マルイカで主流の「ゼロテン」を軸にした全局面に対応する デッキステージMARUIKAが示すロッド選びの最適解
現在、関東近郊のマルイカ釣りでは、オモリを底に着けたまま釣る「ゼロテン釣法」が全盛だ。
そんなブームの過熱により、ラインに同化するレベルの極細ソリッドの穂先を自作したロッドを使う人が続出するほど、「アタリを取る」ことに先鋭化している。
だが、竿としてのバランスを欠き、破損のリスクも顧みない、L字に曲がる竿が見受けられる中で、がまかつ・デッキステージMARUIKAは、誰もがゼロテン釣法を再現できる綺麗なベンドカーブの「マルイカの竿」を提起している。
「破損しやすいハンドメイドゼロテンロッドに比べて、デッキステージMARUIKAは、過激すぎない適切なベンドカーブによって破損の心配がないから抜群に扱いやすいんですよ。乗せ感の荷重変化が素直だし、宙の釣りや直ブラに対応してくれます。今日は、かなりの上級者が揃っているので、今日初めて実戦で使うこのロッドがハンドメイド系のゼロテン竿に伍して、難しい今のマルイカをどれだけ乗せられるかを検証してみます」とは、取材前の田中さん。
取材は小湊「寿々木丸」にて外房のマルイカに初見参。
鈴木達也船長をして「今日は手が揃っている」という凄腕が並んだ船上で、田中さんはロッドの実力を検証しつつも27ハイで同率次頭を達成。
デッキステージMARUIKAの戦闘力を遺憾なく引き出しくれた
ここでは、田中さんの一日を追いながら、マルイカ釣りにおける本当に扱いやすいロッドセレクトの最適解を考えてみよう。
解説 がまかつフィールドテスター・田中義博
写真・文 大山俊治
『デッキステージMARUIKA』のラインナップ
数ある沖釣りのターゲットの中で、アタリを取って掛けることにおいて、マルイカはカワハギ釣りと並ぶ最も先鋭化した釣り物といえる。
ただし、マルイカの竿は「目感度」に特化する方向に流れが向き、自作派はもちろんメーカープロダクトモデルでさえも、他魚のロッドではありえないほどL字型に曲がるテーパーのモデルがリリースされてきた。
だが、これはマルイカフリークが破損のリスクも顧みず使用しているもので、必ずしもビギナー~中級者向きではない。
「むしろ、トップからガイド4つ分ぐらいでゼロテン時のアタリも見られる綺麗に曲がり込んでいくロッドの方が、イカの乗せ感=仕掛けの抵抗+αの荷重の変化をつかみやすいので、私はそういうロッドをお勧めしたいですね」と田中さんは言う。
『デッキステージMARUIKA』は、そんな問題意識を形にしたシリーズで、「ゼロテン」釣法をメインにするなら、グラスソリッドのティップを配した155。
「ゼロテン」に加えて、宙層の直ブラやブランコ仕掛けも視野に入れたカーボンソリッドのティップを配した160の2モデルという絞り込まれたラインナップになっている。
価格帯はミドルクラスながら、軽量化も手抜き無しに行われており155が95g、160が100gと上位モデルと遜色はない。
今期のように、深場でマルイカの胴長10~12㎝と小型が多ければ、軽さとテーパーバランスによる「乗せ感」のレベルが釣果に直結する。
これをつかむのが難しいL字に曲がる竿では、乗ったのが分からずに仕掛けを戻してイカが外れる。
あるいは、乗ったと思って空巻きになるなどのタイムロスにつながってしまう。
「予想通り、乗せ感をつかみやすいのはデッキステージMARUIKAのようなアクションです。今日初めて実戦で使った竿ですけど、後半には完全に手に馴染んできましたからね。マルイカのスペシャリストである中村さんがバッチリテストしてくれているのがよく分かる仕上がりですね」と田中さん。
宙の釣りもこなすカーボンソリッドの160。ゼロテン寄りでグラスソリッドの155
ティップの素材を使い分けることも。激戦区のマルイカでは重要なテーマ
癖のないテーパーがもたらす「乗せ感」
スッテのセレクトと「乗せ感」の習得
今期は、絶不調の相模湾とは対照的に、房総半島の小湊沖のマルイカは2月の開幕から堅調で、トップ30~40パイの模様が続いている。
これは小湊沖が急深海底によりイカ場が近く、岬に囲まれた地形から海況が安定しやすい立地が、マルイカ釣りには好都合なことも背景にある。
「マルイカの場所は港の真沖を中心に、勝浦と行川に寄った沖にもポイントがあるよ」とは「寿々木丸」鈴木達也船長。
いずれのポイントも規模が大きく港から10分前後。
ナギがいい場所で実釣時間を長くとれるのだ。
ただ、同地のマルイカ釣りをリードしてきた鈴木船長にあっても、今期ほどアベレージサイズが小さい年はちょっと記憶にないそうだ。
よって、仕掛けは感度優先の直結が有利。
マルイカは、サイズが小さいほど底から浮かないので、必然的に「ゼロテン」釣法が有利となる。
「マルイカの場合は、スッテの間隔は90~95㎝と少し密度を上げておく方が、イカの反応がいい気がします。ただし、オモリと一番下スッテまでは必ず1.5m。これより間を詰めると極端に乗りが悪くなるので注意です」と田中さん。
なお、気になるスッテの配色は自分なりの基準を作ることが大切で、迷いすぎるのは禁物だという。
「基本的には、チャート系などのコマセヅノの前後に、乗りそうな色を挟みます。5本スッテなら真ん中、6本なら下から2~3本目にコマセヅノを配して、その前後をローテすることで、イカのタナとアタリカラーを探ります」というのがセオリー。
終日曇天だった取材日は、ケイムラ(薄いブルー)やクリアピンクに反応が集中したのが田中さんの釣果に現れた傾向だった。
なお、ベテランにはすでにおなじみの接続法だが、田中さんもイカフックと幹糸(フロロ3号を使用)のヨリを取るスイベルをスッテにつなぎ、小さなケイムラビーズを通したユニノットループでカンナ側を固定(写真参照)している。
上部のイカフックはもちろん、カンナ側のビーズをつかんでユニノットのループを広げれば、簡単にスッテの着脱が可能となる。
今後は宙の釣りや直ブラがハマる局面もある。
よって、仕掛けは臨機応変に対応できるこの仕様がベストだ。
スッテの交換も素早くできるマルイカ独自の接続パーツ
「このロッドは先端から4つ目のガイドまでスレッドがオレンジなので、そこに集中していればアタリは見えてきますよ」と田中さん。
マルイカのアタリは、①ティップがわずかに戻る、②横に震える、③わずかにティップが入る、④鋭く「コン!」とティップが動くといったものだが、悩ましいのは④のように明瞭なアタリほど「イカパンチ」の可能性が高く掛かりにくいことだ。
最初は、少しでも変化を感じたらアワせてみるしかない。
なんなら3~5秒(ゼロテンで待てる長さ)毎に空アワセでもいい(上級者でも100%のフッキングはない)。
イカが掛かればアタリを見る経験値が上がっていく。
なお、アワセは必ず強くロッドを45度まで跳ねあげる。
強く動かせばイカが小さくても荷重変化が分かりやすく、自分のロッドの「乗せ感」が早くつかめる。
逆にアワセが緩いと、イカがスッテと一緒に上がってくるだけで、かえって荷重変化が分からないのだ。
掛かったら、一定の中速ぐらいで巻いてくる。
身が柔らかいマルイカでも、カンナが深く掛かっていれば身切れは少ないので、必要以上に慎重にならないことだ。
一番上のスッテをトップガイド近くまで巻きあげたら、1パイなら幹糸を弾いてイカを桶に振り落とす。
ダブルの時は、いったん船内に全イカを取り込んでから外そう。
ノータッチでイカを桶に落とし込めればそのまま再投入できるのが、直結仕掛けの特徴なので、これを活かして数を伸ばそう。
アワセはしっかり入れて「乗せ感」をつかむ
押さえておきたい田中さんの必殺メソッド
マルイカ釣りでアタリを引き出す一番のポイントは、静と動のメリハリをつけることに尽きる。
田中さんは155と160で指定のオモリ50号を使いつつ、直結、直ブラや宙の釣りでの目感度の違いなども検証しつつパターンを探っていった。
「どちらもゼロテンも宙も十分にこなせますね。ただ、今日の状況(水深70m以上・イカが小さめ)では、ゼロテン寄りの設定でグラスソリッドのティップによって、触りが大きく出る155のほうがしっくりきますね」ということがキーポイントになった。
直結仕掛けは、ほぼ向こうアワセにはならないので、高速で落下してきたスッテに反応したマルイカが、道糸を張る前にスッテに触れれば、確実に仕掛けを見切ってしまう。
これを前提に、後半猛チャージを見せたのが田中さんの攻略パターンだった。
「着底の瞬間からマルイカはスッテを見ているので、ラインを張るまでわずかな間にも、触って仕掛けを見切っていることがあります。だから着底の瞬間から叩きを入れてイカを焦らして、直後のステイで飛びつかせるパターンが見事にハマりました」と田中さん。
船の動きにもよるが「ゼロテン」の状態で待てるのは長くても5秒、通常は3秒ぐらいだ。
長く待てば確実にオマツリしてしまう。
叩いて止めてアタリがなければ、即座に10mほどの「巻き落とし」でリセット。
これは基本だが絶大な効果がある。
さらに田中さんは空アワセになった場合も、振りあげた位置から叩きながら底へ仕掛けを戻す作業で、見事なリカバーを見せた。
なお、当日はハマらなかったが、潮の状況によっては、仕掛けの比重にも一工夫が欲しい。
「同じように叩いても、スッテの比重が違えば動きが変わります。今は樹脂製のシンキングタイプが主流ですが、かつては鉛ヅノをまぜることでアタリが増えたケースもありました。今は鉛ヅノがなくなってしまったので、私は仕掛けにガン玉を打って、この代わりにすることもありますよ」と田中さん。
大きな反応を大流しで釣る小湊沖では、こうした「見切らせない動作のメリハリ」を心掛けることが、警戒心の強いマルイカから深い触りを引き出すのだ。
撮影と取材のコメントが終わり、そこから釣りに徹した田中さんのスパートは凄かった。
上級者も悶絶するようなマイクロサイズの触りも的確にとらえて連発。
最終的には同率次頭で27ハイ(竿頭33バイ)。
「最初から釣りに徹していたら間違いなく竿頭だったよね」と鈴木船長。
ミドルクラスながら、ハイエンドロッドや自作ゼロテンロッドに負けないデッキステージMARUIKAの実釣力を見事に証明した一日であった。
ラインのマーキングを見て着底直前にクラッチを返す
誘いのメリハリが一番大事なコツ
ガン玉を打つ裏技もあり
見切らせなければ一人勝ちもあるぞ!
凄腕揃いの中で同率次頭を達成
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