ロッドセレクトが明暗を分ける!最新にして最強のカワハギ釣り入門
数ある沖釣りのターゲットの中で、カワハギは最も繊細にして深淵な釣技が要求されるターゲットだ。
アサリのムキ身を付けエサにした胴突き仕掛けで狙うのだが、そのエサを掛け値なしにcm単位で動かし、その速度や水中挙動を使い分けて「本アタリを引き出す」さまは、どんな釣りとも比較にならないテクニカルな魅力を秘めている。
がまかつフィールドテスター田中義博さん(写真右)と鶴岡克則さん(写真左)の2人は、最激戦区の東京湾で鎬(しのぎ)を削るカワハギのトップアングラー。
この釣りのメッカとされる東京湾では、コロナ禍の前には大メーカーが主催する年間サーキットがある競技会が開かれ、ハイレベルな戦いの中から、さまざまなスタイルのカワハギ釣りが生まれてきた。
タックルの進化も著しく、特にロッドのセレクトは、釣果の明暗を分ける重要なテーマとなっている。
この釣りの奥深さは、カワハギ釣りだけで1冊の本が書けるぐらいだが、今回はその最前線で活躍する2人に、カワハギ釣りにおける最新にして最強の戦略を解説してもらおう。
解説 がまかつフィールドテスター・田中義博&鶴岡克則
写真・文 大山俊治
押さえておきたいカワハギ釣りの「理(ことわり)」
カワハギは「エサ取り名人」とか「海の巾着切り」と呼ばれるほど、ハリに掛けるのが難しい魚だ。
その理由はカワハギが(魚類では少数派の)伸縮しない小さな口を持ち、最新鋭のドローンのように海中で自在にホバリングしつつ、上下4枚の鋭い前歯でエサを削りながら、強力な吸引力でエサを吸い尽くすことにある。
だから、近代的なタックルが生まれる前は(ハリに掛けて)釣るのではなく、エサに寄ってきたところを大きな掛けバリで引っ掛けるしかなかった。
それが戦後になって、三浦半島の夫婦橋の船宿とそこに通う釣り人たちによって「アサリのムキ身」という特エサが発見されることで「難しいからこそ面白い」と多くの釣り人を魅了し、今日の隆盛を迎えることになった。
そんな歴史の中でも画期的だったのが、カーボンロッドと1号以下という極細PEラインの誕生で、爆発的な手感度の上昇により、これまでは最上級の和竿(和竿は古竹を使った高価なものほど手感度が高い)と名人しか感知できなかった超微妙な「前アタリ」が多くの人にも感知できるようになり、ここから指数関数的にカワハギ釣りの釣技が向上していくことになったのだ。
前記のようにカワハギという魚は、口の構造と接餌のメカニズムからいえば、何かの間違いでもない限り「向こうアワセ」では掛からない魚だ。
しかし、アサリのムキ身が持つ強力な集魚力と高感度なロッド、熟成を重ねた最新の鋭いフックがあれば、ひと昔前に比べれば、釣りの難易度は大幅に下がっているともいえる。
入門する前にまず覚えておきたいのは、どんな攻め方をする場合でも「カワハギをハリに掛けるための理(ことわり)」である。
この釣りでは単に仕掛けをぶら下げておけば、釣れないカワハギを「誘い」によって興奮させてエサを追わせ、仕掛け(とそれに連なるハリス)のテンションを微妙に緩めることでハリを口の中に吸い込ませ、それを感知することでアワセを入れてフッキングを完了させることができるのだ。
その時の「釣れるパターン」とは、誘いの緩急やスピード、エサの位置=タナ(これはcm単位で変わる)のバランスが、その時の状況(カワハギの活性、水深等)にマッチした時に初めて再現性のあるものとして成立するのである。
つまり他の釣りよりも「竿の調子や仕掛けをどう使うか」という釣り人に求められるスキルの比重が非常に高い釣りなのだ。
ハリの大きさや形状、数cmのハリスの長さの差が大きく釣果に影響し、「集器(しゅうき)」と呼ばれるアトラクターパーツや先糸や幹糸に付ける「中オモリ」の重さの違いでも「エサ取り名人」との知恵比べに勝つことはできない。
だからこそ「最適解は無限にあります。だからこそ面白い!(田中義博さん)」、
「カワハギとの駆け引きは、海の中で見えないけれど、ルアーを使ったサイトフィッシング(見釣り)にも似ています。だからパターンを見つけた時は快感なんです(鶴岡克則さん)」
と言うようにエキスパートたちが、この魚に夢中になるのだ。
その一方で、カワハギ釣りは軽く高感度で取り回しのいいタックルを使い、エサも入門者が苦手なイソメなどの虫エサを使わないことから、ビギナーや女性アングラーにも非常に人気が高い釣りだ。
かつては出船前に自分で剥くのが当たり前だったアサリも、今はムキ身で購入できる船が増えて入門の敷居は大幅に下がっている。
竿頭を取るには、それなりの覚悟?が必要だが、秋~冬の本格的なシーズンになれば不思議なことにボーズも案外少ないし、外道も含めてアタリは頻繁にある釣りなので、実は誰にでも楽しめる手軽さもあるのだ。
釣期は周年に渡るが、ベテランは最も難易度の高い夏から大型狙いで通い詰める。
一般的には、越冬に備える荒食いが始まる秋~初冬が入門のチャンスだ。
うれしいことに超高価なハイエンドロッドでなくても「カワハギ竿」の平均的な戦闘力は年々向上している。
専用タックルさえ揃えれば十分に楽しめる釣りなので、ぜひ挑戦してみてほしい。
入門における竿選びから「ロッドマネージメント」へ
カワハギ釣りに入門する時、最も重要なことは必ず専用竿を使うことにある。
釣れるパターンを探るうえで、極先調子で高感度にして仕掛けの操作性が高い専用竿は、この釣りの楽しさを知るための必須アイテムだ。
ただし、ビギナーがいきなりハイエンドクラスのロッドに手を出すのは勧められないので注意したい。
「ハイエンドモデルは、車に例えればF1カーで、使う側にも相当な経験値が要ります。
究極の感度と操作性を融合したアクションなので、簡単にいえばアワせるタイミングにもかなりの慣れが必要なんですよ。
これが分からないとアタリを弾いて、かえって釣果が下がってしまいます。
今は目感度と手感度を高次元で融合させつつ、使いやすいアッパーミドル級の竿も増えてきました。
最初に選ぶならまずはこれです」と田中さん。
その代表格が、二人が愛用する『がま船シーファングカワハギ』シリーズである。
「この竿を初めて使った時は、本命のカワハギはもちろん、外道も含めて魚を“釣ってくれる”感がすごくて、びっくりしましたよ(笑)。
どのモデルも本当に使いやすい。
テスターとして、入門者から上級者まで自信をもって勧められるシリーズです」と鶴岡さん。
全3モデルの配備は、通常でいう軟調が179SS(センシティブセンサー)、中調が176AR(オールラウンド)、硬調が174AC(アクティブコンタクト)という配備となるが、2人はこの3本を常備して、誘いの緩急や強弱を使い分ける「ロッドマネージメント」を最も重要な戦略の柱にしている。
「竿を使い分けることで、確実にエサの見せ方を変えることができますね。
シーファングカワハギは、重心がリールシートに設定されて3本のモデルの操作感は共通なので、違和感なく竿を使い分けることができるんですよ」と田中さん。
「シリーズの基準で幅広い釣り方に対応する176AR、誘いのレスポンスと手感度を優先するなら174AC、食い込みを優先する、エサの動きの角を取るなら179SSという立て付けの配備で3本あれば万全です」と鶴岡さん。
なお、カワハギ釣りには大別すると後述のように船下を釣る「縦の釣り」と、投げて仕掛けを斜めにして使う「横の釣り」があり、一般的には前者が硬めの竿、後者に軟らかめの竿が向くとされているが、これも一概にはいえないので注意。
だから入門者にもおススメなのは「176AR(オールラウンド)」というのが2人の統一見解だ。
これを使い込みながら、さらなる戦力アップを目指す時に、「179SS(センシティブセンサー)」と「174AC(アクティブコンタクト)」のどちらを選ぶかはその人次第。
最終的には、軟調、中調、硬調の竿をTPOで使い分ける自分なりの「ロッドマネージメント」を完成させることが、カワハギ釣りの大きな軸になっているのである。
ハリなどの仕掛け類の準備
カワハギ釣りでは、オモリの上の幹糸に2、3本のハリを配した「胴突き仕掛け」が使われる。
余談だが「胴突き」という仕掛けの名称は、カワハギ釣りで確立されたもので、これはこの釣りの黎明期に基本となったオモリで底を叩くような動作が、地盤を固める作業の「胴突き」を思わせることに由来しているそうだ。
ベテランは自分の釣りに合わせたエダスの位置や接続パーツの重さ(これも重要な要素)で自作の仕掛けを使っているが、入門者は、エダスの交換が容易な接続具が付いた3本バリ仕掛け(大抵は替えバリ付き)から始めてみよう。
これに別売りの替えバリを組み合わせるのが基本のスタートキットだ。
仕掛けの本体(幹糸+替えバリ)2~3組に替えバリ(だいたい30本入り)をワンパックが、常備する仕掛けの最低ラインだ。
この釣りはハリ先の鋭さが命なので、ぜひとも信頼できるメーカーのものを選びたい。
がまかつ(Gamakatsu) 競技カワハギ仕掛 AT(ナノスムースコート) FK-144 3.5-2.
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なお、カワハギ釣りのハリには独特の形をしたハゲバリ系、吸い込みを重視した丸セイゴまたはカイズバリ系、幅広い状況に対応できるチヌバリ系の3系統があるが、名人上手が鎬を削るジャンルとあって、メーカーはさまざまな意匠を凝らした派生モデルがある。
田中さんも鶴岡さんも『がまかつ/競技カワハギ』からハゲバリ系の「速攻」、カイズバリ系の「くわせ」、チヌバリ系の「AT(オートマチック)」の3種を状況に応じて使い分けている。
この3種のハリ、「速攻」はハリ先が口に入ったタイミングで自ら掛けにいくハリ、「くわせ」は吸い込みを重視し飲ませて乗せるハリ、「AT」は、ハリ先が開いているため吸い込んだ瞬間に初期掛かりが始まる特性がある。
2人も含めてベテランは3本バリの胴突き仕掛けに、特性の違うハリを混合で使う人が多い。
「私は縦の釣りで狙うことが多いので、夏~秋は3本バリの上2本は、ハリス2.5号6㎝の“速攻”4号、下の1本は、ハリス2号6㎝の“くわせ”4.5号から始めることが多いですね」と田中さん。
「自分はできる限り投げて“横の釣り”で獲りたい人なので、上は“AT”の5号ハリス2号10㎝、真ん中は“くわせ”の4.5号ハリス2号6cm、下が“速攻”の4.5号ハリス2号10㎝から始めますね」と鶴岡さん。
2人ともハリは号数、ハリスの長さ違いで100本以上は替えバリを用意しておくのは共通だ。
本命、外道にかかわらず、ハリは2、3尾の魚を釣ったら交換がベテランの鉄則なのだ。
「ハリスは同じハリでも理想的にはハリスの長さが違う6・8・10cmの3種類は欲しいですね。これだけでも大きくエサ挙動が変わって、アタリの出方が変わってくるんですよ」と鶴岡さん。
カワハギ釣りにおいて、オモリは非常に重要な集魚パーツ(エサよりも先にオモリに寄ってくることも多い)なので、2人ともフラッシング効果が高くカラフルな『がまかつ/競技カワハギ ヒラ打ちシンカー』の25・30号を使用している。
「このシンカーは底部に硬質なリベットが打ち込んであるので、底質を感知する能力が高いのでお勧めです。
縦の釣りで、オモリを底から離して竿を細かく弾くように動かすと、名前の通りよくヒラを打つので集魚効果も非常に高いですよ」と田中さん。
「扁平な形状なので、横の釣りでオモリを寝かせた時の安定感も抜群ですよ。色も釣れ筋が揃っています。自分はピンクが万能、パールホワイト=派手系、ゴールド=地味系を水色やカワハギの反応を見ながら色を使い分けています」と鶴岡さん。
なお、カワハギ釣りではさまざまな形の「集器(しゅうき)」があり、自重のあるものは中オモリも兼ねて使われてきたが、最近では手感度を優先して、中オモリは中オモリでしっかり比重のあるシンカーを使い、「集器」は微妙なアタリを消さない極力軽いものがトレンドとなっていることは覚えておきたいところだ。
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王道となる「縦の釣り」の戦略
船下を釣る「縦の釣り」は、カワハギ釣りの王道ともいえる釣り方である。
これを大別すれば、オモリを底に着けて仕掛けを張らず緩めずの状態で使う「ゼロテンション」、中オモリや「集器」の重さで幹糸を緩め、さらにはエサを底に着けてしまうこともある「たるませ釣り」、オモリを底から浮かせてタナを探る「宙の釣り」に大別されるが、一連の動作でこれを組み合わせる釣り方もあり、とても書ききれないほどのバリェーションがある。
いずれも竿の操作=縦の動きで、エサにさまざまな演出を行うために編みだされた釣り方だ。
これは集魚効果の高いアサリのムキ身を動かすことで、ベラやトラギスといった外道から守りつつ、好奇心が強く外道よりも相対的には早い動きについてくるカワハギを選択的に釣るためのメソッドでもある。
この一番顕著な例は竿を細かく激しく振って外道を追い払い、止めた瞬間にカワハギに飛びつかせ聞きアワセで乗せる「叩き釣り」という釣り方だ。
オモリよりも上にエサが付いている胴突き仕掛けは、幹糸のテンションの変化がダイレクトにエサに伝わるので(だからこそ微妙な前アタリも感知できる)、単純にオモリで底を小突くだけでも、幹糸が張る⇔ゆるむを繰り返すことで誘いと食わせの間を交互に作る形になるから、ビギナーはまずその誘いからスタート。
ベラやトラギスが掛かってくるなら誘いのピッチを早くするか、オモリを動かしながら竿で仕掛けをゆっくり持ち上げ、同じように動かしながら底に戻す(これを誘い下げともいう)ことを繰り返してもいい。
なお、どんな誘いをかけるにしてもカワハギ釣りの前提として、エサを小さなハリにしっかり丸く付けてやることが基本の基本。
船宿でムキ身を購入したら、海水で洗ってヌメリを取り、食塩か専用のフォーミュラーで軽く締めておくとエサの劣化を防ぐとともに付けやすくなるので覚えておこう。
気温の高い時期には、エサは必ずクーラーに保管して、小出しにして使うようにしたい。
アサリエサの一般的な付け方
なお、多彩な「縦の釣り」の一例として、ここでは田中さんが気難しい「夏ハギ」を爆釣した時のパターンを公開してもらおう。
夏のカワハギは産卵を意識したペアリングの最中で、大型のオスはライバルと争いながら、産卵に適した場所をキープしつつメスを奪う時期だ。
その闘争はかなり熾烈で、競争を勝ち抜いた大型のオスはたいがいヒレをライバルに噛み切られて欠損し、傷だらけで釣りあがることも珍しくない。
「だからカワハギは群れを作らずピンスポットに1尾ずつ点在している状態になります。
エサを奪いあうこともないので、相手が大型でも前アタリも非常に微妙ですね。
産卵の好適地は根の切れめの砂地で、アタリが出るのもその周辺です」
田中さんはオモリ1個分だけ底を切り、フワフワとしたタッチで底を小突きつつ底質の変化を丹念に探っていった。
「根にぶつかるかその切れめが見つかったら、一気に30~50㎝仕掛けを持ち上げてから激しく叩きながら誘い下げて、海底からオモリ1個分のタナに戻して止めアタリを待ちます。
集中して待っていると、ハリの軸を噛んだ(ヤスリでハリ先を擦るようなタッチだとか)「本アタリ」が出るので、これを躊躇せずにアワセにいきます。
大型のオスがいるスポットは、外道のアタリが消えることでも分かります。
竿に慣れてくると仕掛けの周辺にまとわりつく気配(竿先が微妙にモタれるような感覚だとか)も分かるので、それを感じたらリフト&叩き下げに入ることもありますよ」と田中さん。
一連の動作を解説すれば、カワハギの眼前でリフト&叩きながらの誘い下げで強烈にアピールしてスイッチを入れ、竿の手感度を活かしてハリを吐きだす前にアワセをいれるエキスパートならではメソッドである。
当日は、オモリと仕掛けの間に『がまかつ/蒲克工房底集魚板』を入れてから快進撃が始まった。
竿は同じ攻め方でも前半が硬めの「174AC」、後半は「176AR」がフィットしたようで、「これぞカワハギ釣りの神髄!」と喝采を送りたくなるほど快進撃。
上級者でも5尾も釣れば上出来の時期に18~27cm18尾。
船長も脱帽の一幕であった。
田中さんの「縦の釣り」におけるストロングパターン
ライバルに差をつける「横の釣り」
鶴岡さんが得意とする「横の釣り」は、仕掛けをキャストすることで広範囲を探り、水中の仕掛けが斜めになることで可能になる誘いを駆使する釣り方だ。
「カワハギって、エサを追わせて下を向いた瞬間が、一番素直にエサを吸い込んでくれるんですよ。投げて探れば、船下を釣る人とは違う魚を狙えるから、不利な釣座でもカワハギが獲れる釣り方なんですよ」と鶴岡さん。
仕掛けを振り込むように投げることは誰でもやるが、鶴岡さんの「横の釣り」は、圧倒的な飛距離が特徴だ。
カワハギ釣りで、ここまで仕掛けを飛ばす人(20~30mは普通に投げる)はなかなかいない。
その投法はルアーフィッシングでいえば「ピッチングキャスト」になるが、聞けばカワハギ釣りと並行で、現在も現役でバスフィッシングのトーナメンターだそうで、その飛距離も納得だ。
なお、一般的には「横の釣り」は、竹岡沖などの比較的フラットなポイント(つまりは根掛かりが少ない)で行うことが多いが、鶴岡さんは、『がま船シーファングカワハギ』の感度と操作性を活かして、久里浜や剣崎などの根周りの釣りでもガンガンキャストして釣る。
「自分の経験では、高低差が2m以内の根周りなら、しっかりオモリをコントロールしてやれば、かなり投げて釣ることができます。さすがに3mを超える根がある場所は、ラインが途中で根に当たってしまうので、少し控えめにしますけどね(笑)」
鶴岡さんは遠投する「横の釣り」でも、感度と飛距離を優先して、道糸はPE0.6号。
先糸は取らず、3号の幹糸を長めに取り道糸を直結するスタイルで狙っている。
鶴岡さんの「ピッチングキャスト」
キャストした仕掛けが着底したら、リールを持っていた右手(鶴岡さんは左ハンドル派)で竿尻を包み左手でリールを保持する「スナイパースタイル」にフォームを変える。
「このスタイルは両手でタックルを保持するので、1日やっても疲れないんですよ。
竿のストロークも広くとれるから、遠投する横の釣りには最適です。
アワセもしっかり利くので、リールを巻くのは竿を持ち替えてからでも大丈夫なんですよ」と鶴岡さん。
誘いの種類は2タイプで、着底したオモリを竿でリフトして、半円の軌道で横の動きを作る「リフト&カーブフォール」と、オモリを底に着けたまま竿でオモリを「起こす寝る」を繰り返しながら動かし、底をトレースしてくる「根歩き」である。
「カーブフォールは縦の釣りではできない横移動に反応させる誘いで、竿一杯にリフトして、持ち上げたオモリが着底したら食わせの間で張らず緩めずでアタリを待ちます。広い範囲をテンポよく釣る釣り方ですね」
一方の「根歩き」は、横の釣りの根幹ともいえる戦略で、これができるから根周りでも横の釣りが可能になる。
「この釣りは着脱可能なスプリットシンカーを必ず使います。
通常は仕掛けの上のほうに付けますけど、上から2つめの枝間に付けたり、2つ打つこともあります。
同じように竿を動かしても、エダスの近くにオモリを打つとエサの動きに切れが出て全く違う誘いになります。
ここぞというスポットではオモリを止めたまま動かす⇔止めるを繰り返すことも効果的ですよ。
スプリットシンカーは、0.5号から合計でも1号までが目安ですね」
投げて探る「横の釣り」でも、当然のことながら「ロッドマネージメント」が有効な戦略になる。
「横の釣り」=仕掛けを這わせる釣りというと、一般的には軟らかい竿を使う人が多いが、鶴岡さんの先発は硬調の「174AC」である。
「手感度が抜群のこの竿は、海底の形状を探る点でもピカイチです。
丁寧にキャストを繰り返していると、海底のアップダウンや根の形などが鮮明に見えてくるんですよ。
もちろんカワハギの反応を見ながら、エサの動きの角をとるなら竿を軟らかくしてやります」
これが鶴岡さんがいう「サイトフィッシングに近い感覚」で釣る、スピーディーでアグレッシブなスタイルなのだ。
なお、仕掛けの角度が斜めで、オモリが底に着いている時間が長い「横の釣り」では、「縦の釣り」のようにタナを切って外道を避けることができないのが難点とされるが、鶴岡さんは3本バリだがエサの位置を変えられるように、接続ビーズを4つ付けて対処している。
「外道が掛かってしまうのは、ある程度仕方がないことです。
それにトラギスなら、掛かってもおとなしいから、そのまま上げずに誘っているとカワハギを食わせることができる時もありますよ。
個人的には、投げ倒してカワハギのいる場所を見つけることに尽きると思います。
厄介なのが凄くしつこいキタマクラですね。
ただ、秋の最盛期はコイツの上にカワハギがいることも多いから、釣りを組み立てる目安にもなりますよ」と鶴岡さん。
これをさらに活かすために、鶴岡さんは2種類のフォーミュラでアサリエサのチューニングを行い「味」の面でもカワハギのパターンを探っている。
誰よりもアクティブに、エサをルアーのように動かして釣る鶴岡流の「横の釣り」は、最新タックルだからこそ可能になる。
現在カワハギ釣りを象徴するスタイルなのだ。
アタリを増やすエサのフォーミュラ
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