本格的な秋の訪れとともに東京湾奥のハゼ釣りが好スタートを切った。
江戸前の人気釣り物として昔からファンが多いハゼだが、最近は乗合船を出す船宿がめっきり少なくなり寂しい限り。
しかし、そんな中にあって秋のハゼ釣りを大看板に掲げるのが今回お邪魔した東京湾奥深川の冨士見である。
江戸の末期から続く老舗の船宿で、今でも櫓を練って釣らせる「練り船」(仕立専門)を出船させている。
「ハゼと言ったら冨士見だよ。今年は家の前でもいっぱい沸いた。これから落ちの時期が楽しみだよ」と話すのは同船5代目の石嶋一男親方。
櫓を練らせたら右に出る者なしとうたわれた名船頭だが、現役を退いてからは船が帰港するころに店に顔を出し、お客さんの「いっぱい釣れたよ!」の言葉に相好を崩すのが日課となっている。
取材日は、10月10日の日曜日。
先日同船を訪れたときは天ぷらサイズが多く交じり、数もトップで182尾と好釣果を得た。
今回もそのつもりでいたのだが、「この間の台風で避難しちゃったみたいでいつものポイントで釣れないんですよ」とつれないことを言うのは当日のハゼ船担当の登藤晃弘船長。
しかもサイズがダウンしたと追い打ちが飛んできた。
ちょっと出鼻をくじかれたような気がしたが、状況は日々変化するのが海釣りの面白さでもある。
昨日がダメでも今日は釣れました、なんてのはよくある話である。
主な釣り場は木更津港内の水深3m前後。
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(左)船宿は屋上の大看板が目印。ハゼ乗合は3名以上で出船。(右)ビル街を見上げながら運河を下り海へ出る。
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木更津港内で好調
先発のタチウオ船を見送り、定刻の午前7時半に総勢15名で河岸払い。
最近は大看板のハゼやシロギスに加えライトアジ、タチウオにも出船しており、休日などはハゼ同様の賑わいを見せている。
平日でも3名以上集まれば出船してくれるのもありがたい。
今回の取材は知り合いの松田さん父子と3人で出かけた。
息子の匠たく生み くん(中学1年生)は地元では「ハゼボーイ」と呼ばれるほど陸っぱりのハゼ釣り名人で、初心者や地元のおじさんたちにコーチしたりするほどの腕前。
一度船のハゼ釣りを体験したいとのことで同行することになった。
本来ならハゼマスターのマーちゃん船長(斎藤正雄船長)に手ほどきをお願いするつもりだったのだが、当日はタチウオ船担当とのこと。
しかし同船した方がたには百戦錬磨のベテランもいて、誘いや取り込みの作法の勉強になる。
航程1時間弱で釣り場の木更津沖へ到着。
沖と言っても木更津港の中とその周辺が主なポイント。
まだ本格的に落ちてはいないので船は中の島大橋をくぐって奥へ奥へと進む。
登藤船長のフェバリットポイントに到着し、すぐに釣り開始の合図が出た。
まずリール竿組と貸し竿組がスタート。
待つ間もなく船中でバタバタと釣れて出がけに聞いた不調の話が一気に吹き飛んだ。
釣りはやっぱり出たとこ勝負!
松田さん親子は手慣れたリール竿でチャレンジしたが、1投目から天ぷらサイズが釣れて、思わず親子で「大きい!」を連発。
入れ食いと言うのはちょっと大げさかもしれないが、それでも投入ごとにハゼが上がってくるから事実上入れ食いか!?
ちなみに同宿のハゼ船はリール竿の使用はOKだが、釣り方は船下を狙うのがルール。
キャストするのはご法度なので気をつけよう。
少し遅れて糸巻き式のハゼ竿組が参戦。
ハゼ竿を使う方がたは手て練れが多いだけに先発組同様、いやそれ以上にハゼを次つぎと抜き上げている。
パッと見、前回釣行したときより粒がそろっている感じだ。
潮が効いているからハゼの勢いも止まることがなく釣れてくる。
アタリが遠くなればちょっと移動するだけで、あのブルブルがすぐ手元に伝わってくるから面白さも尽きない。
水温がまだ高いからハゼの動きも活発だし、水深も3m前後と浅く初心者でもノープロブレムで楽しめるのも魅力だ。
当日は小さいお子さん連れやご夫婦、シニアの方などまさに老若男女が同船。
竿を頻繁に上げ下げされて皆さん十二分に楽しんでいる様子が見て取れる。
(左)リールタックルもOK。(右)10cm以上の良型ぞろい。
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(左)底を小づいて誘う 。(右)アタリがきたら糸をたぐって取り込もう。
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(左)親子連れが和竿の貸し竿で江戸前のハゼ釣りを満喫。(右)冨士見の竹製の貸し竿は全長1.8m前後の糸巻き式。
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良型狙いのポイントへ
朝到着したときは霧雨が降っていたがそれもすぐ止み、雲も徐々に取れていき日差しが夏を思わせるように暑い!
午前中は大きな移動もなく皆さんお土産を確保。
それを見て船長は大型を狙いに港の外へ移動。
同宿の場合まず港内でお土産を確保してから大型を狙いに行くのが定番コースなのだ。
潮の上げ下げの関係で朝一に良型を狙う逆パターンもあるが、これは船長におまかせだ。
いずれにしても釣れるところに連れていってくれるのは間違いない。
ここでいきなり匠生くんが15cmオーバーの良型を連発。
釣った本人もその大きさに驚いていたが、横で見ていた私にも分かるほど竿が大きくしなっていた。
期待にたがわぬ大きさではあるが、港内に比べちょっとアタリが遠い感じ。
何度か流しを変えてみたが釣れるのは最初だけ。
サイズがいいだけに粘ってもいい雰囲気だったが、船長は魚影が薄いとみて再び港内へ。
転々とポイントに当ててみたがどこも今一つ。
それではと最初の鉄板ポイントへ戻ると「お帰り!」と言わんばかりに食ってくる。
外に比べサイズダウンだが、決して小さいわけではない。
何よりも活発にアタリがくるのが面白い。
結局、ラスト1時間をここで釣りまくり、沖揚がりを迎えた。
トップは140尾。
ベテラン勢は1束超えで、大半は50~60尾ほど。
松田さん親子は10cm以上をキープして2人で150尾と上々の釣果。
船のハゼ釣り初挑戦の感想を匠生くんに聞いたところ、「楽しかったです。やっぱりハゼ釣りは面白い!」と大満足の返事。
一方お父さんは、「和竿がほしくなっちゃいました」と匠生くん同様、江戸前のハゼ釣りに魅了されたようだ。
木更津方面はすでにトップシーズン突入だし、11月になると深川界隈もがぜん面白くなる。
今シーズンは沸きがよいとの前評判だから、初心者にも正真正銘の江戸前のハゼ釣りが楽しめるだろう。
(左)エサのイソメのタラシは2cmほど。(右)振り分け式の仕掛けで一荷。
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2本竿を操るベテランは軽く1束超え。
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50~60尾の人が多かった。
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知っ得!ハゼ釣りのコツ
ハゼは誘いが命!
竿先を軽く上下させてオモリ(エサ)を踊らせてハゼにアピールすることが大事。
今シーズンはアベレージサイズが大きいのでエサを少し大きく、4~5cmほどに切って付けるのも有効。
アタリを感じたら即合わせが基本だ。
ベテランは2本竿で巧みに誘う。
出典:
Tackle Guide
糸巻き式のハゼ竿が基本。
長さは1.8~3.6m前後。
和竿のほか、最近はカーボン製も多く出回っている。
リール竿はトラウト用やバスロッドの軟らかめが人気。
仕掛けは図のようなシンプルなものがおすすめだ。
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【隔週刊つり情報(2021年11月15日号)※無断複製・転載禁止】