この秋、東伊豆のワラサは今一つ盛り上がらなかった。
宇佐美港・秀正丸の森秀正船長の話では、「魚はいっぱいいるんだけど、コマセに反応しない。胃袋をチェックしてもほとんどオキアミを食べてないから、小魚やイカを捕食してるんだろうね」とのこと。
そこで近隣の船宿同士が相談して、例年より少し早めの11月13日からイカブリ乗合を始めることにしたそうだ。
「イカエサで狙えば、たぶん釣れるんじゃないかな」というのが船長の読みである。
立派なワラサが続々ヒット
その開幕初日は満員御礼。
長年仲乗りを務めている大胡さんも「こりゃ入れ食いになったら大忙しです」と、人なつっこい笑顔で気合を入れている。
午後4時、もやいを解いて初島周りへ。
魚探を見ながら島の南東側、水深70m付近をじっくりと探る船長から、「はい、やりましょう。底からハリスの長さプラス3m巻き上げてアタリを待ってください」と開始の合図。
皆さん持参した冷蔵・冷凍のヤリイカを付けて、タナに合わせて待つ。
5時を回って熱海の街灯がきらめき始めたころ、魚探に濃密な反応が出現。
とたんに「きたよー!」とトモのほうから声があがると、ズン、ズン、ズン。
瞬く間に4~5名のロッドが突っ込み、リールのモーターが重そうに唸り声をあげた。
大胡さんが駆けずり回ってタモを差し出し次つぎにデッキに転がっていく魚は、5kg級の太ったワラサ。
ブリまであと一歩の立派なボディだ。
ちなみに関東でブリと銘打って市場に流通する大きさは全長70cm、体重6kg以上である。
釣り場は航程10分で到着する初島周り。深海から隆起するこの島の周辺は古くから一級の漁場
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集魚灯で小魚やイカを集め、それを捕食するブリを寄せる
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ドラグを締めてガンガン巻き上げオマツリを防ぐ。この豪快ファイトも釣り人を魅了する
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船長おすすめの1本バリ仕掛けで食わせた5kg級
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決め手はエサと運!?
「ここ数年、開幕直後は3~4kgが多かったんだけど、今年はサイズがいいね!」
ほぼ毎年乗船している常連さんも意外な展開に驚きながら、うれしそうに魚体を見つめている。
イカエサなら釣れるだろうという船長の読みも的中して、「あとはトップで5本以上釣ってくれれば順調なスタートといえるね」と目尻を下げた。
1時間くらい中だるみがあったものの群れが船下を通過するたびだれかしらにアタって、9時過ぎには大半の釣り人が本命をキャッチ。
うち4名が5本に到達して好調開幕を決定付けた。
とくに左舷トモ3番の吉田さんにはコンスタントにアタリがあって、10時の終了までに7本を釣り上げ竿頭。
「テクニックなんてありませんよ、仕掛けは船で買ったものだし。タナを時どき取り直して、置き竿で待ってただけ」
とは言うものの持参したエサにこだわりがある。
それはご自宅近くに一軒だけ残っている懇意の鮮魚店に取り寄せてもらったという、格別に鮮度のいいヤリイカ。
一場所、二エサ・・・という釣りの故事どおりだった。
残念なことに2名の釣り人がオデコを食らってしまったが、「この釣りはね、どんなベテランでも完全にフラレてしまうことがあるんです。運の要素もありますからダメなときはダメと割り切って、また挑戦してください」と船長。
その後数日は反応あれど口を使わずという状況となり、サバの大群にも邪魔されて低空飛行が続いた。
けれどもブリの魚群は途切れることはないから、きたる師走は盛り上がるはず。
「毎年のことですが、水温が下がるにつれて大きなブリが回ってきます。縁起のいい魚でもありますから、年末にかけてぜひ楽しんでみてください」
サイズのよさに船長も期待をかける今冬のイカブリ乗合。
好調なら年明けまで楽しむことができ、1月いっぱい続く年もある。
10kg級の寒ブリを目指して出陣の時だ。
吉田さんが7本でトップ。鮮度のいいヤリイカエサが決め手か?
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外気が冷え込むにつれて脂が乗り、うま味が増す
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師走の恒例行事としている釣り人も多い
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あらは捨てずにブリ大根!
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隔週刊つり情報(2021年12月15日号)※無断複製・転載禁止