夏が旬のマゴチが東京湾や常磐エリアで佳境を迎えている。
今回はそのマゴチを使い、本格的な潮汁と薄造りを紹介。
だしの香りがきわ立つプロの味を家庭で楽しんでいただきたい。
プロ技指南、細山和範(ほそやまかずのり)
1957年生まれ。
釣り好きの父親(先代店主)に連れられ、5歳で大原沖にビシママダイデビュー。
以来、しごかれまくり、釣りまくりの週末を過ごす。
20年ほど前からは伊豆諸島に遠征することが多く、獲物が豊富なときはメニューも賑やかに。
モロコ(クエ)の43.5kgをはじめ大物記録も多数。
最近はテレビ出演の機会も多く、真面目な語り口調を知る人も多いが、素顔は陽気な釣りおやじ。
今回のメインテーマは本格的な椀ものの作り方
潮汁と薄造りの夏においしい照りゴチ膳
出典:
今回のメインテーマは本格的な椀ものの作り方。
マゴチのあらを使い潮汁に仕上げた。
コツの1つはあらを霜降りする前、塩を振って30分ほど寝かせること。
この手順を踏めば水分とともに臭みが抜ける。
次なるコツは汁を沸騰させずに加熱し、丹念にアクを取り続けること。
こうすれば品よく透明感のある潮汁になる。
味の決め手は数滴加えるショウガの搾り汁。
調味料として塩、薄口しょう油、ミリンを加えて味見をした後、ショウガ汁を垂らしたものと比べていただきたい。
この締まった味に仕上げることがプロの業なのだ。
通常の潮汁であれば、具材は魚のあらのみで作る場合が多いが、今回はダイコンや豆腐を加えてアレンジした。
マゴチをさばく①
①トゲに注意
マゴチをさばくときに注意したいのが頭部にあるトゲ。
ケガ防止にはハサミなどで切り落としておくといい。
②ウロコを落とす
ウロコ落とし、もしくは金属タワシ、出刃包丁の峰などを使ってウロコを落とす。
③頭と胴に切り分ける
④頭を2つに割る
今回のメイン料理は椀もの。
マゴチの頭部を使ってだしを取るので、まずは梨割り(2つ割り)にする。
⑤頭とカマに切り分ける
エラを取り除き、梨割りにした頭部をさらにカマと頭とに切り分ける。
これに塩を振って30分ほど寝かせる。
マゴチをさばく②マゴチでもう一品「薄造り」
①胴、腹側に切れ目
マゴチの身は薄造りにするとおいしい。
まず、胴の背、腹のそれぞれに中骨に沿って切れ目を入れる。
②血合骨を断つ
尾の付け根から包丁を差し入れ、尾をしっかり固定しながら血合骨を断つ。
(左、中)①胴、腹側に切れ目、(右)②血合骨を断つ
出典:
③半身が取れた
これで半身が取れた。
反対側も同様にさばけば三枚おろし。
④腹骨をそぎ落とす
腹骨をそぎ落とす。
椀ものを作るのであれば、そぎ落とした腹骨も具材になる。
⑤皮引きの前処理
マゴチの丸みを帯びた身は皮を引きにくい。
そこで、血合骨に沿って浅い包丁目を入れておく。
(上)④腹骨をそぎ落とす(下2枚)⑤皮引きの前処理
出典:
⑥皮を引く
包丁目を入れると身が開き、皮がまな板に接しやすくなるので皮引きが簡単になる。
⑦身をそぎ切る
本来なら骨抜きを使って血合骨を抜き、その身をそぎ切りするが、家庭では血合骨に沿って背と腹側に切り分け、節取りしたほうが簡単にできる。
なお、取り除いた血合骨も潮汁の具材になる。
(上)⑥皮を引く(下)⑦身をそぎ切る
出典:
⑧盛り付け
切った身を皿に盛り付け、もみじおろし、小ネギ、柑橘類を添えれば薄造りの完成。
マゴチの潮汁を作る
①潮汁の材料
具材はダイコンと豆腐。調味に使うのはだし昆布とショウガ。
刻んだミョウガとミツバは仕上げの添えものに使う。
②霜降り
塩を振って30分ほど寝かせたマゴチのあらに80度前後の熱湯をかけ、次に湯を切って水にさらす。
③ウロコなどを落とす
④だし昆布を入れる
マゴチのあらを鍋に移し、適量の水を張り、だし昆布を加えて火にかける。
⑤あくを取る
沸騰寸前になったら火を弱め、あくを取りながらコトコト煮る。
⑥調味料を入れる
沸騰させないように火力を調整。適度なところでだし昆布を取り出し、日本酒、塩を加える。
(左上)③ウロコなどを落とす(右上)④だし昆布を入れる(左下)(右下)
出典:
⑦具材をプラス
⑧ショウガ汁を落とす
ダイコンが軟らかくなったら豆腐を入れる。
最後に適量のミリン、薄口しょう油を加えて味見をした後、ショウガの搾り汁を数滴落とす。
⑨椀に盛って完成
塩加減は何が基準?
料理番組や雑誌などのレシピには、必ずと言っていいほど各調味料の分量が詳細に記されている。
細山流でもあらかたの量は説明しているが、こと塩については「適量」で言い表すことがほとんどだ。
「魚料理では、たとえば味の強い魚とそうでない魚、脂の乗り、身の厚さ、白身か赤身かなどの違いによって、塩加減はまったく変わってきます。
また、酒のつまみなのか、ご飯のおかずなのかによっても違う。だから適量というほかないんです」と細山さん。
また、味付けの濃さも各家庭で違うので、それぞれに合わせた塩梅に仕上げるのが、おいしくいただくためのコツなのだそうだ。
分かりやすく動画で確認
マゴチのさばき方を動画で紹介。
ここではウロコを落とし、頭部と胴に切り分け、頭部を4分割。
さらに塩を振るところまでを収録。
マゴチ釣りにオススメのタックルはこちら
釣り船予約サイト「釣割」のスタッフがオススメする釣り船はこちら!
【関東マゴチ船】人気ランキング
【関東マゴチ船】価格ランキング
隔週刊つり情報(2020年9月1日号)※無断複製・転載禁止