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厳しい寒さもなんのその!沼津の夜マルイカが熱い(秀丸/駿河湾沼津内港)

隔週刊つり情報編集部

1月下旬、マルイカを狙って駿河湾沼津内港の秀丸へ出かけた。
 
通常、マルイカ釣りは東京湾でも相模湾でも日中の釣りになるが、駿河湾では夜釣りが主体になる。
 
というと、はて、この時期はまだタチウオのシーズンでは?と思われるかもしれない。

そう、タチウオとマルイカは年に2回ずつシーズンがあり冬はかぶってしまうのだ。
 
本来、この時期はヤリイカでにぎわうはずなのだが、ここ数年不調が続いている。

そんな状況もあって、現在はタチウオ狙いで出る船が多いが、秀丸ではこのところマルイカでの出船が続いている。
 
もちろんタチウオも得意種目だけに、レパートリーには入っているが、マルイカ好きのお客さんが多く、先に予約が入るらしい。

釣り人の写真

ファンは深夜の寒さをものともせずマルイカのアタリに夢中になる

深夜便が満船

集合は午後10時半。

夜釣りの盛んな駿河湾では、夕方出船の早夜便と真夜中出船の深夜便と2便体制を取っている。

だから、予約さえすれば2便を乗り継ぎタチウオとマルイカを両方楽しんだり、一晩中マルイカ釣りに興じることもできる。
 
とはいえ季節は厳寒期。

日中のちょっとした外出でさえおっくうになるほどなのに、真冬の深夜便など果たして人が集まるのだろうか。
 
そんな心配をよそに、駐車場には次つぎと車が入ってきて、最終的には15人の定員MAX。
 
ここで受付と支払いを済ませたら、荷物をワゴン車で運んでもらって、釣り人は竿だけ抱えて船着き場へ向かう。
 
船長に指示された釣り座に着き、準備に取りかかる。

11時20分、小池秀幸船長の操船でポイントへと向かう。
 
20分ほどで大瀬崎のやや北側の釣り場に到着。

水深は26m。

普通のマルイカ釣りなら、ここで魚探を頼りに群れを見つけ、追いかけ回すところだが、駿河湾は違う。
 
船首からアンカーを下ろして船を固定し、両舷から集魚灯を投下する。

やがてライトの明かりにプランクトンが集まり、それを追って小魚が、さらにマルイカがどこからともなく集まってくるという寸法。

つまり、船の下に人工的な食物連鎖を作り出すわけだ。

釣行の写真

当日の釣り場は大瀬崎付近の水深26m、アンカリングし集魚灯を投下して狙う

このため、釣れ出すには少々の時間を要するのが普通だが、この日はポイントの選定がよかったのか、10分ほどで最初のアタリが訪れる。

右トモ3番で釣れ上がったのは胴長7cmほどの小型マルイカ。

ベンケイサイズも多少は交じるが、時期的にこのクラスが主体となるのが冬場の特徴。
 
ここまで小さいと、当然ながら乗りも微妙。

「少しでも違和感があったら合わせてください」と船長からアナウンスがあったように、かなり集中して臨まないと、乗りを察知するのは難しい。

船の写真

夜釣りとはいえ船上は意外と明るい

釣り人の写真

防寒対策は万全に

よもやの乗り渋り

実はこの日、早夜便の釣果はトップ13杯と急激に失速していた。
 
秀丸が今シーズン、マルイカをスタートしたのは例年よりやや早い12月中旬。

「お客さんの要望が多いので、試しにやってみたら釣れちゃったから」というのがその理由。
 
以降、いい日はトップ40~50杯とまずまずの状況が続き、年明けの10日には116杯、18日は99杯を記録。

直近の25日も40杯だから、まあ間違いないと思うのも無理はない。
 
そしてこの日、スタートこそよかったものの、その後は早夜便同様、渋い時間が続く。

あまりの反応のなさに耐えかねて、午前1時前に北寄りへ小移動。

アンカーを打ち直して再開するが、依然状況は厳しいまま。

お隣のベテランさんは2週間ほど前の釣行を振り返る。

「トンガの噴火で早揚がりだったんですけど、27杯で竿頭でした。このときは空合わせでもよく乗ったんですけどね」
 
聞けば、この日もアタリはあるにはあるという。

しかし、一向に掛からないそうだ。

イカの活性が低く、足の先でスッテをツンツンする程度なのだろう。
 
それが証拠に、渋いながらもポツンポツンと上がってはくるから、イカがいないわけでは決してない。
 
結局、一度も盛り上がりのないまま、こんな状態が最後まで続き、午前4時に無念の沖揚がりを迎えた。
 
釣果は船中1号を上げた右トモ3番が10杯でトップ。

次頭は左トモの9杯。

この2人が飛び抜けていて、3番手は4杯。

2~3杯の人が大半で、残念ながらオデコもいた。
 
帰港後、船長に話を聞くと、水温が数日前より3度ほど上がっていたという。
 
その影響か、船の周囲をサバが回遊していて、ときおりスッテに食いついてはオマツリを引き起こしていた。
 
サイズは中型だが、この時期のマルイカにとっては立派な捕食者。

おそらくサバの出現によって、マルイカがおびえてしまい、極端に警戒心が高まったのが不調の原因と推察できる。
 
とすると、しばらくは厳しい状況が続くのではと考えるのも無理はない。

案の定、翌29日はトップ10杯、30日の早夜便で13杯と続く。
 
ところが、同30日の深夜便で23杯と上向き始め、31日には48杯、スソでも23杯と復調した。
 
船長に電話を入れると「水温は1度くらい下がった程度ですが、サバはいなかったですね」とのこと。
 
今後も好不調の波は訪れるだろうが、谷間の日に遭遇しなければ、けっこう楽しめることだろう。

釣り人の写真

直結仕掛けのゼロテンで釣る人が多かった

釣り人の写真

この時期は胴長7~10cmほどの小型主体

釣行の写真

当日は急激に水温が上がった影響かサバの邪魔が多く苦戦したが、数日後には復調

知っ得!仕掛けの選択

タチウオ同様、思い思いのスタイルで釣りを楽しめるのが駿河湾のメリット。

マルイカも直結、直ブラ、ショートブランコ、イカメタルなどなど、様ざまなアプローチが可能だ。

ただし、イカのサイズが小さいこの時期はイカメタルだと少々つらい。

この日も2人いて、船中最大の胴長20cm級を見事上げたものの、数ではのび悩み、お一人はオデコに終わってしまった。

また、釣り場が岩礁帯で、根掛かりが多いのもネックになってくる。

このため、繊細なアタリを取りやすい、直結仕掛けのゼロテン釣法が無難な選択といえるだろう。

仕掛けの写真

仕掛けは直結、直ブラ、ブランコ、イカメタルなどお好みで。慣れていない人は直ブラ3本ヅノのショート仕掛けがおすすめ。オモリ20~40号を使用

釣行の写真

竿は暗い中でも竿先が見やすいタイプを選ぼう

Tackle Guide

仕掛けもさることながら、この釣りで重要なのは竿。

やはり穂先の鋭敏なマルイカ専用竿が望ましい。

水深20~30m、オモリ20~40号という条件を考慮すると、より感度に優れたものを選びたい。

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隔週刊つり情報(2022年3月1日号)※無断複製・転載禁止

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