一年中アカムツが狙える海としてアカムツファンなら知らない人はいないだろう遠州灘の福田沖。
当地で周年アカムツ乗合を出す福徳丸を訪れた5月28日は、地元静岡はもとより山梨、東京、栃木から6名の釣り人が集まった。
「今年は産卵が遅れていて、5月になってから50cm級の大型が上がるようになりました」
寺田桂司船長によると、例年盛期は3月下旬~5月上旬ごろなのだが、今年は5月中旬以降も好調で、一番いい日は55cm、重さにして1.5kgの特大サイズを頭にトップ20尾以上と聞いて驚いた。
期待を胸に5時に出船。
釣り場は御前崎の手前くらいから天竜川の沖合までの水深180~300m前後を状況で攻め分けているという。
最近は航程1時間ほどのポイントが好調とのことだが、この日は風が強まる予報のため遠方へは行かず、真沖の250mダチで開始となった。
福徳丸の船着き場は、福田港の太田川河口側の岸壁沿い。
出典:
置き竿釣法で連発
間もなく左ミヨシで地元のベテラン菅沼さんが30cm級を釣り上げ、続いて右トモの栃木から来た福田さんが同級をダブルで取り込み幸先のいいスタートを切る。
皆さんの仕掛けは胴つき3本バリ、オモリ250号。
同船では以前はテンビン仕掛けをすすめていたが、数年前から潮が大きく回り続けるおかしな海況になってしまい、この悪潮にあたるとオマツリが頻発してほどくのも大変なため、現在はシンプルな胴つき仕掛けでやっているとのこと。
船長の推奨仕掛けは記事文末部分の図のとおり。
アカムツはハリスが太くても食いは変わらないというのが船長の持論で、幹糸14号、枝ス10号と太い仕様で仕掛けに張りをもたせて絡みを軽減。
ハリのチモトには下写真のように浮力&夜光アイテムを施しアピール力を高めている。
付けエサはホタルイカ。
関東はツボ抜きしてゲソを付ける方法が主流になっているが、船長は1杯掛けで、イカ本来の姿で自然にヒラヒラと漂うスタイルが一番のアピールになるという。
タナは底から5mの範囲を探るのが基本。
船長によると、ポイントの海底には深海サンゴのヤギ類などが生えており、アカムツはその周囲に着いてエサを捕食しているとか。
続けて2尾目を上げた菅沼さんに釣り方を聞くと、置き竿釣法で1分に1度くらいのペースでタナを取り直すのが基本。
最近は底から2~3mでアタリが出ることが多いらしく、この日も2mで食っているという。
菅沼さんの竿は全長2.4mの遠征五目竿。
外洋に開けた遠州灘のウネリを吸収する軟らかめの6:4調子で、ややオモリ負けするくらいの竿のほうが、巻き上げ時のバラシを軽減できるそうだ。
当日は大半の方が置き竿釣法で、山梨からきた臼井さんが右胴の間で35cm級を上げる。
この方はほぼ周年アカムツ一筋で各地の釣り場へ足を運んでいるそうだが、福田沖の魚影の濃さはダントツで50cm以上の大型が釣れる確率も高いという。
続いて右ミヨシで35cm級が上がり、取材の応援に駆けつけてくれた本誌レポーターの黒田さんが左トモで1尾目をキャッチ。
さらに菅沼さん、福田さんと続く。
どうやら食い気のある群れに当たったようだ。
ポイントの多くはカケ上がり。置き竿でもまめに底ダチを取り直してタナをキープしたい。
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(右)全長2.4~2.7m前後の軟らかめの竿を用いた置き竿釣法が基本ながら、ウネリや波があるときは、巻き上げ時は竿 を少し持ち上げ、船の上下動をかわして口切れを軽減しよう。(左)慣れた人は、しっかりハリ掛かりしていれば抜き上げる。
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取り込みは隣同士でタモでアシストしよう。
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アタリが出ないときの一手
アタリが遠のくと潮回りして同じ筋を流す。
船長の経験では、アカムツは数十尾で群れていることが多く、ポイントの目星が付くと潮回りを繰り返して狙うそうだ。
このポイントでいい人は2~3尾追加して、食いが一段落した10時ごろ移動。
この日は中潮で10時が干潮、外洋に開けたこの釣り場の潮の流れは干満だけに左右されるわけではないが、潮止まりの前後は食いが落ちることが多いという。
水深250mで再開。
ここは200mまでどんどん水深が浅くなる急斜面のポイントで、どこにアカムツが浮いているか船長も読み切れないとか。
タナの見当がつかないときは、底から10mまで電動の微速で巻き上げて誘い、アタリがなければ再着底させて誘い上げを繰り返す釣り方が効果的とのこと。
誘い上げでタナを探っていた菅沼さんが、3m付近でアタリをとらえて当日最大41cm級をキャッチ。
菅沼さんが底から3mのタナで食ったことを、朝からアタリが遠かった左胴の間の田島さんに伝えると、ほどなく竿先がたたかれ25cm級が上がる。
続けて田島さんが30cm級を追加。
数はともかくオデコを出さないようにしていると船長が言っていたから、田島さんが潮先になるように船を当てていたのだろう。
その後は水深200~280m付近を流してポツポツ拾い釣り。
予報どおり風が強くなってきた11時過ぎに沖揚がりとなった。
釣果は25~41cmを船中6人で34尾。
内訳は8、8、6、5、5、2。
風に阻まれ、大型が上がっている目下の本命ポイントには行けなかったものの、アカムツ釣りでこの配分であれば皆さん十分納得だろう。
船長の読みでは、6月一杯は50cmオーバーが期待できるとのこと。
その後は特大サイズこそあまり顔を出さなくなるものの、30~40cm級主体にトップで5~10尾くらいは釣れるというから、福田沖のポテンシャルの高さは相当なもの。
首都圏から3時間ほどで着くアカムツの宝庫を擁する福徳丸のアカムツ乗合は6人限定。
休日は満船必至、予定を決めたらすぐに予約を!
この日は30cm前後がアベレージ。
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食い気のある群れに当たるとダブルもしばしば。
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福徳丸は6人限定の予約乗合で出船。
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(左)当日のトップは8尾。(右)当日のタナは底から2~3m前後。
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知っ得!福田沖のアカムツ仕掛け例
写真は寺田船長の仕掛けの一例。
ハリのチモトに夜光パイプ、マシュマロボール、ケイムラパイプ、夜光フロートを配置。
マシュマロボールと、ハリスを2回通して固定したフロートの間でケイムラパイプが遊動する仕組みで、底ダチの取り直しや、誘いを入れたとき仕掛けがなびき、ケイムラパイプがわずかに動く。
それが発光生物のようにチラチラと動き回っているように見えてアカムツの興味を引く、そんなイメージを膨らませて作っているとのこと。
(左上)フロートパイプ、マシュマロボール、フロートを組み合わせた寺田船長の特製仕掛け。(左下)胴つき3本バリ仕掛け、オモリ250号が標準。(右)赤色の水中ラ イトが効果的。 白や青のライトはスミヤキが寄るためNG。
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①支給エサはホタルイカ。ハリ先を胴の先端付近に刺す。②ハリをひねって再び胴に刺す。③このような縫い刺しになれば完成。
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Tackle Guide
リールは道糸が400m以上巻けるクラスの中型電動が適している。
日によってはクロシビカマスが交じることがあり、オマツリしたときこの魚の鋭い歯が道糸に触れて高切れするケースがあるので予備のリールがあると安心。
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