東京湾で乗っ込みと思われる大型トラフグの群れがポイントに集まり釣れまくる日を、船長や釣り人は「Xデー」と呼ぶ。
昨年のXデーは4月4日。
ここ数年は早まる傾向があり、うまくすると今年は・・・と期待を胸に東京湾奥浦安の吉久に出かけたのが3月30日。
低迷していたトラフグの模様が数日前から上向いていたこともあり、当日は乗っ込みの兆しを察知したファンが押し寄せ2隻出しの大盛況。
その結果は、3.4kgの大型を筆頭に40~60cm級が船中11尾。
「単発でポツポツ釣れるときは群れがまとまっていませんが、今日は50cm級がトリプルヒットした流しもあったので、そろそろXデーがくるかもしれませんね」とは大澤正幸船長。
そして4月2日、船長の読みが的中。
吉久レコードを更新した7.2kgの「ギガトラ」を含め、50~60cm級の大型主体に船中50尾以上をキャッチ。
この日出船していたトラフグ船の大半が好釣果を得るXデーが到来したのだ。
「ここ数年、Xデーのフィーバーは続いても2~3日の短期戦。
でも今シーズンは、今のところ(4月7日現在)同じ場所に群れが寄っていて、数は初日ほどではありませんが、上がれば大型ぞろいです。
ここのフィーバーが終わっても、ほかの場所で次のフィーバーがくることもあります。
いい年はゴールデンウイークまで釣れるので、ぜひ遊びにきてください」と船長も期待を寄せる。
ここでは、大澤船長のアドバイスを踏まえてトラフグの仕掛けや釣り方を紹介しよう。
仕掛けは強度重視のワイヤーハリス仕様
「トラフグの歯は硬く鋭く、大型になると噛む力がものすごく強い。ハリスを切られたり、エサバリをへし折られて貴重なチャンスを逃さないために、十分な強度を備えた仕掛けで挑んでください」
大澤船長の特製仕掛けは図のとおり。
エサバリは太軸で強度に優れたワームフック4~5号、掛けバリのハリスは0.8mm径のステンレスワイヤー(ホームセンターやネット通販で購入)。
各部の接続はスリーブ止め、スプリットリング、クロスロックスナップなどを用いた強度重視のメタル仕様。
この仕掛けでハリス切れやエサバリが折れるトラブルは一度もないと言う。
トラフグは捕食モードにスイッチが入ると、エサを食べつくすまで何度もアタックしてくる傾向が強い。
エサバリを2本付けているのは、エサにボリュームを持たせて魚にアピールするとともに、最初のアタリで掛け損ねても次のチャンスを増やすための工夫だ。
掛けバリを2本にするのもハリ掛かりの確率を高めるためで、トゲに覆われた腹部の皮が非常に硬いため、カットウバリはハリ先が鋭利なものを選ぶのも重要とのこと。
竿はアタリに合わせる釣りなので先調子のほうが釣りやすい。
オモリ25号(船宿により20~30号)を使うため外房用のフグ竿や硬めのカワハギ竿がおすすめ、リールはPE1~2号(船宿指定の号数を確認)を150m以上巻いた超小型電動か小型両軸が扱いやすい。
大澤船長の特製仕掛け。エサバリ、掛けバリともに、ハリ先が甘くなれば簡単に交換できる仕様。
出典:
宙層狙いは根気よくタナを探るXデーは底狙い!?
「トラフグは宙層を回遊している群れを狙うので、根気よくタナを探ることが一番のコツです。だけどXデーのときはまったく逆で、底に群れが固まるのでショウサイフグと同じ釣り方で狙います」と船長。
●宙層の釣り方
通常、トラフグの主なタナは海面から20~60m付近。
竿を上下させて誘う、一定の速度で巻き上げる、ゆっくりめのワンピッチジャークなど、色いろ試しながら指示ダナの範囲を幅広く上下に探って誘い続ける釣りが基本。
しかし、ある程度その日の当たりダナに見当が付いた場合は、置き竿でじっくり待つとアタリが集中することもあると言う。
久里浜沖を狙った当日は25~50mの指示ダナでスタートし、最初にアタリがきたのが40m。
このアタリはハリ掛かりはしなかったが、船長が「40mでアタリました」とアナウンスした後、船中最初のトラフグが上がる。
釣り上げた方にタナを聞くと、40mから誘い始めて、35mでアタリがきたという。
続けて上がった2尾目、3尾目も同じパターンで、ここで船長は指示ダナを30~45mに変えた。
「アタリがきたらタナを教え合って、探る範囲を絞り込んでいきます。みんなで協力してアタリが出る確率を上げていくことが大切なんです」と船長。
当日のヒットパターンは下の図のとおり。
竿を上下させて誘い、タナを上下に広く探る釣り方が効果的だった。
アタリが出るタイミングはスーッと誘い上げたとき、ゆっくり下げたとき、止めて待つときなど様ざまで、アタリはゴツゴツと明確なこともあれば、フワッと竿先が戻ることも。
「とにかく変化を感じたら軽くシャクって合わせてください。エサが残っていれば何度でもアタックしてくるので、引っ掛けるような大合わせで寄ってきた魚を散らさないことが肝心です」
ハリ掛かりすると竿が引き込まれるので、一定の速度で巻き上げる。
緩めのドラグで魚を走らせるとバラシの元になるので、あらかじめドラグは強めに調節しておく。
トラフグは取り込みでバラすことが多いので、魚の大小にかかわらず、海面下まで上がってきたらタモですくうと安心とのこと。
●底狙いの釣り方
「Xデーは乗っ込みの大型トラフグが底付近に集まるので魚探にバッチリ反応が出ます。
宙層狙いと違ってタナに迷うこともないので、慣れていない人でも大型が釣れる確率が高まります」と船長。
先述したとおり、釣り方はショウサイフグと同じでいいとのこと。
着底したら糸フケを取り、底にオモリを着けて数秒待ち、アタリがなければ竿一杯に誘い上げ、ゆっくり下ろして再着底させる。
アタリに合わせるのが基本ながら、一定の間隔で空シャクリを繰り返す釣り方でもOKだ。
本誌発売の4月中旬からXデーの第2弾、第3弾が始まる期待を胸に、ぜひトラフグにチャレンジしていただきたい。
当日のトラフグ ヒットパターン例
当日3.4kgを2尾釣り上げた村野さんは、誘い下げでアタリを出していた。
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魚が暴れても焦らず慌てず、一定の速度で巻き上げよう。
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複数の人が同時にヒットすると船長のタモ取りが間に合わないこともあるので協力して取り込もう。
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大型トラフグが上がるピークは例年4月、まさに今だ!
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【隔週刊つり情報(2022年5月1日号)※無断複製・転載禁止】