沖釣りターゲットはそれぞれに楽しさがあってなかなか優劣を付けるのは難しいが、皆さんの好きな釣り物は?
私の場合はオニカサゴが好きな釣り物の上位にランク付けされている。
オニカサゴの食味のよさはもちろんのこと、巻き上げ中に激しく抵抗する釣り味も楽しいし、多彩なゲストが釣れるので、「今度は何が掛かったのかな?」という期待感がたまらなく好きなのだ。
ゲストは地域や季節によって変わるが、高級魚種が多いのもこの釣りの特徴だ。
ゆったり出船
そこで9月下旬、オニカサゴを狙って釣友の塙くんと南房江見太夫崎の鈴丸に出かけた。
同船は、エサは各自で持ち込むシステム。
私が用意したのはサケのハラモとサンマの切り身、食紅に漬けたスルメイカのタンザクだ。
当日の乗船者は私たちを含めて4名とゆったりとしていたので、船の四隅に分かれて席を取り、4時45分に出船となる。
30分ほどでポイントの江見沖に到着すると、さっそく船長から、「水深は90mです。やってください」と合図が出た。
ここの海底は砂泥で、以前オニカサゴの仕掛けで50cm近いアマダイを釣ったことがある。
開始早々、塙くんが竿をしならせて巻き上げを開始。
幸先よくオニカサゴの登場かとカメラを構えていたのだが、釣れ上がったのはレンコダイ(キダイ)。
30cm級の良型で大事にクーラーにしまい込む。
しかし、その後はだれにもアタリが訪れず、30分ほどで水深120m付近に移動となった。
仕掛けはテンビン式2本バリ、オモリ150号。エサは持参でサバやサンマの切り身など
出典:
江見沖の水深90~120m前後を流した
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食わせの間が肝心
当日は潮が速く強い北東風が吹いており、底潮は北に向かって流れ、上潮は南に向かって流れるいわゆる二枚潮になっていて、まめに底ダチを確認しないと仕掛けがフケ上がって釣りにならない。
そんな悪条件の中、私が左ミヨシの増田さんと釣り談義をしていると、氏の竿先にコツコツッときた。
増田さんは15秒ほどじっくりエサを食い込む間を与えた後、エイヤッと合わせを入れて見事に掛ける。
巻き上げ途中にガガガッと断続的に突っ込むのはオニカサゴの特徴で、引きを楽しみながら取り込んだのは800g級の本命。
それを撮影して席に戻り、底をキープしながら誘いを入れていると私にも待望のアタリがきた。
ころ合いを見計らって竿を立てると、グンと重量感のある手応えがあり巻き上げ開始。
塙くんも同時にヒットしたらしく巻き上げている。
巻き上げ途中で違和感があり、やはり彼の仕掛けとオマツリしていた。
上がってきたのはアヤメカサゴとヒシダイとオニカサゴ。
オニカサゴはどちらの仕掛けに?
とオマツリをほどくと、オニカサゴが食ったのは塙くんの仕掛け。
残りの魚は私の仕掛けに食っていた。
左トモの千葉さんがフサカサゴをダブルで取り込み、「次は本命を釣りますよ。前回来たときは7kgのアラも釣りましたから」と意気揚々。
続けて増田さんが2尾目となる600g級のオニカサゴを釣り上げ、いよいよ時合の到来だ。
巻き上げ途中で断続的に引き込めば本命の可能性大
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オニカサゴは1kg前後がアベレージ
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アヤメカサゴも定番ゲスト
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1kgオーバー登場
「今度はずいぶん暴れるなぁ、なんだろう?」と塙くんが首をかしげながら釣り上げたのは30cmほどのアラ。
その直後に私にもアタリがきてアラが上がってきたが、増田さんの道糸とオマツリしており、ほどいている間に海面を漂っていたアラはサヨウナラ。
「鈴木さんダメだよ。先に魚をタモですくわないと」と船長に教育的指導を受けてしまった。
増田さんが再び竿をしならせた。
明らかにこれまでより激しく抵抗していたので、良型を確信してカメラを構えていると1.2kgのオニカサゴが登場。
このクラスになると顔つきに迫力がある。
10時を過ぎたころから潮の流れが緩やかになったが、徐々にアタリも遠くなる。
それでも休まずに誘っていた塙くんにアタリがきた。
「今度もオニカサゴではなさそうだけど・・・」とつぶやきながら釣り上げたのは、なんとアラとホウボウの一荷。
その後はポツリポツリと船内でカンコ(ウッカリカサゴ)などが上がり、私もカンコ2尾をキャッチ。
残り時間も少なくなり、「この流しで最後になりますよぉー。頑張って!」と船長。
よし、ラストにドカンと一発!と気合を込めて投入。
誘いを入れて竿先に集中すると、カツカツと乾いた感触のアタリがきた。
この時点で魚の大きさは分からない。
誘いをやめて様子を伺うと、ガガッと竿先が引き込まれ、合わせを入れるとゴツーンとかなり重たい。
巻き上げ途中にギュンギュン引き込み、リールの巻き上げを止めてしまうほどの抵抗を見せ、海面を割ったのは良型のオニカサゴ。
タモを塙くんに頼もうとしたのだが、彼も巻き上げのまっ最中。
アラのバラシもあったので、自分でタモを取りに行ったのだが、その間にまたしても海面バラシ。
固まる私を横目に塙くんがカンコをダブルで抜き上げたところで沖揚がりを迎えた。
オニカサゴの釣果は0~4尾。
強風と二枚潮のため、今一つの成績に終わったが、いい日に当たれば1kg級主体にトップが7~8尾を超えることもあり、条件次第で十分期待できる。
常連の増田さんが4尾を釣り竿頭
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知っ得!オニカサゴとイズカサゴ
船釣りで主に釣れるオニカサゴは標準和名イズカサゴなのだが、ややこしいことに標準和名オニカサゴもいる。
イズカサゴの特徴は鮮やかな朱色をしており、頭が大きく水深100m以上の深場でも釣れる。
一方、本家のオニカサゴは茶褐色で頭が比較的小さく、水深20m前後の岩場に生息する。
いつからイズカサゴをオニカサゴと呼ぶようになったかは分からないが、「オニカサゴ」と呼んだほうがインパクトが強いので広まったのではないだろうか。
背ビレの切れ込みが深いのもイズカサゴの特徴
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当日のオニカサゴ仕掛け
市販のオニカサゴ仕掛けには2本バリと3本バリがあり、慣れていない人は仕掛けをさばきやすい2本バリがおすすめ。
タコベイトやケミカルライトなどの集魚アイテムは、フグやサメが多いときは外すようにしよう。
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隔週刊つり情報(2021年11月1日号)※無断複製・転載禁止