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常磐エリアで夏の限定ラグビーボール級フグ見参

隔週刊つり情報編集部

7月中旬、フグを狙って茨城県日立久慈漁港の宮田丸へ。

宮田伊佐央船長によると、当地のフグの釣期は乗っ込みの群れがポイントにまとまる7~8月ごろで、目下は20m前後の砂底にツブ根が点在する場所を狙っているため、根掛かりはほとんどなく釣りやすいとのこと。

しかし、乗っ込み最盛期は水深7m付近の起伏が激しい岩礁帯に群れが集まるため、根掛かり覚悟の釣りになるという。

集合時刻の5時には8名と5名の二組のグループが集まり、各自の準備が整ったところで港を離れる。

思い思いの仕掛けでフグ釣りスタート

青空が広がり、南寄りの風がそよそよ吹く程度。

ナギの海上を30分ほど北上し釣り場の日立沖に到着。

しばらく反応をリサーチしたのち、水深17mでスタート。

船宿から支給されるエサは冷凍アオヤギ。

これをカットウ仕掛けのエサバリに2~3個縫い刺しにする。

そのほか当日は東京湾方面のフグ船でおなじみのアルゼンチンアカエビを持参した人も。

開始間もなく、左ミヨシの小沢さんが30cm級のショウサイフグを釣り上げる。

「この仕掛け、エサバリが半遊動仕様でアタリがよく分かるんですよ」と、小沢さんが教えてくれたのは東京都台東区「浅草釣具」のオリジナル仕掛け。

小沢さんら8名グループはこの仕掛けの愛用者が多く、ほとんど根掛かりの心配がない釣り場とあって、オモリを底に着け、ゼロテンションでアタリを見て合わせる釣り方で楽しんでいるようだ。

続いて25~35cm級がバタバタッと船内各所で上がったが、アタリが一段落すると船長はすぐに新たな反応を探して移動した。

釣り船の写真

(左)宮田丸の乗船場は漁協前の堤防沿い。(右)釣り場は日立沖の水深20m前後。

釣行の写真

(左)カットウ仕掛けはオモリ25号1~2本バリ。当日はエサバリに船で支給されるアオヤギと持参したアルゼンチンアカエビを付ける人が多かった。(右)大きいフグはハリスをつかんで抜き上げるといい。

常磐フグもエビが好き!?

水深30mで再開。

ここで左ミヨシ2番の牧野さんが38cmを抜き上げる。

これぞ常磐サイズと呼びたいラグビーボールさながらに膨らんだ魚体は迫力満点。

「エビから先に食べてますね」

牧野さんはエサバリにアオヤギと持参したエビを付けていた。

さすがに何度もアタリに掛け損ねると両方ともなくなるものの、最初のアタリでうまく掛かるとエビが先に食われてアオヤギが残っているらしい。

ちなみにアオヤギのみを付けた場合は軟らかいキモから先に食われる。

硬いベロの部分が残っていてもキモが付いていないと極端にアタリが減るという。

アオヤギのキモも、殻をむいた軟らかいエビの身も、フグにとってごちそうなのだろう。

それならエビエサだけで十分とも思えたが、エビだけを付けるとアタリも分からずエサを取られることが増え、エサの消耗が激しいそうだ。

オモリ10号前後の繊細な湾フグタックルで釣るならエビエサに分があるものの、オモリ25号の常磐仕様は比較的フグのアタリが明確に出るアオヤギがメイン。

エビは集魚効果を高める特エサとして付け足すイメージだろうか。

その後は小移動を繰り返し拾い釣りの展開。

いい人はツ抜けしていたが、大半は型を見た程度の状況だ。

「ちょっと走りますよ」

20分ほど南下し水深22m付近で再開。

ここではアタリが増えて船内あちこちでフグが上がったものの、15~18cmほどの小型主体。

船長もサイズがもの足りないようで、30分ほど流してアタリが遠くなったところで再び移動となった。

釣行の写真

40cmに迫る特大クラスは引き味満点。

釣行の写真

2本バリの人が多い。

大型ラッシュ!

10時過ぎ、水深20m付近の流しで30~35cm級がバタバタッと上がる。

食い気のある群れに当たったのか、その後も次つぎとフグが釣れ上がり船上が活気づく。

「デカイぞ!タモ!」

右トモ2番の佐藤さんが竿を立てて大きな魚体を船に寄せている。

隣の人がタモですくい上げたのは特大クラスの39cm。

ここからの佐藤さんがすごかった。

38、37、38cmと立て続けに特大を釣り上げて周囲から羨望のまなざしを浴びる。

この時合に周りでもフグは上がっていたものの、30cm前後が主体で35cm以上は交じる程度。

佐藤さんの大型ラッシュはたまたまなのだろうか?

「大型に的を絞って、宙の釣りに徹したのがよかったのかもしれません」

佐藤さんの釣り方は、着底後、糸フケを取り、30~40cmほど仕掛けを持ち上げ、ピタッと止めてアタリを見る。

しばらくしてアタリがなければ、底ダチを取り直し、再び30~40cm持ち上げて待つ、これを繰り返す。

アタリがきたら、ゆっくり竿先を下げ、仕掛けの周りにいるであろうフグに追わせて下を向かせ、着底したところで合わせる。

「仕掛けを底から離して待つこの釣りはアタリが少ないので数はムラがありますが、掛かれば大型の確率が高いのでやめられません」と佐藤さん。

釣行の写真

大型狙いで宙を探った佐藤さんが当日最大39cmをゲット。

釣行の写真

(左)女性でも軽々と20尾をキャッチ。(右)口周りにハリ掛かりしていれば合わせのタイミングはOK。

その後もポツポツとアタリがきて流し続けるなか、右胴の間の加藤さんが一人だけ入れ食いモードに突入する。

サイズは15~35cmと大中小交じりながら、見る見るうちにオケの中がフグで満たされていく。

「最初はゼロテンで釣ってましたが、途中からアタリが分からないうちにエサだけ取られるようになって・・・それでタイム釣りに変えたんです。仕掛けを底に着けて、5秒数えてシャクるだけ。これがハマリました」と加藤さん。

仕掛けを下ろせば毎回エサが取られるほど魚影が濃く活性も高いときは、一定の間隔で誘いと合わせを兼ねたシャクリを繰り返すタイム釣りが効果的というわけだ。

その後は食いが一段落して11時40分に沖揚がり。

釣果は15~39cmが4~30尾。

トップは加藤さん、2番は24尾で佐藤さん、続いて22尾で牧野さん。

一人平均15尾ほどの釣果を得た。

当地のフグは例年8月までの期間限定。

釣行はお早めに。

釣行の写真

(左)加藤さんの付けエサはアオヤギと持参した鶏レバー。(右)当日のトップは30尾を釣った加藤さん。

釣行の写真

(左)後半は30cmオーバーの良型ラッシュ。(右)最初の1尾を釣り上げた小沢さん。

釣行の写真

(左)前半苦戦も後半に追い上げた塩見さん。(右)慣れない人でも10尾前後は釣れる。

釣行の写真

(左)強い引きの魚の正体はヒラメ。(右)タコも交じる。

知っ得!カットウ仕掛け一例

写真は、当日船中1号を釣った小沢さん愛用の「浅草釣具オリジナルカットウ仕掛け」。

ドロップ型の中通しオモリに通したラインにエサバリを接続した半遊動構造で、アタリが伝わりやすいのが特徴。

オモリ25号、30号いずれも2本バリ仕様。

外房~常磐方面のフグ釣りでアタリが分からない・・・とお悩みの方はお試しあれ。

釣り具の写真

オモリのカラーは赤、 夜光グリーン、夜光ホワイトの3色。

当日のフグ仕掛け

ハリは絡みにくい1本バリ仕様を好むベテランもいるが、フグ釣り初心者や、当日トップになった加藤さんのようにタイム釣りで探るなら、取りこぼしが少ない2本バリ仕様がおすすめ。

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