ユーモラスな姿と動き、一見釣りのウデの差が釣果に出にくい親しみやすさ、帰宅後の料理のオモシロさとウマさまで、マダコはイイダコ同様に「子供とワイワイ楽しめる」んじゃないか!と思わせる。
そりゃそうだ。小学校で夏の思い出に「マダコを釣って食べた」と書けば、ワイルドじゃん!脱出島みたいじゃん!となるかもしれない。
よし、マダコ釣りに行くぞ!と、巻末の情報欄を見れば、東京湾奥の船宿はズラリとマダコの文字、で、さっそく予約を取る。
そこまではOK。で、日程が決まったら準備(当日受付の船もあります)。これが大切だ。
あえてネガティブなこと書きますが餌木タコをなめると痛い目に遭います
まず道具について、浅場の釣りだからと、ライトアジ同様の感覚で行くと痛い目に遭う。
簡単に言えば「軟らかめ、軽め、細めはNG」。
加えて、レンタルタックルも期待しないほうがいい。
餌木タコと親しみやすいネーミングしているけれど、実情はかなりスパルタンで、根掛かり時には危険が伴うことをまずは頭にキッチリ入れておく。
もちろん、子供にも、だ。
手軽で簡単!に見えるけど、子供にはちゃんと教えないと釣れないぞ!
出典:
ではどんな道具がいいか?
まず、専用竿を持っていないのなら、ズバリ、ヤリイカ竿、ビシアジ竿など、頑丈で硬い竿を用意しよう。
リールはどうか?
カワハギなどで使っている軽量小型両軸は、根掛かりで切るときにハンパない力が加わって故障する。
専用機「エランワイドパワーオクトパス」のほか、中型の、安くてもいいので頑丈な両軸が一番だ。
なぜなら、道糸はPE3号以上、4~5号がいいから。それ以下の糸は根掛かるたび高切れして根起こし(つまり餌木回収)率が極端に低下するばかりか、大ダコでも切れることがある。
リーダーなしでもよいが(底の感触がよく分かるという人もいる)付けるならフロロ7~10 号だ。
餌木は何でも釣れる?財布にやさしいスナップ&遊動式リグ
肝心の餌木はタコ専用のほか、タコ用スッテ、アオリイカ用餌木など様ざまな物が使われており、どれも釣れる。
傾向として、タコ餌木は頑丈なカンナを装備しているため大ダコにも対応でき、スッテやアオリイカ用餌木は丸傘のため、小ダコが掛かりやすい反面、強度に不安の残る製品もある。
と、ここで小ダコについて触れておくと、関西の明石で100グラム以下のマダコ採捕が禁止されているように、東京湾でも小さすぎるマダコを逃がす人が増えている。
まあ、1杯も釣れていない人にガミガミ言うのはどうかと思うが、見習ってもいいはず。
また、根掛かりで失わないに越したことはないが、餌木は予備を多めに持参しよう。
仮に10本もなくしたら悪夢だし環境負荷も気になるが、最悪の事態を想定して準備だけはしたい。
餌木を接続するスナップ類は結構盲点になっていて、忘れちゃう人もいるので注意。
餌木タコスナップはとても便利なのだが、これが結構いい値段で、餌木同様サイフがどんどん軽くなる。
そこで、ダブルスナップ付きサルカン2個で済ませちゃう低コストアイデアが上図のA。
強度が心配ならスナップを大きくすればOKだ。
また、Bの遊動式も低コストかつ結構よく釣れる仕掛け。
ただ、餌木やスッテとの相性によっては根掛かりしやすくなるので、そんなときはやめておこう。
マダコ釣りは簡単の落とし穴
餌木タコ、テンヤに限らず、マダコ釣りが簡単だと言うのは大人の幻想だ。
アジやシロギス釣りなら「ブルブルと引いたら上げる」という黄金パターンで笑顔連発になるが、こと、タコ釣りに関して言えば、子供や釣り初心者は、「乗り」と「根掛かり」が分からないし「合わせる」ことが難しい。
だから、マダコ釣りではキッチリと釣り方をたたき込んでおかないと、釣れないばかりか根掛かり地獄に陥る。
では、シミュレーション。
まず、仕掛けが海底に着いたら、オモリ1個、または餌木の大きさ分、竿先を上げて、下げてを繰り返し、底を確認する。
これが「小づき」。
次に、海底に着いたときの感触を探る。
ガチガチと硬い感触は岩だから、道糸をたるませないよう、慎重に小づく。
トントンとソフトな感触だったら土なので、道糸が少したるむぐらいで小づいてもいい。
で、小づきを10回行ったら、竿を大きく持ち上げて、数秒止めてからゆっくり底に戻す。
これが「根歩き」。小づき10回、根歩き5~6秒、このコンビを基本にする。
さて、釣っているうちに船が動くと、道糸は斜めになってくる。
そんなとき、ガチガチと硬い感触だったらいったん仕掛けを巻き上げてから落とし直して、道糸が真っすぐになるようにする。
これが根掛かりを避ける基本。
そしてガチガチにせよ、トントンにせよ、小づけていたのが不意に小づけなくなったら……原因
は2つ。
①根掛かり
②マダコが乗った
まずは、①でも、②でも、慌てずに小さく小づく。
仮に根掛かりでも、慌てて引っ張り上げるより、やや糸をたるませるぐらいの気持ちで、小さく小づいて感触を確かめたほうがいい。
マダコならムニュムニュとゴムに掛かったような感じ、根掛かりならガシッと動かない。
最初は違いが分からないかもしれないが「ムニュ」だと思ったなら、ゆっくり、大きく、迷わず、合わせる!
ベリッと剥がれたらマダコ、ガチッと止められたら根掛かり。
根掛かりの場合は慌てて竿を起こさず、道糸を少し出して、軽くあおって外れないか試す。
道糸が太ければ運よく外れるが、ビクともしない場合は強硬手段で切る。
このとき竿を曲げるのは厳禁。
道糸を手に巻くのももってのほか。
必ず竿を真っすぐにして、リールのドラグをギッチギチに締めて、スプールを親指で押さえて真っす
ぐ引く。
これは子供や初心者には危険なので、まずは同行者がやってあげること。
以上、今回はネガティブな側面から餌木タコを解説したけど、準備を万全にして、何が危険か理解していれば、あとはマダコを乗せて、バラして一喜一憂するだけ。
思い切り楽しんできてくださいね!
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隔週刊つり情報(2020年8月15日号)※無断複製・転載禁止