関東地方のメバル類は沿岸の浅場から沖合まで多様な種類がいるが、春の茨城で好期を迎えるのがオキメバル。
オキメバルは正式な魚名ではなく、釣りや魚市場の世界での通称。
一般的には標準和名の「ウスメバル」と「トゴットメバル」の2種を中心に、エリアによっては「ウケグチメバル」も含まれる。
オキメバルの〝オキ〟とは沖の意味で、沿岸の浅場に生息するメバル(標準和名シロメバル、クロメバル、アカメバルの3種)よりも比較的沖合の深みを好むことから、この名がある。
釣り場にもよるが、オキメバルの生息域はだいたい水深100~150mが中心。
しかし、鹿島~日立方面では、例年2月ごろから水深20~60m付近の浅い海域に産卵で乗り込んでくるため、25~30cm級のオキメバル(主にウスメバル)とメバル(主にシロメバル)を同じ海域で狙える期間限定の「メバル五目(オキメバル五目)」乗合がスタートする。
茨城県鹿島港・幸栄丸を取材した2月中旬はウスメバル主体にシロメバルが1~2割交じった。
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スタンダードなタックルはヒラメ竿&小型電動リール
標準仕掛けは幹糸4~5号、枝ス2号の胴つき6~7本バリで、ハリは丸カイズやムツの12号前後など。
取材した鹿島港・幸栄丸の船宿仕掛けはエビハナダイ用の3本バリで、これを連結した6本バリ仕様を推奨。
そのほか当日は東北メバルと銘打たれた魚皮とフラッシャー付きのサビキ仕掛けを使う人も多かった。
使用オモリは船宿により60~80号と変わるので事前に確認していただきたい。
当地のメバル五目仕掛けはハリ数が多く、全長も長い。
6~7本バリで3m前後になる。
これほど長い仕掛けをトラブルなく扱うために、竿は仕掛けと同じくらいの長さの物を選ぶのが一番。
全長2.4~3mほどのヒラメ竿やマダイ竿がおすすめだ。
リールは超小型~小型電動、もしくは小〜中型両軸にPE2~3号の道糸を巻いておく。
詳しい釣り方は後述するが、幸栄丸の荒原船長によれば、よほど食い渋ったときは別として、通常は積極的に誘うよりもジッと待ったほうがアタリが増えるという。
当日船上でお会いした常連さんの大半が、食い込みがいい竿先が軟らかめのタイプのヒラメ竿と小型電動リールを用いた置き竿釣法で釣果をのばしていた。
釣趣を優先してメバルの小気味いい引きをダイレクトに味わうなら、2m前後のゲームロッドによる手持ち釣法のほうが面白い。
ただし竿が短い分、長い仕掛けは少々扱いにくくなる。
慣れや技量に応じてハリ数を調節していただきたい。
(上)長めのヒラメ竿やマダイ竿なら、移動時は仕掛けを竿先の近くまで巻き上げ吹き流しにしておけばOK。(下)魚皮やフラッシャー付きのメバル用サビキ仕掛けを使う場合もエサを付けたほうが食いがいい。
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(左)幸栄丸のメバル五目仕掛けはエビハナダイ用を流用。船宿や船でも購入できる、標準オモリ60号。(右上)幸栄丸のエサは塩締めしたサバの切り身。大きさは幅0.5cm、長さは3~5cm。(右下)エサに凝るのもこの釣りの楽しみ。オキアミやアオイソメ、イカタン、カタクチイワシなどを持参する人が多かった。
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釣り方の決め手はしっかりと底を切るタナ取り
釣り方そのものはいたって簡単。
オモリが底に着いたら素早く1~2m上げて待つ。
先述したとおり、通常は積極的に誘うよりも、置き竿で船の揺れにまかせて静かに待ったほうがアタリは増える。
しかし食い渋り気味でアタリがなければ、ゆっくり竿を上下に動かして誘ってみよう。
オキメバルもメバルも臆病な魚だから、激しい誘いは禁物だ。
また底に起伏のある岩礁帯を狙うことも多い釣りなので、1~2分に一度のペースで底ダチを取り直そう。
重要なのはタナ。
同じ根魚でもカサゴの仲間は底に定位しジッとエサを待つため、ほとんど下バリに掛かる。
一方、6~7本バリ仕掛けの上バリに食ってくることも珍しくないオキメバルやメバルの群れは、意外と浮いていると思って間違いない。
だから着底後、糸フケを取り、しっかり1~2m上げてタナを取る。
ベラが掛かるようなら、さらに1mほど上げてみよう。
海底の様子は釣り場によって変わるが、取材した鹿島沖は基本的に砂地か砂利底で、そこに小さな根が点在している。
根の大きさは船1隻程度の場合が多いという。
オキメバルもメバルも根の周囲に広く群れるのではなく、根のそばに浮いている。
投入合図もその根の真上で出るわけだ。
ただし、潮が速いときや風が強い日は、投入が遅れると仕掛けが根から離れてしまいチャンスを逃すこともある。
だから合図と同時に投入できるように、移動中にしっかり準備をしておこう。
鹿島沖は一つのポイントこそ小さいものの、その数はそれこそ数え切れないほど存在する。
そのため少しでもアタリが遠くなればすぐ移動。
反対にバリバリ食ってもあまり粘らず、乱獲を防ぐため次のポイントへと向かう。
小さな根はガチガチの岩礁帯ではないから根掛かりはそれほどないが、もちろん油断は禁物。
なかには高さ数メートルもの魚礁のポイントがあり、「ここは根掛かりするから気を付けて」といったアナウンスがあれば要注意。
とくに長いマダイ竿などを置き竿にする場合は遊びの幅が大きく、掛かった魚が根に突っ込んで仕掛けごと失うこともある。
ハリ掛かりしたらすぐに1~2mくらい巻くクセを付けよう。
鹿島沖のポイントは水深20~40m前後が中心。
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早朝に狙った水深20m台の根周りではウスメバルとシロメバルが一荷で釣れた。
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メバル五目の釣り方イメージ
釣果をのばす追い食いの秘訣
あまり根掛かりしないポイントなら、最初のアタリがきても巻き上げず、そのままの位置で待つ。
すると最初に掛かった魚が暴れて仕掛けを踊らせ追い食いするから、ハリの数だけ食わせるつもりで1~2分じっくりと待つ。
ただし、オキメバルもメバルも活性が高いときほどタナも高くなる傾向があるので、いつも底近くでジッと待っていればいいわけではない。
「反応が高く出てきたよ!」などのアナウンスが出たときはチャンス。
最初のアタリがきたらリールをひと巻きし、次の強いアタリがきたらまたひと巻き、といった具合に上へ上へと巻き上げながら5~10m誘って追い食いを狙う。
ひと巻きごとに重量が増していけば追い食い成功。
無理せず慎重に巻き上げ、仕掛けが上がってきたら、ひとまず魚を船内に引き上げる。
30cm級のオキメバルやメバルが6~7本バリ仕掛けにパーフェクトで掛かると重量は相当なもの。
多点掛けの取り込みは、枝スの接続部に指をかけると仕掛けをたぐりやすい。
すべての魚のハリを外してからエサを確認。
竿先の手前まで仕掛けを巻き上げ、吹き流しにしてからオモリを軽く放って再投入しよう。
高い反応の追い食い狙いのコツ
「反応が高く出てきたよ!」などのアナウンスがあったら、ひと巻き、ひと巻き、仕掛けを上げて5~10mほど追い食いを狙う。
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メバル類は向こう合わせが基本。最初のアタリがきたらじっくり追い食いを狙って釣果をのばそう。
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(左)食いがいい群れに当たるとひと流しでこれくらい釣れる。(右)取り込みは慌てずていねいにたぐり込もう。
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平潟エリアのメバル釣り
平潟港・第15隆栄丸では、「中深場根魚五目」の看板でオキメバルが狙える乗合船を出している。
釣り場は港から航程1時間半ほどの平潟沖、水深130~220mと文字どおり中深海を軸に狙う。
釣り場によって色いろな魚が交じるのが特徴で、水深130~150mのポイントでは30~40cm級の良型ウスメバルを主体に、やや深い180~220mではウケグチメバルやヤナギメバル、小型のメヌケ、アカムツなども釣れる。
仕掛けは幹糸6~7号、枝ス4号、ムツバリ14~16号、オモリ200号と鹿島~日立エリアの仕様に比べて丈夫で重い。
タックルもそれに準じて、オモリ200号対応の中深海竿や青物竿などにPE4~6号を300m以上巻いた小~中型電動リールを組み合わせる。
エサは持参になるが主にホタルイカ、サバの切り身などを使う。
平潟エリアはウスメバル主体に多彩な魚が顔を出す。写真提供・第15隆栄丸。
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