令和2年11月3日。
外房太東漁港勘栄丸の新造船が進水、就航。
計画から3年、たくさんの大漁旗をたなびかせて無事、進水式を執り行った。
いすみ市内の船忠荘司造船製の9.7t、全長は18.5m。
ヤンマー製808馬力のエンジンを搭載。
稼働の主軸は職漁ながら、遊漁にも適応できるように設計されている。
白い船体にはオレンジとイエローのストライプが施され、船の内側はスカイブルー。
目にも爽やかな配色が釣り人の遊び心をくすぐる。
漁での動線や漁具の置き場が考慮されているため、ミヨシとトモのスペースが広びろとしているのが特徴。
釣り人を乗せて出船する場面では、フラットな空きスペースがたっぷりあるおかげで、荷物の置き場に困らないのもうれしい。
カマちゃん・釜井昌二(かまいしょうじ)
あんかけ焼きそばが大好きなフィッシングライター。
アトリエぷらり おさかなイラストレーター。
A.T.LABフィールドアドバイザー。
勘栄丸の魅力に新造船が加わる
そんな新船勘栄丸を取り仕切るのは、渡辺親子。
大船長・渡辺秀明さんは64歳。
若船長・真澄さんは34歳。
二人とも現役バリバリの凄腕漁師で、ヒラメやマダイを狙う刺網漁、夏から秋のイセエビ漁、冬のマダコ漁などに精を出す。
今時分は、北から渡ってくる「渡りのマダコ」をタコ壺漁で狙い、1月から盛期を迎える。
遊漁で出船するときは大船長が操船、若船長が仲乗り役を担う。
陽気な若船長の笑い声がこだまする勘栄丸の船上は、まだ辺りが真っ暗な出船前から明るい空気に包まれる。
初めて訪れる釣り人は、彼の笑顔にホッとするに違いない。
経験豊富なベテラン船長が操船し、陽気で面倒見のいい若船長が仲乗りに励み、明るく親しみのあるおかみさんが陸番というコンビネーションが勘栄丸の人気の理由だが、そこに新造船という新たな魅力が加わったことで、訪れる釣り人の楽しみがまた一つ増えたことになる。
勘栄丸のファミリー紹介
右から渡辺秀明船長、真澄船長、おかみの眞理子さん
出典:
良型は浅場にいた!
出かけたのは12月初めのこと。
ターゲットは10月から全面解禁しているヒラメ。
近場で安定した釣果が出ており数、型ともに期待しての出船となった。
この日は、毎年一度は勘栄丸でヒラメ釣りを楽しんでいるという5人グループの方がたに交ぜていただいた。
若船長がエサのイワシを積み込んで5時半過ぎに出船。
船はゆっくりと真沖を東へ進み、ほどなくしてスローダウン。
エンジン音がとても静かで、航行中の振動が少ないことに驚く。
この乗り心地のよさは素晴らしい。
「水深は17m。潮は真潮で南へ0.7knくらいで流れています」と竿入れ協定時間の6時少し前に現況を知らせるアナウンスが入り、釣り開始。
潮がやや濁り気味で、開始直後はアタリがほとんどなかったものの、空が白み、明るくなったところで右舷トモ2番で1.7kgの中型が釣れ上がった。
この1枚を皮切りに、ポツリポツリとヒラメが顔を見せるもののソゲ級ばかり。
業を煮やした大船長は、実績のある水深10mを切る浅場へ船を向ける。
起伏のある海底をトレースするように狙っていると、朝方良型を釣り上げた方にヒット。
若船長の差し出すタモに2.4kgの良型が収まった。
この浅場が好調で1kg前後のヒラメやイナダが釣れ上がり、船上は活気づく。
「ここは実績のある太東沖の浅場なんだけど、大きいサイズはこっちにいたね」と大船長はホッと胸をなで下ろす。
当日の釣果は0.4~2.45kgのヒラメが一人0~6枚。
ほかにイナダとショウサイフグが交じった。
今後は水深50m前後のポイントも視野に入れながら、状況を見極めて出船していくとのこと。
イワシの回遊が多く見られるようになれば、大判ヒラメへの期待も膨らむ。
釣れたヒラメは若船長が手際よく生け絞めしてくれる。
「こうしたヒラメはね、新鮮なうちでも、少し熟成させて食べてもおいしいんですよ~。アハハハハ」と若船長。
何をしていても、何を話していても、笑顔が絶えない若船長。
新造船はとても眩しかったけれど、彼の笑顔もまた、同じくらい眩しかった。
当日は航程20分ほどの太東沖水深9~17mを攻めた。状況で水深50m前後の深場を攻めることもある
出典:
肉厚の2.4kg。ほか1.7kgの良型も釣り上げた
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空いていた席で若船長もしっかりヒラメをゲット
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時折コモンフグやショウサイフグも顔を出す
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大船長と若船長がタモ入れしてくれる
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船宿 information
外房太東港・勘栄丸
0470・87・2296
URL: https://cb-kaneimaru.com
●予約制(電話予約)。第1、第3月曜日定休。
●釣り座はくじ引き。乗船前にペットボトル氷が用意され、下船後に氷がもらえる。
船宿アクセス
●車/国道128号の「太東漁港入口」交差点を曲がり、突き当りを右折。市場を通り抜け、その先に並んでいる船の一番海側が勘栄丸。目の前の空いているスペースに駐車できる。
●電車/JR外房線太東駅からタクシー利用で約10分。
受付から下船までの流れ
(左)太東漁港入口交差点を入った突き当たりを右折し船着き場へ(中)市場の海側、一番海寄りが勘栄丸(右)船着き場の前の空きスペースに駐車できる
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(左)乗船名簿に記入してから釣り座(くじ引き)で支度する(中)出船前にイワシエサを船に積み込む(右)会計は下船後、おかみさんが対応する
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(左)氷は下船後にたっぷりと用意される(乗船前にはペット氷)(中)良型が釣れたら電子秤で計測してくれる(右)トイレは船にもあるが太東漁港北側の駐車場横にもある
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勘栄丸の船上設備
(左)船体前部に横になれるキャビンがある(中)キャビン内には電子レンジとポットを用意(右)各釣り座にイワシ用と釣れた魚用2つのバケツが用意される
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(左)イワシのイケスは船の前方。若船長がイワシを配ってくれる(中)イワシをすくうためのネットも完備(右)若船長の手作り仕掛けとオモリは船上で購入可
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(左)船前方に男性用トイレ(中)船後方に女性用トイレ(右)船後部のスペースは広びろしている
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釣れたヒラメは若船長が生け絞めしてくれる!
(左)若船長の絞め具(右)まずは血抜きをして
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(左)続いて脳天絞め(右)最後に神経絞めを施して完了
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勘栄丸の釣り物とシーズン
1月からはマダコ漁が盛期を迎え、漁にも精を出す
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勘栄丸のヒラメ仕掛け例
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隔週刊つり情報(2021年1月15日号)※無断複製・転載禁止