読者を代表してミクちゃんがコマセ釣りのキハダに挑むドリームチャレンジ企画「キハダを釣りたい!」も、ついにステップ4~5の実戦準備&実釣編に突入!
果たしてキハダは釣れるのか!?
大物釣り初心者のミクちゃんがゼロからタックルを選び、仕掛けを作り、釣り方のシミュレーションを乗り越えて迎えた8月1日、相模湾のコマセ釣りのキハダ解禁日。
覚えておくべき実戦準備はたくさんあるぞ!
船の予約と釣り座の決め方
「船は予約したほうがいいの?」
キハダ・カツオ船は完全予約制と、予約なしでも乗れる当日受け付けの2通り。
当日受け付けの船も予約は可能で、ほとんどの船は定員を超えると予約をした人が優先になるので、週末や連休など混雑しそうなときは予約をするのがベスト。
釣行日が迫ってキャンセルをすると船宿に迷惑がかかるので、しっかり予定を立てて予約しよう。
取材で乗船した相模湾茅ケ崎港の沖右衛門丸は、釣り物看板の前にクーラーなどを置いた順番で釣り座を決めるシステム
出典:
「釣り座はどうやって決めるの?」
釣り座の決め方は船によって様ざまだから事前に確認しよう。
今回お世話になった相模湾茅ケ崎港の沖右衛門丸は予約なしでも乗れる当日受け付けで(もちろん予約もOK)、開店前に到着したら、船宿の前に置いてある釣り物の看板の前にクーラーなどを置いて、開店後にその順番で釣り座を決めるシステム。
ただし、船宿が開店したときにいないと順番が後回しになるから、早く到着して車で仮眠をするときは、しっかり目覚ましをセットしよう。
クーラーボックスと氷
「キハダが入るサイズの大型クーラーは必要?氷は自分で用意するの?」
ほとんどの船はキハダ用の保冷箱があるからそれを利用する。
キハダを冷やすための氷を用意している船と、そうでない船があるから予約時に確認しよう。
各自で持参するのは氷を入れた40L前後のクーラーでOKで、キハダが釣れたら帰港後に船宿に頼むか自分で解体すればその中に入る。
さあ、船に乗って準備を始めよう。
タックルのセッティング
まずはタックルのセッティング。
竿のリールシートに電動リールを付けたら、ロッドクランプで固定する。
「ロッドクランプって何ですか?」
竿とリールを固定する金具のこと。
大物釣りはタックルに大きな負荷がかかるから、ファイト中にリールシートのナットが緩んでリールが外れるおそれがあるから、ロッドクランプでしっかり固定するわけ。
(左上)写真右からリール、ロッドクランプ、ナット、尻手ロープ用のサルカン(左下)ロッドクランプのナットはマイナスドライバー、もしくは専用工具で締め込む(右上)ミクちゃんはタックルの準備で汗だく(右下)ロッドクランプに付けたサルカンに尻手ロープの金具をセット
出典:
「この大きなサルカンはどうするの?」
それは尻手ロープの取り付け用。
ロッドクランプを付けるとき、リール側のボルトにサルカンを通してからロッドクランプを固定して、そのサルカンに尻手ロープをつないで、万が一のときにタックルが海に落ちないようにする。
ロッドキーパー
(左)船ベリとロッドキーパーの間に当て木を1~2枚挟む(右)ロッドキーパーの固定ネジはしっかり締め込もう
出典:
キハダをウインチで巻き上げることもあるからロッドキーパーは強度も大切。
第一精工のラークシリーズを例にすると、荷重150kgの引きに耐えられる16号以上がおすすめだ。
「ロッドキーパーもゴツイですね。取り付けるときの注意点はありますか?」
完全予約制の場合、ほとんどの船は乗船人数分のコマセ入れを釣り座に置いて場所を決めてあるから、自分の席にロッドキーパーを付ければ大丈夫。
当日受け付けの場合、船長に自分が入る舷側の人数を確認して、釣り座が等間隔になる位置にロッドキーパーを付けるのだが、分かりにくいときは船長に聞けば指示してくれる。
また、取り付けるときロッドキーパーと船ベリの間に当て木を1~2枚挟んでおくと、ウインチで巻き上げるときハンドルを回しやすい。
コマセの解凍
(左)網袋に入れたコマセを、海水を張ったバケツに入れて解凍する(右)コマセの半分はクーラーで保冷しよう
出典:
冷凍オキアミコマセを解凍するときは、コマセ用の網袋があると便利。
相模湾のキハダ・カツオを狙う船は一人が使えるオキアミコマセは3kgまでと決まっているから、半分に分けて残りはクーラーボックスで保冷して、必要に応じて解凍して使おう。
「最初に全部解凍しちゃダメなの?」
まとめて解凍してもいいが、炎天下の船上に出しておくとコマセが傷んで食いが落ちると言われているから、半分は保冷してコマセの鮮度を保とう。
仕掛けの準備
仕掛けについて少しおさらいしよう。
片テンビンの場合は、キハダが疾走したときコマセカゴが潮の抵抗を受けるため金具類が破損したりハリスがショック切れするケースが多い。
「金具を破壊するスピードって……やっぱりキハダはスゴイですね」
しかし、その抵抗のおかげで魚が早く弱るとも言われているから、トローリングスナップやクロスロックスナップなどの金具は強度50kg以上の製品を、片テンビンは軸太の青物用を、コマセカゴも丈夫なステン缶を選んで、しっかり強度アップした仕掛けを使うことが大事。
(右上)ミクちゃん自作の仕掛けでキハダを狙います!(右中)釣り座の足元は整理整頓。キハダとのファイトで邪魔になる荷物は置かないこと(右下)ハリスの巻きグセを取るときは、ロッドキーパーに付けた金具にハリとチチワを掛けて引っ張ろう
出典:
ところで、仕掛けは作ってきた?
「もちろんです、見てください!」
どれどれ・・・いいね、しっかり結べてるよ!
仕掛け巻きやカセ巻きで収納すると多少はハリスに巻きグセがつくから、必ず使用前にクセを取ろう。
ロッドキーパーに大きめのダブルスナップサルカンなどを付けて、そこにハリとハリスのチチワを掛けたら、もう一方からハリスを引っ張る。
こうすれば簡単に巻きグセが取れるぞ!
ドラグは手感で覚えるべし!
(左)最初のドラグ設定は3kg(右)ミクちゃんは繰り返し道糸を引き出してドラグの強さを手感で覚えた
出典:
「リールのドラグ設定は最初は3kgですよね!」
前号の特集で釣り方シミュレーションを行ったときドラグ設定は経験済み。
ミクちゃんはドラグチェッカーを使って正確に3kgに設定した。
「キハダが弱ってきて勝負するときは5kgですよね。このリールはドラグダイヤルを回すとカチカチ音がして、3kg設定から10カチカチくらいで5kgになるんですよ。でも、ファイト中にカチカチ数える余裕なんてあるんですか?」
正確に数える余裕はないかもしれないが、どれくらいドラグダイヤルを回したら5kgになるのか、回し幅を覚えておくことが大切。
そして肝心なのが、グローブを着用し、リールの道糸をつかんでグイッと引き出したときのドラグの強さを手感で覚えること。
「ドラグの強さを手感で覚えるのって正直ムズイですよね。でも、ドラグチェッカーで計りながら何度もやったから、3kgから5kgに締める感覚は身に付いた気がします。だけど、キハダが掛かった状態でも手感で分かるものですか?」
キハダが止まっているときなら分かるはず。
ただ魚の重みがかかった状態だから少しドラグが緩く感じるし、魚の大きさによっても感覚が違う。
もし勝負所でドラグ調節に迷ったら、ポンピングで竿を起こしたときに魚が持ち上がるくらいを目安にしてドラグを締める方法もある。
環付きバリの深海結びと、ハリスの端を8の字結び+強化チューブでチチワを作る方法で作ったミクちゃんの仕掛けの強度は20kg近いはずだから、多少ドラグをきつく締めても大丈夫なはずだ。
エサの付け方をひと工夫
●エサ付けの基本手順(左)必ず尾羽根をハサミで切る。指でちぎると切り口が崩れて付けにくい(中)切り口にハリ先を刺す(下)ハリ軸を背の殻と身の間に刺し通すイメージ
出典:
コマセ釣りのキハダはコマセも付けエサもオキアミ。
付けエサは粒が大きい3Lサイズ相当のオキアミが理想で、クーラーボックスで保冷して鮮度を保ち、海中で崩れないようにていねいに付けることがキハダのアタリを出す第一歩だ。
「エサはどうやって付けるの?」
エサの付け方は様ざまで、どの方法でもキハダは食ってくる。
だけどタナの深さや水色などに応じて効果的なエサの付け方を選択して、アタる確率を高めることもできる。
(左)1匹掛け、尾羽根を切り、切り口からハリを刺して腹側に抜く。付け方が簡単でエサが崩れにくい。タナが浅いとき、食いが立ったときに有効(中)2匹掛け、1匹掛けにした後、もう1匹を背側からハリに刺して同じ向きに付ける。タナが深いとき、潮が濁っているときなど、エサを目立たせたいときに効果的(右)丸掛け、ハリを隠すように軸に沿ってオキアミをU字に刺す。タナが浅いとき、澄み潮のとき、食い渋ったときにおすすめ
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●丸掛けの応用、オキアミを2匹使う丸掛け。(左)1匹の尾羽根と頭を切り(中)通し刺しにしてチモトまでコキ上げて結び目を隠した後(右)もう1匹を丸掛けにする。オキアミの粒が小さいとき、もしくはハリが大きいときにおすすめ
出典:
「色んな付け方があると迷っちゃうかも?」
確かにそうだね。今回はスタンダードな1匹掛け、2匹掛け、丸掛けと、オキアミを2匹使った丸掛けの4通りを紹介するからやってみよう。
「1匹掛けは簡単だけど、ハリ先が出るのが気になります。丸掛けはハリが隠れていい感じですね。オキアミを2匹使う丸掛けはハリの結び目まで隠れるから一番食いそうだけど、付けるのに時間がかかるかも。2匹掛けはボリュームがあって目立ちそうですね」
ミクちゃんが気に入ったエサの付け方は丸掛け。
ハリを隠す丸掛けは眼がいいと言われているカツオ釣りの定番で、カツオよりも大きいハリを使うキハダ仕掛けではオキアミを2匹使う方法が定着している。
「追っかけ」必釣法!
(左上)コマセカゴにオキアミを入れ、ハリにエサを付けて投入準備(右上)合図が出たら即投入!(左下)指示ダナよりハリス分下まで沈める(右下)タナに合わせたら仕掛けを止めて竿先に集中!何かしらの変化があればビシッと竿を 立てて合わせる!
出典:
まずは釣り方のおさらい。
8~9月ごろまでのシーズン初期はキハダとカツオが交じった群れが、小魚などのエサを追って海面から30~40mくらいまでの表層を横方向に泳いでいるから、群れの進行方向に先回りして投入する「追っかけ」で狙う場合が多い。
「覚えてますよ。追っかけは合図と同時に投入して、指示ダナよりハリス分下まで沈めて、手早くコマセをまいてタナに合わせて、群れを迎え撃つんですよね!」
そうそう!追っかけは群れが船下を通過する数秒がチャンス。
そのタイミングを逃さないために、合図の後、できるだけ早くタナに合わせて待つための準備が大事なんだ。
コマセカゴの半分くらいコマセを入れて、ハリにエサを付けて移動中に投入準備を済ませておこう。
「準備はバッチリです。釣り方のアドバイスがあったらお願いします!」
しっかり竿を振って2回コマセをまいてタナに合わせる
出典:
追っかけの場合、誘いは二の次。突進してくる魚群の眼前に仕掛けを止めて待つほうがアタリが出る確率が高い。
付けエサとコマセを同調させることが一番の誘いと考えて、アタリがなければ20~30秒でまめに入れ替えよう。
それと、指示ダナが「20~30m」と幅を持って出されることもある。
まずは群れの中心に付けエサを漂わせるイメージで、コマセカゴを指示ダナの上限に合わせるのを基本にして、群れを追いながら何度か投入し、アタリが遠いと思ったらタナの下限も探ってみよう。
それでカツオがバリバリ釣れたらビッグチャンス。
キハダはカツオの後方を追いかけるように遊泳すると言われているから、コマセをまくタイミングを少し遅らせてタナに合わせると、ドカンとキハダがヒットする確率が高まるからやってみよう!
「分かりました!タックルも仕掛けもエサの付け方も完璧!?こうなったら、釣れる気しかしません!」
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隔週刊つり情報(2019年9月1日号)※無断複製・転載禁止