり負担がかかっていることが分かると思うので、不安ならもうワンランク太くしてもいい。

釣り人の写真

ヨッシーはベイトタックルを使用。キャストするのでルアーが着水する直前にサミングできることが前提条件だ

釣り人の写真

タカハシゴーは手持ちのシイラ用ロッド+スピニングリール。竿の反発をできるだけ使わずに投げればなんとかなる!

ヨッシーのシーバスタックル

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ルアーの方程式

海面、表層、宙層狙いが基本3タイプを用意しておきたい

フローティングタイプのビッグベイトが基本。

コノシロに合わせて、20cm前後のものを選ぶ。

値段もそれなりにするので頑張りどころだが(笑)、根掛かりするような釣りではないので、そうそうロストしないという安心感はある。

カラーが重要なので、晴天で明るいとき用のナチュラル系、曇天や雨天で暗いとき用の派手なチャート系、2種類は用意したい。
 
今回使用したダウズスイマーは引くとダイブするタイプ。

海面でしか食ってこないときもあるので、フローティングタイプのペンシルベイトも持っておこう。

また、さらに宙層を狙うために大型スピナーベイトも効果的。

スピンテールジグがハマるときもある。

海面狙いのフローティングペンシル、表層狙いのビッグベイト、宙層狙いの巻き物、という使い分けだね!

ルアーの写真

(左)サイズも動きもコノシロパターンに最適だ(右)空の明暗でナチュラル、チャートを使い分け

ルアーの写真

宙層を引く巻き物が威力を発揮することも

ルアーの写真

(左)キャスト時の安全性を高めるためにフックのカエシをつぶしてバーブレスに(右)22cmのダウズスイマーより、コノシロのほうがデカい・・・。決して大げさではないのだ

魚の写真

コノシロ丸飲みなんてにわかには信じがたいが、このビッグマウスを目にすれば納得!

先生が教える基本釣法

シーバスがルアーにどう反応するかを見極めよ!

基本動作はカンタン。

投げて巻くだけだ。

ピンポイントを狙う釣りではないので、キャストがそれほど正確でなくても大丈夫。

投げてただ巻きさえできればだれにでもチャンスがある。

一方で、投げて巻くだけじゃ釣れないときもあるのがこの釣りの面白さ(笑)。

今回も、早めの巻きでアピールし、止めで食わせの間を作るパターンが有効だった。

引いてくるときは必ずルアーをよく見て、シーバスがどう追ってくるかを確認。

それに合わせての微調整は必要だ。

船ベリまで追ってきたときは、竿先を突っ込んで激しく8の字を描くと食ってくることも。

このときも闇雲にガシャガシャするのではなく、食わせの間を意識することが大事。

釣り方の図

(上)アンダーハンドでルアーの重みを竿に乗せてふんわりと投げる(下)リーリングの速度を変えてシーバスが反応するアクションを探す

釣り方の図

(左)足元でバイトすることがあるので最後まで集中(右)シーバスがルアーを追ってきたら竿先を海面に突っ込み8の字。緊張の瞬間!

釣行の写真

アタったら即合わせが基本。しっかりフッキングさせよう

コノシロパターンの釣り方例

生徒なりのお気付きポイント

頑張って投げ続ければいいことが待っている!

ホントに釣れたときには思わず大笑い! 

内田船長の「信じて投げ続けるんだよ」という言葉に従ってよかった。

釣果は一日投げとおして1本。

魚の様子に合わせて微調整&ルアーチェンジするヨッシーに完敗・・・。

でも、ジギングでは簡単に釣れる印象だったシーバスが、価値ある1本になることが分かったよ。

釣り人の写真

信じて投げ続けてよかったぁ~

【番外編】コノシロの泳がせ

どうしても姿を見たいときの最終ウエポン!

コノシロの群れはいるものの、ナブラは起きず、肝心のシーバスがなかなか姿を見せない。

「ホントにシーバスいるの?」状態に。

試しに内田船長がコノシロの泳がせ釣りをしたところ、文字どおりの入れ食いに。

シーバスいた・・・。

がぜんテンションが上がり巻きに力が入ったのは確か。

ヨッシーの実釣レポート

まったりムードの中から狙いどおり引きずり出す

穏やかで気持ちよく晴れた当日、シーバスもまったりムード? 

コノシロの大群もゆったりして追われている緊張感がなく、状況としては渋かった。

それでもコノシロの群れには必ずシーバスが着いている。

早巻き+止めのアクションでどうにか引きずり出すことができた。

また、サッと雲が湧き空が暗くなった瞬間、「これならルアーを見切られないぞ」とスピナーベイト型のビッグベイトを投入! 

狙いどおり1投目で食わせることができたのは最高に痛快だったよ! 

ルアーのデカさに目を奪われるけど、実は状況に応じた調整がすごく効く釣りなんだ。

釣り人の写真

(左)雲で太陽が隠れるとチャートカラーのメガロドーンにチェンジ。スローリトリーブでヒット!(右)ダウズスイマーをストップ&ゴーさせて仕留めた84cmのシーバス

東京湾・コノシロパターンのシーバスの解

的確な状況判断+アクションの工夫=釣果

食い気が立っていればただ巻きでもボッカンボッカン釣れるけど、散発的に食っているときは工夫が必要だ。

シーバスは泳ぎ下手(笑)。

一方のコノシロは泳ぎ上手。

シーバスはコノシロに逃げられてしまうことがほとんどのようだ。

弱って食べやすそうなコノシロを演出するつもりでアクションをつけよう。

今回は止めが有効だったけど、クイックな巻きが効くこともある。

シーバスにルアーを見切らせないためにも、アクションに工夫を!

釣行の写真

この1本に出会うためにビッグベイトを投げ倒した

東京湾のシーバスジギング

簡単なようで実は奥深い冬の風物詩

エキサイティングだからぜひ多くの皆さんに楽しんでほしいコノシロパターンだけど、ルアーは高いしタックルはゴツいしでそれなりにハードルは高い。

でもご安心を。

冬場のシーバスは深場で群れをなすのだが、これをジギングで狙うシーバスジギングはとってもイージー。

着底→巻き上げ→フォールでたいてい食ってくる。

もちろん釣果を上げるには工夫が必要。

コノシロパターンは横の釣りだが、ジギングは縦の釣り。

縦方向でもやはり食わせの間を作ること、そしてルアーを見切らせないことが重要なんだ。

簡単なようで奥深いジギングにもぜひトライしてほしいな!

ジグの写真

テールバランスのジグを使いフォールで食わせる

船宿インフォメーション

【東京湾奥・横浜本牧】SEAWOLF

TEL:045・624・4887

2~3人が最適なチャーターボート! 

船外機船は浅場のシーバスにプレッシャーをかけにくいので、コノシロパターンには非常に有効だ。

内田船長は経験豊富でアドバイスも的確。

何よりも明るく楽しい雰囲気の中、笑顔で釣りできるのが最高だ。

オレも(若干)仕事を忘れて楽しんじゃいました。

仲間内で仕立てればちょっとぜいたくなひとときが味わえるね! 

シーウルフではシーバスだけではなく、クロダイ、アジなども狙う。

小回りの効くボートを駆使して、今まで知らなかった東京湾の姿を見せてくれる。

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