これから初夏へ向けて茨城県海域で高い人気を誇るヤリイカ。
とくに多くの船宿が軒を連ねる沖釣り一大基地の鹿島では、ヒラメに代わって一番人気のターゲットになる。
今年も年明けから出船を開始、当初は釣果にムラがあったようだが、下旬ごろから安定してトップ30~50杯、いい日は70~80杯の釣果も上がっている。
そんなこともあってか、鹿島港の豊丸で取材した2月初旬は平日だというのに2隻出しの大盛況。
自分は内田政男船長操船の7号船にカメラだけを持って乗り込み、午前5時ごろに出船となる。
これから初夏まで鹿島の一番人気ターゲットとなるのがヤリイカ
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釣れるヤリイカはビッグサイズが主体
今のところ釣り場は航程1時間ほどのカンネコ根。
アカムツ釣り場の近くなので海底は砂泥底なのかと思ったが、船長に聞くと岩場らしく、オモリを底に着けっ放しにしていると根掛かりしてしまうこともあるようだ。
また、水深の変化はほとんどないという。
最初の流しは水深130m。
すぐに船中何人かに乗りがあり、いきなり3~4点掛けで取り込む人もいた。
しかも、釣れるヤリイカが胴長40㎝前後とみんな大きい。
鹿島のヤリイカは例年のパターンだと大型のオスの群れから釣れ始まり、メスの群れが回ってくるとサイズがダウン、再びオスの群れが入ってきて良型主体になるという傾向がある。
現状はオスの群れの第2陣くらいのようだ。
このままいったら大変なことになるかと思い船長に反応の具合を聞くと、すごいわけではないらしく、サバ交じりの反応が少しある程度とか。
確かに船上をよく見ると毎投入だれもが入れ乗り、というわけではない。
着乗りもそれほどなく、流し込んでいくうちにイカが回ってくるとパタパタッと釣れるといった感じ。
釣っている人に聞くと、乗るのはほとんど底のようだ。
サバはたまに掛かってくる程度だが、そのうちにサメがやってきたから厄介。
早くもオモリを2個3個と取られる人が出始める。
事前にサメがいるとは聞いていたが、今年はやけに多い様子。
サメを避けるのはなかなか難しく、掛かったイカに宙層で食ってきたり、海面直下で襲いかかってきたりと様ざま。
追い乗りを待ちすぎない、速めのスピードで巻き上げる、といった対抗策は考えられるが、無事取り込めるかどうかは運次第といったところ。
推測ではあるが、仕掛けは無事でオモリだけ取られるケースも多かったから、黒塗りなど目立たないオモリにすると、もしかしたら被害を抑えられるかもしれない。
いずれにしろ、仕掛けやオモリの予備は多めに持っていたほうがいい。
群れ次第で釣れるイカのサイズは変わってくる
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筋金入りのイカ親父・渡辺さんの釣り
そんなこんなで30分~1時間ほどの流しを重ねるうちに、気づけば9時半。
ほとんどの人がツ抜けできるかどうかといった中で、一人数をのばしていたのが右舷トモ2番の渡辺敏夫さん。
仕掛けさばきがほかの人とは全然違っていたので話を聞くと、手釣りの時代から40年以上イカ釣りをやっているというから納得。
釣り方もけっこう独特。
オモリを少し浮かせて、ギュンギュンギュンと鞭のように数回シャクリを入れてからピタッと止めて乗りを見て、ストンと竿先を下げる、底中心の探り方。
よほど乗らない限りは巻き落としもほとんどしないという。
この日は全長2mくらいでやや先調子の竿を使っていたが、普段はもう少し長めのヒラメ竿で釣っているとか。
巻き上げも腕力がないからと竿先を海面へ向け下げ、ほとんどリールの力だけで上げている。
今シーズンはすでに鹿島への釣行が4回目で、これから5月の連休まで、毎週のように通うとか。
そんな筋金入りのイカ親父である渡辺さんが、仕掛けについて興味深いことを教えてくれた。
こっちのほうでよく乗るツノとかあります?と水を向けると、スッテ系はもちろんだが、この日のように曇天や潮の濁っている日は黄色(若草色)のプラヅノによく乗るとか。
以前、乗りの渋い日に黄色のツノばかりに乗るシーンを見てから大量に買いだめしたそうだ。
そしてもう一つ、水深80mを切る浅場になったら、ツノ間隔をオモリの上から50㎝、80㎝、100㎝、120㎝と少しずつ広げていくと多点掛けする確率がグンとアップするという。
騙されたと思って一度試してみてとご本人がおっしゃっていたから、過去に実績があるのは間違いなさそう。
興味のある方はぜひ。
そんなこんなで残り時間も後わずか。
多点掛けする割合こそ朝のうちよりも減ったようだが、ポツリポツリと釣れ続いて11時半に沖揚がり。
トップは渡辺さんで50杯、2番手が31杯で3番手が29杯、ほか20杯前後の人が一人二人いて、平均15杯といったところ。
今ひとつ数はのびなかったが、茨城のヤリイカ釣りはまだ始まったばかり。
今後も好不調の波はあるだろうが、春本番へ向けて十分期待できそうだ。
年間の釣行はほぼヤリイカという渡辺敏夫さん。御歳72歳のベテランだ
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(左)独特のスタイルで釣る渡辺さん(右)黄色いプラヅノの正体は、調べてみたらヤマカワのバブル針だった
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浅場で多点掛けしやすいツノ間隔
ほかの人が手前マツリなどで手間取る中、着実に仕掛けを入れて数をのばした
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水深が深いため2月上旬現在はノーマルタックルの釣りが主体
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ライトヤリイカのタックル&仕掛け
茨城県海域のヤリイカは、春に向かって水深100mを切る浅場で釣れるようになることが大きな特徴。
そして浅場になると、ライトタックルでも楽しめるようになる。
昨年、一昨年あたりは2月末~3月にかけて釣り場が鹿島沖の水深70~80m前後へ移行しており、今年も順調にいけば間もなくライトヤリイカのシーズン到来となるはず。
その時に備えて、簡単にタックルと仕掛けについて説明しておこう。
基本はノーマルタックルの船への便乗となるので、ライトタックルで釣りたい場合は、予約時に船宿に申し出ておくことが大前提。
釣り座の指定などがあれば従うようにする。
竿はテンヤタチウオ用など7:3~8:2調子のゲームロッドなどでいいが、80~100号オモリまで背負えるタイプがいい。
リールは浅場とはいえ、ある程度水深があることを考えれば超小型サイズの電動が便利。
巻いておく道糸はPE0.8~1号前後と細めで、フロロカーボン3~4号前後のリーダーを2mほどFGノットなどで結んでおく。
仕掛けは直結、ブランコどちらでもいいが、ツノ数は3~4本と少なめにしておく。
ツノ数が多いと潮の抵抗を受けて糸フケが出やすくなるし、サバが掛かったときにも苦労する。
直結仕掛けの場合はリーダー先端をそのまま一番上のツノに結ぶマルイカ方式にしておくと、竿先まで仕掛けを巻き込めるので取り込みやすくなる。
ブランコ仕掛けの場合は幹糸上部を30㎝ほどと短めにしておく。
いずれの場合もオモリ上の捨て糸を1.5mほどと長めにしておくと、一番下のツノを手にしたときにもオモリが海面下にあるため、仕掛けが安定して取り込みやすくなる。
なお、オモリは釣り場の水深や潮の流れなど状況を見て50~80号前後を使い分けるが、念のため100号までは用意しておきたい。
ライトヤリイカは、仕掛けの扱いやすさやアタリの分かりやすさ、アタリに合わせて掛けたときの満足感など、ノーマルタックルにはない魅力が詰まっている。
機会があればぜひ一度チャレンジしてみていただきたい。
ライトヤリイカはノーマルタックルとはまた違った面白さがある
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ツノ数は3本、多くても4本までに抑えておきたい
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ライトヤリイカ仕掛け例
オモリは50~100号まで各種用意
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ツノ数が少ないので仕掛けを扱いやすいのもライトヤリイカのいいところ
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隔週刊つり情報(2021年3月1日号)※無断複製・転載禁止