【アカムツ】激アツ開幕!犬吠埼沖の傾向と対策
アカムツはうまい。
この一言に尽きる。
まだ釣りたてのアカムツを食べたことがない人は、ぜひとも出かけて、まずは刺身を食べてみるといい。
ほかの魚とは明らかに異なるフワリとした食感、あふれる脂質とうま味に目を丸くするだろう。
バッグリミットは一人8尾までに変更
そのアカムツを今狙うなら、1月に解禁したばかりの犬吠埼沖が一番だ。
釣り場は象の鼻と呼ぶポイントを基点にした水深200~300m付近。
黒潮と親潮がぶつかり深海からの湧昇流も加わるこの海域は、エサが豊富でアカムツの宝庫になっている。
サイズもよく、平均35~40cm、ときに50cm超えの大型が船中数尾交じる日も多い。
アカムツは一般的に大きくなるほど脂質含有量が高いとされるから、極上の1尾を手にできる確率が非常に高い海といえる。
乗合船は茨城県波崎港、銚子外川港、九十九里飯岡港などから出船中。
ただし釣り場は各港から航程2時間~2時間半かかる外洋にあり、風が強い日は出船できない。
出船できたとしてもある程度の波やウネリは覚悟して臨む海域だから、しっかりした防水・防寒ウエアを用意し、船酔い対策も万全にして乗船しよう。
裏を返せば、そこまでして行く価値のあるアカムツ釣り場ということ。
ただしこの海域は職漁船の重要な漁場であることから、資源管理を目的としたルールが定められているので厳守しなければならない。
・一の島灯台(銚子漁港)正東線以南の銚子沖海域では、アカムツ釣りの遊漁船は7月1日から12月31日まで禁漁とする(すなわち解禁期間は1月~6月末ということ)。
・一人につき持ち帰るアカムツは8尾までとする(前年までの10尾から、2尾減少した)。
・仕掛けのハリ数は一人につき2本までとする。
・全長15cm以下のアカムツは放流。
以上が頭に入れておくべき主なルールになる。
参考までに新潟県水産海洋研究所の研究データを見ると、生殖腺の発達具合からアカムツの雌は約3歳、全長20cmあたりから産卵に参加し、6歳でようやく30cmに成長するという。
40~50cmに育つには8~10年以上の歳月がかかるだろう。
そのサイズがよく交じる犬吠埼沖はとても貴重な存在といえるが、無制限に釣り続ければ大型の個体が真っ先に減り、資源全体も減少する。
上のルールは長期的に持続可能なアカムツ釣り場を保つために定められたもの。
厳守していただきたい。
ビッグなアカムツが釣れる特別な海。ルールを守って楽しもう
出典:
サメ対策でハリスは5号
気になる今シーズンの釣況は、ややスロースタート気味。
茨城県波崎港・ひろの丸の廣野船長によると、「このエリアにアカムツの群れが集まるのが遅れている感じ。今のところサメがやたらと多くてそれも釣果がのびない原因になってます。まあ本番はこれからでしょう」とのこと。
1月後半から徐々に釣況は上向きトップ4~6尾に到達しているから、春に向かって犬吠埼沖らしい激アツな展開を期待・・・という状況。
ただ、現時点では食い渋りやサメ対策を講じて臨み、外洋特有の速潮や二枚潮も想定したタックルと仕掛けを準備したい。
タックル
オモリは200号を基準に、極端に潮が速いときは250号も使用する。
ロッドはアカムツ用や中深海用のほか、ややオモリ負けするもののヤリイカ竿なども使用可能。
潮が速い犬吠埼沖で最も重要になるのは電動リールの糸巻き量。
速潮に押されてどんどん道糸が出ていくこともよくあるから、PE3~4号を最低でも400m巻いた中型電動リールが必要。
また、ひろの丸では「PE5号以上の太い道糸は遠慮してほしい」とのこと。
糸の立ち方が異なり、オマツリを招きやすいからだ。
さらにサメ、サバ、二枚潮などの影響でオマツリし、道糸が高切れすることもあるから予備の電動リール、もしくは予備の道糸を必ず持参しよう。
リールが1台しかないのに高切れしたときは、新品の道糸を電車結びなどでしっかりつないでリールに巻き込めば釣りが続行できる。
オモリは200号と250号を用意
出典:
シマノ3000番、ダイワ500番にPE4号を400m以上巻いて使用する人が多い
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仕掛け
枝間1.5~1.7mの胴つき2本バリ。
ハリは口が弱いアカムツのバラシを防ぐホタバリやムツバリの16~17号が定番で、チモトに浮力アイテムのマシュマロボールを2個付けして浮遊感をアップさせる。
幹糸は8号程度が基準だが「枝スは5号。サメが掛かっても自然に切れてくれる確率が高いからね」とベテランの村山さん。
もう少し太いほうが糸ヨレは少なくなるものの、サメが掛かると海面まで巻き上げなければならず、ロスタイムが生じると同時にその間にオマツリを招く要因にもなってしまう。
また、アカムツの食いを高めるために、枝スは70~80cmの長めが有効。
犬吠埼沖は底潮が速く枝スも横に吹き流される日が多いので、やや長めの枝スを使うとエサがヒラヒラと漂って食い込みもよくなる。
この枝スは消耗品。
糸がヨレたり、サメによるハリス切れに備えて、ハリスを結んだ替えバリを10本以上用意しておこう。
夜光ビーズやケイムラパイプなどの集魚アイテムもアカムツに効果がある。
反面、サメやサバも寄せてしまうので状況に応じて脱着すること。
マシュマロボールは、サメやサバを寄せにくい無発光タイプもある
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回転ビーズで糸ヨレ軽減。サルカンとセットで自作するといい
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市販仕掛けは枝ス50~60cm。できれば70~80cmに付け替えたい
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縮れたり、サメに切られたりする枝スは消耗品。 替えバリはたっぷり用意しておこう
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付けエサ
ホタルイカが支給され、大半の釣り人がツボ抜き(外套膜を取り外したワタ付きのゲソ)にして付けている。
とくにワタの部分は集魚効果があるとされ、アカムツが食い渋るときは2つ付けてもよいだろう。
付け方は、足の間に隠れているホタルイカの口にハリ先を押し込んで、目と目の間に抜く方法が簡単だ。
抜け落ちやすいホタルイカにプラスして、長さ5~7cm、幅1cmにタンザク切りしたサバ、サーモン、イカの切り身エサなどを付けておけば万全。
こちらは自前で用意する。
サバなどの切り身→ツボ抜きしたホタルイカの順でエサ付け
出典:
犬吠埼沖のアカムツ仕掛け一例
道糸を出しつつゼロテンキープ
アカムツ釣りで大切な要点の一つが仕掛けの投入。
勢いよく投げ込むとホタルイカのワタが千切れ、集魚効果が落ちてしまうのだ。
そこでまず、投入合図が出たら2つのエサバリを海面にポトンと落とす。
そして仕掛けが絡まない位置へオモリを軽く放り込み、素早くリールのクラッチを切ってスムースに海底へ送り込んでやるとワタが取れにくい。
潮が速い日は仕掛けが押されて糸フケが生じ、実水深プラス数十mも道糸が出てからオモリが着底。
続いて軽く糸フケを巻き取り、オモリを着底させたまましばらく待つ。
潮と船の流れで道糸は次第に張っていき、食いがいい日はこの間にアカムツがアタってくることもある。
アタリがなければそのまま待ち、潮に押されてオモリが少し浮いてきたところで竿を立てて誘い上げ、落とし直す。
竿先を下げてもオモリが浮き上がったままなら、道糸を出して再着底させよう。
そしてそのまま張らず緩めずのゼロテンション状態でアタリを待つ。
次第にオモリが浮いてくるようならリールのクラッチを切り、サミングしながらジリジリと道糸を出してゼロテンをキープ。
潮の速さにもよるが、待ち時間は10~20秒が目安だ。
アカムツは上下にピョコピョコと跳ね回るエサよりも、一定の層を漂い続ける捕食しやすいエサを好む傾向があるので、船の揺れやウネリをかわしながらいかにゼロテン状態を保つかが食わせるためのキーポイント。
その後は定期的に誘い上げては落とし込み、ジワジワと糸を出しながらゼロテンで待つ・・・を繰り返していく。
70~80mくらい道糸を送り出したら、50mくらい巻き上げて再着底させると仕掛けを少し手前に寄せられる。
とはいえ道糸の入水角が45度になったら限界。
リセットするつもりで仕掛けを回収し、エサを付け直して再投入したほうが効率的だ。
仕掛けが跳ね回ると食いが落ちるので、できるだけゼロテン状態を保つ
出典:
速潮時のアカムツ釣り
困ったときは1本バリを試してみる
アカムツのアタリはガクガクと明確に竿先に出る。
口周りの硬い部分にハリを掛けるイメージで合わせを入れ、道糸が緩まないように心がけながら電動リールの巻き上げレバーをゆっくりと上げていく。
巻き上げ速度は1秒1mが目安。
ドラグは船が持ち上がって負荷がかかったときに軽く滑り出すくらいに設定しておけば、口切れやスッポ抜けのバラシを防ぐことができる。
ちなみに、厄介モノのサメを避ける裏技はないものか?と常連諸氏に聞いてみたのだが「底にもいるし、宙層にもいる。寄ってきたらどうしようもないね」との返答。
とにかく粘り強く釣り続けるしかないようだ。
日によってわんさか集まってくるサバ対策ついては「上バリを取り外して1本バリにするといい」とのこと。
単純計算でサバのヒット率は半減するわけで、アカムツもそこそこ釣れる。
「どうしようもなく潮が速くてオモリがすぐに浮いてしまうときも、1本バリにすることがあるよ」というベテランさんもいて、ハリ1本分の抵抗が減るだけで底が取れることもあるとか。
困ったときは1本バリ、覚えておいて損はない。
サバの猛攻が続いたり、極端に潮が速いときは1本バリで勝負!
出典:
船上の釣り人に聞くアカムツ料理ベスト1
取材した波崎港・ひろの丸で同船した9名の釣り人に「一番好きなアカムツ料理」を聞いてみたところ、シンプルな塩焼きがダントツであった。
内訳は次のとおり。
●塩焼き(4名)
香ばしい皮とうま味たっぷりのホクホクの白身。
ほかの魚とは一線を画すアカムツのおいしさがたまらないということで、4名の方が第1位に挙げた。
その一人である千葉さんは「塩で締めてから焼くと水分が落ち、身が締まって格別にウマイ」とのこと。
半身に真っ白になるくらい天然塩をまぶして10分ほど置いた後、しっかり水洗い。
キッチンペーパーで水気を取り、改めて適度に塩を振って焼くそうだ。
●しゃぶしゃぶ(1名)
身を厚めに切ってぽん酢で食べれば、口の中でとろける。
アカムツのしゃぶしゃぶはお店でも見かけない、釣り人だけの特権的料理とのこと。
●刺身(1名)
大きなアカムツであれば、まず刺身で食べる。
白身のトロと言われるゆえんが分かるとか。
●炙りの刺身(1名)
香ばしい匂いと、焼いた脂のうま味がたまらない。
●湯引きの刺身(1名)
とろんとした皮目のおいしさが分かる。
炙りは香りが強すぎて今ひとつ苦手という方であった。
●煮付け(1名)
甘辛く煮付けたアカムツは絶品。
ご飯も進む。
◇
個人的には残った頭や骨で作る「あら汁」も欠かせないので、写真で手順を紹介しておく。
塩焼きや一夜干しで残ったあらはそのまま使い、刺身用にさばいて残ったあらは軽く焼く。
汁物にするには強すぎる脂を焼いて落とすことで、ほどよい仕上がりになる。
あら汁
焼き物にしたアカムツの頭や骨を利用する
出典:
鍋に適量の水を張り、あらを入れて弱火でだしをとる
出典:
だしを濾し取り、塩、酒、しょう油で味つけ。みそ仕立てもおいしい
出典:
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隔週刊つり情報(2022年2月15日号)※無断複製・転載禁止