東京湾のマダコポイントは各地に点在するが、中でも今シーズン、多くの船が集まっているのが湾奥北東部の千葉沖。
連日各船トップが規定の20杯に達している。
千葉沖は水深4~5メートルと浅めのポイントが多く、比較的根掛かりも少ないため餌木の2本付けや、キャストして広範囲を探ったりと竿釣りで釣りやすい。
そんなこともあるのかテンヤと同船OKの船でも竿釣りの人が多いことも珍しくない。
釣れるタコは、いわゆる残りの大型は少なくなっており、300~500g前後の小型が主体。
昨シーズンほどの勢いはないためだれもがワッショイ! というわけにはいかないが、それでも10杯前後を手にする人が多いから、マダコとしては十分な釣れっぷり。
今後はひと潮ごとにサイズアップが期待されるため、さらにアツい夏ダコ祭りが開催されることだろう。
昨年のブームを受けて餌木タコが市民権を得る
東京湾でのマダコ釣りはこれまでテンヤを使った手釣りが主流で、餌木タコはどちらかといえば異端、一部ファンが遠慮がちに楽しませてもらっている感じだった。
本誌でも「餌木タコOKの船宿リスト」などを掲載していたが、昨年のマダコ大発生により餌木タコ人口が急増、一気に市民権を得た。
巻末の船宿データベースをご覧になっていただければ分かるように、今年は昨年以上にマダコ乗合を出す宿が増え、そのほとんどが餌木タコOKもしくは餌木タコ専門船となっている。
とはいえ従来からマダコ乗合を出す船宿では手釣りのみ、あるいは手釣り、竿釣り自由に楽しませてくれるところ、釣り座を分けるところ、餌木タコは釣り座限定とするところなど様ざまだから、初めて訪れる船宿では念のため餌木タコOKかどうか確認しておきたい。
また、現在はほとんどの船宿が予約制となっている。
週末などは混雑必至なので、予定が決まったら早めに船宿へ連絡しておきたい。
なお、現在の釣り場は千葉県側と神奈川県側に二分されており、船により狙うポイントは変わってくる。
水深は浅くて4~5m、深くて15m前後。
6月下旬現在の模様は、トップで規定の20杯に達することもあれば、10数杯に終わってしまうこともある。
0の人が出ることもあり、平均4~5杯、いい日は8~10杯前後という感じ。
現時点ですでに開幕から3週間近くがたっており、釣れ具合はやや落ち着きを見せている。
とはいえ、昨年が釣れ過ぎだっただけで、マダコ釣りとしては今年も十分好調。
昨年から始めた人は、ツ抜けしないと不調、なんて思ってしまうかもしれないが、過度な期待を持たないほうがいい。
竿は強度優先、道糸は最低でも2号以上を
関東での餌木タコ人気はここ数年でようやく広まってきたところだから、タックルに関しては、たとえばカワハギやマルイカのように専用品をビシッとそろえている人は少ない。
逆にいえば餌木タコで使う竿はなんでもいいわけで、その間口の広さが入門しやすさ、すなわち急速な餌木タコ人気の広まりを支えてきた側面がある。
ただ、年代物のカワハギ竿などを使っていた人が合わせた瞬間にボキッ!というシーンも何度か目にしているから、どんな竿を使うにしろ、まずは強度を最優先に考えたい。
専用竿以外ではイカ竿や各種汎用竿、タチウオ竿やマルイカ竿、ジギングなどルアーロッドを使う人が多い。
いずれも7:3~8:2くらいの先調子で、胴~元にかけてしっかりした張りがあるものがいい。
6:4調子など軟らかい竿では合わせが効かなかったり、底の状態を把握しづらく根掛かりしやすいなど、使いやすいとはいえない。
その点、餌木タコ専用竿は胴~元の強度が十分な上、海底形状を把握しやすい感度のよさ、オモリを底へ着けたまま餌木を動かす、いわゆる「定点小づき」を行いやすい柔軟な穂先を持った製品が多い。
確かに餌木タコは強度さえ満たしていればどんな竿でも楽しめるが、専用竿には専用竿のよさがあり、釣った感触もより楽しくなる。
リールも同様で、PE1~2号が200m前後巻ける、いわゆる小型両軸ならなんでも使える。
が、タコは時に4~5kg級の大型もくるし、1kgクラスでも石を抱いて上がってくれば、かなりの重量になる。
快適な巻き上げを求めるのであれば、ドラグ力は6~7kg以上、ギア比5.4~5.6前後のローギアタイプ、シングルハンドルで握りやすい大型ノブを装備した製品がおすすめだ。
巻いておく道糸はPE3~4号がベスト。
直近の取材でも、根掛かりしてプチプチ道糸を切っている人に号数を聞くと1.5号など細めの人が多い。
最低でも2号は必要だ。
リーダーは、PE3~4号であればあってもなくてもいい。
実際にPE3号のリーダーなしで釣っている人もいるし、以前は自分もそうだった。
今はPE3号に8号のフロロを1mほどFGノットで直結し、餌木を付けるサルカンへは深海結びで結んでいる。
このシステムでこのところ数回根掛かりしたが、道糸が高切れすることはなく、すべてサルカンの結び目で切れているから、このバランスがベストかもしれない。
ちなみに深海結びは端糸を短く結べるのが利点。
根掛かりで何回も結び直しているうちにリーダーがどんどん短くなってしまった、ということもない。
なおオモリは船により30号、40号と決めていたり、周りの状況で自由に使い分けていい場合がある。
船に確認の上、各号数を用意しておきたい。
餌木の数は必ずしも釣果に結びつかない
餌木は2本付けにする人が多い。
単純に1本よりも2本のほうがアピール度が高くなる、2本の餌木がハリ掛かりしていた場合、バラシの確率が低くなる、といったところがメリットだ。
逆にデメリットは根掛かりするリスクが高まること。
本誌ではこれまで根掛かりによるロストを避けるため、根の荒いポイントでは1本付けにするよう度たび喚起しており、船長も根掛かりの多いポイントではそうしたアドバイスをすることも多い。
ただ、実際には荒根のポイントでも2本付けで釣り続ける人は多いし、釣具店などでもロスト前提で400円以下の安価な餌木から売れていくという現実はある。
それでも、くどいようだが本誌では根の荒いポイントでは餌木は1本で釣ることをすすめておく。
1本だから乗りが悪い、2本だからよく釣れるということはない。
まあそれはさておき、タコ餌木についていうと、300~500g前後の小型主体に釣れる夏のタコでは大きめの4.0号サイズより3~3.5号サイズのほうが適していると思われる。
カンナもハリのたくさん付いた丸笠のほうが小さなタコが掛かりやすいからか、それともどんな餌木でも乗るからか、今回の取材ではアオリイカ用の餌木をそのまま使う人も多く見受けられた。
ちなみにスッテ類など丸笠タイプは半笠タイプより海底のゴミを拾ったり根掛かりしやすくなってしまうから、状況に応じて使い分けたい。
カラーについては黄色、白、ピンク、オレンジ、赤などが定番で、潮色などによって使い分けると有効ともされているが、この色だからよく乗ったとか、あの色を使っている人だけがよく釣っているといった印象は、過去に多くの船上で色んな人を見てきた経験からはあまり感じられない。
なお、餌木に関しては船で販売してないケースが多い。
意図せずに根掛かりが連発して餌木がなくなると、釣りができなくなってしまう。
手釣り糸とテンヤを用意してある船なら手釣りに切り替えることもできるが、餌木専門船の場合はそうはいかない。
終始1本の餌木で釣り続けるにしても、予備は5本くらいは持参したいところ。
(上)マダコ用の餌木は、シルエットはアオリイカの餌木と同じだが、カンナは半笠の3本仕様がオーソドックス。アピール用のブレードやラトル入りの製品も多い。ダイワの快適船タコエギSSはタコ餌木の見本のような一本だ。(下)何気に今シーズン、使っている人を多く見たのがメガバスの「タコーレシェイク」。 実際にタコが乗ってきたシーンも何度か目撃している。餌木なのかルアーなのか・・・今度自分でも使ってみたい。
出典:
餌木の接続は、専用のタコ餌木スナップを使うのが手っ取り早い。
ただ、やや割高になるため普通のスナップサルカンにルアー用のスプリットリングを介して自作する人も多い。
多様な餌木の接続パターンを作れるのも魅力だ。
そのほかカラー9ページでも紹介したように、タコベイトや集魚スプレーなど、色んなアピールアイテムを試してみるのも楽しいだろう。
餌木の接続パターン例
(左上)オーソドックスなシングルタイプのタコ用スナップ。(右上)2本の餌木を接続できるツインタイプのタコ餌木サルカン。(下)上州屋池袋店の長澤さんに教えてもらったパターン。シングルタイプのタコ用ス ナップにダブルスナップをプラス、オモリと餌木を少し離すことで違和感なくタコが長めに餌木を抱くようになるとか。
出典:
PEとリーダーの結び方例(FGノット)
①PEラインの道糸をリーダーの上に重ね、重ねた部分を指で押さえる。
②最初にPEの端糸をリーダーの後ろから回す。
③次にPEの本線をリーダーの後ろから回す。
④「奇数は左から(PEの端糸)」「偶数は右から(PE本線)」の要領で交互に編み込んでいく。
⑤この作業は、編み付け部分をしっかり指でつまんでPEラインを下へ押し込むように引いていくとやりやすい。
⑥計40回程度編み付けたら、リーダー先端を少し引き出してPE 本線を沿わせ、2本一緒にPEの端糸でハーフヒッチで止める。
⑦ハーフヒッチを締めるときは、きつく締めすぎないことが大切。
2本のラインを押さえる程度でいい。
⑧リーダー本線とPE本線をゆっくりと引き編み付け部分を締める。
⑨締めたときに編み付け部分が広がるように締まっても問題はない。
⑩リーダーの先端にPE本線を沿わせ、PEの端糸で5回ほどハーフヒッチで編み付ける。
このときリーダーとPE本線をピンと張っておくと作業がやりやすい。
⑪リーダー先端をカットし、さらにPE本線を5回ほど編み付ける。
⑫最後はエンドノットで止めて余分なPEの端糸をカットして完成。
基本は定点小づき。根掛かりしなければキャストもOK
根掛かり必至の東京湾では船下を小づいて釣るのが基本となるが、今シーズン模様のいい千葉方面の釣り場では比較的根掛かりしないポイントもあるので、キャストして広範囲を探る釣り方も有効になる。
キャストした場合は手前にズルズル引いてくる、または小づきながら少しずつ手前に探ってくる。
いずれにしろ餌木タコ釣りのベースとなるのは定点小づきと言われるオモリを底へ着けたまま竿先を上下させて餌木を揺らし、タコにアピールする釣り方になる。
オモリが海底から浮きすぎないように、穂先の弾力を利用して道糸を張ったり緩めたりするイメージで餌木だけを動かす。
ただ、船は流れているからオモリを底へ着けたままにしていると道糸が流され周囲の人とオマツリしたり、根掛かりしやすくなってしまう。
ある程度小づきを繰り返したら一度餌木を底から離し、船の移動とともに餌木の位置を動かしていく。
餌木の動きでタコを寄せるイメージも必要だが、タコのいる場所に餌木を持っていくほうが乗ってくる率は高い。
この際、竿先を大きく持ち上げゆっくり下ろしていくようにすると、タコへのアピールも高まる。
いわゆるフォールの誘いで、本場関西、明石の餌木タコ釣りではフォールで乗せることが重要視されていたりする。
タコの乗りは明確だ。餌木が揺れるガチャガチャ感がなくなり、小づいていた竿先がモタ~ッ、ジワ~ッと押さえ込まれる感じになる。
根掛かりしている可能性もあるが、軽く道糸を張ってみて穂先が押さえ込まれたままならば、タコが餌木を抱いている可能性が高い。
そのままさらに数秒、小づきを加えてタコにしっかり餌木を抱かせてから、合わせ幅を取るため道糸を軽く巻き取りながら竿先を海面へ向けて下げ、竿の胴付近を下から支えつつ、リールのスプールを親指で押さえてヨイショ~ッと大きく合わせを入れる。
巻き上げは、道糸を緩めないようにポンピングせず、一定速度でリールを巻く。
餌木が海面に見えたら巻き上げを止め、小型の場合は竿を立ててそのまま一気に抜き上げる。
掛かり所が悪かったり、大型の場合はタモですくってもらうようにする。
万が一根掛かりしてしまった場合は、無理に竿で引っ張らずにすぐにリールのクラッチを切るかドラグを緩めて道糸を出す。
そして竿先をパタパタと揺すって道糸を張る、緩めるを繰り返しても外れなければ、道糸を引っ張って切るしかない。
道糸と竿を一直線にして竿で引っ張るか、道糸を手にして船のボウズや根切り棒、キーパーの当て木などに巻き付けて引っ張る。
道糸を手にする際はリールからラインを十分に出しておかないと、竿先が曲がり込んで破損する恐れが高まるので注意したい。
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隔週刊つり情報(2020年7月15日号)※無断複製・転載禁止