コマセ釣り&イワシエサ キハダ・カツオ必釣ガイド【前編】
今回の巻頭特集は、8月1日にスタートした相模湾のコマセ釣りのキハダ・カツオ開幕模様と、すでに豪快な釣果を上げているイワシエサのフカセ釣りをクローズアップ。 カツオがバリバリ釣れて…
隔週刊つり情報編集部PR
生きイワシを使った一本釣り&フカセ釣りの魅力はなんといっても食い気のあるナブラに遭遇したときに炸裂する釣果力だ。
船の周囲にまいたイワシを追う魚がガボガボ跳ね回り、左舷の一本釣り席では砲弾のようにカツオが飛び交い、右舷のフカセ釣りではカツオ・キメジはもちろん、複数本のロッドに同時にキハダがヒットするシーンも珍しくない。
群れが船に着く時間はそう長くはないが、そのわずかな時間は実に濃密。
まさに狩猟民族の血をわき立たせる釣りである。
今や希少ともいうべきイワシエサ船の乗合船を出す船宿は三浦半島葉山あぶずり港の秀吉丸、長三朗丸。
また三浦半島西部エリアに仕立船でイワシエサを受け付けてくれる船宿もあるので5ページの出船リストをご覧いただきたい。
目次
今シーズンはキハダ・カツオの群れの回遊がやや遅れていたようで、イワシエサ船は昨年よりおよそ1カ月遅れの7月からスタート。
連日の大雨とシケに見舞われ出船できる日は限られたものの、好日は20~30kg級のキハダが船中5本以上取り込まれ、カツオは6~8kg級の良型が上がっている。
生きイワシを使った釣りには一本釣りとフカセ釣りの2種の釣法があるが、ここでは目下のイワシエサ船で主力となっている、人気急上昇の通称「スピニングフカセ」に話を絞って解説していこう。
フカセ釣りはカツオ、キメジはもちろんだが、ほとんどのアングラーの狙いは一本釣りでは仕留めることができない大物、すなわちキハダが主たる狙いである。
フカセ釣りは今やスピニングタックルで狙うスタイルが主流。後にも述べるがこのフカセ釣りはいかにエサのイワシを元気よく自然に泳がせるかが最も重要なポイント。
イワシに極力負荷をかけずにリールから道糸を送り出すには両軸リールよりスピニングリールのほうが圧倒的に有利というわけだ。
スピニングリールは道糸PE5~6号を300m以上巻けるサイズ。高価ではあるが、MAXドラグ15kg以上の屈強な上位機種を選びたい。
ロッドはフカセ釣りやエビング対応キハダ専用スピニングロッドのアルファタックル「ヘッドクォーター・スピニングバウト215」(7ページ参照)のほか、マグロやヒラマサ用の丈夫なジギングロッドを使う人が多い。
ハリスはフロロカーボンの16号を道糸と直結する。スイベルなどの接続金具はNG。
これもイワシに負担をかけないためだ。
FGノットやPRノットなどの摩擦系の結びなら万全だが、今回取材で釣行した長三朗丸の栗飯原由巳船長は電車結びを推奨。
「これで全然切れないよ。むしろ摩擦系の結びのほうが抜けたり、切れたりのトラブルが多いね。電車結びは切れたときの結び直しも早いしね」と船長と常連さんらは口をそろえる。
テイルウォーク(tailwalk) KUROSHIO 63HGX 19074
DUEL(デュエル) フロロライン 16号 H.D.カーボン船ハリス 100m 16号 クリアー 船釣り H1015
ハリスは1.5~2m。
これ以上長いと道糸との接続部がリールのスプールに入り、仕掛けの送り出しの際に引っ掛かってしまうことも。
ハリはイワシにかかる負担を極力軽減させるためにヒラマサ系13号ほどの小さいハリを使うのが長三朗丸流。
そんな小さなハリで強度に問題はないの?
「でかいハリを使って釣れればそれに越したことはない。だけどそれではイワシが泳がないから釣れないんだよ」
そう言う船長のおすすめは、オーナーばりの「カットヒラマサ」13号。
このハリはキハダとのファイトでも、まずのびることはないと言う。
スピニングリール、ラインの直結、小さめのハリ、これらすべてがエサのイワシにいかに負担をかけず元気よく自然に泳がせるかを最優先に組み立てられたシステムである。
イワシエサ船の乗船までの流れは、長三朗丸を例にすると、船宿入り口に掛けられている釣り座ボードに名前を記入して釣り座を確保する。
このとき注意するのは、一本釣りとフカセ釣りではそれぞれの釣り座位置が分けられていること。
一本釣りなら左舷ミヨシ側、フカセ釣りなら右舷側と左舷トモ側となるので、当日の自分の釣法に合わせて釣り座を決めることだ。
受け付けを済ませたら、指示された乗船場へ移動。
エサの買い付けから船が戻ってくるまでしばしそこで待機。
戻ってきた船が着岸したら、速やかに自分の釣り座に入る。
水質が悪い港内に長時間留まっているとせっかく買い付けてきたイワシが死んでしまうからだ。
全員が乗り込んだら、すぐに出船となるので、このときくれぐれも忘れ物などしないように。
決まった釣り場などないゆえ、出船したらナブラを探しながら大海原をひた走る。
ナブラが見つかると船長は魚の進行方向を見定めながらゆっくりと船を接近させていく。
左ミヨシに立つ仲乗りさんが生きイワシをまく。
このまいたイワシにカツオ、キハダが食い付けば、「獲ったぞーっ!」のかけ声と同時に釣り開始となる。
イワシの付け方はマイワシであれば鼻掛け、カタクチイワシであればエラ掛けが基本。
カツオ主体の一本釣りであればカタクチイワシ、フカセ釣りでは遊泳力があるマイワシを主に使う。
フカセ釣りはいかにエサを元気な状態で送り込む(泳がせる)かが重要。
キャストするように竿を振って遠くへエサを投げ入れようとする人を見かけるが、その衝撃だけでイワシは弱ってしまう。
軽く振り込むにしても、ハリを刺したあと、竿先からぶら下げてしまっているだけでもイワシにとってダメージは大きい。
慣れた人のエサの投入方法は、リールのベイルを起こし道糸フリーにした状態でロッドを寝かせておき、イワシを付けたらすぐさま軽く投げて海面に放つ。
ロッドを手にしたら、スプールの縁に軽く指を当てながらイワシの泳ぎに合わせて道糸を出していく。
キハダの目に留まるような泳ぎを見せるイワシであれば送り出し20~30m以内で食い付いてくるはずだ。
逆に30m以上も送り出して食わなければ、もうそのイワシは見込みがないと思っていい。
送り出し続けてもイワシの泳ぎは止まり、道糸が漂うばかりで周囲とオマツリする原因になる。
すぐに回収して新しい元気なイワシに交換しよう。
キハダが食い付くと、スルスル出ていた道糸がサーッと勢いよく滑り出す。
これがフカセ釣りのアタリだ。しばらくそのまま走らせ、勢いが緩んだところでリールのベイルを戻し、道糸にテンションがかかったところでロッドを立てて合わせを入れる。
ファーストランの強烈さはご想像のとおり。
このときドラグ調節がきついと、その勢いにハリスが負けてしまう。
最初は2kg程度の設定にしておき、走りが止まったところでヤリトリ開始。
キハダの弱り具合をみながら徐々にドラグを締め込み、巻き上げはポンピング動作で行う。
ハンドルだけで巻き上げようとすると、リールのシャフトが曲がってしまうので要注意。
長三朗丸でも年間20台以上のレンタルリールが修理不能の故障で廃棄されているとのことだ。
キハダは海面に近づくにつれて竿先を中心に螺旋を描くように上がってくる。
キハダが船の外側に向いたときはロッドのためで耐え、船側に回り込んできたところで一気に巻き上げる。
この耐えと巻き上げを繰り返し、海面へと浮かせてタモに誘導する。
さて、シケと大雨に阻まれようやく出船の機会が得られたのは7月23日。
当日、長三朗丸に乗船した20名のうち3名が一本釣り希望者だったが、状況を把握しているスタッフのすすめで全員がスピニングフカセでのチャレンジとなった。
この日は、港を出てからおよそ3時間のクルージングで最初のナブラに遭遇。
船長の合図で仲乗りさんがイワシをまくと、すぐさま海面にキハダが躍り出た。
「やれーっ! 周りは魚だらけだぞーっ!」
開始間もなく右胴の間の田村さんにヒット。
スプールから引き出される道糸の勢いからして間違いなくキハダだ。
ミヨシ方向へ走り出したので釣り座を舳先へ移してヤリトリ開始。
およそ10分の攻防の末、キャッチされたキハダは30kg級。
「6年越しでやっと夢がかないました」
大きく肩で息をしながら満面の笑み。続いてトモの園部さんとミヨシの本橋さんにダブルヒット。
途中ラインが交錯して冷や冷やしたが、手慣れたベテランだけに落ち着いて回避。
2人そろって無事キャッチすることができた。1時間ほどの大流しで3ヒット、3キャッチ。
できすぎのスタートだ。
「もっと食ってきてもおかしくないよ! どんどんいいエサに付け替えて!」
何度も船長からのゲキが飛ぶ。
すると朝イチに1本キャッチした田村さんと、レンタルタックルで初チャレンジの関口さんと市川さんにトリプルヒット。
6年間溜め込んだものを晴らすかのように、田村さんがこの日2本目を釣り上げる。
レンタルタックルの二人は強烈なキハダの引きに押され気味だったが、「ゆっくりやっていいですから」とスタッフの優しい声かけもあって26kgと23kgを無事に釣り上げた。
聞けば関口さんと市川さんは義理の親子とのことで、「スゴイ記念になりました」と大喜び。
最後のナブラではベテラン園部さんが余裕のヤリトリで2本目となる26kgをゲット、ここでエサ切れとなり12時過ぎに沖揚がりとなった。
「魚影が一気に増えたね、今日だけでも15~16のナブラが確認できたよ」
9打数7安打の釣果はできすぎ?
「いやー、今日の魚影ならもっと食ってもいいはずなんだけどなぁ」と船長。
後日の船宿HPに、船長のメッセージが記されていた。
「エサの扱いが最重要です!」
長三朗丸のイワシエサ船は、イワシがある限り出船するとのこと。
生きイワシエサならではの爆発力を、ぜひ皆さんに体験していただきたい。
隔週刊つり情報(2020年9月1日号)※無断複製・転載禁止
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