われら釣り人の心強い味方といえばアジで決まりだろう。
東京湾、相模湾とも魚影は安定、いつ出かけても小気味のよい軽やかな引きを味わうことができる。
初夏~梅雨時は濁り潮が差し込む日も多く、船宿支給のアカタンエサにプラスしてアオイソメも用意しておけば万全だ。
たっぷり釣れたら船長の了解をとってハモノ狙いに転じ、大ビラメや青物と一発勝負の夢もある。
マアジについて
北海道から九州沿岸にかけて分布しています。主な産卵地は東シナ海で、しかし各地でも系列群が産卵しています。
沖を泳ぐ黒色調のクロアジ型と、沿岸の瀬に集まる微黄色のキアジ型が存在することが確認されています。さらに、編集部では全長60センチ超の大物、マアジの存在も確認しています。
夏のアジ釣行の様子
相模湾や東京湾口の深場アジ釣りは、40センチオーバーの大型もくる。
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初夏の日差しにまぶしいアジ。食いが立てば軽く20尾を超える。
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黄色く染まったアジ。見るからにうまそうだ。
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相模湾のポイントで出現した 壮大な魚群。すべてアジだ!
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(上)相模湾はオモリ130号 のポリビシに、イワシのミンチコマセを詰める。(下)付けエサはイカの身を紅染めしたアカタン。濁り潮に効くアオイソメも持参したい。
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気のおけない仲間と仕立で楽しんでもいい。
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おすすめの料理
アジのなめろう
脂が乗った初夏のアジはとびきりうまい。
刻んだ刺身と薬味に味噌を合わせた漁師料理がルーツの〝なめろう〟を、ダイコンスライスで包んだ粋なアレンジで味わうのも一興。
アジ釣りのポイント
今すぐにでも行きたいターゲットの一つが、釣っても食べても飽きないアジ。
この時期の課題になる「速潮」を制して快適に釣る!
アジの干物が食べたい
ステイホームが続く中、今何かと話題のお笑い芸人岡村隆史さんが「自宅で干物を作ってんねん」と話していて親近感が湧いた。
ふと頭に浮かんできたのはこれまで自作した干物の数かず。
釣り人それぞれ思い入れがある魚があるだろうけど、私の場合、圧倒的に多いのは「アジの干物」で間違いない。
作り始めた当初は、漬け汁の塩分濃度や漬ける時間に悩み、薄ぼけた味になったり、おそろしくしょっぱい干物ができ上がった。
われながらマズイとあきれることうん十回、ようやくたどり着いたわが家好みの干物レシピは、塩分濃度9パーセントの漬け汁に30~40分浸し、水気を取って一夜干し……という手順。
湿気が増えるこれからは、さらに一昼夜冷蔵庫干しをプラスして乾燥させる。
このように塩と水だけでも十分なのだが、どうだろう、作り慣れてくると何かが足りないという欲が出てこないだろうか?
私はそこからあれこれプラス(間違いなく余計な)をしていき、再び家族の不評を買うはめに陥った。
その後は一転して余分なものをマイナスしていき、ようやく「うん? これはオイシイかも」と女房子供に言わしめるアジの干物にたどり着く。
決め手は先ほどの塩水に、中アジ10尾につき1片の昆布を入れただけの漬け汁。
魚と昆布は相性がよく、これで作った干物はうま味が増した。
作成中の欠点もある。
昆布のヌルがアジにまとわりついて乾きが遅い。
空気が乾燥している早春でさえも、一夜干し+そのまま陰干しで夕刻まで待つ必要があった。
ヌルのせいで干し網に身がこびりつくので、こまめにひっくり返す作業も強いられる。
作業が面倒なので今は気が向いたときにしか作っていないけれど、それを火にかけて焼くときは、もうひと手間かける。
ムロアジの干物がうまい南伊豆の民宿で教わったのだが、日本酒を指に付け、干物の表面に薄く塗って焼くといい香りが加わってうまい。
干物ひとつとっても、アジはこんなふうに手をかけて食べたくなる不思議な魅力がある。
刺身、たたき、そしてフライにと素晴らしい食材だ。
相模湾二宮沖のアジ船団。カカリ釣りで狙うことも多い。
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干物は塩、釣りは潮
もりもり食べたくなったところで、世が落ち着いたらバリバリ釣りたい。
そのためのちょっとしたコツを書いておこう。
ライトアジは前々号で取り上げたので、本稿は相模湾~東京湾口のスタンダードなビシアジ釣りの「タナ取りの心得」を記す。
干物作りのキモは塩加減だが、アジ釣りのキモは潮加減を考慮したタナ取りにある。
干満差が大きく黒潮も差し込んでくるこの時期は、表層の潮だけが川のように流れる日もあれば、東京湾の走水~観音崎沖では大潮の下げ潮時に激流に見舞われ底潮までカッ飛ぶ。
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上潮が速いときのタナ取り
仕掛けを投入し、ピューと斜めに落ちていくときは上潮が速い。
図と照らし合わせると分かりやすいが、このケースは表層の速潮に押されて斜めに仕掛けが降下し、速潮の層を過ぎたところから垂直に落ちて着底する。
当然糸フケも多量に出る。
そこで底ダチを2~3回取り直して糸をしっかりと立ててから、指示されたアジのタナまで上げることがキーポイント。
こうしてアジが釣れるタナを把握したらその水深をカウンターと道糸のマーキングでチェックし、次投は海面からタナ取りすると効率的。
手順は簡単で、タナまで道糸が出たところでリールのクラッチを入れる。
そのまましばらく待つと、オモリに引かれて斜めに入っていた道糸が、オモリに引かれて立ってくる。
すると仕掛けも自動的にタナに入るのだ。
底潮が速いときのタナ取り
春~夏の走水沖などでよくあるケース。
タナを取った後も仕掛けが底潮に押されて浮き上がり、どんどん道糸が斜めになっていく。
この場合の盲点は、指示ダナまで巻き上げてコマセを振っても、アジが食い付く前に仕掛けが吹き上げられてタナから外れてしまうことだ。
それを防ぐ対策は、オモリが着底したらその場でコマセを振って、しばし待ってみる手法。
潮に乗って徐々に仕掛けが浮き上がり、その途中でコマセで寄ってきたアジの鼻先を付けエサが通過する。
浮いていく仕掛けに合わせてチョコン、チョコンと小刻みにコマセを出しても効果がある。
潮を制してタナを狙い撃ちしていけば、必ず応えてくれる。
そこがアジのいいところだが、相模湾や内房のアジ釣り場ならハモノ狙いというおまけの楽しみもある。
ハモノ狙いは四隅の釣り座限定という船もあれば、釣り座の間隔がそこそこ空いていればアジ仕掛けをハモノ仕掛けに交換(つまり一人竿1本のルール厳守)して楽しんでもいいと言う船長もいる。
事前に確認して勝負すれば、ヒラメ、ブリ、カンパチ、イシナギなどが華を添えてくれるかもしれない。
とくにビシ仕掛けに食ったアジが引ったくられるときは最高のチャンスだ。
ところで冒頭のアジの干物はまだまだ進化しそうな感じ。
もし「こっちのほうがウマイ」という秘策があれば、ぜひとも、おでこ長屋へ投稿を。
潮具合を見て的確にタナを取り、コマセで寄せる。
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隔週刊つり情報(2020年6月1日号)※無断複製・転載禁止