マダイは日本人にとって古くから祭事や祝い事には欠かせない魚だ。
そこで各地で独特な漁法が生み出されてきた。
沖釣りに目を向けても、これまで様ざまなスタイルのマダイ乗合があったが、その中でも主流になりつつあるのが「一つテンヤ」だろう。
仕掛けがシンプルな一つテンヤはダイレクトにマダイの引きが伝わり、細いラインでのヤリトリはスリリングそのもの。
それだけに取り込んだときの「釣った感」はひとしおで、この感覚が人気に拍車をかけているのかもしれない。
10月10日、そんな一つテンヤマダイの取材に私が向かったのは茨城県日立会瀬港のことぶき丸だ。
マダイは春と秋がシーズンという印象が強いが、このエリアでは一年中マダイが狙え、ことぶき丸も周年マダイで出船している船宿の一軒。
気になる釣況もトップで10枚前後と安定しているので期待は十分。
しかも取材前日には3.6kg、前々日にはなんと7.1kgの大ダイも釣れたとあれば、なおさらだ。
実は、同船は前回の取材で3kgのマダイとヒラマサまで釣った私にとっては験のよい船宿。
今回は柳の下の2匹目のドジョウを期待しての釣行である。
早朝がチャンス!
集合時刻は4時半、乗船者は14名。
同船は電話予約順で当日の釣り座を決めるシステムで、船長が名前を呼んだ順に各自が釣り座に入り、支度が整った5時に港を離れた。
30分ほどで真沖のポイントに到着すると、パラシュートアンカーが投入されて、「水深は31mです。どうぞ」との合図で仕掛けが投入される。
1流し目は船内ノーヒットに終わったが、次の流しは各所でマダイが釣れ盛る。
初めにヒットさせたのは右トモ3番の石井さん。
氏は毎週末、欠かさずことぶき丸に乗船しているこの船の親分みたいな存在で、常連さんたちから慕われ、船長からも頼りにされている。
石井さんが難なく500gほどのマダイを釣り上げると、隣の三浦さんにもアタリがきて同級をゲット。
左舷に回り込むと、胴の間の根本さんが700gを釣り上げていたので写真に収めていると、左ミヨシ2番の末永さんが竿を曲げているのが目に入る。
こちらは400gとやや小ぶりではあったが、ファーストヒットはうれしいものだ。
右舷に戻ると石井さんがすでに3枚のマダイをオケに泳がせていた。
「さすがですね」と声をかけると「今日は取材だから船長に真面目に釣りをしろと言われていますからねぇ」とペロッと舌を出す。
そんな会話の最中にも石井さんは4枚目をキャッチ。
石井さんの釣り方は、アンダーハンドでキャストしてカーブフォールでマダイにアピール。
着底後、すかさず竿をあおってリールを5~6回巻き、再びカーブフォールで誘う。
これを繰り返し、仕掛けが船下にきたらベラを避けるために1mほど底を切りしばし待つ。
続いて底から5m上まで探り、アタリがなければ仕掛けを上げ、エサを確かめ、再びキャスト、といった一連の手返しがとにかく早い。
釣り場は日立沖の水深30m前後
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親バリが上アゴに掛かれば合わせはバッチリ
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合わせが決まった瞬間がたまらない
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ベラが多いので底から1mほど底を切ったほうがいい
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潮止まりで大ダイ浮上
船内どこかしらでアタリが続き、右胴の間の香田さんに強いアタリがきて45cmのアイナメをキャッチ。
左トモの滑川さんが400gを釣り上げると、右トモの女性アングラー・本田さんが2枚目のマダイを釣り上げてニッコリ。
そんな和やかなムードのなか、突如ジリリリとリールのドラグを滑らせる音が鳴り響き、パッシーンと海面に跳ね上がるシイラの姿が目に飛び込んできた。
ヒットさせた新山さんが慣れたファイトで取り込んだのは4kgもあるビッグサイズだ。
やがて潮が流れなくなるとあれほど頻繁にあったアタリが遠くなった。
しかし、「キャー」と悲鳴を上げた本田さんの竿がガンガンたたかれ、ジリリリとドラグを滑らせて道糸が引きずり出される。
魚が止まれば巻き上げ、再び走られる、一進一退の攻防が繰り広げられ、ボコッと浮かび上がったのは5kgの大ダイ。
「やった!自己記録更新」と興奮を隠しきれない彼女の笑顔を写真に収めた。
その後は潮が止まってしまい、私も竿を出して1枚釣ったところで北側のポイントに20分ほどかけて移動となった。
移動後もアタリが遠かったが、10時半ごろから徐々に潮が動き始めると、再び活性が上がったのか400~600g級のマダイが各所で釣れ上がる。
シイラを釣った新山さんが派手なアタリをとらえて1.5kgのカンパチをキャッチ。
続けて左ミヨシの沖田さんがタイラバで2kgのイナダを釣り上げ、私が7枚目のマダイを釣ったところで沖揚がりの12時を迎えた。
釣果は0.4~5kgのマダイが2~12枚。
ほかカンパチ、イナダ、アイナメなど。
船長は、潮が動かない時間が長かったためアタリが普段より少なく小型が目立ったと残念そうだったが、秋の好期はまさに今。
潮具合など条件がそろえばマダイの引きをぞんぶんに楽しめるはずだ。
アベレージは400~600g
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1.5kgのカンパチも上がった
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慣れた人は10枚以上釣る
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ダイレクトなマダイの引きが味わえる
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知っ得!テンヤの増しオモリ
テンヤは様ざまなタイプが販売されており選ぶのにひと苦労。
しかも同じタイプでも号数ごとにそろえる必要があるので数が増えるばかり。
そこで私は、写真のようにテンヤの上側に中通しオモリを付けて号数の調整をしている。
中通しオモリは1号を使用
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当日の一つテンヤ仕掛け
竿はオールラウンドモデルの一つテンヤ専用竿、リールはドラグ性能に優れた小型スピニングがおすすめ。
テンヤのカラーは定番の赤と金、夜光の3色を用意すると心強い。
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隔週刊つり情報(2021年11月15日号)※無断複製・転載禁止