エサ釣りでは永らくテンビン仕掛けがベースだった関東のタチウオ釣りだが、数年前に関西発のテンヤ仕掛けを使った釣りが流入してきた。
そして今年、東京湾で130cmを超えるタチウオ、まさにドラゴンがそのテンヤ仕掛けで連発、一気に注目度が高まっている!
①テンヤタチウオができる関東のフィールド
関東でテンヤのタチウオ釣りができる一大フィールドといえば東京湾。
これまではエサ釣り、ルアー船への便乗もしくは仕立船の利用に限られてきたが、この夏からはテンヤ専門船が登場。
長浦のこなや丸、深川の吉野屋が曜日限定で、羽田のかみやがリクエストによるスポットで出船している。
そのほかのタチウオ船は船長にテンヤで釣りたい旨を伝えたうえで許可が出れば、ということになる。
船によってはテンヤを遠慮してもらっているところもまだまだあるし、テンヤOKでも人数や釣り座など条件が限られていることがあるから必ず船長の指示に従うように。
また、状況によってはテンヤの釣りができなくなることもあるからテンビン仕掛けやルアータックルの準備をしておくことも忘れずに。
東京湾以外の釣り場に目を向ければ、なんでもありで楽しめるのが沼津と田子の浦の駿河湾エリア。
そして模様次第で今後出船の可能性があるのが外房勝浦沖。
こちらも色んな釣り方で楽しめる。
そのほかここ数年、冬場に注目を集めているのが常磐エリア。
回遊次第ではあるが、平潟~大洗沖で今後テンヤタチウオがブレイクする可能性は大いにある。
②【テンヤとエサ】テンヤの構造と号数、イワシの入手方法など
タチウオテンヤはオモリから直接ハリが出た構造で、タイテンヤなどと違ってハリ先が下を向いているのが特徴。
上に突き出たケンと呼ばれるハリにエサのイワシなどを乗せ、ワイヤーで巻き付けて固定する。
ハリはノーマルタイプのほか、ショートシャンクと呼ばれる軸が短めのタイプもある。
オモリは40号もしくは50号が中心になるが、潮の流れが緩かったり浅場の場合は30号もしくはそれ以下の小型タイプが有効になる場合もある。
エサはイワシのほかサバの切り身やカツオのハラモを利用することもあるが、今回はイワシ限定で話を進めていく。
なお東京湾ではサンマエサは禁止なので絶対に使用しないように。
イワシエサは専門船以外では購入できないので、事前に用意しておく必要がある。
入手経路としては①釣具店でエサ用のイワシを探す②スーパーなどで食用のイワシを買う③ヒラメ釣りで余ったエサをもらってくる。
③をできる人は限られるので、①か②が現実的。
ただ、前日に慌ててお店を探してもない場合があるから、釣行する2~3日前に確保しておくと安心。
最低20匹は必要だ。
(左)釣具店でエサ用のイワシを購入する のがベストか。(中央)スーパーで購入すれば安価だが、エ サに適したサイズがない場合もある。(右)ヒラメ釣りに行く機会があったら死 んだエサをもらってくるといい。
出典:
(上・中央)東京湾の釣りで主に使われるのは40号もしくは50号。ゼブラ、赤金、イワシカラー(ブルー系)が東京湾の必須3カラー。(下)富津沖など水深の浅いポイントでは30号以下の小型テンヤが活躍するシーンも。
出典:
③【エサの付け方】3パターンのエサ付けとイワシのトリミング、締め方
テンビン仕掛けと同様に、テンヤもエサ付けが重要。
大前提は、ハリの軸に対してイワシが真っすぐになるように付けること。
曲がっていると、海中で動きが不安定になりアタリが少なくなってしまう。
もう一つが、テンヤの大きさに合わせてイワシを付けること。
目安として、ハリの曲がりからイワシの尻尾が少し出るくらい。
後述するが、エサがテンヤに対して大きい場合は、適宜カット(トリミング)する。
①丸まる1匹の付け方
エサの付け方は人それぞれで色んなパターンがあるが、基本となるのがノーマルタイプのハリにイワシ1匹を丸まる付ける方法。
テンヤをパッケージから取り出したら、付属のワイヤーの先端をハリ軸に巻き付ける。
イワシをハリ軸にセットしセンターを確認したら、最初に頭の硬い部分を2~3回、きつめにキッチリ巻く。
続いて尾のほうへと巻き進んでいくが、腹側はきつく巻くと内臓が出やすいので気持ち緩めに巻き、ハリの曲がり部分まできたら折り返して頭のほうへ巻いていく。
再び頭を2~3回きつく巻いたらワイヤーの巻き終わりを上へ出しておくか、ヘッドの下にある環に巻き付けて止める。
イワシ1匹分で大きめのシルエットになり、アピール力を高めたいときに有効な巻き方とされる。
これが基本の付け方。イワシ1匹分の大きめのシルエットでアピール力が高い。なおワイ ヤーの端はヘッド下の環に巻き付けておくか、上へピョコンと出しておく。
出典:
②頭をカットした付け方
エサが大きかったり、ショートシャンクのテンヤの場合は、1匹付けにするとタラシ(ハリの先から出る尾の部分)が長くなり海中で不安定になりやすい。
そんなときは、イワシの頭をカットして付ける。
エラの少し前で頭を切り落としたら、あとは丸付けの場合と一緒。
ハリ軸のセンターにイワシを乗せ、ワイヤーで巻いていく。
テンヤのヘッドを含めてイワシ1匹分にするイメージで、シルエットが小さくなるため食い渋りなどに効果的とされている。
③ハリ軸を隠す巻き方
イワシの大小、頭のあるなしにかかわらず、腹の部分まで割いてイワシを巻き付ける。
こうするとハリ軸がイワシの腹の中に埋もれて、下から見るとハリ軸が見えなくなる。
警戒心の強いタチウオを相手にするときに有効とか。
エサの付け方によってもアタリのあるなしが変わることがあるようで、どの付け方でアタリが多いのかを探ることも肝心だ。
④【専用竿の特徴】テンヤタチウオにはどんな竿が向いているのか?
例えばカワハギやマルイカのように、ほかの竿も使えなくはないが、テンヤタチウオは、できれば専用竿のほうがいい。
とくに、これから長く楽しみたいのであれば専用竿の購入をおすすめしたい。
上のイラストでも示したように、テンヤのタチウオ竿はしっかり合わせの効く強い張りのある元~胴を持つのが特徴。
これはテンヤの動かしやすさにもつながり、誘って、アタリを取って、掛けるという点では、カワハギ竿に近い役割が求められる。
穂先の柔軟さは好みの問題で、釣り方によっても適した調子が変わってくる。
最初の1本ならオーソドックスな8:2調子がいいだろう。
カラー7ページでは各社のトップブランドを紹介したが、ほかにも多数の製品がある。
アイテム数の多さではカワハギ竿を上回るほどで、テンヤタチウオ人気とマーケットの大きさをうかがい知ることができる。
もし、どうしても最初は専用竿以外の自前の竿でやってみたいというのであれば、深場のタチウオ竿など硬めの竿を使ったほうがいい。
(上)穂先は高感度かつアタリを弾かない柔軟性も必要。(中央)テンヤを動かす操作性と確実にフッキングさせるための張りのある胴が必須。(下)がまかつのタチウオテンヤMS。ドラゴンが掛かっても胴のパワーがしっかり残っているのが分かる。
出典:
⑤【リールと道糸】電動?手巻き?道糸は何号?リーダーは?
東京湾のタチウオ釣りは水深10m前後の浅場から100mを超える深場までと、そのときいるタチウオの群れを追うため幅広い水深を狙う。
テンヤで釣りやすいのは現在狙っているような観音崎~走水~猿島沖の水深50~70m前後だが、テンヤ専門船でない限り、終日そうしたポイントを狙うとは限らないから、電動と手巻き、両方を用意しておくのがベスト。
ある程度の水深があるなら電動リールのほうが便利で、シマノ600番台、ダイワ200番台あたりが適している。
道糸はPE1.5号がベストで、太くても2号まで。
通常のタチウオ乗合に便乗する場合はほかの仕掛けよりオモリ(テンヤ)号数が軽くなるのでオマツリを避けるためにも細糸のほうがいいのだが、1号以下では高切れのリスクが高まってしまう。
テンヤの釣りの場合はリーダーも必須。
フロロカーボン7~8号を1.5mほど直結で結んだ場合はテンヤを竿先まで巻き込めるから、キャストしやすい利点もある。
(左上)シマノ600番はこの釣りにうってつけ。愛用者も増えている。(右)ダイワ200番も定番の超小型電動。(左下)もちろん手巻きで楽しんでもいい。
出典:
取り込みは必ずリーダーをつかんで!
テンヤの釣りで竿で抜き上げる取り込みをすると、テンヤが外れたときに非常に危険。
全国的にもタチウオはリーダーをつかんで抜き上げることがルールとなっている。
慣れない人におすすめなのが、テンヤに付属のリーダーを使うこと。
竿先まで巻き込めないので、巻き上げすぎによる取り込みのモタつきを防げる。
(上)ほとんどのテンヤには60~80cm前後のリーダーが付属している。(下)竿を後ろへ引くようにしてリーダーを手にし、タチウオを船内へ取り込む。
出典:
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隔週刊つり情報(2020年9月15日号)※無断複製・転載禁止