【キンメ】田渕雅生に聞く!新島キンメの勘どころ
キンメが食べておいしい魚であることは釣りをやらない人でも知っているだろう。
とくに南伊豆出船で狙う新島沖周辺のキンメは「伊豆きんめ」「トロキンメ」「日戻り金目鯛」などブランド化されている。
そんなけっこうなお値段のするキンメを自分で釣れば、思う存分食べられるというわけ。
とはいえ、そこはやはり名だたるキンメ。
どうしても難しそう、自分にもできるかな?という不安は付きまとう。
基本的には船長が色いろ教えてくれるので初心者が初めて一人で行ってもできる釣りだが、釣り慣れたベテランが同行してくれればなお安心。
というわけで今回は、毎月のように当地のキンメ釣りへ通っているエキスパート、ダイワスタッフの田渕雅生さんに実際の取材を通してあれこれ伺ってみた。
一緒に釣行してもらった気分になって読み進めていただきたい。
Profile
田渕雅生(たぶちまさお)
小物から大物、深海釣りまでなんでもこなすマルチアングラー。
「ブチさん」の愛称で親しまれる。
ダイワスタッフ。
初心者はフルレンタルの利用もあり
隔週刊つり情報船宿データベース加入の船宿で新島海域のキンメ釣りを釣り物欄に掲げているのは下田須崎港の宝栄丸、八倉丸、稲荷丸、番匠高宮丸、南伊豆手石の愛丸の5軒。
各船宿ともフルレンタルの用意があるから、道具がない、仕掛けが作れない、といった人でもチャレンジ可能。
ちなみに今回取材した番匠高宮丸を例にすれば、通常の乗合料金は2万1000円。
道具はあるけど仕掛けがないという人には乗船料+一日分の仕掛けとエサが付いたセットがあり、こちらはハリ数により2万8000~3万1000円。
道具も仕掛けもないという人にはすべてがセットになった、いわゆるフルレンタルで3万1000~3万4000円。
各船宿でセット内容や料金は変わってくるから予約時に確認していただきたい。
深海釣りは、実際の釣りよりも事前の準備が大切で、それが初心者には高いハードルとなる。
レンタルセットは料金はかかるけれど、初挑戦の人や年に数回しか釣行しない人にとっては強い味方になる。
新島沖のキンメは職漁でも狙うブランド魚だから竿入れ時間やハリ数、休漁日など細かい取り決めがある。
出典:
レンタルを利用する人には出船前に船長が道具の扱いや投入方法などを教えてくれる。
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新島キンメのタックルと仕掛け
何回か釣行するうちにキンメ釣りにハマれば、いずれは自分のタックルで、自分の作った仕掛けで釣ってみたくなるのが釣り人。
ということでまずは田渕さんの使用タックルを紹介すると、竿はマッドバイパー深海のMH195もしくはM200。
最近はMHのほうを愛用しているそうだが、ウネリのある日などは跳ねを抑えられるMを使うこともある。
竿に関して必要な要素を田渕さんに聞くと、タックルを手持ちにする釣りではないので、根起こしできるバットパワーと、アタリを目感度でとらえられる感度のよい穂先が重要とのこと。
リールはシーボーグ1200MJで、PE10号を900m巻いている。
これまではマリンパワー3000やミヤマエ9番などにPE12~14号を1000~1200m前後巻いておくというのが一般的だったが、最近は潮切れのよさなどからPE10号を使う人も多いようだ。
強度的にはPE8号でも問題ないが、PE12号とオマツリしたときに擦れによる高切れのリスクが高まるとのこと。
いずれにしろ、以前よりもよりコンパクトなタックルで新島キンメが楽しめるようになっている。
道糸の先にはバラシ防止で4mm径1mのクッションを入れ、仕掛けをコントロールしやすいよう40~60号の中オモリを付ける。
これらはなくても構わないが、あったほうがいいとのこと。
レンタルタックルには含まれないので、使いたいなら持参する必要がある。
仕掛けはナイロンハリスで、幹糸30号、枝ス14号、ハリはムツ19号。
枝間は上10本が2m、下10本が1.5m。
枝ス長は短くて72cm、長くて90~100cmを多用する。
捨て糸は一般には12~14号だが、なるべくオモリを回収するため少し太めの18号5mとしている。
エサはこのところスルメイカが高価で入手しづらいということで、取材日はカツオのハラモとサケの皮を使用。
エサを付けた仕掛けを通常4~6組用意、残りは船上で巻き直して使っているそうだ。
田渕さんの竿は根起こしできるバットパワーと目感度に優れた穂先を持つマッドバイパー深海。リールはシーボーグ1200MJ。今やこんなコンパクトなタックルで本格的な深海釣りができてしまう。
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(上)今はクッションゴムを付ける人が多いとか。(左下)エサを付けた仕掛けにビニールなどをかぶせる。(右下)使わない分はクーラーへしまっておく。
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(左)ハリ数は20本まで。慣れない人は15本でもOK。(右)中オモリは40号か60号が標準。マニアは状況で20号や80号も使う。
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シケの日も多いから、釣り場へ着くまではタックルを船ベリへ立てかけ縛っておいたほうがいい。
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投入は慌てず落ち着いて
南伊豆のキンメ釣りは、おおよそ右舷に並んでの片舷流しで、船長の合図でミヨシから順番に投入していく。
釣り場に着いたらまず仕掛けの準備。
捨て糸の先へ鉄筋オモリを付け、先端を道糸へつなぎ投入合図を待つ。
投入は基本的に竿よりミヨシ側に立って行う。
投入後に船は後進するので、仕掛けはミヨシ側に入り込んでいく。
竿よりトモ側で投入してしまうと、治具から出ていく仕掛けが竿や道糸に引っ掛かってしまう。
船長から合図があったらオモリをポチャンと海面へ落とせばいいが、このとき田渕さんがアドバイスしてくれたのがオモリの向き。
慣れた人なら鉄筋を真っすぐ落とせばいいが、抵抗がないため仕掛けが勢いよく出ていってしまう。
初めてだとここで驚いて思わず治具を握りしめてトラブルになったりする。
鉄筋を横向きに落とすと、最初は軽くスイングしながら落ちていくので、仕掛けが飛び出る初速を落とすことができるので慌てなくて済む。
無事すべてのハリが治具から出たのを確認したら、リールのクラッチを切ればいい。
釣りの流れは至ってシンプル
新島沖は潮の流れの速い日が多い海域。
状況によっても変わるが、基本的にはオモリを底へ着けたまま、仕掛けが浮かないように道糸をどんどんのばしていく釣り方になる。
船長がアナウンスする水深などを参考にまずは着底を見極める。
よほど潮が速くなければオモリがトンッと底を打った感触が分かるはず。
ここで一度余分な糸フケを巻き取るため電動リールのスイッチを入れ5~10m巻き上げる。
最初に仕掛けをしっかり立ててから送り込んでいったほうがアタリは出やすいと田渕さん。
再び仕掛けを着底させてからは、アタリがあってもなくても、オモリをズルズル引きずるように仕掛けをたるませていく。
中オモリを使ったカワハギのたるませ釣りのようなイメージで、道糸を潮に乗せるような感じでキンメのいる層へ仕掛けを入れていくといいそうだ。
実はこの仕掛けの送り込み具合がコツになる。
基本的にはアタリがあったら枝間分の1.5~2mずつ送り込んでいくが、潮の流れによってはアタリが分からなかったり、早めに送り込んだほうがいいときもある。
慣れないとそのさじ加減が分からないかもしれないが、とにかく仕掛けが張っているよりもたるんでいたほうがアタリは出やすいと覚えておきたい。
だいたい500~600mも道糸をのばすと、船長の合図でミヨシまたはトモから順番に巻き上げ開始。
このときにはすでにオモリが根掛かりしていることも多いから、ドラグを目一杯締めて電動リールで巻き上げる。
穂先が一瞬フッと起き上がると捨て糸が切れた合図で、これがいわゆる根起こし。
電動リールの力だけで切れないときは、そのまま待っていれば船長が船で引っ張って切ってくれる。
無理に電動で巻き上げるとリールに負担がかかりすぎるので注意したい。
巻き上げスピードを田渕さんに聞くと、ダイワのリールで18~20くらいとのこと。
ドラグは両手で道糸を強く引っ張ったときに巻き上げが止まるくらいに調整している。
バラシを防ぐために大切なのは、一定のスピードで巻くことより、一定のテンションで巻き続けることだそうだ。
仕掛けが巻き上がったら、あとは取り込み。
再利用を考えないのであれば、足元へどんどんたぐり込んでいけばいい。
仕掛けの回収が終わったら、次の投入へ備えて新しい仕掛けをセット。
移動中や次の投入が終わってから魚を外したり仕掛けを処分する。
新島のキンメ釣りは着底→送り込み→巻き上げの繰り返しと釣り自体は至ってシンプル。
あとは毎投入、確実に仕掛けを入れていけば、一日8回の投入のうち、何投かはチャンスが巡ってくるはずだ。
スプール軸が埋まってくると巻き速度も変わるので微調整をお忘れなく。
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魚が付いていればとにかく船内へ。取り込みで外れてもすくえるよう周囲の人で協力してタモでサポートする。
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釣ったキンメは血抜きしない
せっかく釣れた極上のキンメ、大切に持ち帰っておいしく食べようと血抜きをする人もいるかもしれない。
しかし血を抜くと一緒に脂も流れ出てしまうので、そのまま海水氷の効いたクーラーへしまっておくだけのほうがいいとか。
氷絞めしたらビニール袋に入れて、身を海水に触れさせないようにする人もいる。
(左)釣れたキンメは血抜きしないで氷の効いたクーラーへ入れておけばいい。(右)海水に触れないようビニール袋へ入れる人も。
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使用済み仕掛けの処理
取り込み終わった仕掛けは、大きめのビニール袋などを用意していったんその中へ入れておき、移動中など手の空いた時間に再利用できるサルカンや付けエサなどを取り除く。
なおレンタル仕掛けの場合でも、付けエサだけは外しておくのがマナーだ。
エサ代もバカにならないので再利用する人は多い。
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【隔週刊つり情報(2022年2月15日号)※無断複製・転載禁止】