熟成魚って知ってる?熟成に向く魚や作り方、おすすめの調理アイテムを詳しくご紹介!
釣りの醍醐味と言えば新鮮な魚を味わえることですが、生食以外にも美味しく食べられる方法があることをご存知ですか?
それは熟成魚にする食べ方で、釣った魚を少し寝かせるだけで全く違った味わいを楽しめます。
「熟成」と聞くと腐りかけているのでは・・・と心配になる方もいるかもしれませんが、実は熟成と腐敗には明確な違いがあります。
そこで今回はその違いについて触れ、熟成に向く魚と向かない魚をご紹介します。
後半では熟成魚の作り方と注意点を詳しく解説していますので、これを読んで実際に熟成魚を作ってみましょう!
熟成魚とは
熟成魚とは、一定期間寝かせて水分を飛ばした魚のことです。
魚は本来死ぬと硬直しATPと呼ばれる旨味成分が失われていきますが、低温で寝かせることで死後硬直が解け、身が柔らかくなります。
また、寝かせることでATPから変化した旨味成分のイノシン酸が増え、魚自体の旨味も増加します。
釣ったばかりの新鮮な魚はコリコリした歯ごたえを楽しめますが、熟成魚はしっとり・もっちりした食感が特徴です。
熟成と腐敗の違い
熟成と似た言葉に「腐敗」があります。
どちらも食材を長時間放置することに変わりはありませんが、熟成と腐敗には明確な違いがあります。
熟成魚と聞くと腐りかけているように感じられ、なんとなく敬遠していたという方も、その違いを知れば抵抗なく食べられるようになるでしょう。
ここでは、熟成と腐敗の意味をそれぞれ詳しくご紹介します。
熟成とは
熟成とは、食材を寝かせることで品質が変化する状態を指します。
この変化は肉や魚の場合、自らが持つ酵素によって引き起こされるのが特徴です。
熟成は、食材の中にあるタンパク質がアミノ酸に変化したり、旨味が倍増したりといった人間に有益な変化をもたらしてくれます。
また、微生物の作用や、食材と容器の化学反応が食品の熟成を引き起こすこともあるようです。
腐敗との大きな違いとしては、食材の旨味が増した状態にある点が挙げられます。
腐敗とは
腐敗とは、食材が微生物(乳酸菌や酵母)の働きによって人間に有害な物質に変化する状態を指します。
一般的にイメージされる通り、食材に細菌やカビが発生し、悪臭がする状態を「食べ物が腐っている」と表現します。
ちなみに、腐敗と同じく微生物の働きで食材が変化する現象に「発酵」があります。
変化する過程は同じなのでこれらに科学的な差はありませんが、人間に有益かどうかによって区別されます。
具体的に言うと、腐敗した食材を食べると腹痛や下痢、嘔吐などを引き起こしますが、発酵した食材(納豆やチーズ)は栄養価が高く、保存が効くなど私たちに良い変化をもたらしてくれます。
熟成魚に向く魚
どんな魚でも熟成させれば旨味が増すのかと言うと、そういうわけではありません。
熟成魚にして美味しく食べられるのは、淡白な味わいが特徴的な白身魚です。
白身魚は熟成させることでコクのある味わいに変化し、生食とはまた違った楽しみ方ができます。
また、熟成魚は作るときに血合いを取り除く必要がありますが、白身魚は血合いが少ないので作りやすく、初心者の方でも挑戦しやすいのがメリットです。
中でもマダイ・カレイ・ヒラメは特に熟成魚におすすめで、その味わいも絶品です。
熟成魚に向かない魚
サバやサワラなどの青魚は鮮度の劣化が早く、傷みやすいため熟成魚に向きません。
ちなみに青魚は内臓に雑菌が繁殖しやすく、食べると食中毒を引き起こす危険性があります。
青魚による食中毒はヒスタミン中毒と呼ばれ、腹痛や嘔吐の他、蕁麻疹を発症することもあるので注意が必要です。
また、イカやタコ、貝類も熟成には向きません。
これらを熟成させると旨味は増しますが、独特の歯ごたえが失われてしまうため、鮮度の良い状態を楽しむようにしましょう。
さらに血合いの多い魚も熟成魚として不向きです。
血合いは傷みやすく臭いの原因になるため、熟成魚を作る際には取り除く必要があります。
そのため、血合いが多い魚ほど作るのに手間がかかります。
ちなみに血合いが多い魚としては、マグロやカツオ、サバなどが挙げられます。
熟成魚を作る前に
熟成魚を作る前に、まずは釣った魚をその場できちんと締めましょう。
先に述べた通り魚は死ぬと硬直し旨味成分が失われていきます。
それを阻止するためには魚を締める、すなわち即殺することが大切なのです。
締め方は魚の大きさによって変わりますが、マダイやカレイ、ヒラメなど中型~大型の魚を締める場合は脳締めがおすすめです。
脳締めはハサミやナイフを使って、魚の眼の横にあるこめかみあたりを突き刺します。
口が開いたら脳締めできていますが、中型以上の魚は同時に血抜きもしておくと、4~5時間は死後硬直を止められます。
血抜きはエラの中にハサミを入れてエラと尻尾を切り、海中で魚体を振ることで完了します。
締めて血抜きした魚はクーラーボックスに入れ、冷やしながら持ち帰ることで鮮度を保つことができます。
魚の締め方と血抜きの手順については、下の記事で詳しく解説しています。
熟成魚の作り方
新鮮な魚を家に持ち帰ったら、早速熟成魚を作っていきましょう。
作り方の手順としては、まず魚のウロコと内臓を取り除き、血合いに切れ目を入れて水で綺麗に洗い流します。
ちなみに、この段階で3枚におろしにすれば身だけを熟成させることができます。
しっかり水気を拭き取ったら魚をキッチンペーパーにくるみ、さらに上からラップもしくは袋を被せて包みます。
その状態で冷蔵庫のチルド室に入れ、熟成するまで保存します。
熟成期間は魚によって異なりますが、一般的に魚の旨味が最も引き出されるのは3~5日後と言われています。
初めて熟成魚を作る方はこの期間を目安にし、好みで色々試してみると良いでしょう。
熟成魚を作るときの注意点
熟成魚を作る際、冷蔵庫に保存している間は魚から水が出ます。
水分は熟成にとって大敵なので、魚を包んでいるキッチンペーパーは毎日交換するようにしましょう。
そうすることで雑菌の繁殖も抑えられ、より美味しい熟成魚に仕上がります。
また、魚を包むときに袋を使用する場合は、冷蔵庫に入れる前にしっかり空気を抜いてください。
熟成魚を作るときにおすすめのアイテム
魚を包む際、キッチンペーパーの代わりに専用のアイテムを使うと、より手軽に熟成魚を作ることができます。
例えば食品用の脱水シート「ピチット」を使用すると、通常よりも短い時間で熟成魚が完成します。
ピチットは独自構造により、水分や臭みをシートに吸収し旨味成分のみを魚に閉じ込めてくれるのが特徴です。
また、鮮魚店や寿司屋などで実際に使われる「グリーンパーチ紙」も、熟成魚を作るときにおすすめです。
グリーンパーチ紙は水分やドリップ(=魚や肉からにじみ出る赤い液体)を吸収するのに適した耐水紙で、破れにくいのがメリットです。
キッチンペーパーで魚を包むと必要以上に水分が吸収されてパサパサの熟成魚になってしまうことがありますが、グリーンパーチ紙を使用すると保湿しながら適度に水分を吸収してくれます。
熟成魚ならではのしっとりした食感を楽しみたい方におすすめのアイテムです。
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熟成魚を作っていつもと違う魚の味わいを堪能しよう!
今回、熟成魚の楽しみ方について詳細に語りました。
釣り上げた魚は、新鮮な状態で食べるのも良いですが、少し時間をかけてじっくりと熟成させることで、新たな味わいや食感を味わえます。
熟成魚の作り方は意外と手軽で、誰でも挑戦できるので、まだ熟成魚を試したことがない方はぜひ一度試してみてください。
その口に合えば、きっと熟成魚の魅力に引き込まれることでしょう!
熟成魚について詳しくはこちらの記事をチェック!
この記事に関するよくある質問
熟成魚を作るのにおすすめの魚は?
熟成魚にして美味しく食べられるのは、淡白な味わいが特徴的な白身魚です。白身魚は熟成させることでコクのある味わいに変化し、生食とはまた違った楽しみ方ができます。また、熟成魚は作るときに血合いを取り除く必要がありますが、白身魚は血合いが少ないので作りやすく、初心者の方でも挑戦しやすいのがメリットです。
熟成魚に向かない魚は?
サバやサワラなどの青魚は鮮度の劣化が早く、傷みやすいため熟成魚に向きません。また、血合いの多い魚も熟成魚として不向きです。血合いは傷みやすく臭いの原因になるため、熟成魚を作る際には取り除く必要があります。そのため、血合いが多い魚ほど作るのに手間がかかります。
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