回りくどい説明抜きに、茨城の餌木タコで覚えておいてほしいことが、根掛かりはないけど「重さ」がハンパないということ。
竿釣りの餌木タコは軽快なイメージがあるかもしれないが、それは「深さ10m以浅」で「オモリ50号以内」を使い「マダコがそれほど重くない」ときの話。
茨城は違う。
「水深30m前後」
「オモリは60~80号かそれ以上」
そのうえ、「マダコは石を抱いてくる」のだ。
石を抱くマダコの重さはハンパない
石でそんなに違うの?と侮ることなかれ。
茨城のタコ釣りのメインポイント・那珂湊沖は丸石が転がる海底で、大きなタコほど高い確率で石を抱いてくる。
石を1個抱いているだけで1kgのマダコが2kgに感じ、石を2個抱いていれば3kg級の体感。
船が横流しであれば、糸の先に米袋を付けて持ち上げているような、ハンパない重さになるのだ。
そのため、茨城のマダコ釣りにきゃしゃな両軸リールや繊細な竿を持って行くと後悔することになる。
餌木タコ専用竿とタコ用リールがあればそれに越したことはないが、他の釣りの道具を流用するときが問題。
たとえば、手元にカワハギ竿とヤリイカ竿があったとする。
選択は、
× カワハギ竿
○ ヤリイカ竿
でいい。
次にリール。
ダブルハンドルの小型両軸と、ヒラメなどに使っている中型の手巻き両軸、そしてイカ釣りなどに使っている電動リールがあったとする。
選択としては、
× ダブルハンドルの小型両軸
○ 中型の手巻き両軸
○ 小~中型電動リール
となる。
電動に○というのは違和感があるかもしれないが、マダコが掛かったときはもちろん、仕掛けの入れ替えも重く、きゃしゃな小型両軸ではつらいことこの上ない。
実釣では、風任せ、潮任せの横流しが基本。
今回お世話になった日立久慈漁港の日正丸のように、オモリ80号で底を維持できないときにはスパンカーを立ててエンジン流しで対応してくれる船もあるが、原則として、オモリ80号でギリギリ底が取れるぐらいの流れになることは覚悟しよう。
大きなタコほど石を抱いてくるので重さ倍増。
出典:
テイルウォークのタコ専用リール「エランワイドパワーオクトパス」は掛け値なしで名機。迷ったら1台買っておきたい。
出典:
ゴツい竿とリールが大活躍
ほとんどの場合、自分の道糸は払い出すか、手元に切れ込むか、どちらかになる。
で、水深30m、オモリ80号である。
マダコ釣りは底をトントンと小づくように誘うのが基本だから、仕掛けを底に着け続けようとすれば、おのずと道糸を送り出すことになる。
那珂湊沖のマダコポイントはほとんど根掛かりがないから、道糸を出して仕掛けを引きずっても大丈夫。
道糸が切れ込む場合は船底にこすれる前に回収・再投入となるが、払い出す側は道糸を延ばし放題だ。
船長がそれほど潮が効いていないと言っていた取材時ですら、リールのカウンターは投入時30m、小づいているうちに60m以上、最大100m道糸を出した状態でマダコが乗った。
このときの潮の抵抗と仕掛けの重さといったら、空の回収ですら、ヤリイカやスルメイカ釣りに匹敵するほど。
道糸を出し過ぎて凧揚げ状態になったときの重さもキツイが、道糸が切れ込むからと入れ直すときも重い。
そのため、竿とリールはゴツく、電動リールがありがたかったりするのだ。
ちなみに、今回の取材では編集部イチの餌木タコ野郎・加藤智晴はシーボーグ300MJと海人・餌木タコ185を使用。
私はタコ専用リール、エラン・ワイドパワーオクトパススペシャルと、メタリア餌木タコ170の、いわば王道の組み合わせ。
この2セットを使い比べてみると、あまりの違いに思わず笑った。
誤解を恐れずにいえば、マダコ釣りにおける「巻き」は労働に近い。
これを機械に任せる電動タックルは、とにかく楽だ。
これでロッドキーパーがあれば置き竿でも釣れる。
だが、電動セットから手巻きセットに持ち換えると、驚くほど道具は軽く、小づく感触が楽しい。
つまり、
★小づきと乗りを楽しむなら手巻き
★楽に釣りたいなら電動
といえる。
投入時は30m足らずでも、小づきながら糸を出すとあっと言う間に60m超え。しかもオモリ80号で船に引かれているから、重さは相当なもの。
出典:
また、餌木については、ハッキリ言ってどんな餌木でも釣れる。
今回は1本、2本、3本付けを試してみたが、どれも釣れた。
傾向としては、3本以上餌木を付けても抵抗が増えて仕掛けがフケ上がりやすくなるので2本までで十分だろう。
また、餌木が多いほうがバレにくいと考えるものだが、1本でも2本でも、バレるタコはバレるし、バレないタコはバレない。
もし、釣果に差が出るとしたら、色やシルエットの大きさではないだろうか。
とはいえ、定番の白や黄色などの明るい色があれば十分だから、それほど迷わない。
でも、釣り師たる者、なんとか工夫を凝らして差を付けたくなるもの。
そこで豚のバラ肉を巻いたり、臭いを付けたりする。
ちなみに、サメの身や動物の脂身(つまり白い物体)は、明治期より各地のマダコの手釣り漁と遊漁に広く使われてきた。
それが創意工夫を重ね現代の餌木になった変遷を思えば、身エサを巻く行為は先祖返り、あるいは原点回帰。
道具は進化しても釣り人の考えることは同じ、というわけだ。
電動は道糸が払い出したときはもちろん、船下に切れ込むときも竿を両手で支えられるので断然楽。
出典:
常磐の餌木タコタックル&仕掛け
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