ティップランエギングは船をドテラ流し(横流し)にするため、座席による釣れ具合の差は少なく、胴の間がトップになることも多い。
ということは、自分だけ釣れないときには何が原因になるか?
竿?道糸?餌木?タックルは図の仕様だったとして、何が原因になるのだろう?
もし餌木が原因だと思うなら、釣れている人と合わせてみよう。
それでも釣れなかったら????
この釣りを1から作りあげたイカ先生こと富所潤さん。よく釣れる能登にて、釣れない理由をズバッと教えていただきました。
出典:
PART1 イカ先生の船上クリニック「ティップエギングでアオリイカが釣れない理由」
連載「Fishin'graph」で訪れた能登でのこと。
イカ先生・富所潤さんを含む6人全員がアオリイカをペースよく釣っていて、撮影が前日に一段落していた私は松栄克典船長に道具を借り、イカ先生のボックスから餌木を拝借して釣りを始めた。
最初こそタイミングよく釣れたものの、途中からは私だけ釣れない時間が続く。
あれ?おかしいぞ、他の6人は釣れているのに・・・。
周りを見て餌木を替えたり、シャクリのリズムに変化を付けたり・・・私のような自称ベテランはこういうときに独り相撲に陥ってしまう。
そこで「教えて、イカ先生!」とあいなった。
釣れない理由その①「底が取れない?」
ティップランの大前提が、餌木で底ダチを取ること。
これは強風、深場になると一気に難易度が上がる。
・基本は餌木を船下に落とし・・・
・水深分道糸が出るころから海面に道糸を置くように出していき・・・
・道糸の動きが止まることで着底を察知する。
大切なのは着底直後、糸フケを取りながら竿でポン!と餌木を跳ね上げて根掛かりを防ぐこと。
また、底ダチが分からないときには、ためらわずに餌木を重くする。
■ここでセルフチェック→当日はベタナギ微風で水深20m台。
底ダチはバッチリ分かっていた。
では、釣れない原因は、どこ?
(左)海面に置いた道糸が一瞬フッと止まり、緩む。その瞬間を見逃さないように!(右)餌木スナップはシンプルで大きめがおすすめ。
出典:
釣れない理由その②「シャクリができていない?」
餌木を海底から離したら、5~6回巻きシャクリを入れて餌木を動かすことでアオリイカにアピールする。
シャクリ動作の基本は・・・
・竿を下げた状態から斜め上へしっかりと振り上げてピタリと止め
・竿を下げながら下げた分リールのハンドルを巻く
この繰り返し。
写真を見ると分かるが、イカ先生のシャクリは竿に荷重が乗っていて、しっかり曲がっている。
擬音で表現すると「バン!」「ドン!」といった感じ。
このとき、海底付近の餌木は鋭くビュン!と横斜め上、または横へ泳ぐ。
まずは難しいことを考えずに、竿をしっかりシャクって、餌木に命を吹き込むべし。
これがイカ先生の教えだ。
■ここでセルフチェック→イカ先生にスマホで撮ってもらった私のシャクリを見てほしい。
竿の振り幅が小さく、竿の曲がりも小さい。
実はこれ、最近の流行の小さめの巻きシャクリなのだが、竿をしっかりとしならせるよう、大きめに振り上げないと餌木は動かない。
この点を勘違いしていると、写真のようにヌルヌルしたメリハリのないシャクリになって、釣れなくなるというワケだ。
【治療】イカ先生のシャクリを手本に、一振りずつ、基本に戻ってしっかりシャクるようにすると、あっと言う間にアオリイカが釣れるようになった。
(左)イカ先生のシャクリ。振り幅が大きく、上で止めたとき、しっかりと竿が曲がっている。(右)私のシャクリ。ラインを緩めずやさしくシャクる、タチウオジギングのようなシャクリになっていた。
出典:
釣れない理由その③「餌木をシャクリ上げ過ぎてない?」
着底後、5~6回シャクって、巻いて、ピタリと止めてステイ。アタリがなければ・・・どうしてます?
イカ先生がすすめる基本は、再び落としてシャクリ。
つまり、底周辺をこまめに探っていく。
ここで落とし直さずに、再びシャクって、上へ上へと探ると効率が悪くなる。
絶対にそれで釣れないワケではないが、昼間のアオリイカは圧倒的に海底付近にいることが多く、また、餌木が落ちる動きもシャクリ同様のアピールになるため、いわゆるフォールのアタリ(これが結構多い!)をみすみす放棄していることになり、取れたはずのイカを逃す原因になる。
■セルフチェック→当日の私は1~2回だけ欲をかいて上へ誘った程度で、決定的な原因ではなかったと思う。
手際よくシャクリ、10数秒ステイ、再着底を繰り返し、アタリがなければロングステイ、または入れ直しで様子を見る。
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釣れない理由その④「餌木が安定しない?」
慣れないうちは不格好でもゆっくりでもいいので、しっかり竿をシャクって餌木に命を吹き込む。
そして、ピタリと止めてアタリを待つ。
このとき、餌木は船に引かれて水平移動する。
堤防などで観察した人もいると思うが、アオリイカは餌木が動いている間は反撃を防ぐ本能もあってか一定の距離を取る。
餌木に抱きつくのは止まっているときか、フォールの瞬間だ。
つまり、シャクって止めて、アタリを待つ間、餌木がカクカクと動いていたら・・・アオリイカは乗ってこない。
イカ先生はこのとき、竿を握らず、手のひらに乗せるようにして待つ。
そして体も使い、竿先が一定の角度を保つようにする。
アタリを待つ「ステイ」の時間は10秒から、イカが近くにいて乗ってこないと判断したときには1分くらい待つ(ロングステイ)こともある。
この間、アオリイカが乗る、乗らないを左右するのが、餌木を安定させられるか否か、というわけだ。
■セルフチェック→止めているつもりでもよく見ると船の揺れで竿先が動いていた。
ゼロテンに近いイメージで竿先のテンションをコントロールしてみると安定、ロングステイでもアタリが出て釣れるようになった。
イカ先生といえばワイングラス持ち。これに加え、ゼロテン同様のテンションコントロールを加えてみよう。
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釣れない理由その⑤「餌木を入れ直してる?」
好ポイントを通過するとき、釣れる人は連続で釣れ、取り残される人はずっと釣れない、ということがある。
これこそ、餌木の入れ直しの差。
船は流れて常に新しい場所に入っていく。
つまりこまめに回収して入れ直すほど、新しい場所に餌木が落ちることになる。
一度でもアタリがきたら、そのイカをなんとかして釣るべく、シャクリと再着底を繰り返して粘るのが基本だし、ロングステイでなくては乗らないときは道糸を斜めに出した状態で待ち続けることもあるが、基本は「アタリがないとき、道糸が斜めになったら餌木を海面まで上げて、入れ直す」こと。
やっかいなのが、周りが釣れていて、「次は自分の番だ」と思えるとき。
入れ直してしまうとみすみすチャンスを逃すような気がして、道糸をどんどんのばしてしまう。
でもその間、周りを見てみれば、きっとアオリを釣った人が再投入して連続ヒットさせていることが多いはず。
数回再着底させてアタリがなければ、自分だけ置いていかれたと判断して餌木を入れ直したほうが得策だ。
■セルフチェック→まさにこれ。
シャクリが緩くてアオリイカが反応していないのに、ひたすら「隣が釣れたから次は自分のハズ」と、道糸をのばして粘っていた。
その間に入れ直していれば、フォールで1~2杯は取れていたかも!
連続で釣れるとき、そのまま粘るか、入れ直すか迷う。
出典:
釣れない理由その⑥「さわりがアタリ」
最終的に、基本事項の確認です。
イカ釣りにおいては、触れて食べるという手順はないため、アオリイカが餌木に攻撃した瞬間=竿先から微かにシグナルが感じられた時点で、それがアタリと考えます。
時折、「感じた」と口に出すこともありますが、それら全てがアタリということです。
言い換えれば、竿先や手元に何かしらの変化が見られたら、一切逃さないようにします。
それに合わせて反応するが、掛からなければ、再度着底させて、再び振って誘います。
心の中で感じただけのケースもあるかもしれません。
しかしながら、それに反応して行動すれば、着底、振れ、入れ直しのリズムが徐々に良くなり、釣り上げることが可能になります。
■セルフチェック→その項目④については、集中して餌木を安定させるようにすると、さらに分かりやすくなり、素早く反応できるようになったことを指摘します。
沖揚がりまで安定してしっかりとシャクリができる人は、シーズンを通して平均してよく釣る。
出典:
PART2 ティップラン専用餌木主力4種の編集長的インプレッション
ティップランを関東で初めて紹介して以来、ほとんどの専用餌木を使ってきたワタクシ沖藤が、カラー7ページで紹介している専用餌木4種の特徴を個人的な経験をもとに紹介。
エギリーダートマックスTR
「早く沈む」「鋭くダートする」「ピタリと止まる」「絡みにくい」ティップラン専用餌木に必要とされる要素をすべて高次元で、しかも余分なパーツを使わずに美しい姿で実現した名作。
様ざまなティップラン餌木が乱発した時期に最強餌木として君臨、今回紹介する4本の中で最古参ながら、今なおトップモデルであり続ける。
サイズは幅広く活躍する30g、強風や深場に対応する40gの2タイプのみ。
それ以上の重さが必要では?と思うかもしれないが、ダートマックスの40gは非常に沈みが速く、底ダチが取りやすいため、関東の海であれば、ほとんどの状況に対応できる。
カラーも無駄なく、外れなく、必ずトレンドを射抜いてくる。
エギ王TRサーチ
本誌でもおなじみの中村イカ生さんと、ヤマリア社員・山中陽介さんが関東で釣りまくり、その実力をアピール。
現在、最も人気が高い餌木だ。
7、10、15、20、30、40、50、60gと、豊富なラインナップの「エギ王TRシンカー(別売)」を使うことであらゆる水深に対応でき、ユーザーの財布にもやさしい。
また、ケイムラをはじめ多彩なカラーラインナップ、ラトルなど寄せ要素を多く盛り込み、釣り人の探究心をくすぐるところも実に楽しい。
あくまで私見だが、他の餌木と比較すると、ウエイト調整による沈降速度(例=重くして手返しを早める)やステイ時の姿勢(例=重くして縦に攻める、軽くして横を向かせイカに抱かせるなど)により、攻める幅が広く、釣果に差をつけることができる印象。
もちろんそれには餌木本来の基本性能が高いことが条件だから、餌木そのものの性能が高いのは言わずもがな。
ただし、乱暴にシャクるとラインが絡むことがあるので、ていねいなシャクリがおすすめ。
セフィアアントラージュ
25gのS0から、55gのS4まで、5種すべて専用設計でバランスを取っているぜいたくな餌木。
直進性に優れ、ロッドアクションに対しては想像以上に横っ飛び(ダート)。
それでいてほとんど絡まない。
使用頻度が高いのは28gのS1、35gのS2だが、個人的にぜひ一度使ってほしいと思うのがS0。
25gでありながら沈降速度が早く、底ダチも取りやすい。
もちろん引き抵抗は少なく、アクションへのレスポンスがよく、イカの乗り(アタリ)も多彩に出る。
弱風下がメインで軽いぶん手返しは遅くなるが、ティップランの一番おいしいところを味わえる、実に楽しい餌木だ。
エメラルダスボートⅡ
陸っぱりを含め全国的な人気を誇るエメラルダスブランドのティップラン専用餌木。
以前のモデルは沈降速度がやや遅く、潮受けが大きい使用感だったが、改良により素早く落ち、ピタリと止まり、シャープにアクションする餌木へとブラッシュアップされた。
また、ノーマル、アピール狙いのラトルと2タイプあり、10、20,30,40gの「仮面シンカーボート(別売)」を使用することですべての水深、強風に対応でき、沈降速度をこまめにコントロール可能。
これらユーティリティーの高さはダイワの得意とするところだ。
このシリーズをボックスに忍ばせておけばジョーカーになる可能性がある。
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【隔週刊つり情報(2020年12月1日号)※無断複製・転載禁止】