11月13日、シーズンを迎えたティップランエギングのアオリイカを求めて、東伊豆宇佐美港の二階屋丸へ向かう。
港には夜明け前から多くの釣り人が集まっていて、それぞれ仕度に余念がない様子。
コマセダイやワラサ、カワハギ、根魚と釣り物豊富な宇佐美港だが、ティップランエギングの看板を出すのは二階屋丸のみとのこと。
後発の釣り船だけに、ほかの宿とは違うカラーを出すため、当時最先端の釣りであったティップランに目を付けたのが実情のよう。
集合の5時半には5人のお客さんが姿を見せる。
船に乗り込む際「初めてですのでよろしくお願いします」とあいさつしてくれる人もいて、まだまだ新規参入も多い人気のジャンルだと実感する。
6時に森昌史船長の舵で出船。
前日までは西寄りの強風が吹き続けていたため、一週間ぶりの出船になる。
この日は快晴微風の釣り日和。
船はゆっくりと南下し、伊東沖の手石島近くでスローダウン。
ここで周囲を旋回しながら6時半の投入開始時刻を待つ。
手石島周りで連続ヒット
同じ船アオリでも、ティップランは中オモリ式のシャクリ釣りと違って、舷側に風を受けて船を流すスタイルなので、乗船者は片舷に並んで釣ることになる。
定刻。
「やってください、水深は30mです」の合図で釣り開始。
するとさっそく3分後、トモ2番で竿が弧を描き、500g級が取り込まれる。
船中第1号を写真に収めていると、ミヨシ2番の竿も曲がる。
こちらも同サイズ。
海藻が繁茂する岩礁帯を好むアオリイカにとって、東伊豆沿岸は一帯がポイントといって差し支えないほどだが、とくに手石島周辺は実績が高くその安定感には定評がある。
それが証拠に、船中第3号は20分後、トモのベテラン氏にきた。
するとまたしても、撮影している最中にトモ2番にヒット。
通常のエギングでもたまに見かけるが、アオリイカは群れで生息しているため、巻き上げ中、掛かったイカの後ろをわらわらと数杯のイカが着いてくることが多い。
ということは、隣で竿が曲がった瞬間は最高のチャンスともいえ、より集中して釣ることが重要だろう。
トモ2番さんは5分後にも追釣。
それから30分ほどたって、トモさん、トモ2番さん、ミヨシ2番さんが連発。
釣り始めて約1時間で船中8杯のイカが仕留められたことになり、これはなかなかのハイペースだ。
まだシーズン初期とあって数は日によってムラがあるが、サイズは例年よりいいという。
この日も0.5~1kg級がそろったし、日によっては1.2~1.3kg級も上がっている。
陸っぱりのエギングではこの時期、コロッケサイズがメインになることを思えば、二回りも三回りも大きなイカが釣れるのは、船釣りならではの強みかもしれない。
中オモリ式のシャクリ釣りはエンジン流しとなるため、どうしても釣り座による有利不利が否めないが、ドテラ流しでは比較的公平。
また、空合わせの繰り返しで乗りを取るのではなく、微妙なアタリを察知して合わせを入れるところも、この釣りの面白さであり、人気の秘密だろう。
目下のポイントは手石島周りが中心
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1kg弱のまずまずサイズ
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餌木やシャクリが合っていると続けて乗ることもある
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合わせてズシンの衝撃がクセになる
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ジェット噴射を繰り返す強い引きも楽しい
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餌木の色は関係ない!?
この日は撮影に専念するため道具を持たずに乗船したが、朝のラッシュを目の当たりにして、竿を出したかったというのが本音だ。
また、餌木といえば気になるのがカラー。
中オモリ式では顕著な差が出ることも多いが、ティップランではそれほど意識しなくてもいいように思われる。
当日もお客さんから「色は関係ないね」との声が聞かれたし、実際にイカが抱き付いた餌木を見ても、あまり傾向は感じられなかった。
その後、わずかに効いていた風と潮が止まると、さすがに乗りも遠くなり、船中ポツポツとたまに上がる程度。
しばらくすると、再び風が吹き出し、これは再びチャンスかと思われたが、ポツポツの乗りは変わらない。
9時半、船長は手石島周りをあきらめ、針路を北に向ける。
20分ほどで到着したのは網代港の少し南。
網代から宇佐美にかけては断崖状の地形が続いていて、いかにもアオリイカが好みそうなポイントが連なっている。
実績のあるポイントをていねいに流していくが、なぜか一向に乗りはない。
水深はやはり30m前後。
風もいい具合に吹いていて、条件的にはよさそうなのだが、やはりだれの竿も曲がることのないま、とうとう11時過ぎの沖揚がりを迎えてしまった。
釣果は0.5~1kg級のアオリイカがトモ2番さん5杯、トモさん3杯、ミヨシ2番さん2杯、ミヨシさん1杯と続き、残念ながらオデコが1人出てしまった。
今後は水温が低下するにつれ、イカも徐々に深みへ落ちていくが、そのかわり群れが固まるので、いい場所に当たれば数釣りも期待できる。
餌木はティップラン専用の30~40g、定番カラーはオレンジとピンク
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シャクった後に餌木を安定させるのがこの釣りのコツ
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同船は6人限定で午前・午後の2便制、予約はお早めに!
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知っ得!シャクリ考察
本文にもあるように、この釣りでは餌木のカラーはあまり神経質になる必要はない。
ただ、その分アクションには気を遣うべき。
通常はジギングで俗にジャカジャカ巻きと呼ばれる方法で小刻みにシャクリ上げたら、ピタリと静止して乗りを待つのが一般的。
しかし、常連さんの中にはジャカジャカ巻きではなく、大きなシャクリを2回入れることで餌木を跳ね上げ、実績を上げている人もいるから一つのバリエーションとして取り入れるといい。
ただ、大きなシャクリを連続すると、PEが穂先に絡まり、次のシャクリでポッキリといくことがあるので注意したい。
大きなシャクリで餌木を跳ね上げる
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ティップランエギングタックル例
繊細な釣りになるので、二階屋丸ではPEラインは0.4~0.6号を推奨しており、0.8号以上は禁止している。
また、餌木はティップラン専用の30gに10~30gのマスクシンカーでウエイト調節するようにすすめている。
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隔週刊つり情報(2021年12月15日号)※無断複製・転載禁止