一昨年から関東で人気が高まり、今やすっかりメジャーとなった釣り物が、関西方面から伝播した餌木によるタコ釣りだ。
そのため、各メーカーも専用のロッドやリールを続々発売。
その人気ぶりは東京湾から火が点き、茨城、外房、相模湾と各エリアに広まった。
今回取材した外房大原港の鈴栄丸では、フグ釣りの際にタコがよく掛かってきたことから昨年より餌木タコ専門乗合を開始。
今年は7月に入って餌木タコ船をスタートさせたところ、連日トップで10杯超えの好調を維持している。
実はこの私、餌木タコには若干の思い入れがある。
さかのぼること30年ほど前。
タコのテンヤ仕掛けで手釣りをしている横で、胴つき仕掛けにアオリイカ用の餌木を付けた置き竿を出していたのだ。
波の揺れで仕掛けが底をトントンしているところに、タコが餌木に抱き付くと、竿がギューンと締め込まれ、そこでエイッと思いっきり合わせて釣り上げる。
これで結構釣れた経験がある。
また、昔から日本人はタコを好んで食しているので、鮮魚売り場でも欠かせない食材となっているが、近年の高値には驚きを隠せない。
ならば釣るしかない。
しかも各沿岸の地ダコは輸入物よりも風味がよく、タコ飯は絶対に地ダコに限る。
そこで、7月下旬に釣友の河野さんと鈴栄丸に出かけた。
朝イチのマダコラッシュ
当日はタコ人気も相まって満席で午前4時に出船し、30分ほどでポイントの太東沖に到着する。
水深は12m前後で海底はゴロタ場となっており、そこにカジメが生えているようなフィールドで、船長に伺うとうれしいことに根掛かりして餌木をロストする心配は少ないらしい。
したがって、できれば遠投して小づきながらサビいて広く探ったほうが釣果ものびるとのこと。
さっそく斎藤船長から開始の合図が出て一斉に投入。
すると1投目から右胴の間の田中さんが、竿をしならせて巻き上げを開始。
仲乗りさんの差し出すタモに収まったのは1.2kgのマダコであった。
間を置かずに右トモ3番の佐藤さんもリールを巻き始め、こちらも1.5kgと申し分のないサイズ。
それを写真撮りしていると、「左舷でも3杯上がっているよぉー」と船長。
あまりの釣れっぷりにカメラが間に合わない。
慌てて左舷に回り込むと、胴の間の斎藤さんがちょうど2kg近いマダコを釣り上げていたので撮影をお願いすると、斎藤さんのオケの中にはすでにもう1杯のタコが収められていた。
タコが次つぎに取り込まれる。
右トモの田中さんが1kgクラスを釣り上げれば、娘の優奈さんは1.5kgを釣り上て勝ち誇った笑顔。
潮具合がよいのか?
まだ薄暗いので夜行性のタコが巣穴に潜らずにうろついているのか?
よほどタコが濃いのか?
答えは分からないが、怒とうの釣れっぷりだ。
釣り場は太東沖の水深12~15m前後
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ポイントは根掛かりが少ないゴロタ場が中心
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最初の1杯を釣った田中さん
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2kg級を上げた斉藤さん
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父娘で乗船した田中さんがまずは1kg級
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続いて娘の田中優奈さんが1.5kg級をゲット
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釣友の河野さんも2杯釣り上げていたのだが、500gほどの小型だったので、「写真サイズのタコを釣ってよ」と私が催促すると、ひときわ大きく竿を曲げて巻き上げ開始。
しかし海面でバレてしまい、「あ~、デカかったのに」と落胆の色を隠せない。
バラシの原因は海面まで巻き上げ、タモ取りを待つ間にラインのテンションを緩めてしまったため。
餌木のカンナにはカエシがないので、ラインを張っていないと外れることがあるのだ。
また、合わせが甘いと巻き上げ途中でバレることもあるので、力強くしっかりと合わせるのが鉄則だ。
こんな調子で開始から40分で右胴の間の林さんが5杯目を釣り上げ、どれだけ釣れちゃうのだろう、と思ったのだが、徐々にペースが落ちてきて移動となった。
小型といっても500gはある
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早朝の40分ほどで5杯を釣り上げた林さん
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難敵はカジメ?
水深15m付近で再開。
船は横流しで狙うため、道糸が船下に切れ込む舷と、払い出す舷が流し変えるたびに入れ替わる。
道糸が船下に切れ込む舷のときは、極力糸を送らないようにして反対舷とのオマツリ防止を心がけることだ。
ここでもマダコが釣れたのだが、朝の勢いほどではないので再び浅場のポイントに戻ると、7時過ぎからバタバタとタコが釣れてオデコがいなくなった。
しかし、その後はポツリポツリの展開が続いて、タコを求めて船長は頻繁に移動を繰り返す。
私も撮影の合間に竿を出す。
遠投し、小づきながらリールを巻いて探るとゴツゴツした海底の感触が伝わる。
時折グニーッと重みを感じてドキドキしてしまったが、これはタコの乗りではなくカジメに引っ掛かっただけ。
タコが乗った感触に似ているので非常に紛らわしい。
その後も、ポツリポツリで10時半の沖揚がりを迎えた。
釣果は0.5~2.5kgが1~8杯、平均で5杯ほど。
最近の大原としては低調だった原因は、台風8号のウネリが入りタコが巣穴に潜ってしまったためのようだ。
船長によると、8月一杯はタコを狙っていくそうで、9月以降も模様次第で出船するとのこと。
おいしい地ダコを求めて大原に足を運んでみてはいかがだろう。
タコ餌木とダミーのカニを縛ったテンヤを付けた仕掛けで乗せていた飯島さん
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ジギングタックルでもOK
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目下、大原のマダコは1~2kg級が頻繁に交じる
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餌木タコは女性にも人気
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帽子や日焼け止めなど熱中症対策は万全に
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知っ得!タコの生き絞め
タコもイカ同様に生き絞めすると身が硬くならず新鮮さを保てる。
生き絞めに使える道具は様ざまだが、私は写真の鳶口(とびぐち)を愛用。
タコの目と目の間に鳶口の先端を差し込み、グリグリひねって神経を切断すると一瞬で白くなって絞まる。
鳶口はホームセンターやネット通販などで購入できる
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当日の餌木タコ仕掛け
竿は餌木タコ専用ロッドのほか、ヤリイカ竿、スミイカ竿、硬めのゲームロッドなどが向く。
根が荒い場所では、オモリにハリス6号1~2cmを介して餌木用サルカンに付ければ、根掛かりしたときオモリだけ切れてタコ餌木のロストを軽減できる。
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隔週刊つり情報(2021年9月1日号)※無断複製・転載禁止